【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義34:フォーリング☆イザヨ

「…ああ…」

「ウソだろ…………」

 

 目の前で起きている光景に、ボーボボたちは総じて絶句する。

 広がっていく紅い池、その中心で仰向けに倒れ、荒い呼吸で白目を剥く女番長に…そのすぐ横で悶える、小さな命に向けて。

 

「「「「アリさ―――ん!!!!」」」」

「さっき踏まれました…」

「ええ――っそっち!!!?」

 

 文字通り虫の息になっているアリに悲劇の涙を流す一同にビュティたちがツッコむ。非常時にも変わらずふざけ倒しのボーボボたちだった。

 

『ククク…もはやそいつもそこまで』

『当初の警戒も無駄に終わったな、ハハハ!』

「………………おのれ……おのれ…」

 

 一矢報いることもできず、地に墜ちたイザヨを嘲笑い、宇宙鉄人が下卑た笑い声をあげる。

 そんなに隊を睨みつけ、ボーボボはぶるぶると怒りで全身を震わせた。

 

「おのれぇ―――!!!!」

「コルド大王!!?」

 

 宇宙最強の一族のコスプレをしたボーボボが、二体に向かって斬りかかる。

 だがそれをグランダインが難なく受け止め、スカイダインが無防備な腹に向けて光線を放ち、容赦なく貫いてみせた。

 

「ぐわぁ‼︎」

 

 腹に大穴を開けられたボーボボはそのまま吹き飛ばされ、壁に激突してずるずると崩れ落ちる。ほぼ出番がないまま、帝王の父の偽物は退場しようとしていた。

 

「……ぐ…ビュティ…いやフリーザ。後は任せた…あのスーパーサイヤ人を倒してくれ…」

「いや私フリーザじゃないし相手スーパーサイヤ人でもないから」

 

 ボーボボの無茶ぶりに、ビュティが慌てていやいやと手を振る。

 だが、事態はふざけているほどお気楽な状況ではない。味方の最高戦力二人が、あっという間に叩き潰されているのだ。

 

「ボーボボまでやられた‼︎」

「チクショウ‼︎ オレが相手だ!!!」

「イザヨの仇――――!!!」

「まて‼︎ うかつに動くな‼︎」

 

 仲間がやられたことに激昂し、メテオとなでしこが鬼の形相で飛び出していく。

 凄まじい勢いで迫ってくる二人と、急ぎ追随するソフトンを一瞥した宇宙鉄人たちは、小馬鹿にした様子で片手を挙げた。

 

『忘れたか……キサマら全員、袋の中のネズミだ』

「「「「「ぐあああああああああ!!!」」」」」

 

 途端にメテオたちに大量のレーザーや電撃が浴びせられ、全身を焼き焦がされる。

 近づくことすらもままならない攻撃に、メテオたちはたまらずがくりと膝をつき、そのまま倒れ伏してしまった。

 

「こっちにも来たぞ!!!」

「きゃあああああ!!!!」

 

 レーザーの雨はビュティたちにまで襲い掛かり、辺りはカッと閃光と轟音に包まれる。

 だが、痛みに備え目をつぶっていたヘッポコ丸は、それがいつまでたっても来ない事を訝しみ、ハッと目を見開いた。

 

「お…お前は……!!!」

「黒騎士!!! なんて無茶を…!!!」

 

 ヘッポコ丸は、自分たちを守るように立ち塞がり、煙を上げる黒騎士に驚愕の目を向ける。

 微かに振り向いた黒騎士は、駆け寄ってきたインガに抱き留められながら、両の目から光を完全に消失させた。

 

『ククク…連携が崩れたな。仲間の喪失がここまで響いたか』

『なに、安心しろ。すぐに貴様らも同じ場所へ送ってやる』

 

 しんと沈黙する一同を見下ろし、宇宙鉄人たちは視線を上げ、残った二人を見やる。

 殺気を向けられ、硬直するビュティを背に庇い顔を強張らせるヘッポコ丸を見ながら、宇宙鉄人たちが再びエネルギーを充填し始めた、その時だった。

 

「おい鉄クズども、主人公を忘れてるぞ?」

 

 エネルギーの光に照らされ、鉄人たちの頭の上に乗った首領パッチがにやりと笑う。

 兄妹が気付いた時には、首領パッチはすでに大量の得物を振り下ろしていた。

 

『キサマ‼』

『いつの間に!!?』

「喰らえ、二人の仇『首領パッチソード大盛り』!!!!」

 

 驚愕する二体に向けて、首領パッチは首領パッチソードと命名したネギの束を叩きつける。

 当然、ネギは半ばからへし折れ、へにゃりとへたってしまった。

 

「ダメでした☆」

『調子に乗るなゴミが‼』

「よっ」

 

 馬鹿にした顔で苦笑した首領パッチを狙い、スカイダインが刃となった腕を振るう。

 それを難なく躱し距離をとった首領パッチは、警戒する二体を鼻で笑って見せた。

 

「バカが、よく見な! 戦える奴ならまだ残ってるぜ」

『バカはキサマだ』

『残る連中は皆ザコばかりのハズだ』

「いや…いるさ」

 

 ちらりと首領パッチの目が、背後に倒れる二人の仲間に視線を移す。

 よく見ると、そいつらだけ他と異なっていた。まるでミイラのように、全身包帯で巻かれているうえに、ご丁寧に『死亡中』と看板までぶら下がっていた。

 

「死んだフリしてやがるがな」

「「ドッキーン!!!」」

 

 見破られた二人、天の助と田楽マンが冷や汗を流して体を震わせる。

 そしてすぐさま起き上がり、激しい羞恥と後悔に身をよじらせ始めた。

 

「うわあああ、オレたちはなんてくさったヤツらなんだ〜〜〜」

「何度もオレたちを助けてくれたあいつらがやられたっていうのに、まだ自分がカワイイのか――」

 

 傷ついたイザヨ、倒れたボーボボ、動けないソフトンたち。

 そんな仲間達を置き去りにし、自分達だけ助かろうとしたことがたまらなく情けなく、許せなくなる。

 

「オレは―――」「オレは―――」

 

 そんな後悔の念が、徐々に彼らの中の枷をギリギリと引き絞り、そして。

 ぶっつんと、プリンのように理性の鎖を解き放った。

 

「ウオオオオオオオ奴らの仇はオレたちがとる〜〜〜〜!!!」

「止まらねえ‼︎ もうこうなったオレたちは止まらねぇぞ〜!!!」

 

 ビリビリと包帯を引き千切り、怪物の形相となった天の助と田楽マンが吠える。

 涎を垂らし、牙を剥き出しにした二人はまさに獣。理性から解き放たれ、本能の化け物となった二人にはもう、止まる理由はなかった。

 

『そうか』

「いや…その、やっぱ止まります」

「……ハイ」

 

 だが、宇宙鉄人に睨まれると、即座に普段の二人に戻る。

 その場のノリだけで、なんか覚醒したっぽく振る舞ってしまったらしい。

 

『バカめ…』

『XVⅡの全機能を掌握し終えた時点で、キサマらは用済みなのだ』

 

 そう告げた二体の目が、ギラリと光り電流が迸る。

 その電流はXVⅡ全域に伝わっていき、ゴゴゴと何かが蠢く音が響き始め、首領パッチたちを困惑させた。

 

「な…何だ⁉」

「お前ら何をした!!?」

『侵入者をXVⅡ中枢から排出します』

 

 きょろきょろと辺りを見渡す一堂を突如、凄まじい突風が襲う。

 何とか堪えようとしたボーボボたちだったが、風の勢いに耐えられず、次々に吹き飛ばされ、宇宙鉄人の元から引き離されてしまった。

 

「ぐああああああ追い出された!!!」

「ウンコか⁉︎ オレ達はウンコなのか―――!!?」

 

 ゴォッ、と凄まじい引力によりボーボボたちは運ばれ、やがてどこかの地面に叩きつけられていった。

 

「ぶへ‼︎」

「こ…ここは…」

 

 運ばれた先で、ボーボボたちはよろよろと起き上がって辺りを見渡す。

 おそらくはダストシュートであろう、無数のごみが積み重なったそこで、ボーボボたちは呆然となる。

 その時、頭上で光る何かに気が付き、全員がハッと顔を上げた。

 

「あ! あんなところにモニターが」

「何だ⁉︎ 何か映像が映し出されてるぞ⁉︎」

『ククク…これぞXVⅡの真の力‼︎』

『貴様らごときでは止められぬ超常の力が、今覚醒するのだ…!!!』

 

 ボーボボたちに見えるように備えられたモニターに、宇宙鉄人の声とともに巨大な何か―――一度見た、XVⅡの全体が映し出される。

 その巨大な影が、徐々にその形を変え始めた。

 

『WARNING! WARNING!』

 

 ガシン、ガシンと重低音を響かせ、箱型だったXVⅡが変形していく。

 ものの数秒も経たないうちに、XVⅡは月の直径をも超えるほどの巨大な鉄人の姿へと変貌していた。

 

「何じゃこりゃあああああああああ!!??」

「XVⅡが…巨大なロボットに変形した…!!?」

「カッキー!!!」

 

 予想を超える事態に目を見開く横で、目を輝かせた天の助が叫ぶ。

 だが、その表情もすぐに消える。XVⅡの腕が前に伸び、凄まじい量と密度のエネルギーが収束され始めていたからだ。

 

『全エネルギー解放。高出力波動砲発射用意』

「マズイぞ! あんな高密度で大量のエネルギー………本当に地球が消滅する!!!」

「どーすんだよ!!? どーすんだよこれ!!?」

 

 今度こそ本当に滅ぼされる、と田楽マンが騒ぎ始め、ダストシュートの底は大騒ぎになる。冷静沈着なソフトンさえ、焦る気持ちを抑えられずにいた。

 だから気付かなかった。

 一同の中から一人、戦士の姿が消えていたことに。

 

『『さぁ…‼︎ 滅びよ人類!!!』』

 

 宇宙鉄人の号令とともに、XV2からエネルギー砲が放たれる。地上の全てを蒸発させられる熱が、一直線に母なる星に迫る。

 目を見開き、絶句するボーボボたちの目の前で、地球の全てが焼き尽くされよとしたその瞬間だった。

 

【LIMIT BREAK】

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

『『何ィ!!??』』

 

 雄叫びとともに、地球に向かっていたエネルギー砲が何者かに防がれ、凄まじい閃光とともに押しとどめられる。

 青い刀身を持つ剣を構え、背中のロケット噴射を全開にした、特攻服ではなく白装束に着替えたイザヨが、鋼鉄の巨人の砲撃をたった一人で受け止めていた。

 

「「「「「イザヨ!!!!」」」」」

「「って白装束着てる―――!!!」」

 

 もしや先程の一撃ですでに死んでいたのか、とボーボボたちとは異なる理由で驚愕するビュティとヘッポコ丸。

 しかしただのボケだったらしく、イザヨは強烈な熱を一身に受け止め続け、徐々にXVⅡごと押し返し始めていた。

 

『まさか…エネルギー砲ごと』

『ワープドライブするつもりか!!?』

「地球は…終わらせねえええええええ!!!!」

 

 XVⅡの背後に現れた、白い淵が渦巻く穴に向けて進んでいくイザヨに、宇宙鉄人は驚愕の目を向ける。

 イザヨは額に血管を浮き立たせ、渾身の力で砲撃を振り払うと、そのままXVⅡに向けて青く輝く剣を振りかざした。

 

コズミック真拳究極奥義『ライダー超銀河フィニッシュ』!!!!!

 

 予想外の出来事に固まる巨人に、イザヨが放った光の刃が炸裂し、巨体を後退させる。

 XVⅡは背後の穴を強制的に通らされ、地球から少し離れた宇宙空間へと放り出されていった。

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