【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義35:ネバーネバネバギブアップ‼︎

「ガハッ!!!」

 

 イザヨはついに限界を迎え、大量の吐血とともに変身が解除されてしまう。

 纏っていた40のスイッチは全て彼女のもとから離れ、地球の重力に引かれてどこかへと落下していってしまった。

 

『ハハハ! 全てのコズミックエナジーを使い果たしたようだな!』

『もはや今のキサマは、ただの地球人‼︎』

「ぐぅ…!」

 

 元の学ラン姿で、痛みに呻くことしかできないイザヨ。

 宇宙鉄人たちはそれを見下ろし、XVⅡの巨大な腕をゆっくりと伸ばしていった。

 

『せめてもの慈悲だ』

『ここで楽にしてやる』

 

 巨人の手が、弱り切った戦士を握りつぶそうと残酷に開かれる。

 だがその時、宇宙鉄人の視界に荒いノイズが走り、巨人の腕もそれにつられてピタリと停止していた。

 

『⁉︎ 何だ、今のノイズは…!!?』

 

 すぐさまノイズを振り払い、我に返る二体。

 だがその時には既に、イザヨの姿は宇宙空間から影も形もなくなってしまっていた。

 

『…チッ、おかげで奴を見失った』

『…まぁいい』

『そのうち処分すれば事足りる』

 

 もはやあの人間には何もできまい、と宇宙鉄人は結論付け、計画の再開に着手する。

 それが、間違いだとは一切思わずに。

 

〇 × △ □

 

 XV2内部の奥、どことも知れない資材置き場のような場所。

 宇宙鉄人の魔の手から何とか逃れたボーボボたちは、救出したイザヨの手当てを行っていた。

 

「ヤベーぞ! イザヨの血が止まらねえ‼︎」

「そんな時は傷口にワサビをぬるんだ」

「はっ! その知恵は『おばあちゃんの知恵袋』か‼︎」

 

 どくどくと流れ出すイザヨの血に焦っていた天の助は、耳に届いた何となく知恵に富んだ声に期待に目を輝かせる。

 が、そこに現れたのは、変な袋を持ったおばあちゃん顔の首領パッチだった。

 

「残念、『オバーナ・チャンの堪忍袋』だ‼︎」

「なんじゃそりゃ!!?」

 

 何がしたいのか意味がわからん、とビュティが目を剥き叫ぶ。

 構わず首領パッチは、仰向けに寝かされたイザヨの傷口の上に、バカデカいチューブから大量の練りわさびを絞り落とした。

 

「オバーナ・チャンの堪忍袋〜〜〜〜♪」

「ごばぁ!!!!」

「あっ、ヤベェマジで出しすぎた」

「何やってんだテメ――――!!!」

「おぶ‼︎」

 

 盛大に吐血するイザヨの姿に、ボーボボが怒りの鉄拳を首領パッチに食らわせる。

 イザヨはそれで完全に目を覚ましたのか、苦しげな表情のまま体を起こした。

 

「大丈夫かイザヨ。無理をするな」

「この程度のキズ……‼︎」 

Medical On(メディカル・オン)

 

 悔しさによるものか、険しい顔でイザヨは、手元に残った数少ないスイッチのうちの一つをベルトに挿し、発動させる。

 かすかな光とともに、左腕に備わったモジュールが働き、イザヨに応急処置を施してみせた。

 

「どーすんだよあいつら‼︎ マジで人類滅ぼされちまうぞあんなヤベーの!!?」

「お前らは人類じゃないけどな」

 

 弱々しいイザヨや傷ついたボーボボたちを見て、田楽マンがさっそく弱気になる。ツッコミを入れるヘッポコ丸だが、不利な立場にあることは確かだった。

 そんな中、呻き声とともにイザヨが膝をつき、立ち上がろうとする姿が全員の目に入った。

 

「大丈夫…だ。この身体がある限り……オレはまだ、戦える………!!!」

「ムリだ‼︎ いまのお前が行ってもただ死ぬだけだぞ!!!」

「もうこれ以上!!!」

 

 メテオが慌てて、戦友を止めようと掴みかかるが、イザヨは強い叫び声でそれを押しとどめる。

 その目に宿る悲痛な光に、メテオはハッと息を呑んで引き下がっていた。

 

「オレはもう…失いたくないんだ! あんな思いを……したくないんだ…‼︎」

 

 

 それは、1ボーボボ達が毛の王国を脱出する1年前。

 マルハーゲ王国の侵攻が激しくなり、毛の王国が徐々に追い詰められ始めた時期の事だった。

 

「毛狩り隊の脅威が…こんなにも早く及ぶとは‼」

「オレ達はまだ戦える……だが、戦えない女子供は早々に離脱させるべきだ」

 

 国内にいても聞こえてくる破壊音や悲鳴。

 さらなる窮地が近づきつつあることを察し、ベーベベやブーブブは決死の覚悟を決めようとしていた。

 

「脱出用ロケットはもう完成してる! いつでもいけるぜ、兄さん‼︎」

「いやホントにこれでいけるの!!? どう見てもただの工作なんだけど!!?」

「飛べるよ」

 

 ぐっ、とサムズアップをして自慢げに言うボーボボと、彼が作った前衛アートのようなロケットを見てブーブブがツッコむ。

 ため息をついたベーベベは、傍らに立つ小さな少女の肩に手を置いた。

 

「そういうわけだ…わかってくれるな、イザヨ」

「イヤだ!!!」

 

 目に涙をこらえ、ボーボボたちを見つめていた少女は、ベーベベの言葉を全力で否定する。

 幼い姿のイザヨは、吹けば飛ぶような小さな体で地面を踏みしめ、断固として動かない意志を見せていた。

 

「イザヨもいっしょにたたかう‼ ここはイザヨのこきょうなんだもん!!!」

「だがお前は子供だ…! オレ達と一緒に戦ったら、お前の命が危ないんだ」

「あぶなくないもん‼ イザヨつよいもん!!!」

 

 決して大好きな兄たちと離れるものか、とイザヨは徹底して抵抗の意志を見せる。しばらく言い合いを続けていた二人だったが、とうとうベーベベの堪忍袋の緒が切れた。

 

「いい加減にしろイザヨ!!! オレ達を困らせるな!!!」

「!!?」

 

 ベーベベの怒鳴り声に、イザヨはびくっと身体を振るわせて黙り込む。

 傷ついた表情で見つめてくる、血のつながらない妹の姿に、ベーベベの胸中に航海が浮かぶ。

 だが彼は心を鬼にし、イザヨの肩を押してロケットの方に促した。

 

「さぁ…早くこの脱出ロケット(?)に乗れ‼」

「…………やだ」

「!!? お前、まだそんな事を……!!!」

 

 俯き、ぶるぶると肩を震わせるイザヨにベーベベがまた言い放とうとする。

 だがそれよりも先に、イザヨはベーベベにはっしと抱きつき、決して離れるものかとしがみついた。

 

「ヤダヤダヤダヤダァ!!!! イザヨひとりにげるなんてヤダあああああ!!!!」

「ぎゃああああああああ!!!!」

「ベーべべ兄さ~~~ん!!?」

 

 途端に、ベーベベの全身からベキベキバキバキと凄まじい音がし、口から耳を塞ぎたくなるような絶叫が上がる。

 慌てて止めようとしたボーボボとブーブブだったが、今度はイザヨは二人に駆け寄り、ぽかぽかと何度も叩き始めた。

 

「ボボにいたちはイザヨがキライなんだ!!! だからどこかにやっちゃおうとするんだあああ!!!」

「ごばぁっ!!?」

「ぶべら!!!」

 

 ボーボボとブーブブはたった一撃で地面に叩きつけられ、その後も拳を叩きつけられ見る見るうちにめり込んでいく。

 その様子を凝視しあわあわと慄いていたツヨシは、ギン、とイザヨの目が自分に向いたことで「ヒィッ」と悲鳴をこぼした。

 

「イザヨもいっしょにいくんだもん!!! イザヨもやくにたてるんだもん!!!」

「アメマアアアアアア!!!」

 

 毛先を掴まれ、ツヨシはイザヨにブンブンと思い切り振り回される。

 もはや駄々の域ではない。齢2歳の幼女による一方的な虐殺劇であった。

 

「押し込め‼ 無理矢理にでもロケットに入れちまえ!!!」

「急げ‼ 殺されちまう‼」

「うわ~~~~ん!!!」

 

 ボコボコにされたボーボボたちだったが、何とか隙を見つけてイザヨを拘束する。

 そして泣き叫ぶ彼女をロケットの中に押し込み、安全確認もそこそこに急いで発射スイッチを押していた。

 

「ボボにい~~~~~~!!!!!」

(((((悪は去った…!!!)))))

 

 白煙を残し、天空高く跳んでいく脱出ロケット。

 その光景にボーボボたちが抱いていたのは、例えようもないほどの安堵だった。

 

 

「…もう、あんな思いは…!!!」

(…ボーボボたちの尽力がなかったら、毛の王国はもっと早くに滅亡してたんじゃないかな…)

 

 やはりとんでもないイザヨの過去話に、ビュティは冷や汗を流しながらそう思う。見れば、思い出したのかボーボボも青い顔で震えているのがわかった。

 どうしたものか、と飴をなめながらぼーっとしていた天の助は、自分のすぐ近くにふよふよと浮いている何かに気づき、ギョッと目を見張った。

 

「⁉︎ な、なんだコイツは!!?」

「ぎゃああああああああ!!! ついに見つかった〜〜〜!!!」

 

 自分達を見つめてくる、まるで眼球のような物体に、ボーボボたちは警戒心を全開にする。

 だがただ一人、インガだけが落ち着いた様子でその物体を見つめて口を開いた。

 

「……あんた、XVⅡそのものね?」

「⁉︎」

 

 インガの言葉に、信じられないといった様子で全員が絶句する。

 あの鋼鉄の巨体からは考えられないほど小さな姿に、開いた口が塞がらなかった。

 

「ウソだろ…⁉︎ こんな目玉が!!?」

「そうか…本体であるメインコンピュータから自我を切り離し、別の端末に避難していたのか…‼︎」

「でも…どうしてここに?」

 

 ソフトンの考察に納得するも、それがここにいる理由は全く分からない。

 困惑の視線が集まる中、イザヨが不意に前に出て、XVⅡに向けて深々と頭を下げた。

 

「……すまねぇ。オレ達がお前の真意に気づけなかったから、こんな事に…‼︎」

 

 悔しくて、申し訳なくて仕方がないと、イザヨは歯を食い縛り声を絞り出す。

 それを横目に、ビュティはボーボボに真剣な表情を向けた。

 

「ボーボボ、XVⅡは何か伝えようとしてるのかも」

「そのようだな」

 

 頷くボーボボは、空中に浮くXVⅡに視線を移し、その真意を問う。

 するとXVⅡは向きを変え、壁に向かって中心から光を投射し始めた。

 

「…!!? これは…!!!」

「何だ? なんかの設計図か?」

 

 壁に映し出されたそれに、一同はざわざわと戸惑いの声を上げる。

 じっと目を向けていたなでしこは、映し出されたものの正体に気づき、思わずハッと息を呑んだ。

 

「これは、新たなコズミックスイッチ…!!?」

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