【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義36:最後の希望 オレがボーボボ

 目の前に提示された設計図を前に、ボーボボたちは言葉を失くす。

 それが示す考えに、納得がいかないためだ。

 

「新しいスイッチ…⁉︎ まさか、これを作って逆転しろっていうの⁉︎」

「本気かよ、XVⅡ…‼」

 

 ビュティやヘッポコ丸は、難解な図式が描かれたそれに表情を険しくする。いきなりという事もあるが、それができそうにないと思えたからだ。

 

「こんなの、誰が作れるっていうんだ…⁉」

「ならばこのオレがその役を担おう」

 

 できるはずがない、と唇を噛む彼らの耳に、その声は届く。

 ハッと振り向いたビュティたちは、そこに立っていた白衣の男を前にぎょっと目を見開いた。

 

「このところ院 プル真がな…エル・プサイ・コングルゥ!!!」

「とぅっとぅる~♪」

「だれだよ!!?」

 

 自称・狂気のマッドサイエンティストっぽい格好になった天の助と女装した首領パッチ。どこをどう見ても、頼りにはならなそうだ。

 

「…ダメだ」

 

 そんなやり取りを横目に、XVⅡの示した図式を凝視していたソフトンが首を振る。

 唯一この中で頭脳的な彼は、何とか設計図を読み解くことには成功していたが、ある理由からそれを希望ととらえる事ができずにいた。

 

「この設計図によると、このスイッチを動かすためには全てのスイッチにボーボボやイザヨレベルの強者のエネルギーを注ぎ込む必要がある…!!! そんなエネルギー…この場にいる全員を合わせても足りない……!!!」

「そんな…⁉︎」

「一体どうすれば…‼︎」

 

 考えてみれば当然の話だ。人類を一瞬で滅ぼせるエネルギーを手に入れた宇宙鉄人に対抗するには、それに匹敵する力が必要になるだろう。

 絶望から、重い沈黙が降りる。

 だがそんな中で、その男は不敵な笑みを浮かべて呟いた。

 

「あるとも…」

「⁉」

 

 ボーボボがこぼした声に、イザヨやビュティたちがハッと振り向く。

 正気を疑うような視線が集まる中、ボーボボは迷うことなく設計図を見つめ、確信したような頷きを仲間達に見せた。

 

「オレ達に匹敵するエネルギー‼︎ それを持ってる奴らは……あそこにいる……!!!」

「何を言って…」

 

 現実的ではないボーボボの希望に、イザヨは信じられないといった様子で立ち尽くす。

 そんな彼女に、ボーボボはじっと視線を向け、穏やかに口を開いた。

 

「イザヨ、オレはお前が地球人じゃないことなど気にしない…………というか今までずっと忘れていた」

「!!?」

「だがお前がオレの大事な妹分であることは変わらない」

 

 さらっととんでもないことを告白された気がしたが、気にせずボーボボはイザヨの両肩を掴み、真正面から相対する。

 衝撃の事実からまだ立ち直れずにいた妹分(イザヨ)に、兄貴分(ボーボボ)は真剣な眼差しを向けてはっきりと告げた。

 

「戦う時は、オレも一緒だ」

「ボボ兄…」

 

 迷いを吹き飛ばす力強い言葉に、イザヨは思わず呆け、瞳を滲ませる。

 ボーボボは満足げに頷くと、おもむろにイザヨの背後に回り―――思い切りバックドロップを食らわせた。

 

「甘えるな〜〜〜〜〜〜!!!!」

「ごばぁ!!?」

「ええっ!!? どっちだよ!!?」

 

 唐突過ぎる理不尽な一撃を食らい、イザヨが目を見開きながら吐血する。

 ビュティもその鬼の所業にツッコミを入れ、カオスな空気になりかけたその時、凄まじい轟音がボーボボたちのすぐ近くから聞こえてきた。

 そこに現れた二体の影…宇宙鉄人に、ボーボボたちは戦慄の表情を浮かべた。

 

『……見つけたぞ、クズども』

『人類滅亡の最初の犠牲になるがいい』

「追いついてきやがった‼︎」

「クソォ………⁉︎」

 

 まだ具体的な対抗策も出来上がっていないのにと、口惜しげに一行は強敵に向かって身構える。

 しかしただ一人、ボーボボだけが明確な意図をもって動き出した。

 

「作戦は決行する!!! 力を貸せ、お前たち!!!」

「はぁ⁉︎ いきなりなんだ!!?」

「ていうか作戦なんて立ててましたっけ!!?」

「つべこべ言わずさっさとやれ!!!」

 

 目を剥く天の助と田楽マンをひっつかみ、どこからともなく用意した大砲の中に突っ込むボーボボ。

 そして狙いを上空に定めると、容赦なく点火し二人を宙に打ち上げた。

 

「いくぞ、強制協力奥義『バカ衛星発射』!!!」

「「ぎゃあああ」」

 

 仲良くまとめられた生食品2人が、滝のように涙を流しながら宇宙に向けて一直線に吹っ飛んでいく。

 

「ショエエエ――」

「オレたちは人工衛星じゃね―――ぞ―――――――」

 

 それぞれでボーボボへの恨み言を吐きながら、天の助と田楽マンは宇宙空間へと飛び出す。

 そして次の瞬間、二人は一瞬で合体し本当に一機の衛星へと変身してみせた。

 

 とこ田衛星TD-506デビュー♡

 

 衛星に変化した二人は、ボーボボが操る携帯電話からのメールを地球に向けて発信し始める。

 それを確認したボーボボは、再び宇宙鉄人に鋭い目を向けて構えをとった。

 

「あとは()()()()を信じて待つ他にない…オレ達にできるのは、奴らをここで食い止めることだけだ!!!」

『小賢しい‼︎』

『何を企んでいるかは知らんが』

『『今更何ができるというのだ!!!』』

 

 あくまでも抗う姿勢を見せるボーボボを嘲笑い、スカイダインとグランダインは忌々し気に吐き捨てる。

 その目が、ボーボボのすぐ横で本を手に横になる首領パッチに向けられた。

 

『『!!?』』

 

 注目されているにも構わず、首領パッチは時々相槌を打ちながら、小説らしき本を読み進めていく。

 そしてやがて首領パッチは、ハジケウォーズと書かれたそれを閉じた。

 

「……色々と考えてみたが、オレはとんでもない勘違いをしていたらしいぜ…」

『何?』

 

 立ち上がり、本を小脇に抱えた首領パッチは、訝しげに見つめてくる宇宙鉄人たちの前でフッと鼻で笑う。

 そして次の瞬間、とてつもないエネルギーを全身から迸らせた。

 

「どうやらオレ、この小説の中ですら主人公じゃなかったらしい――――――――――――!!!」

 

 怒ん、と首領パッチの身体が金色に染まり、トゲがさらに鋭く尖る。

 しかし変化はもう一段階起こり、トゲがさらに増えてオーラも倍以上に膨れ上がった。

 

「よくよく読み返すと、ヒロインですらオレでなくイザヨだったっぽい――――――――――――!!!!」

 

 大気が震えるほどの変化を見せつけ、首領パッチはぎろりと鋼鉄の兄妹を睨みつける。

 その目からは、つぅと涙が一筋流れ落ちていた。

 

「だが…その全てはキサマらが仕組んだもの。この小説の真の主人公にしてヒロインはこのオレ、怒怒んパッチ………違うか?」

「「!!!」」

 

 散々本編で否定され、読み返してもなお、首領パッチはそんな確信を持ち、強敵を見据えて覇気を迸らせる。

 驚愕と呆れが混ざった視線を無視し、怒りの戦士は雄々しく立ちはだかった。

 

『クク…知ったことか』

『主人公だの脇役だのどうでもいい………キサマらは全員、ここで退場だ』

「殺す」

 

 あからさまに馬鹿にした言葉を鉄人たちが吐くと、一瞬で首領パッチの姿が掻き消える。

 そして気付いた時には、宇宙鉄人たちに大量のタケノコの剣が突き立てられていった。

 

 タケノコ・秋のキャッスルブレイド!!!!

『『ぐおおおおおおおお!!!』』

 

 猛烈な速度で突き刺さるタケノコが、鋼鉄の体に夥しい傷をつけていく。

 凄まじい破壊力を見せつけ、颯爽と飛び退る今の首領パッチの姿は、確かに主役のごとき迫力を纏っていた。

 

 ―――強い!!!

    半端ない怒り…やはり皮肉にもその強さだけは主人公級だ‼

『キサマラァ…!!!』

『許さんぞォ…!!!』

 

 かすかな希望を見たように、笑顔を浮かべたビュティたちが見守る中、宇宙鉄人たちは光る両目に怒りを滾らせ、声を震わせる。

 その目の前に、さらに数人の影が割って入り、明確な敵意を見せつけてきた。

 

「バビロン神の加護を我らに…‼」

「私の生徒は私が守る」

「お前らの運命は、オレ達が決める」

「タイマンはらせてもらうよ‼」

 

 ソフトンが、魚雷ガールが、メテオが、なでしこが、共に戦おうと次々に立ち上がっていく。

 そんな彼らの隣に立ち、ボーボボが雄々しく拳を構え、力強く吠えた。

 

「行くぞ、お前ら!!!」

「「「「「「オオ!!!!!」」」」」」

 

〇 △ □ ×

 

 所変わって、地球某所の高層ビルの最上階。

 デスクについた一人の男の前で、二人の黒スーツの男がアタッシュケースに詰められた札束を見せ、頭をこれでもかと下げていた。

 

「全部で200万$あります。これでどうか1つお願いします」

「いや、だったら我々は300万$出しましょう。どうか…!」

 

 恥も外聞も捨てた懇願に、デスクに座る白い仮装の男―――サービスマンは一切首を縦に振らない。毅然とした態度で、厳しい目を男達に返した。

 

「断る。金ではサービスできん」

「Mr.サービスマン‼︎ 我が国ではアナタのサービスを必要としているのです‼︎」

「400万…500万$でも‼︎ アナタのサービスには、アナタのサービスにはそれだけの価値があります‼︎」

 

 断られてなお、諦めきれない二人はさらに代価を積み重ねるが、やはりこの男頷かない。

 だがその時、サービスマンの懐からメールの着信音が鳴り、内容を確認した彼の表情が変わった。

 

「急用ができた。失礼する」

「Mr.サービスマン、どこへ⁉︎」

 

 慌てる二人を置き去りに、サービスマンは手早く出発の用意を進めていく。

 疑問の声を上げる彼らに向けて、サービスマンは端的に、こう答えた。

 

「戦友のもとへ」

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