【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒 作:春風駘蕩
真っ赤な夕陽が照らす広い荒野を、一台のバイクが駆け抜けていく。
ヘルメットを被り、ゴーグルをつけたサービスマンが、白い衣服の裾を風ではためかせながら、終わりの見えない荒野を一直線に進んでいく。
その理由はただ一つ、目指さなければならないゴールがあるからだ。
〇 △ □ ×
「ライダーロケットパーンチ‼︎」
「星心大輪拳!!!」
XVⅡの中で、それぞれで拳を構えたなでしことメテオが、宇宙鉄人に向かって全速力でつっこんで行く。
その攻撃は鉄人のバリアによって難なく防がれてしまうが、即座にボーボボが接近し、視覚から隙を狙う。
「鼻毛真拳超奥義『
鼻毛よりも太いワキ毛を炸裂させるが、宇宙鉄人はそれをビームで焼き払い、逆に至近距離に近づいたボーボボを刺し貫こうと迫る。
「私の生徒は私が守る―――!!!」
危うく串刺しにされかけたところを、ロケット噴射で宙を舞う魚雷ガールが突撃し、窮地を逃れる。
紙一重で後退した宇宙鉄人だったが、頭上から差した影にハッと顔を上げた。
「怒怒怒針千本!!!!」
金色に染まった首領パッチの棘が、四方八方から鉄人たちに迫り、貫こうとする。
ジェット噴射でそれを躱した二体に、ソフトンやイザヨ、残る仲間達が一斉に攻撃を仕掛けていく、だが。
『ムダだと…言っているだろうが!!!!』
「「「「「ぐわあああああああああああ!!!!」」」」」
グランダインが放ったエネルギー波が、ボーボボたちに襲い掛かり勢いよく吹き飛ばしていく。
反撃を食らったボーボボたちは壁に叩きつけられ、血反吐を吐きながら地面に落下していく。全員、もう立ち上がれないほどの傷を負ってしまっていた。
「ぐはっ…‼」
「みんな…もうどうしようもないっていうの…⁉」
「ぐふっ…もう……力が…‼」
唯一ビュティだけが怪我を負わずに済んでいるが、非力な彼女では立ち向かう事はできない。
斃れていく仲間達を、悲痛な表情で凝視することしかできずにいた。
『諦めるのだな……!!!』
『時期にXVⅡのエネルギーは再充填される。キサマら人類は…今度こそ終わるのだ』
嘲りの目を向けてくる宇宙鉄人たちに、ボーボボたちはギリギリと歯を食い縛る。だがそれでも、誰も立ち上がれないままだった。
ただ二人を除いて。
「まだだァ!!! まだ…オレ達は負けてねェぞ!!!」
「キサマらを倒すまで……オレ達は決して倒れない!!!」
全身を血に染め、今にも力尽きそうになりながら、ボーボボとイザヨは立ち上がる。
母なる星を守るため、自分達が生きる世界を守るため、そして何より、強大な悪に屈しないために。
その時だった。
彼らが背後にしていた地球の表面に、いくつもの眩い光が灯ったのは。
「!!?」
「何だ⁉ 地球が…光っている!!?」
驚愕の表情で振り向くボーボボたちと、宇宙鉄人。
その視線の先に、彼はいた。
「…少し、時間がかかってしまったな。だが、お前達の頼みは確かにかなえたぞ」
一つのスイッチを弄び、ヘルメットをわきに抱えたサービスマンが、遥か高い空を見上げながら呟く。
バサバサと衣服をはためかせ、ちらちらと中身を覗かせながら、自分が通ってきた旅路を思い返し、目を閉じる。
「このコズミックスイッチを……世界中の実力者たちの元に届け、力を注ぎ込んでもらう。交渉に手間取ったが、何とか応じてもらう事に成功した」
彼が通ってきたのは、文字通り世界中。
ハジケブロック基地、ハレルヤランド、サイバーシティ……あらゆる場所、あらゆる国を目指し、かつてボーボボたちと相対した多くの強者達のもとを訪ね、説得して回ったのだ。
彼らとともに、戦ってほしいと。
「私にできることはここまでだ……だが、今こそ共に戦おうぞ」
スイッチを天に向けて掲げ、サービスマンが力強く告げる。
手の届かない場所で戦う戦友たちの力になるために、自身の力をスイッチに注ぎながら。
「ハイッ!!! サァァァァァァビスッッッ!!!!」
【Flash】
衣服の裾を捲り上げ、自身の全てを晒しながら、サービスマンがスイッチを押す。
その直後、眩しい黄色の光がスイッチから迸り、空に向かって真っすぐに伸びていった。
「負けんじゃねーぞ、ボーボボ!」
【Lader】
「おやびん!」
「「「おやび~~ん‼」」」
【Parachute】【Spike】
地上に一人残った破天荒が、敬愛する首領パッチへのエールとともに黒いスイッチを押す。
また別の場所でも、首領パッチの子分の子パッチたちが受け取ったスイッチを押した。
「しっかりやりなさい!」
「手間のかかる弟だ…!」
【Chainsaw】【Magic hand】
また別の場所では、ボーボボの姉兄であるブーブブとベーベベがそれぞれでスイッチを持ち、天に腕を伸ばして叫んでいた。
「この力使ってください、先輩!」
【Gatling】
とある街中でも、キング・オブ・ハジケリストを目指し首領パッチやボーボボと激突した青年・ライスがスイッチを構え、笑みを浮かべる。
「フン……貸しを作っておくのも悪くない」
【Elec】
世界最大の遊園地・ハレルヤランドでも、マルハーゲ帝国四天王の一人であるハレクラニがスイッチを持ち、にやりと不敵に嗤う。
「おもしれーじゃん♪」
【Pen】
サイバーシティの帝王・ギガも、受け取らされたスイッチを見下ろし、やがて狂気的な笑みとともに、弄ぶようにスイッチを押す。
「ボーボボー!」
「ボーボボさん!」
【Winch】【Aero】
毛の王国に拾われ、幼少時代をボーボボと共に過ごした軍艦とその部下スズも、遥か空の彼方にいる者達に向けてエールの叫びをあげる。
その叫びは、彼らだけで終わりではなかった。
「気張りやぁ‼」
「このハンペンの力使うがいい!!!」
「N&N‼」
「スパーク‼︎」
【Camera】【Beat】【Shield】【Hammer】【Screw】【Net】【Hand】【N Magnet】【S Magnet】【Schop】【Stealth】【Chain array】【Wheel】【Freeze】【Hopping】【Water】【Claw】【Gyro】【Fire】【Stamper】【Board】【Giant foot】
共に戦った者、敵対していた者、出会った者、単にすれ違っただけの者。
地球上に行きとし生ける数多の戦士たちが呼びかけに応じ、己の持つ力を託そうと雄々しく天に向かって吠えていた。
「さぁ‼ 全ての願いを背負い、戦うがいい!!!」
【Drill】
地球上から天に向かって伸びていく数々の光の線を見上げ、おしりの革命児・カンチョー君もスイッチを押してエールを送る。
イザヨが通う天野川高校の校舎の屋上でも、一人の老人が不敵な笑みとともにスイッチを握りしめていた。
「…その道を望むのなら、足掻いてみせなさい」
【Rocket】
「いけ、友よ!」
「ボーボボさん! 首領パッチ! 天の助!」
「がんばるのらー!」
「ギョラー‼」
【Medical】【Smoke】【Launcher】【Scissors】
当然、XVⅡの中にいる彼らも同じだった。
手元に残った数少ないスイッチを持ち、ソフトンたちが声援とともに力を注ぎ込む。
「イザヨ!」
「イザヨー!」
【Meteor】【Nadeshiko】
メテオとなでしこも膝をつきながら、自身らが持つスイッチを手にし、残された全ての力を詰め込み始める。
そしてビュティも、自身の手に握られたスイッチを握りしめ、力の限り叫んでいた。
「負けるな、ボーボボ―――――!!!」
【Cosmic】
一つ、また一つと、スイッチにこめられた力が宙に軌跡を描いていく。
それらはやがて、流星群のように美しい景色を作り出し、真っすぐにボーボボとイザヨ、首領パッチと天の助に向かって伸びていく。
そしてすべての光が一つに集まり、爆発のような閃光が迸った。
「うおおおおおおおお!!!」
凄まじいエネルギーがボーボボたちを包み、光の柱となって宇宙空間を照らし出す。
しかし誰よりも当事者である彼らが、その光の奔流に驚愕し、かつてないほどに目を見開いていた。
「なんだこれはああああ!!? とんでもない力だ―――!!!」
「あぢぢぢぢぢ!!?」
「とける―――!!!」
そのまま焼き尽くされそうなほどのエネルギーの渦に翻弄され、叫ぶ首領パッチや天の助、そしてイザヨ。
その中で唯一ボーボボだけが、にやりと勝利を確信したような不敵な笑みを浮かべていた。
『『な、何だこのエネルギーは…!!?』』
「これこそが……キサマら宇宙鉄人がゴミだと吐き捨てた地球の人間達の力!!! キサマらへの反撃はすでに始まっていたんだよ!!!!」
それまでとは打って変わって、混乱と驚愕の態度を見せる宇宙鉄人に向けて、ボーボボが雄々しく宣言してみせる。
その直後、ボーボボたちを包む光がさらに強まり、彼らの姿をかき消していった。
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
影さえ見えなくなるほどの光量の中、ボーボボたち四人の咆哮だけが雷の様に響き渡り、地鳴りのように地面を震わせる。
その光の中で、イザヨの目の前に見た事のないスイッチが生み出され、ベルトに勝手に差し込まれた。
「「「「
【
カッと目を見開いたボーボボたちが、持ちうる力の全てを爆発させるように吠える。
途端に光の柱が形を変え、四人を囲む球体に変わっていく。まるで卵のようになったその中で、ドクンドクンと力強い鼓動が響き渡った、その直後。
「4強融合だ――――――――!!!」
光の卵の殻を破り、新たな鎧を纏ったイザヨが、拳を突き上げながら勢いよく飛び出してみせた。