【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義37:融合(フュージョン)

 真っ赤な夕陽が照らす広い荒野を、一台のバイクが駆け抜けていく。

 ヘルメットを被り、ゴーグルをつけたサービスマンが、白い衣服の裾を風ではためかせながら、終わりの見えない荒野を一直線に進んでいく。

 その理由はただ一つ、目指さなければならないゴールがあるからだ。

 

〇 △ □ ×

 

「ライダーロケットパーンチ‼︎」

「星心大輪拳!!!」

 

 XVⅡの中で、それぞれで拳を構えたなでしことメテオが、宇宙鉄人に向かって全速力でつっこんで行く。

 その攻撃は鉄人のバリアによって難なく防がれてしまうが、即座にボーボボが接近し、視覚から隙を狙う。

 

「鼻毛真拳超奥義『毛魂(バーニング)』!!!」

 

 鼻毛よりも太いワキ毛を炸裂させるが、宇宙鉄人はそれをビームで焼き払い、逆に至近距離に近づいたボーボボを刺し貫こうと迫る。

 

「私の生徒は私が守る―――!!!」

 

 危うく串刺しにされかけたところを、ロケット噴射で宙を舞う魚雷ガールが突撃し、窮地を逃れる。

 紙一重で後退した宇宙鉄人だったが、頭上から差した影にハッと顔を上げた。

 

「怒怒怒針千本!!!!」

 

 金色に染まった首領パッチの棘が、四方八方から鉄人たちに迫り、貫こうとする。

 ジェット噴射でそれを躱した二体に、ソフトンやイザヨ、残る仲間達が一斉に攻撃を仕掛けていく、だが。

 

『ムダだと…言っているだろうが!!!!』

「「「「「ぐわあああああああああああ!!!!」」」」」

 

 グランダインが放ったエネルギー波が、ボーボボたちに襲い掛かり勢いよく吹き飛ばしていく。

 反撃を食らったボーボボたちは壁に叩きつけられ、血反吐を吐きながら地面に落下していく。全員、もう立ち上がれないほどの傷を負ってしまっていた。

 

「ぐはっ…‼」

「みんな…もうどうしようもないっていうの…⁉」

「ぐふっ…もう……力が…‼」

 

 唯一ビュティだけが怪我を負わずに済んでいるが、非力な彼女では立ち向かう事はできない。

 斃れていく仲間達を、悲痛な表情で凝視することしかできずにいた。

 

『諦めるのだな……!!!』

『時期にXVⅡのエネルギーは再充填される。キサマら人類は…今度こそ終わるのだ』

 

 嘲りの目を向けてくる宇宙鉄人たちに、ボーボボたちはギリギリと歯を食い縛る。だがそれでも、誰も立ち上がれないままだった。

 ただ二人を除いて。

 

「まだだァ!!! まだ…オレ達は負けてねェぞ!!!」

「キサマらを倒すまで……オレ達は決して倒れない!!!」

 

 全身を血に染め、今にも力尽きそうになりながら、ボーボボとイザヨは立ち上がる。

 母なる星を守るため、自分達が生きる世界を守るため、そして何より、強大な悪に屈しないために。

 

 その時だった。

 彼らが背後にしていた地球の表面に、いくつもの眩い光が灯ったのは。

 

「!!?」

「何だ⁉ 地球が…光っている!!?」

 

 驚愕の表情で振り向くボーボボたちと、宇宙鉄人。

 その視線の先に、彼はいた。

 

 

「…少し、時間がかかってしまったな。だが、お前達の頼みは確かにかなえたぞ」

 

 一つのスイッチを弄び、ヘルメットをわきに抱えたサービスマンが、遥か高い空を見上げながら呟く。

 バサバサと衣服をはためかせ、ちらちらと中身を覗かせながら、自分が通ってきた旅路を思い返し、目を閉じる。

 

「このコズミックスイッチを……世界中の実力者たちの元に届け、力を注ぎ込んでもらう。交渉に手間取ったが、何とか応じてもらう事に成功した」

 

 彼が通ってきたのは、文字通り世界中。

 ハジケブロック基地、ハレルヤランド、サイバーシティ……あらゆる場所、あらゆる国を目指し、かつてボーボボたちと相対した多くの強者達のもとを訪ね、説得して回ったのだ。

 彼らとともに、戦ってほしいと。

 

「私にできることはここまでだ……だが、今こそ共に戦おうぞ」

 

 スイッチを天に向けて掲げ、サービスマンが力強く告げる。

 手の届かない場所で戦う戦友たちの力になるために、自身の力をスイッチに注ぎながら。

 

「ハイッ!!! サァァァァァァビスッッッ!!!!」

【Flash】

 

 衣服の裾を捲り上げ、自身の全てを晒しながら、サービスマンがスイッチを押す。

 その直後、眩しい黄色の光がスイッチから迸り、空に向かって真っすぐに伸びていった。

 

 

「負けんじゃねーぞ、ボーボボ!」

【Lader】

「おやびん!」

「「「おやび~~ん‼」」」

【Parachute】【Spike】

 

 地上に一人残った破天荒が、敬愛する首領パッチへのエールとともに黒いスイッチを押す。

 また別の場所でも、首領パッチの子分の子パッチたちが受け取ったスイッチを押した。

 

 

「しっかりやりなさい!」

「手間のかかる弟だ…!」

【Chainsaw】【Magic hand】

 

 また別の場所では、ボーボボの姉兄であるブーブブとベーベベがそれぞれでスイッチを持ち、天に腕を伸ばして叫んでいた。

 

 

「この力使ってください、先輩!」

【Gatling】

 

 とある街中でも、キング・オブ・ハジケリストを目指し首領パッチやボーボボと激突した青年・ライスがスイッチを構え、笑みを浮かべる。

 

 

「フン……貸しを作っておくのも悪くない」

【Elec】

 

 世界最大の遊園地・ハレルヤランドでも、マルハーゲ帝国四天王の一人であるハレクラニがスイッチを持ち、にやりと不敵に嗤う。

 

 

「おもしれーじゃん♪」

【Pen】

 

 サイバーシティの帝王・ギガも、受け取らされたスイッチを見下ろし、やがて狂気的な笑みとともに、弄ぶようにスイッチを押す。

 

 

「ボーボボー!」

「ボーボボさん!」

【Winch】【Aero】

 

 毛の王国に拾われ、幼少時代をボーボボと共に過ごした軍艦とその部下スズも、遥か空の彼方にいる者達に向けてエールの叫びをあげる。

 その叫びは、彼らだけで終わりではなかった。

 

「気張りやぁ‼」

「このハンペンの力使うがいい!!!」

「N&N‼」

「スパーク‼︎」

【Camera】【Beat】【Shield】【Hammer】【Screw】【Net】【Hand】【N Magnet】【S Magnet】【Schop】【Stealth】【Chain array】【Wheel】【Freeze】【Hopping】【Water】【Claw】【Gyro】【Fire】【Stamper】【Board】【Giant foot】

 

 共に戦った者、敵対していた者、出会った者、単にすれ違っただけの者。

 地球上に行きとし生ける数多の戦士たちが呼びかけに応じ、己の持つ力を託そうと雄々しく天に向かって吠えていた。

 

「さぁ‼ 全ての願いを背負い、戦うがいい!!!」

【Drill】

 

 地球上から天に向かって伸びていく数々の光の線を見上げ、おしりの革命児・カンチョー君もスイッチを押してエールを送る。

 イザヨが通う天野川高校の校舎の屋上でも、一人の老人が不敵な笑みとともにスイッチを握りしめていた。

 

「…その道を望むのなら、足掻いてみせなさい」

【Rocket】

 

 

「いけ、友よ!」

「ボーボボさん! 首領パッチ! 天の助!」

「がんばるのらー!」

「ギョラー‼」

【Medical】【Smoke】【Launcher】【Scissors】

 

 当然、XVⅡの中にいる彼らも同じだった。

 手元に残った数少ないスイッチを持ち、ソフトンたちが声援とともに力を注ぎ込む。

 

「イザヨ!」

「イザヨー!」

【Meteor】【Nadeshiko】

 

 メテオとなでしこも膝をつきながら、自身らが持つスイッチを手にし、残された全ての力を詰め込み始める。

 そしてビュティも、自身の手に握られたスイッチを握りしめ、力の限り叫んでいた。

 

「負けるな、ボーボボ―――――!!!」

【Cosmic】

 

 一つ、また一つと、スイッチにこめられた力が宙に軌跡を描いていく。

 それらはやがて、流星群のように美しい景色を作り出し、真っすぐにボーボボとイザヨ、首領パッチと天の助に向かって伸びていく。

 そしてすべての光が一つに集まり、爆発のような閃光が迸った。

 

「うおおおおおおおお!!!」

 

 凄まじいエネルギーがボーボボたちを包み、光の柱となって宇宙空間を照らし出す。

 しかし誰よりも当事者である彼らが、その光の奔流に驚愕し、かつてないほどに目を見開いていた。

 

「なんだこれはああああ!!? とんでもない力だ―――!!!」

「あぢぢぢぢぢ!!?」

「とける―――!!!」

 

 そのまま焼き尽くされそうなほどのエネルギーの渦に翻弄され、叫ぶ首領パッチや天の助、そしてイザヨ。

 その中で唯一ボーボボだけが、にやりと勝利を確信したような不敵な笑みを浮かべていた。

 

『『な、何だこのエネルギーは…!!?』』

「これこそが……キサマら宇宙鉄人がゴミだと吐き捨てた地球の人間達の力!!! キサマらへの反撃はすでに始まっていたんだよ!!!!」

 

 それまでとは打って変わって、混乱と驚愕の態度を見せる宇宙鉄人に向けて、ボーボボが雄々しく宣言してみせる。

 その直後、ボーボボたちを包む光がさらに強まり、彼らの姿をかき消していった。

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」

 

 影さえ見えなくなるほどの光量の中、ボーボボたち四人の咆哮だけが雷の様に響き渡り、地鳴りのように地面を震わせる。

 その光の中で、イザヨの目の前に見た事のないスイッチが生み出され、ベルトに勝手に差し込まれた。

 

「「「「聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)!!!!!」」」」

Fusion On(フュージョン・オン)

 

 カッと目を見開いたボーボボたちが、持ちうる力の全てを爆発させるように吠える。

 途端に光の柱が形を変え、四人を囲む球体に変わっていく。まるで卵のようになったその中で、ドクンドクンと力強い鼓動が響き渡った、その直後。

 

 

4強融合だ――――――――!!!

 

 

 光の卵の殻を破り、新たな鎧を纏ったイザヨが、拳を突き上げながら勢いよく飛び出してみせた。

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