【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義39:生命の旅

 突如イザヨの周囲に広がる凄まじいエネルギー。

 その力は見る見るうちに、辺りの空間を光一つない真っ暗闇へと変えていった。

 

『『な、なんだこれは!!?』』

「宇宙鉄人‼︎ 貴様らに欠けている命への敬意をこの旅で教えてやる!!!」

 

 突然の事態に驚愕する宇宙鉄人に向けて、イザヨが力強く吠える。

 するとその場いた者全員が、奇妙な感覚を抱き始める。大きく膨れ上がり、今にも弾けそうになっている爆弾を前にしているような、そんな緊迫感が走っていた。

 

「まず始まるのは、すべての始まりである世界の産声‼ 広大なる闇を照らし出した原初の光‼ それこそが―――」

 

 カッ‼とイザヨを中心とし、世界の全てを真っ白に染め上げる閃光が迸る。

 そして周囲の全てに向けて、桁違いの熱と衝撃が襲い掛かり、何もかもを吹き飛ばした。

 

ビッグバン(BIG BANG)だ―――――!!!

「全員喰らってる――――!!!」

 

 宇宙鉄人と田楽マンたち、敵味方を問わず起こった超爆発により、その場にいた全員が白目を剥きながら悶絶する。

 惨状を作り出したにもかかわらず、平然とした様子のイザヨはその世界にさらなる変化をもたらした。

 

「生まれた最初の宇宙………粒子はゆっくりとした回転で徐々に集まり、いくつもの球に分かれていく。その中心に生まれ出でるのが、全ての命の源・太陽だあああ!!!」

 

 イザヨが叫んだ直後、イザヨのリーゼントの先端がフタのように開く。

 その中から、一人の刺々しい髪形をした、しかし王の風格をかねそなえた一人の少年が飛び出した。

 

「ラーの翼神竜を召喚するぜ!!!」

「スゴイ人出た―――!!!」

 

 別の大人気漫画の主人公として長年知られる少年―――武藤遊戯が、神の力を宿すカードを示して告げる。

 呼び出されたグリフォンに似た幻神獣は、まさに太陽のごとき輝きを咆哮として撃ち放ってみせた。

 

 ゴッド・ブレイズ・キャノン!!!!

『『ぐわあああああ!!!』』

 

 強烈な一撃を受け、宇宙鉄人たちの装甲が焼けただれる。

 しかしそれでも二体は引かず、予想外の攻撃をもたらしたイザヨにより一層殺意のこもった目を返した。

 

『この…‼︎』

『何だこのふざけた攻撃は…!!!』

「まだまだぁ‼︎ 太陽の光を一身に受け、星々は生まれていく‼︎ そこにもたらされるのは………星に火を入れる天空からの目覚ましだ!!!」

 

 反撃も許さないとばかりに、イザヨはさらなる宇宙創造神話のページを開く。

 そしてもたらされたのは、真っ赤に灼けた地球の前身に降り注ぐ、無数の流星の雨―――とはどう見ても思えない、あの三人の突撃だった。

 

 極悪斬血真拳超々奥義『インディペンデンス魚雷デイ』!!!!

「おふざけは!!!」

「許さない――――!!!!」

「きゃあああああ無数の魚雷とメテオとなでしこが降ってきた―――!!!!」

 

 鬼の形相と化した魚雷ガールとメテオ、そしてなぜかなでしこが無数に増え、地球と宇宙鉄人たちに激突していく。

 やがて燃える地球を雨雲が覆い、巨大な水の塊が出来上がる。そして嵐が吹き、徐々に星は確固たる形を得ていった。

 

「地上は荒れ狂い、陸と海と空が生まれていく!!! やがてそこに、最初の生命が産声をあげるんだ!!!!」

 

 ごぼごぼとうねる最初の海。その中のどこかに、小さな小さな、最初の原始的な生命が誕生する。

 しかしその顔は、どう見ても田楽マンだった。

 

「お前が最初の生命!!?」

「そして世界は…進化を始める…‼︎」

 

 田楽マンの顔をした原始生命体は分裂と変化を繰り返し、あっという間に自身を変えていく。

 そして瞬きの後には、巨大な恐竜の姿となって宇宙鉄人たちに襲い掛かった。

 

 進化解放(ワイルドブラスト)!!!!

『『ぐわあああああああああああああ!!!!』』

「おかしな生物いっぱい出てきた!!!」

 

 今こそ目立ち、鬱憤を晴らす時とばかりに、田楽マンは恐竜の姿で大暴れする。巨大な牙でかみ砕き、太い尾や足で踏み潰し薙ぎ払う、まさにやりたい放題だった。

 

「だが、いずれは別れの時がくる―――」

「⁉︎」

 

 田楽マンが調子に乗っていられる時間は短かった。

 空に再び流星がきらめき、ひときわ大きな光が海に墜落した直後、巨大な津波が発生しあっという間に地上に迫ってきたからだ。

 

「天は荒れ、大地は猛り、地上は一度ゼロへと戻る」

「ぎゃああああああ!!!」

「田ちゃ―――ん!!!」

 

 濁流の中に飲み込まれ、田楽マンはあっさり退場し絶滅の時を迎える。

 ビュティが悲痛な叫びをあげる中、その余波を食らった宇宙鉄人たちも激流に揉まれ、自身らを襲う猛攻に混乱した様子を見せていた。

 

『がはっ…⁉︎ 何なのだこいつらの力は!!?』

『まだ終わらんのかこの馬鹿げた攻撃は!!?』

「安心しろ…オレの教えは次で最後だ」

 

 もう許してくれ、というよりもいい加減にしろ、といった感情が透けて見える声を上げる鋼鉄の兄妹。

 そんな二体にイザヨは不敵な笑みを浮かべ、はっきりとそう告げる。そして彼女の背後では、生き延びた小さな命が新たな進化の時を迎えようとしていた。

 

「そして世界は…………新たな時代を迎える‼︎」

 

 小さな命はゆっくりと立ち上がり、多種多様に変化していく。

 人に、人でないものに、ものかどうかすらも曖昧な存在に、数えきれないくらいの進化と絶滅を繰り返し、爆発的に地球全体に広がっていく。

 それこそが、地球に訪れた新たな転換期と、その主役たちだった。

 

 人類誕生(セカンドインパクト)

『『ぐわああああああああ!!!』』

 

 無数に広がる、地球上に生きとし生ける存在のオーラが、一斉に宇宙鉄人を覆い、吹き飛ばす。

 理解の範疇を越えたすさまじい力を前に鉄人たちは全身にヒビを入れ始めるが、機械の目から怒りの光は消えず、すぐさま体勢を立て直した。

 

『ハ…ハハハ! 耐えきったぞ…‼︎』

『キサマらの奥義など…やはり取るに足らんものだったわけだ…!!!』

 

 これで最後だ、といったイザヨの宣言を打ち破ったと、スカイダインとグランダインは高らかに嗤う。

 だがイザヨはその嘲笑の声を受けても、不敵に笑った浮かべたままだった。

 

「何を言っている……終わるとは一言も言っていないぞ」

 

 その言葉に、宇宙鉄人は驚愕する。そして起きている現象に気づき、その場で固まる。

 創造された空間が、見る見るうちにイザヨが出した鼻毛に集中していく。長く伸びていく黒い鼻毛が、星空のような美しい輝きを宿し始めていたのだ。

 

「未来はまだ、何色にも塗られていない‼︎ 生命の教科書は…オレ達の手で描かれていくんだ!!!!」

『ふざけるなあああ!!!』

『人類の未来は滅亡!!! そう決められているのだぁぁぁぁ!!!』

 

 幻想的と言えるかもしれないその姿に、宇宙鉄人だけで啼くビュティたちも驚愕で言葉を失くす。

 しかし鉄人たちはそれを受け入れない、受け入れる事ができない。認めてしまえば、自分達が導き出した答えが間違いだったと、認めざるを得ないからだ。

 

「行けぇぇぇ―――ボーボボ―――!!!!」

「うおおおおおおおおお!!!」

 

 ボロボロになった体で、最期の力を振り絞り、宇宙鉄人が全エネルギーを砲として撃ち放ち、イザヨを狙う。

 迎え撃つイザヨは両腕にロケットを備えて加速し、片足を突き出し星空のように輝く鼻毛を巻きつかせ、高速で回転を始めた。

 

鼻毛真拳三大極意!!!!

 

 ドリルのように鼻毛を絡め、凄まじい回転をイザヨが見せる。光を放ちながら、銀河のような輝きを纏うイザヨが、放たれたエネルギー砲に正面から激突する。

 一瞬の拮抗を見せた両者の攻撃の激突。それを制したのは、イザヨだった。

 

『 煌 凄 毛(コスモ) 』!!!!!

 

 ドリルの一撃はエネルギーを霧散させ、一直線に突き進み、ついには宇宙鉄人たちを貫く。

 全身全霊の最後の一撃をその身に受けた二体は、とうとう限界を迎えて全身にスパークを走らせる。もはや、彼らは動けそうになかった。

 

 ―――バカな…‼︎

 ―――人類抹殺の結論に至った我々が、こんなヤツらに……!!!

 

 自身らが敗北した理由が一切理解できず、認められないというように鉄人たちは鋼鉄の顔を歪める。こんなことはあってはならない、あり得ないと、何が間違いだったのかもわからない状態だった。

 そのまま最期の時を、疑問を抱えたまま迎えようとした時だった。

 

「…あなた方も、地球の未来を憂いての犯行だったのでしょう」

「!」

 

 バチバチと電流を漏らす二体に、イザヨから分離した天の助が穏やかな声で語りかける。

 思わず耳を傾けた二体に向けて、天の助は何処か慈愛を宿した眼差しで見つめ、荒ぶる二体に語り掛け続けた。

 

「確かに人間はおろかで、どうしようもないほど欲にまみれた醜い存在なのかもしれない……けれど過ちを知り、学び、次へと生かす事が出来るのも、また人間なのです」

 

 しんと静まり返った宇宙空間で、天の助の声だけが響く。

 天の助は二体をじっと見つめたまま、懇願するように問いかけた。

 

「どうか…少しだけ我々を信じてはもらえないでしょうか」

 

 しばらくの間、鉄人たちは思考するように黙り込む。ひび割れた体から電流を走らせ刻一刻と近づくその時を消費しながらも、無言を貫く。

 そしてやがて、鉄人たちはそれぞれの目に光を灯す。どこか、先ほどの荒ぶりが引いた、穏やかな光を。

 

『…いいだろう。猶予をやろう』

 

 最後の最後に、彼らの中で何かが変わったのだろうか。

 つい数秒前では考えられないような答えを吐き、宇宙鉄人はボーボボたちを順に睨みつけた。

 その姿を、データに刻み込むように。

 

『だが!!! その誓いが破られた時、我ら兄弟は必ず甦る!!!!』

『そしてキサマら人類を、ことごとく滅ぼしてみせるぞ!!!!』

 

 そう言い放ち、互いに手を握り合った宇宙鉄人が眩い光に包まれる。そして次の瞬間、真っ赤な炎を噴き出しながら、大爆発を起こして粉微塵に吹き飛んだ。

 あとに残ったのは、小さな無数の破片だけ。それをボーボボたちと、宇宙に漂うXVⅡだけが見下ろした。

 

「ふぅ、これにて一件落着。見てください―――」

 

 汗を拭うしぐさを見せた天の助が、背後に立つ仲間達に示す。

 丁度その時、地球の陰の向こう側からゆっくりと、本物の太陽が顔を出そうとしているところだった。

 

「地球の夜明けです…!!!!」

 

 まるでそれは、ボーボボたちの勝利を祝福しているかのような、美しい光景。

 しかしボーボボたちには、正直それどころではなかった。

 

 ―――なぜかまた天の助が締めた―――――――!!!!

 

 一番納得できない終わりに、全員の心がシンクロするのだった。

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