【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義4:花の高校デビュー♡

 ―――わたしの名前はユウキ、16歳の高校一年生だ。

    私は今日、この学校に転校してきた。

 

 高くそびえた建った要塞にも似た門を前にして、一人の女子高生が頬を桜色に染めながらその場所を見上げた。

 桜の花びらが舞い散り、燦燦と優しい日差しが生徒たちと校舎を照らし出す。

 ここが、彼女を待ち受ける夢だった高校―――天ノ川学園。

 

 ―――夢だった高校生活は、ここから始まるんだ!

    友だちは何人できるかな♡

 

 すぐそばを歩いていく同級生や先輩たち。

 もしかしたら彼ら彼女らが自分の友達や、もしかしたら恋人になるのかもしれない。

 そんな胸いっぱいの期待と共に大きな一歩を踏み出そうとした時だった。

 

 ズン、と。

 巨大な手が天ノ川学園の塀にかけられる。そこからゆっくりと手以上に大きな顔が現れ、輝くサングラスで見下ろしてきた。

 

 鼻毛真拳奥義『進撃のボ人』‼︎

 

「本学園開校以来の超絶怒涛の事態に我ら遭遇―――――‼︎」

「きゃああああ何事――――――⁉︎」

 

 驚愕に目を見開く生徒や教師たち。

 その頭上を、オレンジ色のトゲトゲを生やした変な生き物が、ワイヤーを使って滑空していった。

 

「巨人は全部駆逐してやる‼︎」

「何してんだあいつら⁉︎」

 

 黒いカツラをかぶり、調査兵団の格好をした首領パッチが、きりっとした別人の顔で巨人に告げる。

 そのあとを、同じくキューティクルな黒髪のズラをかぶった天の助が追っていった。

 

「おっと、おとなしくしてろ……そうしねえとお前の肉を綺麗に削げねぇだろうが」

「だから何してんだあの生物共⁉︎」

 

 班長の格好をした天の助が無表情でカッコつけているが、どっからどう見ても格好良くない。

 が。

 

Giantfoot On(ジャイアントフット・オン)

 

 コズミック真拳超奥義『ビッグフットによろしく‼︎』

「なんでやね―――――ん‼︎」

「「「ぎゃああああああああ‼︎」」」

 

 靴の形をしたモジュールを足に装着したイザヨが、重力を利用した強烈な踏みつけをバカ三人にお見舞いした。

 血反吐を吐いた首領パッチと天の助、そして顔と右手だけが巨大化したボーボボが、ぼたぼたと地面に落下していった。

 

「ってかちっさ! ほとんど顔だ!」

 

 本当に巨人になっていなかったわけではなかったことに驚くビュティが突っ込みを入れ、慌てて墜落した三人の元に駆け寄っていった。

 

「何すんだてめえ‼︎」

「ツッコミ」

 

 邪魔をされた首領パッチの抗議に、イザヨは短く返答する。

 ビュティは最早、あきれるほかにない。

 

「もう、何やってるのさボーボボ。普通に潜入すればいいじゃんか」

「チッ、わーったよ」

「真面目にやりゃいいんだろ真面目に」

 

 そう言って三人は、小○幸子の衣装のような無駄に細部に凝ったド派手な衣装に着替え始めた。

 

「よし、じゃあ行くか」

「潜入の意味わかってね―――――――‼︎」

 

 今日も今日とてビュティのツッコミが飛ぶ。その苦労をわかっているヘッポコ丸だけが、同情の眼差しを送っていた。

 

「あ、こっちこっち」

 

 すると、いつのまにかボーボボ達から離れていたイザヨが、塀の陰から手招きをした。

 誘われて向かってみれば、用具入れらしきロッカーの前に全員が立たされた。

 

「うちの拠点にはまずここから入るんだよ」

「ここって…」

「ただのロッカーじゃねぇか」

 

 ツッコミにもならない指摘に答えず、イザヨはロッカーを開けてさっさと入っていってしまう。

 訝しげに首を傾げながらも、ボーボボたちもその後を追って狭そうなロッカーの中に続々入って行った。

 妙に広い、というか奥まで遠い通り道を歩いた先にあったのは。

 凄まじい量の技術力を感じさせる、夜空を見渡せるSF的な空間の中だった。

 

「スゲ―――――――‼︎」

 

 予想外の光景にボーボボたち全員が驚く。

 まさかどこ◯でもドア的な入り口がこんなところに繋がっているとは夢にも思わなかった。

 

「ここが俺の拠点、ラビットハッチだ」

「地球が見える⁉︎」

「ってことはここ月面かよ⁉︎」

 

 窓の外から見える青い惑星を凝視し、常識人であるビュティやヘッポコ丸までもがはしゃいでいた。

 その横でうっとりとした表情の首領パッチが隣の天の助にしなだれ掛かる。

 

「なんて美しい光景なのかしら…」

「結婚しよう」

「デカすぎて却下よバカ‼︎」

「バカ⁉︎」

 

 差し出された人頭大の指輪を容赦なく却下され、天の助はがっくりと膝をついた。

 そんなコントは放っておき、イザヨは中央のテーブルにみんなを座らせた。

 

「さて、じゃあこれからのことを話し合うとしようか」

「あ、その前にいいかな?」

 

 大事な話、というかシリアスに入る前に、ビュティは確認しておきたいことがあった。

 

「イザヨさんって、ボーボボの三つ下なんだよね? でもその格好……」

「ん? ああ、そのことか!」

 

 改造白学ランのような格好を指摘され、盲点だったと言わんばかりにイザヨは手を叩く。

 ボーボボは25歳。ならばイザヨは現在22歳で、立派な社会人に達しているはずである。

 

「俺、実はまだ卒業どころか入学もしてないんだよね。バカだから!」

 

 その答えは、あまりにも切ないものであった。

 思わず無言になるボーボボたちに、イザヨはまるで気にしていないようなカラカラとした表情で笑った。

 

「バカだから!」

 

 誰も聞いていないのに、大事なことだと言わんばかりにもう一度言う。

 そしてイザヨは、その場にがっくりと崩れ落ちた。

 

 ―――でもバカでも辛ェェェェェ‼︎

「やっぱ気にしてたんだ‼」

 

 くぅぅ、と歯を食いしばって悔しさと悲しみを表すイザヨに、ビュティの容赦ないツッコミが飛ぶ。

 傷つけるつもりはなかったのだが、思った以上に地雷だったようだ。

 

「バカでなにが悪いんだよぉ‼︎ こちとら学校の平和守ってんだよぉ‼︎ 勉強がちょっとぐらいおざなりになっても仕方ねーだろちくしょうべらぼうめぇ‼︎」

「完全に呑み屋のおっさんだよ‼︎」

「冷えますど」

「!」

 

 いつの間にか用意されていた屋台でべろんべろんに飲んだくれるイザヨの肩に、女将の格好をした天の助と屋台のオヤジの田楽マンが羽織をかける。

 その姿をじっと見つめるビュティに、ソフトンが不思議そうに視線を向けた。

 

「どうした、ビュティ」

「なんか、不思議な気分だなって思って。ボーボボにはまだ、家族が残ってたんだって思うと」

 

 いまはもう滅ぼされてしまった毛の王国。

 故郷を失い、仇であるマルハーゲ帝国を追う放浪の旅を続けるボーボボたちにとって、かつての家族は何よりも変えがたいものなのではないだろうか。

 その割には、破天荒の扱いが雑だが。

 

「もう随分昔になっちまったけど……あの頃はボボ兄達とよく遊んだよな」

 

 ビュティに言われて、当時のことを思い出して遠い目になるイザヨ。

 その脳裏に、ボーボボにおうまさんごっこをせがんだり、破天荒と手をつないではしゃいでいたりする光景が浮かぶ。

 いまはもう遠い昔の、輝かしい思い出だった。

 

(懐かしいなぁ……)

(そっか……ボーボボもちゃんとお兄ちゃんっぽいことやってたんだな)

 

 ちょっとしんみりしてしまうビュティだったが、反対にボーボボと破天荒は青い顔で俯いていた。

 

(思い出したくもねぇ……‼︎)

 

 二人の脳裏に浮かぶのは、おうまさんごっこと称して踏み潰される姿や、両手を掴まれて振り回されたときの光景だった。

 無邪気な笑顔で半ば殺しにかかっていた当時のことは、イザヨの中で都合良く改竄されていたらしい。

 

「おおっといい思い出かと思ったらどっこいロクなもんじゃなかった‼︎ やっぱりこの人ボーボボの妹分だよ‼︎」

 

 血が繋がっていなくとも、むしろボーボボたちよりも無茶苦茶な子供時代を過ごしていたことを知り、ビュティは妙に納得してしまう。

 そこでふと、ボーボボが気になったことを尋ねた。

 

「しかしイザヨよ、まさかずっと一人で戦っていたのか?」

「そういえば……」

「ん? ああ、それは……」

 

 イザヨが答えようとしたときだった。

 ヴーッ!ヴーッ!とけたたましいサイレンが鳴り響き、部屋の端に設置されていたコンピュータの画面に地図が映し出された。

 

「ねぇ、この音は何なの?」

「! ヤベェ、またゾディアーツが出たらしい!」

 

 地図には学園の内部が描かれ、赤い丸印が大きく点滅している。

 スイッチの力で暴走させられ、操られた生徒が暴れているのだろう。

 

「行くぜお前ら! 早速出番だ‼︎」

「うおおおおお‼︎」

 

 ボーボボの号令で、仲間とイザヨが声を合わせて答える。

 そして、全員が野球選手やら消防士やら、果てはマサイ族など様々な職業の制服をまとってラビットハッチを飛び出していった。

 

「出動!」

「バラバラだーーー!!!」

 

 ビュティのツッコミが、声援のように響き渡るのだった。

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