【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義40:その手で宇宙をつかめ!!!

 大きなパーツがはめ込まれた直後、基盤にバチッと電流が走る。

 するとあたりに光が灯っていき、メテオと撫子がいる通路を照らし出し、鈍い駆動音を響かせ始めた。

 

「よし……これでXVⅡの機能は全て元どおりになった」

「疲れたよ〜!」

 

 汗を拭う仕草を見せ、メテオとなでしこが肩をすくめる。

 二人は宇宙空間に飛び出し、宇宙服をまとって集まっているボーボボ達の元へと近づいていく。

 ボーボボたちはその工程を見守りつつ、鋼鉄の巨人をじっと見上げていた。

 

「思えば、こいつはずっと宇宙鉄人の支配を跳ね除けようとしてたスゲェヤツなんだよな…」

「ずっと兵器だと思ってたけど、本当は違ったんだね」

「そうだ」

 

 感慨深げに、そして申し訳なさそうにビュティがつぶやくと、メテオたちとは違う場所から戻ってきたソフトンが答えた。

 

「オレが修理の最中調べてみたんだが……XVⅡは本来テラフォーミングマシンとして作られていたものらしい」

「テラフォーミング!!??」

「思った以上にSFっぽい単語が出てきた!!!」

 

 予想外の単語の登場に、ビュティとヘッポコ丸は思わず声を荒げる。スケールが大きいのは、見た目だけではなかったのかと。

 すると、頭の出来が残念な田楽マンが首を傾げ、天の助の方に振り向いた。

 

「テラフォー…って何?」

「ああ、それはな……」

 

 得意げな顔で、天の助は田楽マンに向き合う。そして自分が知る知識について、脳内で思い浮かべて見せた。

 が、その内容はトラックが『トランスフォーム‼︎』と叫んで巨大ロボに変形するというもので、それに気づいたビュティが勢いよく振り向いた。

 

「こういうことだ」

「全然違うよ!!!」

『テラフォーミングとは、簡単に言えば宇宙開発―――人間の住めない他の惑星を改造し、住める環境へ作り変える超高度な技術のこと。博士が…父が開発していたのは、そういうロボットよ。黒騎士も……宇宙鉄人も』

 

 役立たずなバカたちに変わって、モニターに映し出された切なげな表情のインガがつぶやく。

 彼女の隣からいなくなった黒い騎士を偲ぶように、遠い眼差しのまま。

 

「だが…宇宙鉄人はそうならなかった。未完成だったコンピュータは、人類そのものを不要なものと認識しちまったんだな」

「今回の一件で、XVⅡも責任を感じちまってるらしい……今後誰にも利用されないように、地球を離れるんだってよ」

 

 腰に手を当てて、イザヨが憐れむようにつぶやく。

 誰にも知られない戦いを孤独に続け、そして人類滅亡に加担させられた彼の苦しみをわかってあげられなかった。

 その後悔を全身からにじませながら、イザヨはため息をついた。

 

「罪とは誰しも重ねるもの―――いかに償うかで、そのものの人生は評価されるものです」

「何様だよ!!? ていうか根本的な原因はお前らもだからな!!!!」

 

 この世の全てを悟ったような顔でそう宣う首領パッチに、ヘッポコ丸が果てしないうざさを感じながら怒鳴る。一体何様のつもりなのだろうか。

 そんなやりとりを横目に、イザヨはなでしこに視線を移した。

 

「なでしこ、お前はどうするんだ?」

「えーっとね、しばらくはXVⅡにくっついて一緒に旅をしようって思うんだ。ひとり旅は寂しいだろうし!」

『私もここに残るわ……世話になったわね』

「そうか…元気でな」

 

 久しぶりにあった友との別れに、いがみ合うも最後は力を貸してくれた女傑に、イザヨは少し寂しげに笑う。

 そしてもう一度、静かに見下ろしてくるXVⅡを見上げ、不敵な笑みを浮かべた。

 

「じゃあな、インガ。XVⅡ。色々と迷惑をかけたな……それと、ありがとう」

 

 そう告げるイザヨに、突然XVⅡが手を差し出す。

 目を丸くしたイザヨだが、すぐにその意図を理解し、自身も手を伸ばす。

 

「こうして、こうして、こう!」

 

 手を上下それぞれで組み、拳を合わせ、最後に上から下から叩き合う。

 これこそが、イザヨの持つ友情の証。再会を誓い、永遠の友情を願うおまじないのようなもの。

 硬くそれを交わし、XVⅡから離れるイザヨ。それを見届け、ボーボボが声を張り上げた。

 

「さぁ! オレ達も帰るぞ!」

 

 敵は倒し、平和が戻った。だがまだ全てが終わったわけではない。

 帰るべき場所に帰ってこその戦いなのだと、ボーボボはみんなを促す。

 高くそびえ立つ、無数のビルが立ち並ぶ都会を思い浮かべて。

 

「オレ達の魂の故郷………六本木へ!!!」

「何で!!? 何も関係ないよね!!?」

「ヒルズ…‼︎」

「それは俺たちの憧れにして全ての原点…‼︎」

「そうなの⁉︎」

 

 なぜか感涙する首領パッチや天の助に、ビュティが初耳だと目を剥く。

 緊張感が緩み始めた段階で、ふとビュティは見過ごせない問題が残っていることに気がついた。

 

「ていうか、私たちが乗ってきたロケットは爆破しちゃったけど、どうやって帰るの?」

「何言ってんだよビュティ。もう帰ってる途中だろ?」

「え?」

 

 疑問を口にするビュティに、首領パッチが笑いながら答える。

 訝しげに振り向いた彼女に、そして同じ疑問を抱くほぼ全員に、首領パッチはまたあの悟った表情で告げた。

 

「―――自由を求めて鳥かごを飛び出した鳥の行く末は、みな等しく重力のおもむくままです」

「!!!?」

 

 その言葉で、全員が理解する。

 もうすでに帰還は始まっている……乗り物などない、ただ地球の重力に引っ張られ、真っ逆さまに地表に落下し始めているのだと、全員が理解した。してしまった。

 

「うわあああああああああああ!!!!」

「やっぱりこういうオチか〜〜!!!」

 

 ギャグ漫画に産まれながら、まともに終われるはずがなかったのだと今更ながらに痛感し、ビュティたちは絶叫する。

 しかし運よく、頑丈な宇宙服だけが大気圏で焼け落ち、ボーボボたちは青空まで戻ることができていた。

 

「ギョラッ‼︎」

「うお⁉︎」

 

 その途中、カッと目を見開いた魚雷ガールが、口からいかりのようなものを発射する。

 それは近くを落下していたソフトンの足に巻きつき、彼の表情を驚愕で歪ませた。

 

「これで心置きなく式場選びにいけますねソフトン様♡」

「ソフトンさんが魚雷にさらわれた―――!!!!」

 

 慌てふためくソフトンの意思をガン無視し、魚雷ガールはロケットを点火する。

 小洒落たドレスを纏った魚雷ガールはそのまま、愛しい人を引きずったまま何処かへ飛び去っていった。

 

「やれやれ…ボクも好きに帰らせてもらうよ。じゃあね」

「あっ、メテオ‼︎」

 

 メテオは遠く消えていく叔母の姿を見送ると、自身も青い隕石の姿となって何処かへと飛んで行ってしまう。

 好き勝手に別れていく仲間たちに、イザヨはやれやれと肩をすくめた。

 

「やれやれ……しっかりつかまってな!」

Magic hand On(マジックハンド・オン)

Hand On(ハンド・オン)

「わっ!」

 

 右腕のマジックハンドでヘッポコ丸を、右足のマニュピレーターでビュティを掴み、イザヨは自身の元へ引き寄せる。

 そのすぐそばを、幸福に満ちた顔でボーボボたちが急降下していった。

 

「そしてぼくらは帰るのです〜〜〜〜♪‼︎」

「母なる星へと帰るのです〜〜〜〜♪‼︎」

 

 母なる星にぶち当たるのならば、それを受け入れるのみとばかりに、ボーボボたちに恐怖はない。

 それを見送りながら、イザヨは別のスイッチを起動させた。

 

「じゃ、後でな首領パッチとその他」

Parachute(パラシュート・オン)

「「「「イザヨてめ――――――!!!!」」」」

 

 バサッ!とパラシュートが開き、イザヨとビュティとヘッポコ丸だけを減速させる。

 何も持ち合わせがないボーボボたちは、目玉を飛び出させながらイザヨに向かって怒号をあげ、そのまま地表に向かって一直線に墜ちていった。

 

「おっとと…!」

 

 風に吹かれ、バランスを少々崩しながら、イザヨたちは地表へと降り立つ。

 近くには人やトゲボールの形をした大穴が開いていたが、誰も気にせず改めて大地の感触を堪能し始めた。

 

「はは…! 地面の感覚なんて久しぶりだ」

「イザヨさん……ありがとう!」

 

 無事に戻ってこられたと、ビュティとヘッポコ丸がイザヨに礼をいう。

 それに照れ臭そうに鼻をこするイザヨ。そんな彼女の元へ、鬼の形相になった首領パッチたちがチンピラのように詰め寄っていった。

 

「おうテメェ‼︎ 死ぬかと思ったぞコラ‼︎ あ⁉︎」

「どう落とし前つけてくれるんだ⁉︎ あぁ⁉︎」

「やめなよ三人とも!!!」

「おやび~~ん!!! おかえりなさ~い!!!」

 

 自業自得なのに八つ当たりをする首領パッチたちに、それを諌めるビュティとヘッポコ丸。そして、どこからともなく現れて再会を喜ぶ破天荒。

 まるで祭りのような騒がしさに、イザヨはどこか羨ましそうに目を細めていた。

 

「借りができちまったな………ボボ兄にも、この星のみんなにも」

「ああ、いずれ返すのだな」

「そうするよ」

 

 ぼこっ、と地面が盛り上がり、つくしのようにボーボボが顔を出す。

 平然としているイザヨの隣に歩み寄ったボーボボは、青々と広がる空を見上げながら、サングラスの奥の目を細めた。

 

「巨悪は一つ潰したが……お前の戦いはまだ終わらないんだろう? イザヨ」

「ああ、オレの敵はまだ健在だ。……長い戦いが、この先も待ってるだろうさ」

「…行くのだな」

「寂しくないって言ったら……ウソになるけどな」

 

 ボーボボたちが向かう戦いと、イザヨが望む戦いは異なるもの。

 この先、また隣り合って戦うことがあるのかどうかは、今の彼らにはわからなかった。

 だがこの男は、それに寂しさを微塵も抱いていなかった。

 

「もしもオレの力が必要なら、いつでも呼ぶがいい。どこへだって駆けつけてやる」

「それはこっちのセリフだぜ。でも、頼りにしてるぜ」

 

 握手とグータッチを組み合わせた友情の証を交わし、ボーボボとイザヨは熱く見つめ合う。

 いつかまた、再会することを夢見て。

 いつかまた、ともに隣で戦えることを願って。

 

「…また会おうぜ、ボボ兄」

「ああ…またいつか会おう、イザヨ」

 

 固く誓い合う、血の繋がらない、しかし誰よりも強い繋がりを持つ兄妹。

 清々しく笑い合う、宿命を背負った戦士達。

 

 

 そんな二人の姿を見守っていた首領パッチが、不意に()()()()に振り向き、笑って語りかけるのだった。

 

「じゃあな」




 ボーボボ×仮面ライダーフォーゼ、最後まで閲覧いただきありがとうございました。
 ここで言えるのはただ一つ、「ギャグむずい!!」ってことだけです。
 基本澤井先生のギャグを一から考えられるわけがないので、作中のギャグは全てボーボボ本編の引用、いやもしかしたら改悪になってるかもしれません。それだけ私の書くものとは違ってるんです、ボーボボは。
 下手したらすぐシリアスになるもんだから、なんとかして原作:ボボボーボ・ボーボボになるように気をつけながら書きました。しんどかったです。
 ですがそれでも書き続けられたのは、最後まで読んでくれる方や評価してくださった方々、そしていつも誤字報告してくださる読者の皆様の応援のおかげでありました。皆様のご助力がなければ、とうの昔に心が折れていたでしょう。
 尊敬している「ボーボボ二次創作」を書いている作者様から感想をいただけたこともモチベーションの継続に一躍買っていたと思います。

 オリジナルヒロインのイザヨですが、こちらに関しては「ボーボボ」らしいキャラクターにできていたんじゃないかなと自負しています。
 主人公のボーボボに匹敵する濃いキャラを想像していたら、なんかいつの間にかできていました。キャラができたらあとは、勝手に動いてくれます。勝手すぎて字面に抑え込むのが大変でした(笑)。

 最後になりますが、今一度この小説を最後まで読んでくださった方々、W・W様をはじめとする誤字報告をしてくださった皆様に深く感謝いたします。
 これからも皆様に喜んでいただける作品作りに精進していきますので、応援ご指摘のほどよろしくお願いいたします。


エンディングは、「Burning Fire/JAM Project」でお楽しみください。
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