【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義8:宇宙(そら)からの侵略者

「あいつらなんか、妙なこと言ってなかったか?」

「邪魔をしたら容赦しないって……じゃあ、これから何かしでかすってことなの?」

 

 謎の女インガと黒騎士を退けたはいいが、彼女達が残した不穏なセリフにビュティ達は困惑の表情を浮かべる。

 言い表しようのない、漠然とした不安が胸の中に残っていた。

 

「そんなことより祝勝じゃ―――!!!」

「無礼講無礼講♪」

「真面目に考えてよ!」

 

 しかしそんな重苦しい空気など知ったことかと、ボーボボと首領パッチとイザヨが酒瓶を持って騒ぎまくる。

 いつの間にか田楽マンや破天荒まで巻き込んだ宴会が開催されていた。

 

「あーまったく愉快じゃ愉快じゃ」

「景気よく花火も欲しいねぇ」

「ふざけてる場合じゃ…!」

 

 酔いが回って赤くなった顔でくつろぐ彼らに、ビュティが半ば怒りながらツッコミを入れようとした、その時だった。

 ドゴーーーン!!!という凄まじい爆発音が響き渡り、辺りを閃光が照らし出したのは。

 

「きゃあああああ!!?」

「なんだ⁉︎ 何が起こった⁉︎」

「綺麗な花火…」

「絶対違うよ‼︎」

 

 呑気なことを言っているボーボボ達を放置し、ビュティ達は何が起こったのかと音がした方を見る。

 そして、そこに広がっている光景に、言葉を失った。

 真っ赤に燃える、跡形もないほどに破壊された建物の山。まるで地獄のような光景が広がっていたのだ。

 

「街が吹き飛んでる…」

「そ……そんな…まさかアイツらが」

 

 現実と思えないほど凄まじい光景に、ヘッポコ丸と天の助が絶句する。

 呆然と立ち尽くしている彼らの元に、何者かの足音が届いた。

 

「おっと……どうやら遅かったようだな」

 

 突如声を上げた部外者に、ボーボボ達は警戒しながら振り向く。

 

「お、お前は……!」

 

 そして、そこに立っていた男の姿に大きく目を見開いた。

 

「モグラ!!!」

「またお前かよ!!?」

 

 マルハーゲ帝国の時期帝王を決める大会について教えた彼が現れたことに、ヘッポコ丸が驚愕の声を上げる。

 

「お前……何を知ってるんだ?」

「さぁな…ただオレが知っているのは一つだけーーー」

 

 訳知り顔で腕を組んでいるモグラは、もったいぶりながら不敵な笑みを浮かべ、そして。

 

「アリシア連邦が秘密裏に開発した機械生命体『宇宙鉄人』が乗っ取った衛星兵器『XVⅡ』の仕業だってことだクソが―――――!!!!」

(急にキレた!!?)

 

 特に誰も気にさわることは言っていないが、ものすごく力のこもった怒号がモグラから放たれた。

 だがしかし、言った内容は首領パッチ達からしてみればちんぷんかんぷんだった。

 

「アリシア連邦………………ってどこだ?」

「さぁ?」

「よかった! 私だけ知らないのかと思ってた!」

 

 みんな知ってる情報だったらどうしようと思っていたビュティが、あからさまにホッとする。

 

「聞いたことがある…」

「ソフトンさん」

「ウンコッコ博士!」

 

 そんな中、深刻な顔でソフトンが口を挟み、全員の視線が彼に集まっていった。

 

「きな臭い話が囁かれている、謎の国家だ……確か風の噂では、秘密裏に兵器を開発し各国から警戒されているとか…」

「そう、その兵器こそXVⅡ…‼︎ 強大な力を有し、地球をも破壊できるとさえ言われている最強最悪の力……‼︎」

(なんでこいつこんなに詳しいんだ…?)

「同じくアリシア連邦にて作り出された機械生命体『宇宙鉄人』はそれを乗っ取り、世界のあちこちに攻撃を仕掛けたんだ!」

 

 ギリギリと拳を握りしめ、モグラがことの重大さをコレでもかと表情に表す。

 いつの間にか情報屋のポジションについていたが、果たしてどうやってその情報を手に入れているのだろうか。

 

(こんなことができる兵器を…一体どうやって)

 

 ビュティは崩壊した街を見やりながら、それを引き起こしたという宇宙鉄人に戦慄を覚える。

 その後ろで、天の助と田楽マンがゴソゴソと何かを風呂敷袋に詰めていた。

 

「ところてん詰め合わせのほかになんかいるかな?」

「田楽でよくね?」

「さっそくコビ売る用意してる!!!」

 

 地球すら破壊しかねない相手に即白旗を振ろうとしている二人に、ビュティから激しいツッコミが飛ぶ。

 

「行こう…ボーボボ」

 

 モグラは無言で険しい表情を浮かべているボーボボの方に手をおき、新たな戦いの場へと促す。何様なのだろうか。

 

「上等だ―――――‼︎」

「ぐばぁ!!?」

「そんな奴らはオレがブッ潰してやる!!!」

 

 寝返りの相談をしていた天の助と田楽マンを踏み潰し、首領パッチにタワーブリッジを繰り出しながらボーボボは吠えた。

 

「なんで首領パッチくんを!!?」

 

 生食品二人への制裁のついでであった。

 モグラはボーボボの気迫にその決意の強さを知り、不敵に笑ってみせた。だから何様なのだろうか。

 

「フッ……覚悟は本物のようだな。ならばオレについてこい、この一件に詳しいヤツの元に連れて行ってや……」

「つべこべ言わずにさっさと行け――――!!!!」

「ぎゃあああああああああああ!!!!」

「ちゃんと聞いてあげようよ‼︎」

 

 ちょっとウザくなってきたイザヨが、だらだら喋り続けるモグラにキン肉バスターをかけて黙らせた。

 腹がたつ気持ちは分からなくもないが、貴重な情報源なのだからもう少し我慢して欲しいとビュティは思った。

 

「行きやしょうおやびん! ハジケ組の名をアリシア連邦とやらに轟かせるチャンスですよ!!!」

「血が騒ぐじゃねーか!!!」

「世界を危険に晒すと言うのなら、放置するわけにもいくまい」

「宇宙鉄人は、人類滅亡さえも目論んでいる……止めるのなら今しかないぞ!」

「お前たち…」

 

 ボーボボのやる気に触発され、仲間達が次々に立ち上がる。

 ボーボボはサングラスの下から涙を流し、口元を覆って俯いていた。

 

「格下どもがズラズラと……全然頼もしくない」

「ブッ殺すぞテメー!!!」

 

 思いっきりバカにされ、ボーボボ以外の全員から怒りの声が上がった。

 しかしそれが逆に燃料となり、打倒宇宙鉄人の闘志が燃え上がっていた。

 

「上等だ‼︎ てめーよりも先に宇宙鉄人をぶっ潰してやるわ!!!」

「とこ屁組も負けてたまるかーーー!!!」

 

 ハジケ組、ウンコ組、とこ屁組とそれぞれ仲のいい派閥同士がバチバチと火花を散らし、自分こそが敵を倒すと息を巻き始めた。

 なんでこうなるのと肩を落とすビュティの背後に、一つの影が立った。

 

「それはまだ早いです! 少なくとも今のあなたたちでは、『宇宙兄妹』に勝つことはできません!」

「!!?」

 

 突如響いた声に、暴走族の格好になったボーボボたちが振り向いた。一番驚いていたのは登場方法が被っているモグラだった。

 

「誰だ⁉︎」

「新聞はもう結構よ‼︎」

 

 主婦の格好になった首領パッチがずれたセリフを発するが、相手は気にした様子もなく堂々と歩み寄ってくる。

 スーツをまとった小柄な女性は、警戒の視線を向けるボーボボたちに綺麗なお辞儀をしてみせた。

 

「はじめまして、七代目キングオブハジケリストにして鼻毛真拳伝承者ボボボーボ・ボーボボさんーーー私の名はシズカ、OSTO(宇宙技術開発機構)Legacyの者です。あなたたちをお迎えにあがりました」

「迎えだと? 一体なんのために?」

「目的はあなたたちと同じ……宇宙鉄人の野望を阻止することです」

「⁉︎」

 

 まるで測ったかのようなタイミングで現れた、シズカという女性にボーボボたちは警戒心を強める。

 しかしシズカは気にした様子はなく、傍に停められたバスを手で示した。

 

「詳しい話はこちらで……さぁ、乗ってください」

「ま、待て! お前らがなぜ事件について知っている⁉︎」

 

 ボーボボたちを連れて行こうとしている謎の女性に、モグラが待ったをかけた。

 

「危険だ、ボーボボ! 得体のしれないそいつらについて行ったら何をされるかわかったもんじゃないぞ!」

 

 少なくとも初対面ではない自分の方が信用できるとモグラは必死に止める。

 が、当のボーボボたちはというと。

 

「よし、いくぞー」

 

 なんの迷いもなく快適そうなバスに乗り込んで行く。

 ビュティだけが微妙な表情を浮かべ、一同を乗せたバスは一切振り向くことなく出発してしまった。

 

 一人取り残されたモグラは、ガックリと項垂れるのであった。

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