【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒 作:春風駘蕩
「…いい国を、作りとぉござりまする〜〜〜〜〜〜」
何やら鎌倉時代の武士の格好をした首領パッチが、杓を手に持って唄い始める。
そのすぐあとに、ボーボボ達全員によるやかましい合唱が始まった。
「ヘイ♪ 鎌倉幕府♪ かまくらばくふ♪ かまくらばくふ♪」
「1192♪ 1192♪ かまくらばくふ――――――♪」
「…………」
(さっきから何このテンション…?)
シズカが運転するワゴンの上で騒音を撒き散らすバカ達から、ビュティとヘッポコ丸、メテオは居心地悪そうに目をそらした。
「ちくわちくわちくわ――――――――♪」
「どうも」
なぜか手渡されたちくわを素直に受け取りながら、ビュティは微塵も表情を変えないシズカに切なげに頭を下げた。
「騒がしくてすみません…」
「気にしないでください。へいきですから」
モグラが言った敵について教えてくれると言う彼女についてまだ何も知らないが、ここまで心が広い人も珍しいと思う。
実際にいい人なのだろう。
宇宙鉄人という謎の敵を前にして、少し心強くも感じた。
(ボーボボたちがこれだけ元気ならきっと大丈夫だよね…!)
そう思い、ビュティはバカ騒ぎを続けるボーボボ達に目を向ける。
「かまくらサイコー♪」
「オノノイモコー♪」
そして田楽マンとイザヨが掲げている「シズカを迎える歌『鎌倉幕府』」という垂れ幕に目を剥いた。
「ええっ⁉︎ これシズカさんの歓迎ソングだったの!!? やめようよ恥ずかしいから!!!」
「えー…」
「仕方ねぇな…」
たまらずストップを出したビュティに、天の助と田楽マンは不満げに唇を尖らせる。
するとボーボボがキリッとした顔で指を鳴らした。
「じゃあ第2弾首領パッチ‼︎」
「未練
「だからやめろって言ってるでしょうが!!!」
「時ーにー僕ーはーその優しさに甘ーえー♬ 自分ー勝手な思考に身を委ねていましたー♬」
「てかマジでうるさっ!!!」
失恋ソングをキーの外れた声で叫びまくる首領パッチの騒音に、ビュティはたまらず険しい顔で耳を塞ぐ。
しかもギターではなくバターを鳴らしているため、あちこちにかけらが飛んで大惨事となっていた。
「未練
「すみません、やっぱり耳障りなのでやめてください」
「!!??」
メガネが溶けたバターで汚れたシズカに冷たくツッコまれ、ガーンと首領パッチはショックを受ける。
そうこうしているうちに、ワゴンの進行方向を見ていた破天荒が声をあげた。
「何か見えてきたぞ‼︎」
浜辺の一部が開発され、近代的な輝きを放つメカニカルな建物が見えてくる。
その大きさに、窓から顔を出したヘッポコ丸がゴクリとつばを飲み込んだ。
「あれが…宇宙技術開発機構OSTO Legacyの本部」
建物の周りの柵にワゴンが近づくと、自動的にセンサーが働いて門が開く。
その奥に建てられている講堂に向かって、シズカはワゴンを走らせた。
「到着です!!!」
が、ワゴンのスピードに対して明らかにブレーキが強すぎた。
ものすごいGが車体にかかり、ワゴンの上に乗っていたボーボボ達が思いっきりぶっ飛ばされてしまった。
「ぎゃあああああああああああ!!!」
「きゃああ大惨事だ―――――!!!」
そのまま何かしらの装置の中に突っ込んで、電流に飲み込まれるバカ達にビュティが悲鳴をあげる。
黒焦げになってしまった彼らに、シズカが困り顔で頭をかいた。
「すみません…私ちょっとドジなもので……」
「ドジってレベルじゃないでしょ‼︎ 大丈夫みんな!!?」
「あの女ブッ殺してやる……」
シズカのドジも原因ではあるが、この場合は車の屋根の上に乗っていたボーボボ達が最も悪かった。
「どうぞみなさん、中へ」
気にせず案内を続けるシズカに首領パッチ達はぶつぶつと文句を垂れるが、話が進まないことをわかっているのか行動には出さない。
果たして、ボーボボ達が講堂の中に入ると、眩しい照明の中に舞台が浮かび上がる。
その中心に、ローラースケートに乗った一人の青年が現れ、巧みなアクションを見せてボーボボ達に向き直った。
「お待ちしていました! 僕がOSTO Legacyの本部長、ハルミです!」
ビシッと決めた、晴れやかな笑顔を見せる青年にビュティとヘッポコ丸、メテオは全く同じ感想を抱いた。
(うっわー…なんか面倒臭そうなのが出てきたなー…)
「カッキー‼︎」
目を輝かせるボーボボたちは放っておいて、ビュティたちは詳しい話を聞くために用意された椅子に座っていった。
「あなた方に依頼したいのは、他でもありません……アリシア連邦が生み出した衛星兵器XVⅡと宇宙鉄人キョーダインの破壊です」
全員の注意が集まったことを確認すると、ハルミは神妙な表情で今回の目的をもう一度確認する。
「XVⅡは今から5年前に完成予定でした……しかし突如、XVⅡは暴走を開始。太平洋上の無人島を消しとばしてしまいました」
真剣な顔で話を聞くソフトンや破天荒とは真逆に、速攻で話に飽きた首領パッチと天の助がそれぞれでふざけ始めると、鬼の形相となったビュティにしばき倒された。
「どうやって宇宙鉄人がXVⅡを乗っ取ったのかはまだ不明です…ですが、このままでは地球上の全ての人類が危険に晒されることとなります」
ボコボコになった首領パッチたちをビュティが雑に捨てていると、ずっと気になっていた様子のイザヨが思い切って尋ねた。
「……なぜオレたちなんだ?」
「我々はかねてより、あなた方の活躍に目をつけており、どうにか本作戦の味方にできないかと接触のタイミングを図っていました。…しかしすでに、時期を待っている場合ではなくなっていました」
イザヨの質問に答えると、ハルミはボーボボたちに向けて深々と頭を下げた。
「どうか我々に、みなさんのお力をお貸しいただけないでしょうか」
一ミリも動かず、誠意を伝え続けるハルミ。
その背中に不意に、どかっと偉そうな態度の天の助が座り込んだ。
「で?」
調子に乗った天の助を10トンハンマーで叩き潰したビュティが、決意を秘めた眼差しでボーボボを見つめた。
「やろう、ボーボボ! 地球がピンチだよ!」
「無論だ!」
「ちょうどいい…奴らと再戦だ!」
ボーボボの闘志に、イザヨも拳を鳴らして答える。
すると次々に他の仲間たちも立ち上がり、己の戦意をたぎらせ始めた。
「上等だ! それであのムカつく女の鼻を明かせるなら、付き合ってやろうじゃねーか‼︎」
「おうよ‼︎」
「無辜の命が危機にさらされるというのなら、バビロンの戦士として動かないわけにはいかない」
「なら俺も戦います!」
ほとんど話を聞いていなかった首領パッチや潰されていた天の助までもがやる気を見せる。
すでにこの場に、戦う意思のないものはいなかった。
「やられっぱなしは性にあわないんでね」
「のら!」
「みなさん…!」
やる気に満ち溢れている戦士たちの答えに、ハルミとシズカは感動したように言葉を失う。
二人は顔を見合わせると、ボーボボたちに向き直った。
「でしたらみなさんには、宇宙空間においても地上と同じぐらいに動けるように訓練に励んでいただきます!」
「………………え?」
突然発せられた言葉に、互いに健闘を讃えあっていたボーボボたちはピタッと固まった。
何のことかと呆ける彼らに、二人は満面の笑みを返した。
「先ほどシズカが申し上げた通り、いまのあなた方では宇宙鉄人には勝てません。過酷な宇宙環境に適応していただくために、あなた方には特別な訓練をご用意しました!」
その言葉をきっかけに、ボーボボたちに地獄の日々が襲いかかった。