ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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第六話

「そうか。シトリー家と対決とはな。それでリューセー、ゲストとして参加した感想は?」

 

「聞くまでもないだろう。あの老人共の所為で気分が悪い会合だったよ」

 

 グレモリー家の本邸に帰って来た人間の俺達とリアス達一向。迎え入れてくれたのはアザゼルだった。リビングに集合し、アザゼルに先程の会合の顛末を話していた。

 

「えっと、人間界の時間で現在七月二十八日。対戦日まで約二十日間か」

 

「もうメニューは考えたのか?」

 

 計算をし出すアザゼルに問うとすぐに頷いた。

 

「まあな。明日から開始予定だ。既に各自のトレーニングメニューは考えてある。リューセーも考えてるんだろ?」

 

「勿論だ」

 

 俺とアザゼルの会話にイッセーが質問しようとする。

 

「なぁ、俺達だけ兄貴――聖書の神や堕天使総督のアドバイス受けていいのか? 普通に考えて反則じゃないのか?」

 

 他の若手悪魔から文句があってもおかしくないとイッセーは感じてるんだろう。確かにそれは当然の疑問だ。

 

 だが、俺とアザゼルは嘆息する。

 

「問題無い。俺はあくまで何かあった時の協力者に過ぎないから、三大勢力の内情にああだこうだと言える立場じゃない。それに誰かが俺に協力を求めようとする時は、必ず三大勢力トップの承認が必要だし」

 

「堕天使側の俺は色々と悪魔側にデータを渡したぜ。それに天使側もバックアップ体制をしているって話だ。あとは若手悪魔連中の己のプライドしだいってやつだ。強くなりたい、種の存続を高めたい、って心の底から思っているのなら脇目も振らずだろうよ」

 

 俺とアザゼルの回答にイッセーは納得したような顔をする。

 

「確か副総督のシェムハザは各家にアドバイスを与えてるんだったよな?」

 

「ああ。案外、俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもしれねぇな」

 

 確かにアイツはアイツで相手に見合った的確なアドバイスをするだろう。

 

「それはそうと、リアス達がシトリー家と戦うとなると、人間のイッセーとアーシアは出られそうか?」

 

「一応サーゼクスに確認してみたが……リアスとソーナの了承もあって、取り敢えず特例として出場は認められたよ」

 

「何か引っ掛かる言い方だな。ひょっとして出場条件でも付けられたか?」

 

「ああ。以前のレーティングゲームでイッセーが大活躍していたのを知ったお偉方が、龍帝拳どころか神器(セイクリッド・ギア)――『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の使用は一切禁止らしい。もしソレを出した瞬間、即刻強制リタイヤさせるんだと。因みにアーシアは問題無いらしい」

 

「おいおい、どんだけイッセーにだけハンデを付けさせるんだよ」

 

 ハンデの内容を聞いたアザゼルは物凄く呆れていた。特に悪魔のお偉方に対して。

 

「あの時は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の力を解放して、ライザーやその眷族達を圧倒した勝因だと認識してるみたいだ。恐らくあの連中は、『神器(セイクリッド・ギア)さえ封じてしまえば問題無く勝てる』って考えたんじゃないかと思う」

 

神器(セイクリッド・ギア)さえ封じてしまえば、ねぇ。それで? その条件を受け入れたリューセーが黙っているとは思えないが」

 

「本当ならあの場で認識を改めさせたかったんだがな」

 

 あのクソ爺共の言い分を聞いて久々に頭に来たから、少しばかり懲らしめてやろうかと抑えるのに大変だったよ。

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)さえなければイッセーはザコだと侮ってるクソ爺共には、今度のレーティングゲームで絶対に一泡吹かせてやろうと決めたし。

 

「まぁ取り合えずだ。明日の朝、庭に集合だ。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」

 

『はい!』

 

 アザゼルの言葉に俺を除く全員が重ねて返事をした。

 

 すると、グレイフィアが現れる。

 

「皆さま、温泉のご用意ができました」

 

 嬉しい報告が来た事に、俺は思わずさっきまで不愉快だった気分が一瞬で忘れた。

 

 

 

 

 

 場所は変わって、此処はグレモリー家の庭の一角にポツンと存在してる和風の温泉。

 

 俺は身体を軽く流した後にイッセー、祐斗、アザゼルと共に浸かっている。あー、いい湯だよ。温泉は癒しの憩い場だからなぁ~。こう言う時、日本人に転生して良かったなぁって度々思うよ。

 

「旅ゆけば~♪」

 

 温泉に浸かりながら鼻歌混じりなアザゼル。黒い十二枚の翼を全開しているし。正に文字通り、羽を伸ばしているな。

 

「随分と温泉に慣れてるじゃないか。かなり日本通になったな」

 

「おうよ。リューセーと同様、日本の娯楽と文化を色々と知ったからな。にしても、やっぱ冥界――地獄といえば温泉だよな。しかも冥界でも屈指の名家グレモリー家の私有温泉とくれば名泉も名泉だろう」

 

「確かに。以前山で偶然見つけた温泉に入った時は本当に最高だったし」

 

 アザゼルと会話しながらまったり湯に浸かってると、近くにいるイッセーがキョロキョロと辺りを見回していた。

 

「どうした、イッセー?」

 

「いや、ギャー助がいなくてな」

 

「アイツなら未だに入り口でウロウロしてるよ」

 

「え? ……あ、ホントだ」

 

 俺がギャスパーがいる方へ指すと、その方向を見たイッセーは呆れてる様子だ。

 

 見るに見かねたイッセーは一旦湯から上がり、ギャスパーのもとへと向かう。

 

「おいギャスパー、ほら、温泉なんだから入らなきゃダメだろう」

 

「キャッ!」

 

 入り口にいるギャスパーをイッセーが捕まえると、突然可愛らしい悲鳴が聞こえた。

 

 二人の妙に面白いやり取りを聞いてると――

 

 

 ドボーーーーーーーンッ!

 

 

 イッセーに放り投げられたと思われるギャスパーが温泉へダイブした。

 

「いやぁぁぁぁぁん! あっついよぉぉぉ! 溶けちゃうよぉぉぉ! イッセー先輩のエッチィィィッ!」

 

「こらこらイッセー、同じ男のギャスパーにセクハラはどうかと思うぞ?」

 

「喧しいバカ兄貴! 分かってて言ってるだろう!?」

 

 俺のからかいにイッセーが憤慨しながら言い返すと――

 

『イッセー、ギャスパーにセクハラしちゃダメよ?』

 

「わぁぁああああああぁっ!」

 

 隣の女湯からリアスのからかい声が聞こえた瞬間、イッセーは恥ずかしさの余り温泉に飛び込んだ。何か災難だな。言い出したのは俺だけど。

 

「そうだイッセー、この際だからお前にも言っておく事がある」

 

 涙目になってるイッセーの隣に移動するアザゼルは少し真面目そうな顔となっていた。

 

「何ですか?」

 

「前にリューセー――聖書の神(おやじ)にも言ったが、今後は教会連中や天使達に軽はずみな言動は謹んでおけよ。なんせお前は聖書の神からの寵愛を、今も独占し続けてる唯一の人間だからな」

 

 アザゼルがそう言うと、イッセーは急に顔を青褪めて鳥肌が立ち始める。

 

「ちょ、ちょっとアザゼル先生、いきなりそんなこと言わないで下さいよ! いくら兄貴でも、男の愛を独占なんて気持ち悪いですから!」

 

「いや、これは真面目な話だ。ってかイッセー、間違ってもそんなこと言うんじゃねぇぞ? もし聞かれでもしたら、アイツ等はお前に殺意を抱くどころか、本気で殺すかもしれねぇからな」

 

「………え?」

 

 真剣な顔で言うアザゼルに、イッセーは段々と事の重大性を理解し始めてきたようだ。

 

「お前も知っての通り、教会の信徒達は神に祈りを捧げ、ほんの僅かでも神の愛を求めている。更に天使達は今まで生みの親である神に絶対の忠誠を誓い、神に認めて貰いたいが為に自分をアピールしていた。にも拘らず、教会の信徒や天使とか全く関係ない、極普通の一般人だったイッセーが急に神の寵愛を独占しているときた。連中からすれば嫉妬で怒り狂ってもおかしくはねぇ。なんせあのミカエルでさえ、お前に嫉妬してたからな」

 

「ミカエルさんが?」

 

「ああ。和平が成立する前に聖書の神(おやじ)が人間に転生した後のいきさつを説明してる時、アイツはほんの一瞬だがお前に嫉妬と軽い殺意を抱いてたぞ。アイツは天使の中で誰よりも神至上主義で、今も聖書の神(おやじ)を敬愛しているからな」

 

 そう言われてみれば、俺がイッセーの師となって鍛えてると説明してた際、アイツはイッセーを見ていたな。正確には睨んでいた、と言うのが正しいか。もし仮に天使達があの場でイッセーを狙おうとしたら、聖書の神(わたし)は即行で見限っていたけど。

 

「とにかくだ。リューセーの正体が神だと分かった以上、お前も今後は――」

 

「おいアザゼル、それ以上はイッセーを困らせるような事は言わないでくれ。もしミカエル達が聞いたら、イッセーじゃなくてお前に狙いを定める事になるぞ」

 

「へいへい、わぁってるよ。じゃあ今度は――」

 

 これ以上は余計な事を言わせないよう俺が警告すると、アザゼルは嘆息しながら話題を変えようとする。急にいやらしい笑みを浮かべ、今度はイッセーと猥談を始めた。イッセーも物の見事に乗っかってるし。

 

 聞くのもバカらしい会話に混ざる気がない俺は、二人から離れて再び温泉を楽しもうと、身体を首の辺りまで沈めた。

 

「リューセー先輩、ちょっといいですか?」

 

「ん? どうした?」

 

 温泉を楽しんでる俺に祐斗が近づいて話しかけてきた。

 

 因みに祐斗は先程、イッセーに背中を流すと頬を染めながら言っていた。それを聞いたイッセーは貞操を奪われるんじゃないかと思うほどに顔を青褪めていたよ。俺も聞いてて少し引いたけどな。

 

 まぁ祐斗からすれば、今までに男友達との付き合いは全く無かったから貴重だったんだろう。しかも同学年の男友達と。先輩の俺はともかく、祐斗はこれまで同学年の男子と付き合いはなかった。以前の合宿では、イッセーと祐斗はまだ打ち解けてなかったから、互いに遠慮している部分があったしな。

 

「明日からの修行で、先輩はイッセーくんとアーシアさんの修行メインでやるんですよね?」

 

「別にずっと二人に付きっきりって訳じゃない。俺は俺でやる事があるし」

 

 全てではないが、俺はオーフィスによって聖書の神(わたし)能力(ちから)が以前より使えるようになった。だからソレを制御する為に、自分自身を鍛え直す必要がある。今のままでは力を制御出来ずに暴走してしまう恐れが充分にあるからな。

 

「ま、お前はアザゼルが課す予定となってる修行を頑張ってくれ。流石に今回はお前の面倒は見れないが………そうだな。人間界に戻ったら、手合わせをしようか。その時に祐斗の修行の成果を見せてくれ」

 

「っ! はい! 分かりました!」

 

 目を輝かせながら嬉しそうに答える祐斗。毎回思ってる事だけど、祐斗は本当に俺と手合わせをするのが好きだねぇ。俺の正体を知っても尚、ずっと尊敬する先輩として接しているし。

 

『木場、抜け駆けは許さないぞ! 隆誠先輩、私も是非手合わせをお願いします!』

 

 もう一人いたねぇ。隣の女湯から大声で抗議をしてる悪魔となったゼノヴィアが。呼び方は段々直ってきたけど、それでも未だ聖書の神(わたし)を敬愛する主と見ているからな。

 

 ってかゼノヴィア、お前はどこら辺から聞き耳を立てていたんだ? まさか俺が温泉に入ってからずっと張り付いてないよな?

 

「こんな! 感じかなっ! 男なら混浴だぞ、イッセー!」

 

「おわああああああああっ!」

 

 すると、アザゼルが突然大きな声を出してイッセーの腕を掴んですぐ、そのまま投げ飛ばした。隣の女湯へ。

 

 

 ドッボォォォォォォォォンッ!

 

 

『…………………………』

 

 数秒後、投げ飛ばされたイッセーはそのまま女湯の温泉へダイブする音が聞こえた。余りの展開に俺と祐斗、そしてギャスパーは隣の女湯を見ながら目が点になっている。

 

「…………おいアザゼル、これは一体どう言う事だ?」

 

 若干間があったが、俺はイッセーを投げ飛ばした元凶を睨みながら問う。アザゼルは俺の睨みを何とも思わず淡々と答えようとする。

 

「な~に、女湯を覗きたいイッセーの要望に応えただけだ」

 

「だからと言って女湯へ投げ飛ばすなよ。非常識にも程があるぞ」

 

「向こうの女達は全員イッセーに惚れてるんだ。好きな男に裸を見られても問題ないだろ」

 

「全員じゃない。小猫は未だにイッセーを警戒して――」

 

 ……………………あれ? 女湯から何も聞こえないぞ。てっきり小猫が女湯に入ってきたイッセーを追い出すと思ってたんだが……。何故に静かなんだ?

 

「変だな。この場合、小猫ちゃんがイッセーくんを追い出そうとする筈なのに」

 

「小猫ちゃん、本当にどうしたんだろう?」

 

 祐斗とギャスパーも小猫の様子がおかしい事に気付いてるようだ。

 

 因みに女湯にいるイッセーは、裸のリアスと朱乃から前後に抱きつかれた事によって幸せそうに倒れたらしい。アイツ曰く『おっぱいサンドイッチは凄かった』だとさ。

 

 いくらイッセーがリアスや朱乃より強くても、あの二人が持ってる大きな乳房には勝てなかったようだ。もし駒王学園全学年の男子達が知ったら、怒りと嫉妬によって我を忘れた悪鬼羅刹の狂戦士(バーサーカー)状態となって、イッセーを殺しにいくだろうな。




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