ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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 本当でしたら十話で掲載する予定でしたが、内容が幕間的なものだったので、敢えて九.五にしました。

 今回は敢えてフライング投稿にしています。それではどうぞ!!


第九.五話

「ふぅぅぅ~~~………よし。あと少しと言ったところか」

 

 修行を始めて数日が経ち、聖書の神(わたし)は早くもかなりの経験を積んだ。思っていた以上に分身拳を使った修行はかなり効率が良く、通常の修行経験を三倍以上得る事が出来た。

 

 瞑想、能力(ちから)の調節と制御、そして実戦組み手。その内容を同時に行い、元の一人に戻った直後、修行によって得た知識と経験が全て聖書の神(わたし)に集約された。それと同時に痛みと疲労感も集約されて少ししんどかったが。

 

 ま、それは仕方の無い事だ。知識と経験だけを得るなどと言う、都合の良い事なんてない。今回俺がやってる修行はメリットはかなりあるが、その分デメリットもある。

 

 四人の聖書の神(わたし)がそれぞれ違う事をして、その修行で負った時の傷や疲労感は残っている。元に戻れば当然それらも集約されるので、一人になった時には三倍以上の知識と経験と他に、三倍以上の痛みと疲労感も味わう事になる。

 

 この修行を実際にやって一番に分かったのは、かなりリスクがある修行と言う事だった。もし普通の人間がやったら、身体と脳が耐えきれずに下手すれば崩壊する恐れがある。例えば最大百個のデータまでしか入れることが出来ないパソコンに、三百個のデータを無理矢理入れたらどうなるだろうか。当然そのパソコンは許容範囲を超えて処理しきれないどころか、完全に暴走して壊れてしまうのがオチだ。

 

 とまあ極端な例えだが、それだけこの修行はそれだけのリスクが伴ってる。尤も、この修行は分身拳を使う事が出来なければ意味は無いが。

 

 さて、休憩も兼ねてアーシアの様子でも見に行くとするか。何かあれば呼ぶようにと言った筈なんだが、この数日の間、全然呼んでないんだよな。多分聖書の神(わたし)の邪魔をしないように気を遣ったんだろうけど、それでも少しは頼って欲しかった。もし呼んでくれたら聖書の神(わたし)はすぐにでも駆けつけるのに。

 

 まぁ此処は今暫くの間、聖書の神(わたし)が我慢するしかないか。今までずっと祈りを捧げていた神が目の前にいました、と言う(アーシアにとって)驚愕な事実を受け入れてくれただけでも良しとしないと。それでも……兵藤隆誠(おれ)としては妹分のアーシアに頼られて欲しいんだけどなぁ。はぁっ……お兄さんは少しばかり寂しいよ。

 

 聖書の神(わたし)が少しブルーな気分になってる最中――

 

 

 ――た、大変ですリューセーさん!――

 

 

「っ! どうしたアーシア!? 何が遭った!?」

 

 突然アーシアが焦ったような声を出した事に、一気に緊張感が走った。

 

 すぐに転移する準備に入ってると、アーシアは内容を伝えようとする。

 

「今すぐそっちに向かうから――」

 

 

 ――小猫ちゃんがトレーニング中に倒れたみたいです!――

 

 

「分かった! すぐに……え? 小猫?」

 

 アーシアの報告を聞いてすぐに転移しようと思ったが、予想外な内容に思わず動きを止めてしまった。

 

 

 

 

 

 

「リューセー、小猫の容体は分かった?」

 

 アーシアと一緒にグレモリー家の屋敷に戻った俺は、部屋で休ませている小猫の部屋にいる。アーシアが眠ってる小猫に『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で治療してる最中、俺は術を使って彼女が倒れた原因を調べようと、修行していた数日間の記憶を探っていた。

 

 俺が調べていると、同じく事情を聞いたリアスが不安そうに尋ねてくる。主であるリアスが一番に小猫の心配をしてたからな。因みに小猫の記憶を探る事に関しては、主のリアスから了承を得ている。無断で小猫のプライバシーを調べる訳にはいかないからな。

 

 そして小猫の記憶を探り終えた俺はリアス達に結果を言う。

 

「先ず結論から言おう。大した怪我はしてないが、それでも二日間は絶対安静だな。当然それまでは修行禁止にさせる」

 

「絶対安静って……小猫は一体どんなトレーニングをしたの?」

 

 リアスが信じられないような顔をしながら俺に問う。アーシアも気になってるのか、小猫を治療しながら俺の方を見る。

 

「記憶を見てみたら、アザゼルが与えたトレーニングを過剰に取り組んでいた。確実にオーバーワークな内容だった。おまけに俺が貸したバンドには大して魔力も通さず、かなり重いままでやっていたよ。その結果がこの状態って訳だ」

 

 トレーニングは倍以上にやっていただけじゃなく、休息もせずにぶっ続けでやっていた。倒れるのは当然だよ。

 

 普段から人間のイッセーに超高難度な修行をさせてる俺でも、休息は絶対に取らせている。身体を休ませるのも修行の一つでもあるからな。

 

 ライザー戦のレーティングゲーム前にやった修行でも同様、俺はバンドを付けさせたリアス達にもちゃんと休息を取らせていた。いくら悪魔のリアス達でも、初めてやるバンド付きの修行をぶっ続けでやらせるのは無理だし。

 

「尤も、コイツが妖力――猫又の力を使っていれば、ここまで酷くはならなかったんだがな」

 

「え? ネコマタ?」

 

「………はぁっ。リューセーはやっぱり知っていたのね。小猫が元妖怪であることを」

 

 俺の台詞に小猫の治療を終えたアーシアが初耳みたいな感じでキョトンとしてると、リアスは嘆息する。

 

「ああ。ついでに猫又の中でも妖術や仙術も使いこなす上級妖怪である事にもな。ま、その事に気付いたのは合宿の時に小猫と手合わせした時だけど」

 

「……リューセー、念のために訊いておくわ。あなたは小猫の素性までも知ってるのかしら?」

 

「いくら俺でもそこまでは知らん。小猫が猫又の力を使いたくないのは、恐らく朱乃と似たような理由なんだろうって思ってただけだ」

 

 これは嘘ではなく本当だ。種族までは知っても、相手のプライバシーまで調べる気は無いし。

 

「こうなった以上は素性を聞かせてくれ、なんて事はしないよ」

 

 聞いたからって状況が変わる訳でもなければ、小猫の心情を深く理解出来るなんて思っちゃいない。これはあくまで小猫の問題だから、俺がどうこう言える立場じゃないし。

 

「まぁ事情があってこの先も猫又の力を使いたくないなら、それはそれで構わない。だがこれだけは言わせて貰う」

 

 俺はベッドで横になってる小猫に向かってこう言い放つ。

 

「そんな中途半端な覚悟でやっていけるほど、この先の戦いは甘くはないぞ」

 

「……あなたに、何が分かるんですか……!?」

 

 俺の台詞に反応したのか、小猫が起き上がりながら強く睨んできた。

 

「小猫、急に起き上がっちゃ……!」

 

 リアスが駆け寄って介抱するも、小猫は未だに俺を睨み続けてる。

 

「随分とご立腹のようだ。相当俺の台詞が気に食わなかったようだな」

 

「……猫又の力が暴走したらどれだけ危険なのかを知らないで、勝手な事を言わないでください……! 私は簡単に能力(ちから)を扱えるあなたとは違うんですから……!」

 

「こ、小猫ちゃん、それはいくらなんでも言い過ぎです!」

 

 アーシアは小猫の発言を聖書の神(わたし)に対する暴言と捉えたのか、オロオロとしながらも止めようとする。だがそれでも小猫は睨むのを止めようとしない。

 

「あなたなんかに、私の気持ちなんて――」

 

「知ったところで君は俺にどうしろと言うんだ?」

 

「――え?」

 

 俺が言い返した事に、小猫は予想外だったのかキョトンとした。

 

「同情して欲しいのか? 気を遣って欲しいのか? それとも、もう俺は君に関わらないようにすればいいのか? どうなんだ、小猫?」

 

「……そ、それは……」

 

 俺の問いに小猫は言い返せずに戸惑う様子だ。けれど俺は気にせず話を続ける。

 

「あと勘違いしてるようだから言っておこう。君は俺が神の能力(ちから)を何のリスクもなく使用してると思ってるようだが、それは大間違いだよ。人間に転生した幼少の頃の俺は、この能力(ちから)を使って何度も死にかけた事がある。更には猫又の暴走した力とは比べ物にならないほどの激痛付きでな」

 

「「「ッ!」」」

 

 死にかけたと聞いた瞬間、小猫だけでなくリアスとアーシアも驚愕するように目を見開く。

 

「リューセー、それってどう言うことなの?」

 

「おっと、余計な事を言ってしまったな」

 

 どうやらまた俺の悪い癖が出てしまったようだ。必要のない事まで余計に言ってしまう悪い癖を。

 

 このままだとリアス達に追及されると思った俺は、そろそろ退散しようと決めた。

 

「取り敢えず小猫は二日間絶対安静だ。もうついでに、これは返してもらうからな。それじゃ俺は戻らせてもらう」

 

 小猫が使ってたバンドを回収した俺が転移しようとする。

 

「ちょ! リューセー、待ちなさ――」

 

 引きとめようとするリアスだったが、俺は無視するように転移して姿を消した。

 

 この後、小猫の容体を知ったアザゼルがすれ違うように現れたらしい。




次回は再びイッセー視点です。
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