ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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今回はグダグダな内容かもしれません。


第十話

 タンニーンのおっさんとバトル中、アザゼル先生がたくさんの弁当を持ってきてくれた事で一時中断となった。俺は凄く嬉しかったんだが、おっさんは良いところで邪魔されて少し不満気味だったけど。

 

 先生が持ってきた弁当は部長や朱乃さん、アーシアの手作り弁当だった。部長達の手作り弁当だと知った途端に俺は物凄く腹が減り、ガツガツと食いまくった。おっさんに龍帝拳を何度も使用してた事もあって、俺の身体はもう限界ギリギリだったようだ。その為、俺の身体と脳は部長達の手作り弁当でエネルギー補給しろと強く訴えていた。

 

 そこから先は食べる事に集中してて、俺の食いっぷりを見ていた先生やおっさんは呆然と眺めていたよ。俺は気にせず食いまくっていたがな。

 

 ある程度食い終わった後、最後のデザートをゆっくり食いながら先生から色々と話を聞いた。ヴァーリが言ってた『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』、朱乃さんについて、更にはトレーニングで倒れた小猫ちゃんについて等々。

 

 小猫ちゃんの方はアーシアの治療と兄貴の診断で大事にならなかったようだけど、兄貴から衝撃的な事を言われたようだ。兄貴が神の能力(ちから)を使ってる事で小さい頃には何度も死に掛けていたと。

 

「先生、兄貴の力ってそんなに危険なものなんですか?」

 

「まあな。前のトップ会談の時に言ったろ? 天使や堕天使の力は人間にとっちゃ諸刃の剣だって。益してや神の能力(ちから)はそれ以上に危険なものだ。使い方を少しでも誤ったら下手すれば死んじまう。聖書の神の能力(ちから)はそれだけ強大なモノだ。恐らく人間に転生した幼少の頃の聖書の神(おやじ)は、その能力(ちから)の反動による激痛に苦しんでいただろうな。もし普通の人間が神の能力(ちから)による激痛を受けたら、とっくに墓の中なのは確実だ」

 

「けど、ガキの頃の兄貴はそんな素振りを全然見せてませんよ? いつも余裕な感じでしたし」

 

「それも恐らく、お前や両親に余計な心配をかけさせない為の演技だろう。性格は変わっても、強情なところは相変わらずのようだ」

 

 神さまだった頃の兄貴を思い出してるのか、懐かしそうに言う先生。

 

「強情なのは知ってますけど、そんな死に掛ける位ならいっそ止めた方が……あ、俺が今代の赤龍帝だからやらざるを得なかったのか」

 

 兄貴が会談で正体がバレた時に経緯を説明していたのを思い出した俺が呟くと、先生はすぐに頷く。

 

「そう言う事だ。けどまぁ、あの聖書の神(おやじ)がお前が家族だからとは言え、たった一人の人間の為にそこまで尽くしてるなんざ普通はあり得ねえんだけどな」

 

「だからと言って、それを知った上でいきなり兄貴を敬えなんて言われても出来ませんよ? 仮にそんな事したら気味悪がられますし。もしアザゼル先生が俺の立場だったらどうしますか?」

 

「……まぁやらねぇだろうな」

 

 ミカエルだったらやるかもしれねぇが、と付け加える先生。

 

 確かにミカエルさんならやるかもしれない。この前、先生がミカエルさんは神至上主義で兄貴を敬愛してるって言ってたし。

 

 そう思いながら最後のデザートをパクッと食い終えた俺は、水筒に入ってるお茶を飲み干した。

 

「ぷは~~。あ~食った食ったぁ。ご馳走さまでした」

 

 ここにいない部長達に感謝を込めて両手を合わせる。

 

「三十人前あった弁当を全部食ったか。確か龍帝拳の反動でエネルギー補給が必要だと聞いてはいたが。この後は寝たりしないよな?」

 

「大丈夫っス。コカビエルと戦った時とは違って、そこまで無茶してないんで。まぁ、少し寝たい気分ですけど」

 

「悪いがそれは後にしてくれ。さて、行くか」

 

「え? 行くってどこへ?」

 

「それはどう言う事だ?」

 

 先生の台詞に話を聞いていたタンニーンのおっさんが睨むように問う。

 

 おっさんの反応に予想してたのか、先生は話しかける。

 

「グレモリー家からコイツを一度連れ返せって言われたんでな。悪いが少しの間返してもらう。明日の朝に戻すから、それまで我慢してくれ」

 

「むぅ……分かった。そう言う事なら仕方あるまい。では俺は一度自分の領土に戻ろう」

 

 さっきまで睨んでいたタンニーンのおっさんは不満そうにしながらも渋々と従った。

 

 ってか俺、山から一旦下りるの?

 

「先生、グレモリー家って言ってましたけど、誰からの連れ戻し命令ですか? 部長ですか?」

 

「――の母上殿からだ」

 

 え? 部長のお母さんって……もしかしてまた貴族云々についての勉強をさせるんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 人間界で言うと夜中の時間帯。俺は部長達に内緒でとある山へ向かっていた。

 

「この辺りにいるのは間違いないんだが……」

 

「何が間違いないんだ?」

 

「おわっ!」

 

 俺の独り言に背後から聞き覚えのある声がした為、思わずビックリして振り向く。その声の主は言うまでもなく兄貴――兵藤隆誠が呆れ顔で俺を見ている。

 

「いきなり現れるんなよ! ビックリしただろうが!」

 

「それはコッチの台詞だ。タンニーンと修行中のお前が何で此処にいる?」

 

 さっさと用件を言えと促してくる兄貴に、俺はすぐに理由を説明する。

 

「部長のお母さんからの連れ戻し命令で、一旦グレモリーの家に戻ったんだ。今回は紳士の習わしでダンス練習させられたけど」

 

「……ああ、成程ね」

 

 理由を聞いた兄貴は納得した顔をする。俺は未だに何故貴族についての勉強をされているのかが分かんねぇけど。

 

「つーか、部長のお母さんやグレモリー家の人達は何で俺に貴族の勉強なんてさせるんだ? 理由を訊いてもすぐにはぐらかされるし。兄貴は何でか分かるか?」

 

「………さぁな。ま、深い理由があるからお前に勉強させてるんだろ」

 

 兄貴は気付いてるようだけど、教えてはくれないみたいだ。分かってるなら教えてくれよ。気になるだろうが。

 

「それはそうと、お前はそんな話をする為に此処へ来たのか?」

 

 暗に用が済んだならさっさと帰れと言ってくる兄貴だが、俺は気にせず本題に入ろうとする。

 

「なぁ兄貴、神の能力(ちから)ってのは凄ぇリスクがあってガキの頃から何度も死にかけたみたいだな」

 

「何だ? リアス達から聞いたのか?」

 

「ちょっとだけな。けど、俺が主に聞いたのはアザゼル先生からだ。兄貴の能力(ちから)は使い方を少しでも誤れば下手したら死んじまうって事も」

 

「……っ。アザゼルの奴め、余計な事を」

 

 先生に対して舌打ちをしてる兄貴だが、俺は気にせず話を続ける。

 

「この前の会談の時、兄貴は俺が今代の赤龍帝だから師匠となって鍛える事にしたって言ってたけど、死んでもおかしくないほどの激痛に苦しむのを覚悟でやるほどの事なのか?」

 

「何が言いたい?」

 

「俺なりに考えてみたんだけど、今思えば別にそこまでする必要は無かったんじゃないかと思ってな。兄貴は俺と違って頭良いから、俺を鍛えさせる以外の方法もあった筈だ。例えば……赤龍帝の籠手(これ)を絶対に発動させないように封印するとか、俺や両親が悪魔の部長達や三大勢力に極力関わらないよう駒王町から引っ越す、ってな事を兄貴は色々と考えていた筈だ」

 

「………へぇ」

 

 俺の拙い例えを聞いた兄貴は感心するような顔をしていた。

 

「んで、兄貴が色々と考えた結果としては敢えて俺を鍛えるっていう選択をした。いくら俺が弟で今代の赤龍帝だからって、そこまでやる義務なんかない筈だろ? もし俺が兄貴だったら、激痛に苦しんでまで鍛えるなんて事はしてないと思う。けれど兄貴がそんな選択をしたって事は他にも理由があるんだろ? そうでなきゃ、俺は一般人のままで松田や元浜と一緒にバカやってるからな」

 

「………………」

 

「なぁ兄貴、いっそのこと教えてくれよ。一体なんでそこまでして俺を鍛えさせてるんだ? まさかとは思うが、俺を神さまの後継者にさせようって魂胆じゃねぇだろうな?」

 

「ほう? それがお望みなら、俺はお前に神としての心構えを教えるだけでなく、性的な関心を一切失くす為の修行もさせないといけないんだが? 何だったら今からやるか?」

 

「っ! じょ、冗談じゃねぇ! そんなの死んでもゴメンだ!!」

 

 あまりにも恐ろしい事を言う兄貴に俺は戦慄が走りながらも明確な拒否をする。

 

 ってか、性的(エロ)を失くさせるなんて俺に死ねと言ってるようなもんじゃねぇか!

 

「なんだよ。お前が珍しく真剣な顔で問うから、俺はそれに合わせるように答えたのに……少しぐらいはノッてくれよ」

 

 悪戯が成功したように笑みを見せる兄貴。

 

「下手に答えたら兄貴は本気でやろうとするだろうが!」

 

「よく分かってるじゃないか。………とまぁ、そんな冗談は置いといてだ」

 

 兄貴は笑みを浮かべながらも本題に入ろうとする。

 

「確かに俺は色々な選択肢を考えていた。当時の聖書の神(わたし)は一般人として過ごすなら、三大勢力には絶対関わらないと決めていた程にな。けど、転生した後になってそれは無意味な事だと悟ったんだ」

 

「無意味?」

 

「ああ。如何に俺が神だからと言って、全盛期だった頃の力を全く使う事の出来ない弱っちい人間に転生したからな。俺がどんなに上手くやったところで、結局は三大勢力に大きく関わってしまう事になる。だったらいっその事、家族に迷惑を掛けないよう、何年か経ったら姿を消そうと俺は考えていた。当然、家族の記憶も消すつもりでな」

 

 多分だけど、家族を大事にしている兄貴ならではの苦渋な選択だったんだろう。

 

「けれどそう考えていた矢先、お前が今代の赤龍帝である事を知って、俺は更に悩んだ。何れ白龍皇に狙われる弟を見殺しにしてまで姿を消す必要があるのか、ってな」

 

「………………」

 

聖書の神(わたし)の正体を誰にも知られたくない、三大勢力に関わりたくない、赤龍帝となった弟を見殺しにしたくない、自分を大切にしてくれた両親に迷惑を掛けたくない、と言う葛藤の日々を送っていたよ。その結果――」

 

(おれ)や両親を守ろうと決めた、のか」

 

「そう言う事だ。まぁその結果、俺の正体は弟のお前や三大勢力にバレてしまったがな」

 

 パァになってしまったと苦笑しながら両手を軽くあげて嘆息する兄貴だが、それでも自分の選択に間違いはなかったと清々してる様子だ。

 

「もう察してると思うが、俺は何の後悔もしてない。寧ろ、こんな展開になって良かったと思ってるほどだ。そうでなければ今頃、悪魔のリアス達や妹分のアーシアとの出会いが無ければ、三竦み状態だった三大勢力が和平を結ぶ事も無かったからな」

 

 まぁそれでも正体がバレて少し面倒な所はあるが、と兄貴は付け加えながら俺に近寄ってくる。

 

「どうせお前の事だ。自分が赤龍帝になった所為で俺の足枷になってたんじゃないかと考えてたろ?」

 

「うっ……」

 

 俺の額を人差し指でツンと軽く突いてくる兄貴に何も言い返すことが出来なかった。

 

 確かに兄貴の言うとおり、俺はさっきまで少し後ろめたい考えをしながら兄貴に質問してた。つーか、相変わらず俺の考えを見抜いてるな。

 

「そんなもんは大間違いだ。枷だなんて微塵も思ってないどころか、逆にお前を鍛えなければ俺が果てしなく後悔するところだったよ」

 

「………は?」

 

 キョトンとしてる俺に兄貴は気にせず語り始める。

 

「もしもお前みたいな残念ド変態な弟を放っておいたら、学校にいる女子達には多大な迷惑を掛けるだけじゃなく、性犯罪者として警察の厄介になってたかもしれないからな。俺がいなければイッセーは危うく兵藤家最大の汚点になるところだったと考えただけで、選択は決して間違っていなかったと過去の自分を賞賛したよ」

 

「…………」

 

 俺が身体をプルプルと震わせてる事に気づいていない兄貴は更に失礼な事を良い続ける。

 

「今でも矯正出来なくて残念に思ってるが、そのお蔭でこれまでの修行は――」

 

 

 ブチッ!

 

 

「おいコラ、バカ兄貴ぃ!」

 

「うおっ!」

 

 堪忍袋の緒が切れた俺が殴りかかるも、兄貴は即座に躱して距離を取る。 

 

「おいおい、いきなり何のマネだ?」

 

「それは俺の台詞だ!! こっちは真剣に話をしにきたってのに、何で急に俺を罵倒する内容になってんだよ!! 勝手に俺を汚点扱いしてんじゃねぇ!!」

 

「…………確かに罵倒した俺が悪いな。けどさぁイッセー、もし俺がいなかったら、俺の言った罵倒内容を否定する事が出来るのか?」

 

「ぐっ!」

 

 た、確かに言われてみれば否定出来ないかもしれない。

 

「う、うっせぇ! もし仮にそんな事になっても、勝手にいなくなった兄貴にどうこう言われる筋合いはねぇよ!」

 

「否定しないんだな。まぁそこがお前らしいと言うか……」

 

「今度は残念な目で俺を見てるし!」

 

 ここまで来ると俺の怒りはもう上昇する一方だぞ!

 

 よし決めた。今すぐに兄貴のすかした一発ぶん殴る! そうしないと俺の気がすまねぇ!

 

「はぁぁ!!」

 

 

 ドンッ!

 

 

「おおう、数日前と違って闘気(オーラ)がまた一段と上がったな。タンニーンとの実戦修行はかなり良いみたいだな」

 

 俺が闘気(オーラ)を解放して構えても、兄貴は驚いた顔を見せるも慌てる様子は見せなかった。

 

「んで? いきなり戦闘態勢になってどうする気だ?」

 

「んなもん決まってんだろ!? 俺の怒りを兄貴にぶつけるんだよ! シリアスになってた俺を好き勝手に罵倒した罪は重いからな!」

 

「確かにお前の怒りはご尤もだな。良いだろう。予定外だが、少しばかり相手をしよう。俺も自分の力をちょっと試してみたいと思ってたところだ。と、その前に――」

 

 そう言いながら兄貴がパチンと指を鳴らした直後、俺達の周囲が結界で覆われた。前の合宿で、部長達に知られないように使った結界と同じやつだ。

 

「これで余計な邪魔は入らない。さて」

 

「っ!」

 

 兄貴から発する光のオーラが以前と違った。量や質は当然上がってるだけじゃなく、以前見せた神さまの姿で発したオーラに近い。

 

 鍛え直す為に自分も修行すると言ってたけど、たった数日だけでここまで上がるって……兄貴は一体どんな修行してるんだよ。

 

「さぁ始めようか。久しぶりの兄弟バトルを」

 

「くっ、上等だぁ!!」

 

 今更ながらも早まったと少し後悔する俺だが、それでも前より更に強くなった兄貴と戦う事に内心ワクワクした。

 

 んで、兄貴と戦った結果――

 

「ま、参りました……」

 

「思ってた以上に強くなってるじゃないか。残りの修行期間でお前がどれだけ成長してるのかが非常に楽しみだよ」

 

 言うまでもなくボロ負けだよ。

 

 その後に兄貴は俺を治療させ、『明日の修行が始まるまで今日はもうグッスリ寝とけ』と言ってグレモリー家の屋敷へと転送させた。

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