ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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第十一話

「物の試しに考えてやってみたが……これは止めとくか」

 

 分身拳を使った修行を終えた俺――兵藤隆誠は聖書の神(わたし)の姿で新しい技を考案していたが、すぐにオーラを消して中止にした。

 

 完全とは言えないが、修行によって神の能力(ちから)の制御する事が出来るようになった。だから今の聖書の神(わたし)がどれほどの能力(ちから)を使いこなせるのかと同時に、それを利用した技も編み出そうとしたと言う訳だ。

 

 その結果、俺は新しい技を考案して試し撃ちもやろうと思っていたんだが、余りにも強力な技となってしまったのですぐに止めた。これはハッキリ言って試し撃ちなんかで使って良い技じゃないと。

 

 何れ自分と戦う敵に使おうと決めた俺は、技の考案を止めて休憩に専念する事にした。身体を休めるのは大事なことだからな。

 

 そんな中、俺が課したメニューを終えたアーシアから連絡が入った。そろそろグレモリー家の屋敷に戻る時間だと。

 

 リアス達がシトリー眷族と戦うのは八月二十日の予定で、今はまだ八月十五日だが修行期間はもう終了だ。レーティングゲーム前に一度集まり、休息を取る日も決まってるからな。

 

 その他にもシトリー戦の前に魔王主催のパーティーがあり、リアス達を含めた他の若手悪魔やゲストである聖書の神(わたし)や人間のイッセーとアーシアも招待されてるし。

 

 連絡を聞いた俺はアーシアがいる所へ合流し、その後にすぐ彼女を連れてグレモリー本邸前へ転移した。

 

「リューセー兄さま!」

 

 俺が転移して現れた直後、迎えたのは何とミリキャスだった。驚く俺とアーシアを他所に、ミリキャスはこちらに近づいてくる。

 

「まさか君が出迎えてくれるとはな。いつから此処にいた?」

 

「ついさっきです」

 

 つまり、俺達が戻ってくるのを見計らって待機していたって事ね。思わず頭を撫でると、ミリキャスはくすぐったそうにするも、嫌そうな顔をせずに受け入れている。

 

「ミリキャスさまはリューセーさんの事が大好きなんですね」

 

「はい! リューセー兄さまは尊敬してる兄さまですから!」

 

 アーシアの台詞に強く頷くミリキャス。

 

 こうまで俺を尊敬するミリキャスに、他の悪魔達から見たら信じられないと驚愕するだろうな。

 

 一先ず本邸に入り、報告会をやる前に身支度を整えようとアーシアと一旦別れた。ミリキャスは当然俺に付いて来てる。

 

「ミリキャス、良かったら俺とチェスでもやるかい?」

 

「勿論です!」

 

 身支度を終えた俺は、リアス達が戻ってくるまでミリキャスとチェスの相手をした。

 

 流石は次期次期当主と言うべきか、チェスをやってるミリキャスは物凄く真剣で、どうやって俺に勝とうかと必死に考えている。

 

 何事にも真剣に取り組んでいるミリキャスに思わず本気を出して勝ってしまうと――

 

「リューセー兄さま、もう一度お願いします!」

 

 めげる事無くまた勝負しようと懇願してきた。こう言うところは何となく弟のイッセーと似ているな。

 

 

 

 

 

 

 ミリキャスとのチェスを終えた俺はアザゼルやリアス・グレモリー眷族達がいる集合場所(何故かイッセーの部屋となってるが)へ合流した。

 

 因みに俺と同じく外で修行していたイッセー、祐斗、ゼノヴィアはボロボロな格好だった為に一度シャワーを浴びていた。特にゼノヴィアは全身に包帯を巻いていてミイラ女になっていたし。

 

 んで、今は修行の内容を話している。祐斗は師匠との修行顛末で、ゼノヴィアも同様に修行の内容を。イッセーはタンニーンとの実戦バトル+サバイバル生活を。

 

 イッセーの話を聞いた全員が驚いていた。サバイバル生活に関して俺が仕込んだと聞いて納得していたが、問題は実戦バトルの方だった。

 

 何故ならイッセーはあのタンニーンを相手に強烈な一撃を与えただけでなく、更には地を付けさせたからな。リアス達の驚愕を他所に、俺は内心よくやったと賞賛したよ。

 

 ま、その後にタンニーンは更に力を上げてイッセーを死ぬ寸前まで追い詰めていたそうだが。因みにタンニーンとのバトルによって、山の形もかなり変わってて穴だらけになってるようだ。

 

 すると、何かに気付いたようにイッセーが俺の方を見てくる。

 

「おい兄貴、なんか、俺だけ一番過酷な修行だったんじゃねぇか?」

 

「そりゃまぁ、お前があのタンニーンを本気にさせかけたんだからな。と言うかそれ寧ろ表彰ものだぞ。多分だけど、若手悪魔の眷族の中でそんな事が出来たのは今のところお前しかいないと思う」

 

「だな。まさか、タンニーン相手にそんな事をしていたとは俺も驚いたよ」

 

 俺の台詞に頷いたアザゼルも想定外だったようだ。

 

 取り敢えず無事修行をやり遂げたイッセーには約束通りご褒美をあげないとな。限定版エロDVDのついでに、桃園モモの限定版写真集もな。本気にさせかけたタンニーンを相手に生き残ったんだから、ご褒美に色も付けておかないと割に合わないだろうし。後でローズさんに頼んで連絡しておかないと。

 

「ま、そのお蔭もあってか体力や実力がかなり向上しただけじゃなく、龍帝拳も20倍近くまで使えるようになったようだな」

 

「そうでもしなきゃ、タンニーンのおっさん相手にやってられねぇよ」

 

 確かに。更に欲を言えば禁手(バランス・ブレイカー)にも至って欲しかったがな。

 

 龍王クラスのタンニーンとのバトルで、もしかしたらイッセーが禁手(バランス・ブレイカー)に至るんじゃないかと少しばかり期待していた。けれどそうならなかったって事は、余程の劇的変化が必要のようだ。

 

「とまあ、俺からの報告は以上で――」

 

「おいイッセー、もう一つ報告する事があるんじゃねぇか? おまえ、修行期間中にリューセーと会って手合わせしてたろ」

 

「………え?」

 

 アザゼルからの思わぬ台詞にイッセーが不意を突かれたように少し固まった。

 

「何だアザゼル、気付いていたのか? 相変わらず目聡いな、お前は」

 

「そりゃ聖書の神(おやじ)の息子だからな」

 

 顔を顰めながら言う俺に、してやったりみたいな感じで返すアザゼル。

 

「イッセー、私だって隆誠先輩と手合わせするのを我慢していたのに……!」

 

「イッセーくん。いくらリューセー先輩の弟だからって、それはちょっとルール違反じゃないかな?」

 

「いやいや、手合わせつっても、そうなったのは兄貴が俺を罵倒したのが原因で……」

 

 不満があると言わんばかりに、ジロリと睨むゼノヴィアと恐い笑みを浮かべている祐斗にタジタジとなってるイッセー。

 

 ったく。アザゼルが余計な事を言った所為で、ゼノヴィアと祐斗がご立腹になってるし。二人には後で手合わせの確約をさせないといけないようだ。

 

「はいはい、取り敢えず報告会は終了だ。明日はパーティだから、それまでゆっくり休むように。以上で解散だ」

 

 一先ずは俺の宣言で報告会は終了した。

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 

 分身拳の修行によって疲労が蓄積され続けた結果、身体がもう限界と言わんばかりに睡眠を欲していた。神の能力(ちから)を制御出来るようになったとは言え、疲労まではどうする事も出来ない。

 

 今日は早めに寝て、いつも以上に睡眠を取ろうと思っていた矢先、ミリキャスが俺の部屋に入ってきた。自分と一緒に寝たいんだと。因みに母親のグレイフィアさんから許可を貰ってるそうだ。

 

「ふわぁ……こうして一緒に寝るのはあの時以来だな」

 

「あの時はイッセー兄さまも一緒でしたけどね」

 

 以前に冥界でミリキャスを保護してた時、建てたテントでイッセーと一緒に雑魚寝していた事があったからな。多分それを思い出したんだろう。

 

 因みにそのイッセーは元教会コンビのアーシアとゼノヴィアと一緒に部屋で寝ている。イッセーから聞いた話だと、あの二人は広いベッドが落ち着かないらしい。

 

 特にアーシアは二週間以上もイッセーと離ればなれになった事により、修行中の間は寂しそうな顔をしていた。今頃はイッセーに甘えるように抱き付いて眠っているだろうな。

 

 リアスもリアスでイッセーと一緒に寝たかったと思うが、流石に実家でそうする訳にはいかないから、今は一人でイッセーを思いながら寝てる筈だ。まぁアイツの事だから、兵藤邸へ戻ったらその分を取り戻すかのように毎日イッセーと寝ようとするだろうな。

 

「リューセー兄さま。修行が終わったと聞きましたけど、暫くは家にいるんですか?」

 

「どうだろう。もしかしたら向こうから会談とかの参加要請で呼び出しを受けるかもしれないから、ちょくちょく魔王領に行く事になると思う」

 

 俺は三大勢力の協力者になってるので、要請を受けたら断る訳にはいかないからな。それでも面倒なもんは面倒なんだけど。

 

 返答を聞いたミリキャスは寂しそうな顔をしてるので、いつものようにまた頭を撫でる。

 

「ま、明日の夕方までは何も予定はないから、それまでは一緒にいるよ」

 

「本当ですか!? じゃあ明日はイッセー兄さまも一緒に――」

 

 嬉しそうに明日の予定を言うミリキャスに、俺は眠そうにしながらもちゃんと聞いていた。

 

 けれど流石に身体の限界が来たのか、俺は意識が遠のいてそのまま眠ってしまう。因みに翌日目覚めた時には、ミリキャスがスヤスヤと眠りながらも俺に引っ付いていた。




今回はミリキャスがメインの話でした。
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