ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
「あ、あの時は――」
「あ~謝罪はいいから。それはついさっき君のご両親から受け取ったからさ」
俺と会ったレイヴェルは以前の件について謝罪しようとするも、俺がすぐに必要無いと遮る。
「へ? お、お父さまとお母さまにお会いしたのですか?」
「ああ、その時に色々と聞かせてもらったよ。ライザーが
「ッ! べべ、別に私は赤龍帝に惚れてなんかいませんわよ! 大体何で私が下等な人間相手と結婚なんて――」
「おや? 俺は
「んなっ!」
指摘された途端、少し顔を赤らめているレイヴェルは墓穴を掘ってしまったかのように更に赤くなった。分かりやすい子だ。
「やっぱりイッセーに惚れてるじゃないか。ま、レーティングゲームの時にあんな口説き方をされたら、誰だって惚れちゃうからねぇ。強い男なら尚更、ね」
「で、ですから私は! いくらあなたが聖書の神だからって、言って良い事と悪い事がありましてよ!」
「因みにイッセーから渡された白いハンカチはどうした?」
「え? ああ、それは今も大切に持ってて……って何を言わせますの!?」
うわぁ、この子イッセー並みにからかい甲斐があって面白いな。
本当ならもっとからかいたいけど、これ以上は不味いので止めておくとしよう。
「悪い悪い。ちょっとおふざけが過ぎたな。謝るよ」
「………ふ、ふん! 分かればよろしいんですの!」
相手が
「それより、聖書の神であるあなたが何故お一人でここにいらっしゃるのです? 赤龍帝やリアスさま達と一緒ではないんですの?」
話題を変えたかったのか、レイヴェルは俺に質問してくる。
「フェニックス家のご両親から別室で話があると言われて、アイツ等より早く此処へ来たんだ。んで、ご両親とお話が終わったから先に此処へ来たって訳だ」
今はまだ別室でフェニックス夫妻VSグレモリー夫妻によるイッセー争奪戦の真っ最中だし……と、今のレイヴェルに教える訳にはいかないな。
「あと少ししたらイッセー達が来ると思うから、コレを機に会いに行ったらどうだ?」
「な、何で私が赤龍帝に会わなければいけないんですの!?」
「そのハンカチを持ってきてるって事は、偶然を装ってイッセーに返すつもりだったんだろう?」
「うっ……!」
俺の推測が図星だったのか、また顔を少し赤らめるレイヴェル。本当に分かりやすい子だな。
「あ、あなたがいらっしゃるのですから、これは赤龍帝に返しておいて――」
「お? イッセー達が来たぞ」
「ッ!」
俺にハンカチを渡そうとするレイヴェルだったが、イッセーが来たと聞いた瞬間に身体をビクッと振るわせた。
『おおっ』
大勢の悪魔たちは登場したリアスを注目し、簡単の息を漏らしていた。
よく見るとリアスたち女性陣は西洋のドレスを身に纏って見目麗しい姿となっている。お~お~随分と美人な姿になってるねぇ。リアスや朱乃は今まで以上の美人な姿となってる。
ゼノヴィアは着慣れてない様子だけど、充分にお嬢様で通じるな。小猫は一回り小さなドレスだが、恐らくロリコンの元浜が見たら暴走するのは確実だ。
そして何より……アーシアが凄く可愛い! 恥ずかしげにしてるけど、凄くドレスが似合っている! 今すぐ写真を撮りたいほどに!
それと……何でギャスパーまでドレスを着てるんだよ。多分アイツの事だから着たかったんだろうが、男がソレを着てどうすんだよ。まぁ似合っているから何とも言えないが……女装癖もここまでくれば大したもんだよ。ま、今は大勢の視線によってイッセーの背中に引っ付いてるけど。
お、どうやらソーナ達も一緒のようだ。ソーナやシトリー眷族の女性陣もドレスアップしてて中々可愛らしい姿となってるな。
ん? ソーナの近くにいる匙が何やら意気消沈した様子だが……何が遭ったんだ? ま、俺にとってはどうでもいいけど。
「おいレイヴェル、イッセーが来たんだから、それを直接本人に渡したらどうだ?」
「で、ですから私は……!」
否定するように言うレイヴェルだが、さっきからチラチラとイッセーの方へと見ている。それとあの時の事を思い出したのか、急にモジモジと可愛らしい仕草をする。
そんな中、リアス達に多くの悪魔達が挨拶をしようと声を掛け始める。眷族候補であるイッセーにも。
サーゼクスから聞いた話だと、伝説のドラゴンであり神の弟がリアスの眷族になった事は有名らしい。けれどまだ正式な眷族でない事も知ってるから、場合によっては自分の眷族にならないかと勧誘する上級悪魔もいるかもしれないと言ってた。
ま、あのリアスがイッセーを誰かに渡すつもりなんて微塵もないのは断言出来る。それに加えて、グレモリー家がそんな事を見逃す訳もない。イッセーを婿に迎え入れようとしてるグレモリー家なら尚更な。
その証拠にいつの間にかフェニックス夫妻とグレモリー夫妻がリアス達とは別の所で、他の上級悪魔達に何やら牽制をしている様子だ。恐らくは両家のイッセー争奪戦を一時休戦にしたんだろう。
取り敢えず俺は俺で、レイヴェルにイッセーと対面させるとしよう。別にフェニックス家の味方をしてる訳じゃないんだが、少々ヘタレ気味になってるレイヴェルをどうにか素直にさせたいし。尤も、今は挨拶周りをしてるイッセー達に声を掛けるのは難しいから、それまではレイヴェルの可愛らしい仕草を観察しながら料理を楽しむ事にするか。
☆
「ほら、今がチャンスだから行くよ」
「わ、分かってますわ!」
料理を一通り食べ終えた俺はフロアの隅っこにいるイッセーとアーシア、ギャスパーが座っているのを見てレイヴェルに行くぞと促す。
因みにあの三人は上級悪魔達の挨拶が一段落し、今はグッタリとした感じで椅子に座っている。リアスと朱乃と祐斗は未だに談話しているがな。
イッセー達はこの手のパーティーは初めてだから、ああなるのは無理もないな。寧ろよくやれたと褒めてあげたい位だ。
けれど時々、アーシアの可愛さに声をかけてくる男性悪魔がいたな。悪魔の世界でもアーシアの可愛さが通じるのは分かったが、邪な理由で手を出そうとしたら
俺がレイヴェルの背中を押しながら移動してる中、イッセー達はゼノヴィアが器用に持ってきた料理や飲み物を受け取って口にしている。
すると、イッセー達は気付いたのか俺達に視線を向けてくる。
「よっ。挨拶周りお疲れさん。アーシアにゼノヴィア、そのドレス似合ってるぞ。ついでにギャスパーも」
「「あ、ありがとうございます!」」
「何で僕はついでなんですかぁ!?」
俺の賛辞に礼を言うアーシアとゼノヴィアとは別に、納得行かないように突っ込むギャスパー。
そんなやり取りを他所に、イッセーがしかめっ面で俺を見る。
「おい兄貴、今まで一体どこにいたんだよ……って、おまえは――」
「お、お久しぶりですわね、赤龍帝」
「焼き鳥野郎の妹じゃないか」
おいおい弟よ、会って早々にその呼び方はないだろうが。
「誰が焼き鳥ですか! レイヴェル・フェニックスです! まったく、これだから下等な人間は頭が悪くて嫌になりますわ」
あ~あ、レイヴェルがぷんすか怒っちゃってるよ。けれど、イッセーが声を掛けられる前まで物凄く緊張していたから、ある意味良かったかもしれないな。
「悪かったな。で、何でウチの兄貴と一緒にいるんだ?」
レイヴェルに俺がいる理由を尋ねてきたので、代わりに答えようとする。
「ここで食事する直前にこの子と会ったんだ。何でもお前に大事な話があるそうだぞ」
「俺に大事な話?」
「りゅ、リューセーさま! 一言余計ですわ!」
俺の発言にレイヴェルは顔を赤らめながら声を荒げる。
因みにレイヴェルには俺の呼び方を『聖書の神』から『リューセー』と呼ぶように言っておいた。
取り敢えず二人で話をするように、俺はイッセーとレイヴェルを少し離れさせるように促す。イッセーは不可解そうに、レイヴェルは俺を少し睨んでいたが。
そして二人が話を始めると、俺は次にアーシアに話しかけようとする。
「アーシア、かなり疲れてるようだけど大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫ですぅ……。ところでリューセーさん、レイヴェルさんはイッセーさんに何のお話があるんですか?」
そっちが気になるのか、アーシアはイッセーとレイヴェルの方へ視線を向けながら問う。
「以前のレーティングゲームについてだよ。イッセーがゲーム中の際、彼女にハンカチを渡してたからソレを返したいんだと。ほら、今渡してるだろ?」
「ハンカチ、ですか?」
顔を赤らめながらイッセーにハンカチを渡してるレイヴェルに、アーシアはジッと見続けている。ゼノヴィアとギャスパーも同様に。
イッセーとレイヴェルが話し込んでる中、見知った女性悪魔が二人に話しかける。確か彼女はライザーの眷族の一人で『
彼女に話しかけれたレイヴェルはイッセーに一礼をして去っていく。察するに誰かに呼ばれた感じだな。
イザベラはイッセーと軽く話した後に俺を見て、ペコリと頭を下げて去っていった。
そして話を終えたイッセーは腑に落ちない様子を見せながらコッチへ近づいてくる。
「どうだった? レイヴェルとのお話は」
「どうつっても……。この前のハンカチを返してもらって、ライザーの現状とか、トレードの事とか、呼び方を赤龍帝じゃなくて『イッセー』で良いって話したぐらいだ」
ほほう、それはそれは。あ、そう言えばライザーは今どうなってるのかを聞いてなかったな。
「因みにライザーはどうなってるんだ?」
「今もかなり塞ぎこんでるんだと。どうやら俺と部長に負けた事が相当ショックだったらしい。それと兄貴が神さまだと知った後、メチャクチャ後悔してたみたいだ。挙句の果てにはご両親からも大目玉喰らって、今はもう抜け殻同然だってさ」
「あれま」
予想はしてたが、まさかそこまで酷い状態になっているとは。そうなるとライザーの今後が不安になるな。
ライザーはアレでも有望悪魔の一人なので、いつまでもそんな状態でいたら色々と面倒な事になる。
そうならないよう、俺とイッセーが何れフェニックス家にお邪魔して、ライザーを復活させる必要があるな。
「なぁ兄貴、もしかして俺達がライザーを何とかしねぇと不味くねぇか?」
俺と似たような考えをしていたイッセーが訊いてくる。
「そうだな。機会があれば――」
問いに答えてる最中、俺の視界に小さな影が映る。それは小猫だった。
何やら急いでパーティ会場から出ようとしてる。その表情はかなり深刻なものだ。あの様子から察するに、何か嫌な予感がするな。
――おい兄貴、小猫ちゃんが。
――分かってる。すぐに追うぞ。
同じく小猫の異変に気付いたイッセーが目で訴えてきたので、俺はすぐに頷く。
一先ずアーシアとゼノヴィアとギャスパーには適当な理由を付けて此処で待つように指示し、俺とイッセーはすぐに小猫の後を追った。
小猫が向かった先はエレベーターで、それに乗って降りていく。
隣にあるエレベーターの扉が運良く開いたので、俺とイッセーはそれに乗り込んだ。すると、俺達の後に誰かがエレベーターに乗ってきた。振り返った先には――やはりリアスだった。
「二人とも、どうしたの? 急に血相かえて」
「え、えっと……」
「小猫が何かを追うように飛び出していったのを見てな」
言うのを迷ってるイッセーに、代わりに俺が正直に答えた。流石に小猫の主であるリアスにまで黙っておく必要はないからな。
「なるほど、小猫が気になったのね。分かったわ、私も行く」
「それは構わないが……。にしてもリアス、お前よく俺やイッセーがエレベーターに乗り込むのを分かったな。さっきまで他の悪魔達と談笑していたのに」
怪訝に思う俺にリアスはニッコリしながらこう答える。
「私は常にイッセーの事を見ているんだから」
「…………何か段々お前が危険に思えてきたな」
「どう言う意味よ!?」
いや、だってさぁ。常にイッセーを見てるって事はつまり、もうそれはストーカーの領域に入りかけてるんですけど。
イッセーからしたら自分を見ていることに喜んでいるんだろうが、俺は少し不安になってきたよ。