ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
シトリー眷族とのゲーム決戦前夜。
俺やリアスたち眷族一同(イッセーとアーシアも加えて)はアザゼルの部屋に集まり、最後のミーティングをしていた。
美猴や黒歌の襲来もあったが、俺たち兄弟とタンニーンで追い払った事で決着はつき、現在はもう事件について落ち着きつつある。
今回の件で悪魔側は俺たち兵藤兄弟に大きな借りが出来た。本来は悪魔側で対処しなければならないのを、人間側の俺たち兄弟がやったからな。尤も、殆どは弟のイッセーの活躍して、俺はリアスと小猫を守りながら見物してただけだが。
それによって悪魔側の面子が丸潰れになるところだったが、俺は敢えて手柄を救援に来たタンニーンに全て譲る事にした。俺たち兄弟や、リアスと小猫を救出する為に美猴と黒歌を追い払ったって事で。タンニーンは納得行かない顔をしていたが、面子を気にする貴族悪魔達の事を察し、渋々と言った感じで受け入れた。
悪魔のタンニーンがテロリスト達を撃退したと言う事で収束させる事に、悪魔側(大半は貴族悪魔達)は何とか面子を保つ事が出来てかなり安堵していた。現場にいたリアスや小猫、事情を知ってる四大魔王は物凄く呆れていたけど。因みに他のリアス眷族である朱乃達も事情を知ってる。
とまあ、襲撃も落ち着いたので、今はゲーム前のミーティングをしてるって訳だ。俺は早速イッセーに確認しようとする。
「イッセー、この前は急な実戦だったが、龍帝拳はどの程度まで使える?」
「取り敢えずは十倍までなら問題無い」
「十倍か。ま、ギリギリ合格ラインだな」
十倍と聞いたリアス達が驚愕の表情を浮かべる。アザゼルは興味深そうにイッセーを見てるけど。
「それ以上は無理なのか?」
「一応更に上げる事は出来る。だけどその分、身体の負担がでかくなっちまう。タンニーンのおっさんと修行してた時に二十倍使ってみたけど、今の俺じゃどうやっても二分が限界だ。それを越えたらもう身体が動けなくなっちまう」
「二分は厳しいな。まぁ更に修行すれば制限時間は延びるだろうが、今のところはその二分で勝負が決まるな。ハッキリ言って、実戦じゃ大博打みたいなもんだ。相手が二分耐えたり、逃げ切られでもしたらお前の敗北は即確定だ。もし二十倍を使うとするなら、もう後が無いって時の最終手段にしておけ。その二分間で、お前の勝敗が決まる」
「ああ、そうするよ」
敢えて厳しい事を告げる俺に、イッセーは何の反論もしなかった。
イッセーはそれなりに実戦を積んで分かっているから、俺の言葉を重く受け止めてるからな。
「とは言え、今回のゲームで
「まぁ、やるだけやってみるよ」
前にも言ったが悪魔上層部の通達により、今回のゲームでイッセーは
「アザゼル、俺の確認は以上だ」
「はいはい」
取り敢えず確認を終えた俺がパスすると、アザゼルはリアスに問おうとする。
「リアス、ソーナ・シトリーはグレモリー眷族の事をある程度知っているんだろう?」
アザゼルの問いにリアスは頷きながら答える。
リアスの話だと、ソーナはイッセーやアーシアを含めたグレモリー眷族全員の主力武器を認識しているようだ。フェニックス家との一戦を録画した映像も見ていたらしい。更にはギャスパーの
対してリアスはソーナやシトリー眷族数名の能力は知ってるようだが、残りは一部判明してない能力者が不明らしい。
因みにシトリー達の数全部で八人。リアス達と同様に、向こうも全部の駒は揃ってない。数は互角だが、ソーナに情報をかなり知られてるリアス達の方が不利だ。
リアスからの話を一通り聞いたアザゼルは、既に用意したホワイトボードにペンを使って書き始めながら説明しようとする。
簡単に言うと、リアス達のタイプを区分けだ。リアスと朱乃はウィザードタイプ。祐斗はテクニックタイプ。ゼノヴィアと小猫はパワータイプ。アーシアとギャスパーはサポートタイプ。そしてイッセーはパワータイプだが、ギフトも出来る事によってサポートタイプにも向いてる。
更にはパワータイプと相性の悪いテクニックタイプとの説明もされた。テクニックタイプの中でも厄介な部類――カウンター使いを。パワー特化型のイッセーやゼノヴィアには最悪な相手だからな。
ゼノヴィアがカウンター系のテクニックタイプは力で押し切ると勇ましい事を言うも、アザゼルがダメ出しついでの理由を告げられた事に黙ってしまう。言い返さないって事は、何か思い当たる節があったんだろうな。するとアザゼルは次にイッセーに視線を向ける。
「イッセー、おまえ、今回は
「……少なくともノーマル状態のままで、
へぇ、珍しい事もあるもんだ。あのイッセーが祐斗に対してかなり高評価だな。最初は祐斗の事を『気に食わない』とか『イケメンは嫌いだ』とか言ってたけど、オカ研入部による付き合いもあって、それなりに認めているようだ。祐斗も祐斗でイッセーに褒められたと思ってるのか、少し照れてるし。
アザゼルもイッセーを珍しそうに見ながらも笑みを浮かべている。
「木場をそこまで認めてるとは意外だったな。確かにイッセーの言うとおり、木場はカウンター攻撃もいける口だ。カウンター使いの対策に関してはリューセーから一通り教わってるだろうが、それでも戦いの相性ってのがあるからな」
確かに。もし機会があれば今後の参考として、イッセーに祐斗と模擬実戦バトルをやらせてみるのも良いかもしれないな。
俺が内心そう思っていると、アザゼルはリアスに言う。
「リアス、ソーナ・シトリーの眷族にカウンター使いがいるとするなら、間違いなくイッセーにぶつけてくるかもしれないぞ? こいつの最大攻撃であるドラゴン波じゃ、カウンターで跳ね返されたら一発アウトだ。よーく、戦術を練り込んでおけ」
「確かにそうだけれど、相手が女性なら可能性は……低いわ」
……あ~。確かに低いな。俺とした事がすっかり忘れてたよ。
イッセーが疑問に思ってると、すぐに答えが出てきた。
「……
「うぐ!」
小猫からの鋭い一言にイッセーは思い出したように、何かがグサッと突き刺さったように苦しそうな声を出す。同時にリアスも無言で頷いているし。
イッセーがライザー戦でのゲームで
けれど今回みたく最低限の安全が保障されてるゲームとなると、ギャグ的な展開が起きる可能性が充分にある。イッセーの場合だと、
それにしても、小猫は調子を取り戻しつつあるようだ。先日まではコンプレックスもあって、日常の会話に混ざろうとしなかったからな。黒歌達の襲撃中に俺が説教して更に塞ぎがちになるかと思っていたが、どうやらその心配は無さそうだ。
「ところでイッセー、美猴たちの襲来ではタンニーンが撃退したことになってるが、おまえも加わっていた事はソーナ・シトリーが姉のセラフォルーを通して知っている。十分に気をつけたほうが良い。
確かにアザゼルの言うとおりだな。ソーナはそこら辺の上級悪魔と違い、イッセーを下等な人間だと侮らないどころか、物凄く警戒している。アイツもサイラオーグと同様にイッセーの実力を認めているからな。
「もうついでに俺からも警告しておく。イッセー、ソーナには
「会長に使うなって……。まぁ確かに嫌われると思うから不用意には使わないけど、何でそんな真剣な顔で言うんだ?」
「じゃあ後々の事を考えてみろ。もしソーナに
「え? セラフォルー様が………」
イッセーはセラフォルーがどうするかを考えた数秒後、見る見るうちに顔が青褪めていく。予想出来たようだな。セラフォルーがイッセーに何をするのかを。
どう予想してるかは大体想像付くが、俺が考えるとなると――
『イッセーくん! 私のソーナちゃんを辱めた罪は重いんだからぁ!!』
『ぎゃぁぁぁぁぁ~~~!!! 誰か助けてくれ~~~~!!!!』
魔法少女姿のセラフォルーが泣きながら、龍帝拳を使って全力逃走中のイッセーに特大級の連続魔力弾が当たるまで撃ち続けてるだろう。挙句の果てには、イッセーを巨大な氷に包まれたオブジェにするかもしれない。
セラフォルーの事を知ってるリアスや眷属数名も予想していたのか――
「イッセー、リューセーの言うとおり、絶対ソーナに
「場合によっては、私たちも連帯責任としてセラフォルーさまに氷漬けにされてしまいますわ」
「イッセーくん、僕からもお願いする。絶対やらないようにしてね」
「……もしやったら、恨みますから」
「ぼ、僕はまだ死にたくないですぅ!」
リアス、朱乃、祐斗、小猫、ギャスパーがそれぞれイッセーに向かってそう言った。
因みにアーシアとゼノヴィアはセラフォルーについて余り知らないので、揃って首を傾げている。アーシアはセラフォルーがシスコンなのは知ってるけど、過激な事をするのは知らないからな。後でゼノヴィアと一緒に教えておくとしよう。
「ま、そういうこった。セラフォルーも流石に魔王としての立場は分かってるだろうが、それでも絶対にやらないとは言い切れないからな。イッセー、頼むからやらないでくれよ」
「分かってますよ。俺だって命捨ててまでやろうなんて事はしませんから」
念を押してくるアザゼルに頷くイッセー。ここまで言えば流石のドスケベなイッセーでも絶対にしないだろう。
「ま、ソーナだけに限らず、他のシトリー眷族達にも言える事だけどな。ソーナ達の中で
「勘弁してくれ! 男が男を素っ裸にさせたら変な誤解されるだろうが! いくら兄貴の命令でも、俺は男相手に絶対やらねぇからな!」
物凄い反応で拒絶してくるイッセーに、俺は内心確かにと思ってしまった。もし駒王学園にいる女子達に『イッセーが匙を素っ裸にさせた!』と言う内容を知ったら、確実に変な方向へ誤解するだろう。
これ以上は不味いと思ったのか、アザゼルは
その後、俺とアザゼルが抜けたメンバーで決戦の日まで戦術を話し合う事となった。
就寝前。
俺は部屋にイッセーとアーシアを密かに呼んでいた。因みにアザゼルやリアス達には内緒で。
「寝る前に突然呼んで悪かったな。明日は本番だが、大丈夫か?」
「問題ねぇよ。いつも通りだ」
「が、頑張ります!」
俺の問いにイッセーは問題無さそうに答えるが、アーシアは未だに緊張してるようだ。
「結構。さて、二人には前以てコレを渡しておく。いざと言う時に使え。これらの使い方だが――」
俺はイッセーとアーシアに、それぞれ渡した物についての解説を始めた。
イッセーとアーシアに渡されたのは次回以降に判明する予定です。