ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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第十九話

 決戦当日。

 

 グレモリーの居城地下にゲーム場へ移動する専用の巨大な魔法陣がする。

 

 リアスたち眷族一同はその魔法陣に集まり、もうすぐ始まるゲーム場への移動に備えていた。

 

 因みに服装は駒王学園の夏の制服だが、アーシアとゼノヴィアだけは違った。アーシアは前回のゲームと同様にシスター服、ゼノヴィアは教会用の戦闘服だ。二人はソレを着てる方が気合が入るようだ。もうついでに、シトリー側も駒王学園の制服らしい。

 

 グレモリー夫妻、ミリキャス、アザゼル、そして俺が魔法陣にいるリアス達に声を掛ける。

 

「リアス、改めてお前の力を見せてもらうぞ。今回も勝ちなさい」

 

「人間のイッセーさんばかり頼らず、次期当主として恥じぬ戦いをしなさい。眷族の皆さんもですよ?」

 

「がんばって、リアス姉さま! イッセー兄さまも!」

 

「まあ、今回教えられる事は教えた。あとは気張れ」

 

「頑張れよ、お前達。特にイッセー、神器(セイクリッド・ギア)がなくてもやれるってところをお偉方に見せてやれ」

 

 この場にいないのはサーゼクスとグレイフィアさんだが、既に要人専用の観戦会場へ移動済だ。そこには三大勢力の首脳陣だけじゃなく、他の勢力からのVIPも招待されている。この前会ったオーディン達も。因みに俺とアザゼルも、この後その会場に移動する予定だ。

 

 そして地面に描かれてる魔法陣が光を発すると、リアス達はゲーム場へと転移した。

 

「さて、俺たちも行くぞ、リューセー」

 

「了解っと」

 

 アザゼルが観戦会場へ向かう為の転移術を使おうとしてると、ミリキャスが俺に近づいてくる。

 

「本当はリューセー兄さまと一緒に観戦したかったんですが……」

 

「はは、また今度な」

 

 残念そうな顔をしてるミリキャスの頭を優しく撫でた後、転移の準備が出来たアザゼルに近くと俺達は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 アザゼルの転移術で観戦会場に到着すると、三大勢力や他勢力の首脳陣が集まっていた。

 

 各首脳陣が見てる中、天使勢が挨拶をしようとしてきたので、俺は即座に挨拶は不要だと片手でジェスチャーする。

 

 俺の意図が伝わった天使勢が再び席に座ってると――

 

「リューセー!」

 

 他勢力の首脳陣の一人が俺の名を呼びながら急接近して抱きつこうとしていた。

 

「って、何で避けるのよ!?」

 

 ヒョイっと躱すと、俺に抱きつこうとしていた亜麻色髪の美女――女神フレイアが抗議してくる。他の首脳陣達が驚くように俺達を見てるよ。

 

「フレイヤ、頼むから公式の場でそんな事はしないでくれ。俺は立場上『三大勢力の協力者』なんだからさ」

 

「これ、フレイヤ。さっさと席に戻らんか」

 

 俺がフレイヤを窘めてると、北欧の主神――オーディンが呆れた顔をしながら此方に近づいて来た。

 

「え~、私はリューセーと一緒が良いんだけど~」

 

「冥界へ行く前に約束した筈じゃ。公の場で迷惑を掛けることはしない、とな。この前は見逃したが、これ以上ワシやリューセーに恥を掻かせるのであれば、即刻ヴァルハラへ戻ってもらうぞ」

 

「う……」

 

 オーディンが睨むように言うと、駄々を捏ねていたフレイヤが痛いところを突かれたように後ずさる。

 

 そう言えば黒歌たち襲撃後の報告時にオーディンが言ってたな。フレイヤが迷惑を掛けない事を条件に冥界へ来たって。

 

 確かにそう言った条件を付けないと、周囲から何を言われてもフレイヤはずっと俺の傍にいるだろう。一応フレイヤは北欧女神の一人だから、立場上としてソレは不味い。

 

「ヴァルハラに戻りたくなければ、早く席に戻れ」

 

「うう~~……リューセー、後でね」

 

「はいはい」

 

 やっと折れたフレイヤが渋々と言った感じで席に戻った。彼女が戻った事に俺とオーディンが揃って嘆息した。

 

「すまんのう、リューセー」

 

「いえいえ」

 

 俺に謝罪をした後、オーディンはすぐにフレイヤの後を追うように席に着こうとする。

 

「おいリューセー。この前から気になってたんだが、何でフレイヤはお前にベタ惚れなんだ?」

 

「前にイッセーと一緒にヴァルハラへ行った時、ちょっとな」

 

 さっきまで呆れるように見ていたアザゼルが問うと、俺は軽く済ませながら指定の席へ座ろうとする。

 

 アザゼルと同時に席に着くと、近くにいたサーゼクスが苦笑していた。

 

「いやはや、女神フレイヤは大胆なお方と言うか……」

 

「そこは敢えて触れないでおいてくれ」

 

 ちょっとしたプチ騒動が静まると、グレモリー眷族とシトリー眷族がゲーム場に着いたのを確認したグレイフィアがアナウンスしようとする。

 

「皆さま、この度はグレモリー家、シトリー家の『レーティングゲーム』の審判役を担うこととなりました、ルシファー眷族『女王(クイーン)』のグレイフィアでございます」

 

 以前にもグレイフィアがやってたけど、今回は使用人じゃなくサーゼクスの眷族としてやっているな。ま、前回の非公式と違って今回は正式な『レーティングゲーム』だからな。当然と言えば当然だ。

 

「我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせて頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします。今回のバトルフィールドは――」

 

 グレイフィアが両陣営や観戦者達に説明を始める。

 

 ゲーム会場は駒王学園の近隣にあるデパートを模して作った異空間。そのデパートは駒王町に住んでる住民が利用してるので、人間の俺やイッセーは勿論、悪魔のリアスやソーナ達も当然知っている。

 

 駒王町のデパートは二階建てで高さ的には大した事はない。けれど、一階二階と吹き抜けの長いショッピングモールとなって、横面積がかなりのものだ。屋上は駐車場、そのほかにも立体駐車場も存在している。

 

 グレイフィアの説明で、デパート内にいる両陣営が転移された場所が『本陣』のようだ。リアス達が二階東側、ソーナ達が一階西側だと。因みに『兵士(ポーン)』が『プロモーション』をする際、相手の『本陣』まで赴くことだと。互いにデパートの端だから位置としては公平だろう。

 

 更に特別ルールもあるようだ。陣営に資料が送られているようだが、観戦側にも用意されている。資料の中身は、『バトルフィールドとなるデパートを破壊尽くさないこと』だと。早い話、ど派手な戦闘はやるなと言う意味だ。因みに回復品の『フェニックスの涙』は両チームに一つずつ支給されてる。

 

 資料を読んだ俺は内心舌打ちをした。今回のゲームはリアスや朱乃やゼノヴィア、そしてイッセーにとっては不利な戦場であるからだ。その四人は知っての通り効果範囲の広い攻撃を使うから、それらの攻撃手段を封じられたも同然だ。

 

 更に最悪な事もある。これはもうリアスに周知済みだが、ギャスパーの『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』はイッセーの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』と同様に使用禁止されている。理由は単純明快。ギャスパーはイッセーと違って使いこなせていないからだ。ゲーム主催側が、目による暴走でゲームの全てが台無しになったら困るんだと。因みにギャスパーにはアザゼルが開発した封印用の眼鏡を装着させる事となってるから暴走の心配は無い。

 

 イッセーとギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)使用禁止、範囲攻撃によるデパート破壊はNG。それらの条件で、リアスたち眷族一同の攻撃力が半減されて不利になってるも同然だ。逆にソーナ達はリアス達の攻撃力が封じられてる事によって、かなり有利になっている。

 

 ここまでリアス達に不利な条件を付けられるなら、イッセーの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の使用禁止』は初めから必要無いんじゃないかと思ってくるぞ。ただでさえデパートが破壊出来ない条件があると言うのに。最早これは仕組んでるんじゃないかって疑いたくなるぞ。

 

 ……ま、よくよく考えてみれば、レーティングゲームは単純にパワーだけで勝てる訳じゃない。バトルフィールドやルールによって戦局は一変し、力が足りない悪魔でも知恵次第で勝つ事が出来るからな。それ故に冥界や他勢力の間で流行ったゲームだ。

 

 今回行うゲームではリアス達にとって不利なルールだが、それをこなす事が出来なければゲームに勝ち残る事なんか出来ない。レーティングゲームの元来はチェスだから、基本ルールで『兵士(ポーン)』でも『(キング)』は取れる。早い話、『やり方次第で誰でも勝てる可能性がある』って事だ。

 

 それにある意味、イッセーにとって良い修行にもなる。力を抑えた状態で、周囲の物を壊さずに屋内戦でどこまでやる事が出来るか。タンニーンの修行で力の調節なんかしてないと思うが、それでも闘気(オーラ)のコントロールは俺が以前から教えてるから大丈夫だろう。

 

 さて、今回のレーティングゲームは一体どんな結果になるのやら。あとイッセーとアーシア、俺が渡したアレをどんな場面で使うかはお前達の判断次第だよ。

 

 

 

 

 

 

 どうも、兵藤一誠です。ここからは兄貴に変わって……って、何言ってるんだか俺は。

 

 ゲーム場について三十分間の作戦会議が終わり、ついさっきまでフロアに集まって開始時間を待っていた。その後はグレイフィアさんのアナウンスでゲームスタートし、今は部長の指示で人数を分断して行動開始してる。

 

 今回は俺とアーシアと小猫ちゃん、祐斗とゼノヴィアで二手に別れている。俺達が店内からの進行で、祐斗達は立体駐車場を経由しての進行。ギャスパーは複数のコウモリに変化しての店内の監視と報告。そして進行具合によって、部長と朱乃さんが俺側のルートを通って進む事になってる。

 

 本当だったらアーシアも部長達と行動させる予定だった。けれど、この前の修行で兄貴が課した修行の内――自衛スキルを身につけたから、俺達と一緒に行動する事となった。尤も、アーシアから俺達と行動するって言い出したんだよな。

 

 アーシアの予想外の発言に、俺だけじゃなく部長達も驚いてたよ。あのアーシアが自分からあんな事を言うなんて、みたいな感じで。ま、俺としても回復役のアーシアがいてくれたら心強いのでOKしたけどな。何故か部長からちょっと睨まれたけど。

 

 因みに俺は神器(セイクリッド・ギア)が使えないことにより、今回のゲームでは陽動として動く事となってる。オフェンスのメインは祐斗とゼノヴィアだ。俺が陽動の仕事を終えた後、後はあの二人に任せるって寸法だ。ノーマル状態の俺より攻撃力が高いからな。

 

 そして現在、俺とアーシアと小猫ちゃんは物陰に隠れながら、長い一直線のショッピングモールをゆっくりと進んでいる。この店内は走ると響くから、相手に距離を測られてしまう。それ故にゆっくりと進んでいる。

 

 ある程度まで進み、自販機の陰に隠れて俺達は前方の様子を伺っていた。

 

 姿は見えないが、真っ直ぐ向かってきているのはオーラで分かっていた。それも二人。その内の一人のオーラは俺がよく知ってる奴だ。

 

 すると、隣で小猫ちゃんが――なんと猫耳を頭に生やしていた。これがさっき聞いた猫又モードか!

 

 猫耳がピコピコと動いてる! 更には尻尾まで生やしてる! もうこれは殺人的な可愛さだよ! もし元浜が見たら確実に暴走するぞ! アーシアもアーシアで、「わぁ、可愛いですぅ」って言うような目で見てるよ!

 

 余りの可愛さに興奮してる中、小猫ちゃんは遥か先に指をさして言う。

 

「……イッセー先輩はもう気付いてると思いますが、真っ直ぐ向かってきている者が二人います」

 

「へぇ。猫又になって相手の気を探れるのか?」

 

「……はい。仙術の一部を解放していますから、気の流れでそこそこ把握出来ます。まだイッセー先輩ほどじゃありませんので、詳細までは分かりませんが」

 

「いやいや、俺の探知は小猫ちゃんが思ってるほど万能じゃないから」

 

 俺はあくまで相手のオーラを探知するだけで、遠くで何をしてるかまでは分からないからな。

 

 一人は何度も話してる事によってオーラの質は分かってるんだが、もう一人は全然分からない。兄貴だったら把握してるだろうけど。

 

「どうしますか、イッセーさん?」

 

「……私はイッセー先輩の判断に任せます。戦闘経験はイッセー先輩が上ですから」

 

「え? 良いの?」

 

 俺が確認するように問うと、アーシアと小猫ちゃんは揃ってコクンと頷いた。小猫ちゃんって戦闘に関しては結構信頼してるんだな。

 

 けれど、俺は今どうしようか迷ってる。このままのペースで進んだら十分以内で確実に鉢合わせてしまう。それまでに考えるとしても、余りにも時間が足りない。俺は兄貴と違って、策とかすぐに思いつかないからな。

 

 となれば、俺のやる事はただ一つ。もし向こうから奇襲でも仕掛けられたら、真正面で対抗するしかない。

 

「そんじゃ、隠れて進むのは性に合わないから堂々と行きますか。こっちでどうこう考えるより、向こうから何か仕掛けてくると思うし。小猫ちゃん、俺が先に行くからアーシアを頼む」

 

「……分かりました」

 

「イッセーさん、お気をつけて」

 

 そう言って俺は自販機の陰から出て堂々と姿を現して進み――

 

「おい(さじ)! 来てるのは分かってる! もういい加減に出てきたらどうだ!?」

 

 此処へ来てる二人の内の一人――(さじ)(げん)()(ろう)を名指しする。前方の天井を見上げながら。

 

 俺の声に反応したのか、天井へ一直線に伸びるロープ――否、ラインだ。ターザンみたいなロープ使いで天井から降って来たのは――

 

「――だったら出てきてやるよ、兵藤!」

 

 誰かを背中に乗せた匙が、膝蹴りの体勢のまま俺目掛けて攻撃を仕掛けてきた。

 

 来るのが分かっていた俺は慌てる事無く、開いた手を匙に向けて伸ばしたまま闘気(オーラ)弾を放つと――

 

「えっ! ちょっ! そこはガードするんじゃ――」

 

 

 ドォォオオオオンッッッ!

 

 

 待ったをかけようとする匙を無視するように、闘気(オーラ)弾は命中し爆発。そして匙ともう一人はそのまま落下していった。

 

 いくら戦闘バカな俺でも、あんな丸分かりな奇襲攻撃をバカ正直にガードなんてしねぇよ。




 やっとシトリー戦に入りました。

 自分で言うのもなんですけど、相変わらずのダラダラ感が抜けてませんね。
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