ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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今回は短いのでフライング投稿しました。


第二十三.五話

 俺――兵藤隆誠はイッセーの脱落を見て嘆息していた。

 

「これはこれは。まさかご自慢の弟君がルールを破って脱落とは」

 

「いけませんなぁ。こちらが課したルールを守って頂かなければ困ります」

 

「まぁ、致し方ありますまい。いかに赤龍帝が強いとはいえ、精神の方が未熟なのですから」

 

「そう考えると、ソーナ・シトリーが一枚上手だったという事ですな」

 

 イッセーが脱落した事に、悪魔側の重鎮達が好機と言わんばかりな感じで呟き始めた。しかも俺に聞こえるように。

 

 呆れた連中だ。さっきまでイッセーが匙をドラゴンカリバーで倒したのを見た直後、俺に向かって『あんなのは反則だ』とか『ルール違反だ』とか喚いていたのに。その時は俺が――

 

『イッセーに「赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)以外の武器を使ってはいけない」、と言うルールでもありましたか?』

 

『ぐっ……!』

 

 ――と言って黙らせた。予想してた通り、奴等は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)さえ封じれば問題ないと思い込んでいたようだ。今回のゲームでその考えは甘かったと認識して何も言わなくなったが、時々俺を睨んでいたけど。

 

 しかし、それが逆転するようにソーナがイッセーを脱落させた為、悪魔側の重鎮達が息を吹き返した感じで俺に嫌味を言ってきた。

 

 立場が変わった途端強気に出てくる連中の姿勢に、俺は内心呆れまくったよ。まぁ向こうからすれば、非公式とは言え前回あったゲームで人間のイッセーが大活躍していたから、それが今回脱落したとなれば気分も良くなるだろう。今回のゲームで払拭出来たんだからな。尤も、連中の行動に四大魔王が俺を見ながら非常に申し訳無さそうな顔をしていたけど。

 

 他の勢力の重鎮達がどう思っているかは知らないが、少なくとも北欧勢のオーディン達は馬鹿馬鹿しいような目で悪魔側を見ていた。フレイヤは何か言いそうだったけど、オーディンが咄嗟に彼女の口を手で塞いでいる。アイツは公の場でも思った事を平然と口にするからな。

 

 まぁ、それはそれとしてだ。今回のゲームでイッセーの弱点が発覚したな。イッセーが直情な性格で挑発に乗りやすい相手だと言うことを。『実力で勝てないなら、挑発による誘導で(トラップ)を仕掛けて倒せばいい』と頭の切れる観戦者達の誰かはそう考えているだろう。

 

 今後はイッセーに精神統一の修行も本格的にやらせる必要がありそうだ。でないと、ソーナの挑発によって考えなしで行動するかもしれないし。

 

聖書の神(おやじ)、俺はイッセーの戦いを見てておもしろかったぜ」

 

「お気遣いどうも」

 

 近くにいたアザゼルが俺にそう言ってきた。言うまでもなくアザゼルはオーディン達と同様の考えだから、こうして俺のフォローをしている。

 

「あのお偉方はイッセーがさっきまでどんだけ凄い事をしてたのかを全く理解してないな。神器(セイクリッド・ギア)を使ってた悪魔の匙を丸腰でも伸してたってのに。普通に考えりゃ表彰もんだぞ」

 

「連中からしたら過程より結果を重視しているからな。イッセーがどんなに頑張っても負ければそれまで、って考えなんだろう」

 

 もしもイッセーが正式な転生悪魔になってれば、掌を返すように褒め称えていると思うけどな。……と、そろそろゲームの方を見ないと。

 

 イッセーの脱落にリアス達が今後どう動くかが気になる。アイツ等もまさかイッセーが脱落するなんて予想外だろう。だが、ここで気落ちしているようでは勝てる戦いも勝てなくなる。

 

 特にリアス。ここから先はお前の『(キング)』としての器が試される事になる。イッセー抜きでもやれるって所を見せなければ、お前の程度が知れるぞ。

 

 と、最後まで試合を見届けた試合の結果は……一先ずはリアス達の勝利で幕を下ろす事となった。

 

 各個人の結果としてはこうだ。

 

 

 ギャスパー……監視中に嫌いなニンニクを使われて捕獲され即行リタイヤ。

 

 ゼノヴィア……真羅の神器(セイクリッド・ギア)による反射攻撃で深手を負いつつも、祐斗との連携でシトリー眷族の『戦車(ルーク)』と『騎士(ナイト)』を撃破後にリタイヤ。

 

 イッセー……『兵士(ポーン)』の匙を撃破後、ソーナの挑発により禁止されていた赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を解放した事に強制リタイヤ。

 

 小猫……戦術で『兵士(ポーン)』を撃破後、アーシアを守りながら『僧侶(ビショップ)』撃破。

 

 朱乃……イッセーが脱落した事で逆鱗に触れたのか、雷光の力を解放。それを見た『僧侶(ビショップ)』が反転(リバース)を使ったが、未熟だった為に雷光をまともに食らって撃破。けれどイッセー脱落による代償の所為か、怒りで我を忘れて暴走状態。

 

 祐斗……ゼノヴィアとの連携後、彼女から借りたデュランダルを使って『女王(クイーン)』に傷を負いながらも撃破。

 

 アーシア……俺が渡したアイテムを使う場面が無く、回復要因としてリアスを補佐。

 

 リアス……屋上にいる『(キング)』のソーナと一騎打ち。俺のバンド付き修行によってか、無数の魔力弾を五段階以上の圧縮を可能にし、見事にソーナを撃破。

 

 

 以上、今回のゲームでリアス・グレモリーと眷属達が残した結果だ。

 

 俺の個人的な見方だが、今回の功労者は『騎士(ナイト)』の木場祐斗。アイツはグレモリー眷族の中で一番に頑張っていた。

 

 祐斗は隠しているつもりなんだろうが、俺は偶然目撃してしまった。前回のライザー戦が終わった後、誰もいない旧校舎の教室で悔し涙を流していた祐斗を。けれど他にもあった。禁手(バランス・ブレイカー)に至ってもコカビエルに通じなく、ヴァーリとの戦いにも参戦出来なかった事も。それらの出来事があった後、祐斗は同じ教室で悔し涙を流していた。

 

 加えて、リアスの本当の『騎士(ナイト)』で守るべき筈なのに、眷族候補である『兵士(ポーン)』のイッセーがその役割を行っていた。祐斗は小猫と違って劣等感を抱いてはいないが、『騎士(ナイト)』としての本来の役割をイッセーがやっている事に自身の不甲斐なさを痛感していたみたいだ。

 

 アザゼルからコッソリ聞いたが、祐斗は剣術の修行を一から徹底的に鍛え直したらしい。本当に一からで、剣の基本を再び始めてたそうだ。

 

 夏休み前に俺が祐斗に、『才能の無いイッセーが強くなったのは、今もやっている地道な修行を続けているからだよ』と教えた。多分だが、それを聞いた祐斗は一から鍛え直したんだろう。今の剣術と禁手(バランス・ブレイカー)に至っただけでは一生イッセーに勝つ事が出来ないと。

 

 ご褒美とは言い難いけど、人間界に戻ったら祐斗には少し多目に修行時間を作るとしよう。それを祐斗が了承するかどうかは別だが、多分即行でOKするだろう。

 

 それと功労者の祐斗とは別に……ギャスパーには今後の為、是非ともニンニクを克服してもらおうか! あんな情けない結果を見せられた所為で、俺とアザゼルは少しばかり居た堪らなかったよ! アイツは俺が直々に手を下してやる! 人間界に戻ったら覚悟しておけ、ギャスパー!




イッセー脱落後の話を書くとダラダラ感が出てしまうので、敢えてすっ飛ばしました。
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