ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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プロローグが短かった分、いつもより長めに書きました。


二十五話

 夏が明け、既に新学期――二学期に突入だ。

 

 始業式もとっくに終えて、現在の駒王学園は九月のイベント、体育祭の準備へと入っていた。

 

 非常に如何でもいい事だが、この時期になると“ある出来事”があった。

 

 それはクラスメイトに大胆なイメージチェンジをしているからだ。イッセー曰く夏デビューと言うやつだそうだ。

 

 夏休みを境に今までの自分とは別人のように見違えている者がいる。去年や一昨年に比べるとその数は少ないが、それでも今年もそれらの者達がいた。

 

 男の場合、髪を美容院で仕立て上げ、女の場合は今時のギャル風にスタイルを変えている。

 

 分かりやすく言えば、今まで地味で冴えなかった者達がイメージを新たに二学期を迎えようとすると言う訳だ。

 

 俺はそれを去年や一昨年、クラスメイト達の変わりようを見ていたが、別に何とも思わなかった。面白い変化と感じてる程度だ。

 

 考えてみてくれ。いくら人間に転生して、今は一端の男子高校生になってると言っても、中身は嘗て天界の長だった聖書の神(わたし)だ。そんな聖書の神(わたし)がクラスメイト達みたいにチャラチャラした格好をしてみろ。周囲が聖書の神(わたし)に対するイメージが、百八十度変わるどころか幻滅されるのは確実だ。まぁ、人間に転生した事で性格が結構変わった事で、向こうが抱いていたイメージは既に変わってるがな。

 

 聖書の神(わたし)は既にイメージチェンジしてるも同然だ。だから今になって更に外見も変えようだなんて気は無い。尤も、それは三大勢力側に関する事だから、日常生活の兵藤隆誠には関係の無い事だが。

 

 そんな中、俺が今朝に自宅の空中庭園で栽培してる植物の経過をノートに書いていると、近くにいた女子のクラスメイト達の会話が聞こえた。

 

「ねぇ、年下の彼氏出来たって本当なの? もしかして前から狙っていたあの子?」

 

「え、ええ。二年の吉田君が、私に告白してきて……」

 

 おうおう、内のクラスメイトの女子も青春してるねぇ。お幸せに。

 

「そう言えば、兵藤君の弟がいるクラスの大場くんに彼女が出来たそうよ」

 

「あ、それ私も知ってる! 私の後輩の一年が夏休み中に彼と……しちゃったみたい♪」

 

『キャー!』

 

 コラコラ。恋バナはいいけど、そう言った余計な事まで公開するんじゃない。プライバシーの侵害に該当するぞ。

 

 女子達にああ言った情報が知れ渡ってるって事は、恐らくイッセー達も知ってるかもな。今頃は猛烈に嫉妬して毒を吐いてるだろう。松田や元浜と一緒に。

 

 そう言えば今更だけど――

 

「小猫にも好きな男が出来たんだよなぁ……」

 

『なにぃっ!?』

 

 あっ、しまった! 思わず口からポロッと出ちまった!

 

 今更口を塞いでる俺だが既に遅く、聞きつけた多数の男子クラスメイト達が一気に押し寄せてきた。

 

「おい兵藤! 今の話は本当なのか!?」

 

「我が学園のマスコットアイドル、塔城小猫ちゃんに好きな男が出来ただと!?」

 

「相手は誰だ!?」

 

「そう言えばお前、エロ弟と一緒にオカ研総出で合宿に行ってたみたいだな!」

 

「もしやその時か!? まさかとは思うが……お前じゃないだろうな、兵藤!?」

 

 一斉に詰め寄ってくる男子クラスメイト達。有無を言わさない迫力だ。ってかお前等、近いから少し離れてくれ!

 

 今のコイツ等に『小猫が出来た好きな男は俺の弟のイッセーだ。言っておくが嘘じゃなくて事実だ』と言ったらどうなるだろうか? まぁそんなのは考えるまでもないだろう。最初は嘘だと叫びまくった後、真実だと知った瞬間にイッセーを殺しにいくと思う。もうついでにソレを聞いた松田や元浜も加わって。特に元浜が嫉妬に狂いまくって悪鬼羅刹となるだろうな。イッセーから聞いた話だとロリコンみたいだし。

 

「え、えっとぉ~、それについては――」

 

「ちょっと待って兵藤くん! それについては私たちからも訊きたい事があるわ!」

 

「え?」

 

 どうやって誤魔化そうかと考えてると、突然女子のクラスメイト達も俺に詰め寄ってきた。

 

「木場くんは!? 木場くんはどうなの!?」

 

「夏休み中、木場くんに恋人が出来たのか是非とも教えて!?」

 

「相手は誰なの!?」

 

「まさか相手は……もしかして貴方の弟のエロ兵藤!?」

 

「そういえば、夏休み前からエロ兵藤が木場くんを名前で呼んでることがあったわ!」

 

「もしそうなら絶対に木場くん×エロ兵藤のカップリングは譲れないわ!」

 

 何だかなぁ~。女子の質問の内容が途中からおかしな方向に変わってるから答える気が無いんですけど。

 

 男子はともかく、どうして女子の方は同性愛に持って行きたがるんだ? こればっかりは聖書の神(わたし)も分からん。

 

 それはそうと、今のクラスメイト達に俺が何を言っても変な方向に誤解すると思う。その所為でオカ研に迷惑が掛かってしまう恐れがある。なのでクラスメイト達に申し訳ないが、ちょっとした暗示を掛けておこう。俺が答えた内容に少し疑念を抱くも信用する、と言った後遺症の無い簡単な暗示をな。

 

 そう決めた俺は密かに指を鳴らす仕草をするも――

 

「お、おい! 大変だ!」

 

 突然、クラス男子の一人が急いで教室に駆け込んでくる。いきなりの事にクラスメイト達だけでなく、暗示を掛けようとしていた俺も手を止めた。

 

 ソイツは友人から渡されたミネラルウォーターを一口飲み、気持ちを落ち着かせると、教室にいる全員に聞こえるように告げる。

 

「兵藤のエロ弟がいるクラスに転校生が来る! しかも美少女だ!」

 

 一拍明けると――

 

『えええええええええええええええええええええええっ!』

 

 俺を除くクラス全員が驚きの声を上げていた。

 

 あ、そう言えば前にミカエルから連絡があったな。駒王学園に転校生としての使者を送ってくるって。名前は俺やイッセーがよく知っている――。

 

 

 

 

 

 

「紫藤イリナさん。あなたの来校を歓迎するわ」

 

 放課後の部室。俺を含めたオカルト研究部メンバー全員、顧問のアザゼル、ソーナが集まり、転校生としての使者――紫藤イリナを迎え入れていた。如何でもいいが、イッセーの膝の上に小猫が座っている。もうあれは小猫の定位置になっているようだ。

 

 ついでにソーナは部室に入って俺と目が合った瞬間、すぐにサッと顔を逸らした。あの時の事を未だに気にしてると言ったところか。説教したと同時に上層部が勲章を与えた真実も教えたんだから、未だに気持ちの整理が付いていないんだろう。そう考えると、今の彼女に話しかけるのは止しておこう。

 

「はい! 皆さん! 初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方の方が多いですね。紫藤イリナと申します! 教会、と言うより天使さまの使者として駒王学園に馳せ参じました!」

 

 自己紹介するイリナに、部員全員がパチパチパチと拍手を送る。

 

 連絡があったミカエルからの話では、天界側からの支援メンバーとして派遣するとの事だ。確かに此処は悪魔と堕天使のみしかいなく、天使はいないからな。言っておくが今の聖書の神(わたし)は人間側なので天使側に入らない。それでも天界からのバックアップは受けてはいるがな。

 

 イリナが「主への感謝~」とか「ミカエルさまは偉大で~」と急に始めた。俺達は苦笑しながらも聞いてあげたよ。

 

 久しぶりに会ったが、相変わらず信仰心が強い子だ。すると、イッセーがコッソリと耳打ちをしてくる。

 

(なあ兄貴。イリナは目の前にいる兄貴が転生した神だって事を知らないんだよな?)

 

(ああ、それについては心配ない。既に――)

 

 俺がイッセーに教えているのを他所に、アザゼルが容赦のない確認をしてきた。

 

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死と同時に、その神が転生した人間――兵藤隆誠であるのを知っているんだろう?」

 

「ちょ、ちょっと先生ぇぇぇぇっ! いきなり、それは不味いでしょう!」

 

 即座に突っ込むイッセーだが、アザゼルは嘆息するだけだった。

 

「アホか。ここに来たと言う事は、そう言うのを込みで任務を受けてきた筈だ。いいか? この周辺の土地は三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つだ。協力者の聖書の神(おやじ)がいる事で尚更な。つまりここに関係者が来ると言う事は、ある程度の知識を持って足を踏み入れている事になる」

 

「そう言う事だ。同時にミカエルはイリナが俺の幼馴染である事を知ったうえで、彼女を此処へ派遣させたんだよ」

 

 アザゼルと俺の言葉にイリナも頷く。

 

「もちろんです、堕天使の総督さま、リューセーくん。安心してイッセーくん。私はリューセーくんが人間に転生した主である事を既に認識しているの」

 

「ま、マジか……」

 

 急に拍子抜けしたような感じで言うイッセー。

 

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが隆誠先輩に対して何の罪悪感も抱かずにここへ来ているとは」

 

「俺としては、そうしてくれた方が非常に助かるよ。前のゼノヴィアみたく土下座なんてされたら――」

 

 ゼノヴィアと俺の言葉の後、一拍開けて、急にイリナの顔がこの世の終わりみたく真っ青になった。

 

 その直後に彼女は俺に向かって思いっきり頭を地面にぶつけ、土下座をしながら叫んだ。

 

「今までの主に対する数々の暴言とご無礼は本っっっっっっ当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁっ!!! 心の支え! 世界の中心! あらゆるものの父に対して私はとんでもない事を仕出かしてしまいましたぁぁぁ!! ミカエルさまから真実を知らされた時、あまりの衝撃にクリスチャンにとって大罪である自殺までやろうとしましたぁぁぁぁ!! ああああ、主よ! 今までまことに、まことに申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!!」

 

 ああ、結局こうなっちゃうのね。聖書の神(わたし)また頭痛くなってきたよ。

 

 取り敢えず前のゼノヴィアと同様に説得する事にした聖書の神(わたし)だが、イリナは中々にしぶとく懺悔を続けていた。聖書の神(わたし)はもう気にしてないって言ってるんだが、イリナとしては今まで目の前に尊敬する相手がいた事に、全く気付かなかった自分が許せないらしい。

 

「わかります。リューセーさんが主だった事に私も気付きませんでしたし」

 

「わかるよ。私も時々、隆誠先輩を見て非常に申し訳ない気持ちになってるからな」

 

 アーシアとゼノヴィアがうんうんと頷きながら、俺を見ながらそう言っていた。

 

「あのさぁ二人とも、そんな事はしなくていいから、取り敢えずイリナをどうにかしてくれないか?」

 

「「は、はい!」」

 

 俺のお願いにアーシアとゼノヴィアは未だに土下座しているイリナに優しく話しかける。

 

 何とかイリナを立ち上がらせると、急に三人はガシッと抱き合う。

 

「アーシアさん! この間は魔女だなんて言ってゴメンなさい! ゼノヴィアにも別れ際、酷い事言ったわ! 本当にゴメンなさい!」

 

 イリナの謝罪にアーシアもゼノヴィアも微笑んでいた。

 

「気にしてません。これからはリューセーさん……ではなくて、同じ主を敬愛する同志、仲良く出来たら幸いです」

 

「私もだ。あれは破れかぶれだった私も悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会出来て嬉しいよ」

 

『ああ、主よ!』

 

 コラコラ、三人揃って俺を見て祈るな。今の聖書の神(わたし)に祈っても意味ないっての。………でもまぁ、これはこれで和解って事になるから今回だけ見逃すか。色々と事情があったが、お互いのわだかまりが消えそうなのだから俺も嬉しいよ。とは言え、毎回俺に祈ってたら流石にちょっとばかり怒るけどな。

 

 もうついでに、イリナには普通に接するよう命じておかないとな。

 

「取り敢えずイリナ、俺の事は今まで通り幼馴染の兵藤隆誠として接してくれ。いきなりの事に抵抗はあるだろうが、聖書の神(わたし)からの勅命だ。良いな?」

 

「は、はい! 主からの御勅命、しかと承りました! では……じゃあリューセーくん、これからもよろしくね♪」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」

 

 見事な切り替えだ。こう言うところはゼノヴィアと違って優秀だな。流石は俺の幼馴染。

 

「それはそうと、おまえさんはミカエルからの使いってことで良いんだよな?」

 

 アザゼルからの確認にイリナが頷く。

 

「はい、アザゼルさま。ミカエルさまはここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました。主であるリューセーくんがいらっしゃるのに、現地にスタッフがいないのは大問題だ、と」

 

「ああ、そんな事をミカエルが言っていたな。ここには天界、冥界の力が働いている訳だが、実際の現地で動いているのはリアスとソーナ・シトリーの眷族、俺を含めた少数の人員、そして聖書の神(おやじ)だ。まあ、それだけでも充分機能しているんだが……」

 

「ま、アザゼルも知ってのとおり、ミカエルは律儀なところがあるからな。天界側からも現地で働くスタッフがいた方がいいって言ってたし。本当だったら聖書の神(わたし)の護衛をさせようとミカエル率いるセラフ数名や上位の天使達を送りたかったんだろうが、それは絶対やるなと厳命したからな。それでも天使側のスタッフを送ろうと、俺の幼馴染であるイリナに白羽の矢が立ったって訳だ」

 

「はっ。聞こえはいいが、どうせミカエルの事だ。俺が聖書の神(おやじ)に何か仕出かさないかの監視役として、コイツを送ったんじゃねぇのか?」

 

 相変わらずと言うべきか、アザゼルはミカエルに対しては辛辣だねぇ。尤も、それはミカエルにも言える事だが。

 

「あ、それにつきましては、ミカエルさまからアザゼルさまに伝言があるとのことです。『アザゼル、聖書の神(ちちうえ)に不埒な行為をしたら我々が黙っていませんので』だそうです」

 

「ちっ。また以前のミカエルに戻ったようだな」

 

 ミカエルからの伝言に舌打ちをしながら悪態を吐くアザゼル。

 

 もし聖書の神(わたし)の代わりで長を務めていなければ、今頃アイツは此処に来ていただろうな。アザゼル曰く、当時のミカエルは聖書の神(わたし)至上主義だったし。

 

 そう思っていると、イリナはふいに立ち上がった途端、祈りのポーズをする。また祈るなと言おうとした直後、パァァァァと彼女の身体が輝き、背中からパッと白い翼が生えた。

 

 あれは天使の翼だ。まさかあれは……。

 

 突然の変化に全員驚くが、アザゼルは顎に手をやりながら、冷静にイリナに訊く。

 

「――紫藤イリナと言ったか。おまえ、天使化したのか?」

 

「天使化? それってつまり、転生悪魔の天使バージョンみたいなもんですか?」

 

 不可解に思ったイッセーが訊くと、アザゼルは頷く。

 

「そんなところだ。だが、実際には今までなかった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われていたが……」

 

「ま、人間が悪魔や堕天使に転生する方法はあるんだから、天使だけが出来ないって訳じゃない。恐らく向こう側の技術を天使側に転用したってところだろうな」

 

 考え込むアザゼルに俺が推測すると、イリナがすぐに頷いた。

 

「ええ。ミカエルさまの祝福を受けて、私は転生天使になったの。リューセーくんの言うとおり、なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いてた技術を転用してそれを可能にしたと聞いたわ」

 

 当たりか。参内勢力が協力態勢になると、技術の改良速度がかなりアップしてるな。

 

「転生天使になれるって事は、もしや冥界側の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』と似たシステムもあるのか?」

 

 俺の問いにイリナが少し驚いた顔をする。

 

「そこに気付くなんて流石はリューセーくんね。リューセーくんの言うとおり、四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれ、(エース)からクイーン、トランプに倣った配置で『御使い(ブレイブ・セイント)』と称した配下を十二名作る事にしたの。カードで言うキングの役目が主となる天使さまとなるわ」

 

 イリナの話にアザゼルが興味深そうに聞いていた。コイツはこう言う関連の話が大好きだからな。

 

「成程な。ミカエル達は面白い物を開発しているじゃないか。悪魔がチェスで、天使はトランプか。聖書の神(わたし)は一度死んだ為に、純粋な天使を誕生させる能力(ちから)はもう失ったからな。それを補おうとするミカエル達は流石だ。ふっ。父親として鼻が高いよ」

 

「それ、ミカエルさまが聞いたら絶対に感激してると思うわ」

 

 だろうな。以前に俺が謝罪の抱擁をしただけで感涙してたし。

 

 俺とイリナの会話を余所に『御使い(ブレイブ・セイント)』について考えていたアザゼルが何かに気付いた顔をする。

 

「そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。十二名も十二使途に倣った形だ。全く、楽しませてくれるぜ、天使長さまもよ」

 

 くくくとアザゼルは楽しげに笑いを漏らしていた。コイツは相手の裏を読むのが好きなんだよな。

 

「それで、イリナはどの札なんだ?」

 

 イッセーは気になっていたのか、イリナにそう尋ねると、彼女は胸を張って自慢げに言う。

 

「私は(エース)よ! ふふふ、ミカエルさまのエース天使として光栄な配置を頂いたのよ! もう死んでも良い! 主に対する気持ちは今も変わらないけれど、私はミカエルさまのエースとして生きていける事でも充分幸せなのよぉぉぉっ」

 

 ほほう。どうやらイリナはミカエルに対しての忠誠心が物凄く高いようだ。あ、イリナの左手の甲に「(エース)」の文字が出てる。

 

「……兄貴、どうやらイリナの新たな人生の糧はミカエルさんのようだな」

 

「ま、ずっと俺を敬い続けるよりは良いよ。あの子がああやってミカエルのもとで仕事に励んでいた方が良いと俺は思う」

 

 すると、イリナは俺達へ楽しげに告げる。

 

 どうやらミカエルが、異種戦として『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』と『御使い(ブレイブ・セイント)』のゲームも将来的に見据えているらしい。その内、セラフ以外の上位天使にも『御使い(ブレイブ・セイント)』のシステムを与え、レーティングゲーム同様競い合って高めていきたいようだ。

 

 それを聞いたアザゼルが面白そうだと感心している。代理戦争を用意する事でお互いの鬱憤を競技として発散させる事が出来るんだと。尤も、それが実現するのは十年か二十年後の話だがな。ま、その時にはイッセーやアーシアは正式な悪魔になってるのは確実だ。未来の話とはいえ、ソーナも祐斗も興味津々みたいだし。ギャスパーは複雑な顔をしているけど。

 

「そういえば、イッセーくんとアーシアさんって、まだ人間のままだよね? 確か二人の立場上ってリューセーくん――主の側近なんでしょ? 教会の私からしたらすっごく羨ましいけど、転生天使になったほうがいいんじゃないの?」

 

 そう提案してくるイリナだが――

 

「生憎、イッセーとアーシアはリアスの眷族候補で悪魔になる予定だから無理だよ。アーシアだったら問題ないけど、イッセーがずっと天使のままでいられると思うか? 俺でさえ手を焼くほどのドスケベなイッセーが」

 

「…………ゴメン、リューセーくん。私が間違ってたわ」

 

「おい待て! それはどう言う意味だぁ!?」

 

 俺が無理な理由を告げるとすぐに納得してくれた。怒鳴ってくるイッセーを無視して。因みにアザゼルやリアス達もうんうんと頷いている。

 

「あ、待てよ……。イッセー、ものの試しに天使化してみろ? 本当にすぐ堕ちるかどうか見てみたい」

 

「こらアザゼル、堕天使化させたイッセーをさり気なく自分の配下にしようって魂胆だろ?」

 

「そんな事は私が許さないわよ、アザゼル。候補とは言え、イッセーは私の眷族なんだから!」

 

 アザゼルの魂胆を見抜いた俺が言うと、空かさずリアスが阻止するよう抗議してくる。

 

 ま、今はそんな事よりも今日はイリナの歓迎会をしないとな。




今回は原作の流れと大して変わりません。
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