ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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二十六話

 イリナが転校してから数日が経った。

 

 イッセーから聞いた話だと、彼女はもう既にクラスに融けこんでいる様だ。持ち前の明るさのおかげで男女問わず人気も高いらしい。ま、俺もそうなる事を大体予想していたがな。

 

 ついでにイリナも兵藤家に住む事になった。豪邸と化した我が家に、一人追加したところで大して問題ないからな。

 

 しかしまぁ、まだ余裕があるとは言え、最近は我が家の男女比率に結構差が出てきた。言うまでもなく女子の入居率が増えてるからな。

 

 男性陣は俺、イッセー、父さん。女性陣はリアス、アーシア、朱乃、ゼノヴィア、小猫、イリナ、母さん。男三人で女七人だ。

 

 イッセーの奴は最初『我が家に美少女がいっぱいで理想の住まいだ!』とか言ってた。けれど、日が経って行くにつれて段々現実を見始めてきたようだ。

 

 例えば、もう教会組トリオと化しているアーシア、ゼノヴィア、イリナの三人が集まってガールズトークをし始めた時を考えてみたら分かる。そこに男が会話に入り込むなんて出来るだろうか? もしそこで更に小猫が入り込んだら、完全に男が割り込めるスペースなんてない。更にはリアスと朱乃もガールズトークしていたら、そこにも割り込むスペースなんてない。それを知ったイッセーはショックを受けていたよ。

 

 けど、女性陣の半分以上はイッセーに惚れているから、アイツが話しかけてきたら直ぐに受け入れるだろう。それに気付かないイッセーは相も変わらずニブい奴だ。

 

 別にそれだけが家での生活ではないので、あくまでガールズトークをしてる場合の話だ。イッセーは普段から女性陣と仲良く過ごしている。時には卑猥な展開も起きてる事もあるし。それが行き過ぎて女のバトルになる時があるので勘弁して欲しいがな。

 

 ま、その他にイッセーは女性陣がガールズトーク中に大抵俺の部屋へ遊びに来る。その時に修行は勿論の事、ドラハンやそれ以外のゲームをやって過ごしている。

 

 そう言えば突然だが、我が家は地下三階まである。地下一階は広いスペースで道場などのトレーニングルームがあったり、映画鑑賞会も出来て、更には大浴場も設備されている。地下二階は丸々室内プールで温水も可。地下三階は書庫と倉庫だ。

 

 何でそんな話をするのかと言うと、その地下一階にあるトレーニングルームを使ってイッセーの修行相手をしているからだ。今までは影武者の人形を使って、コッソリと広い場所で修行していたが、今はそんな事をする必要がない。これに関してはグレモリー家に感謝だ。まぁ流石に本格な実戦式バトルの修行は外でやるけどな。

 

 次は学園についてだが、現在体育祭に向けての準備をしている。昨日に誰が何の競技をするのか決めており、今日は学園全体で体育祭の練習だ。昨日家で聞いたが、弟のイッセーはアーシアと二人三脚のようだ。それを聞いた俺は少し不安に思った。アーシアに密着してるイッセーが練習中に良からぬ事をするんじゃないかと。仮にそうなったら………アーシアは大好きなイッセー相手なら受け入れるだろうから問題無いか。

 

 そんな中、放課後に部室でリアスからの報告があった。有望な若手悪魔のレーティングゲーム戦で、リアス達が次に戦う相手が。

 

 彼女からの報告を聞いた俺は一気に不機嫌になったよ。理由は……アーシアに不届きな行為を行ったディオドラ・アスタロトが次の相手だったから。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「イッセー、お前さっきから何やってんだ? 変な顔しては頭を振ったりの繰り返しをしてるんだが……」

 

「あ、いや、ちょっとな。アハハハハ……」

 

 翌日の放課後。部室にオカ研が集まってる際、既に到着しているイッセーがおかしな行動をしていた。

 

 余りにも不気味な行動に不安に思った俺が尋ねるも、イッセーは答えようとはしない。オセロをしているアーシアとゼノヴィアを見た途端にああなってるから、何か遭ったのは大体分かる。恐らく卑猥的な何かだ。

 

 答えたくないなら別に構わないんだが、出来れば不気味な行動はしないで欲しい。兄の俺としては流石に見過ごせないし。

 

 すると――

 

「……いやらしい顔ですね」

 

「いたひ、いたひよ、こねこちゃん」

 

 半眼無表情で小猫がイッセーの頬を引っ張った。因みにイッセーの膝の上に座っている。イッセーの膝上はもう小猫の定位置と言うより特等席だな。

 

 あの光景を見てると、一軒家だった頃に泊まりに来たサーゼクスがグレイフィアさんに頬を抓られた時の事を思い出す。以前の小猫は突っ込みだけで済ませてるのに、イッセーに好意を抱いてからはヤキモチ屋さんとなったようだ。俺から見たら微笑ましい光景だ。

 

「皆、集まってくれたわね」

 

 部員全員集まった事を確認したリアスは、記録メディアと思われる物を取り出した。

 

 若手悪魔の試合記録だとリアスが言った後、巨大なモニターが用意される。アザゼルがその巨大モニターの前に立って、他の若手悪魔達の試合記録を見るようにと、俺を除く部員達は真剣に頷いた。

 

「まずはサイラオーグ――バアル家とグラシャラボラス家の試合よ」

 

 リアスの言うとおり、モニターにはサイラオーグとイッセー曰くのヤンキー――ゼファードルの試合が映っていた。

 

 試合内容を一言で言うなら……圧倒的な『力』だった。

 

 一番の注目は『(キング)』同志の戦いだ。ゼファードルとサイラオーグの一騎打ちを見ていたリアス達の顔つきは真剣そのもので、視線も険しいものになっていた。

 

 リアス達の反応は至極当然とも言えるだろう。何しろサイラオーグが無数に撃ってくるゼファードルの魔力弾を全て拳だけで弾き、更には幾重にも張り巡らされた防御術式も紙の如く打ち破っていた。サイラオーグの拳には強力な闘気(オーラ)が纏っていたので、ゼファードルの攻撃や防御は最早無意味なモノだ。更にはその闘気(オーラ)が纏った拳で、攻撃をしただけで周囲の景色を吹き飛ばしている。それを腹部に直撃したゼファードルは悶絶する間もなく一発KO。最早この試合はサイラオーグの圧倒的勝利(ワンサイドゲーム)だ。

 

 前次期当主が事故で亡くなって代理で参加しているゼファードルだが、決して弱くはないじゃない。並みの上級悪魔以上の実力はあるんだが、今回ばかりは相手が悪過ぎた。サイラオーグが余りにも強過ぎるからだ。今のアイツじゃ、そこら辺の上級悪魔程度じゃ相手にならない。サイラオーグの実力は最上級悪魔に近いと言っても過言じゃない。

 

 俺が初めてサイラオーグと会った時、まだあそこまでの力は感じなかった。アイツがあそこまで強くなったのは……イッセーだ。ライザー戦のゲームを見ていたアイツは、イッセーが解放した力を見て闘志を燃やしていたからな。ギラギラしていた目なんかも完全にイッセーを自分の獲物と見ていたし。そこは何とか俺が抑えるよう、イッセーとの戦いを約束させると同時に腕を磨くよう言った。しかし、まさかあそこまで強くなっていたとは予想外だ。サイラオーグはそれだけイッセーとの戦いを望んでいるんだろう。

 

 人とか悪魔とか天使とか関係無く、何も考えずに強くなるより、誰かを倒したいと言う目標を立てて修行すれば想像以上に強くなる。今のサイラオーグが正にそれだ。イッセーと言う最大の強敵に戦って勝ちたいと強く願っているからこそ、あそこまでの実力を付けたんだからな。

 

 これは正直言って不味いかもしれない。今のイッセーの実力ではサイラオーグに勝つ確立は殆どゼロだ。イッセーが何とか互角に戦うには最低でも禁手(バランス・ブレイカー)は必須で、今以上に力を付けさせる必要がある。とは言え、余り無茶な修行をさせても簡単に強くはならないが……ま、そこは聖書の神(わたし)が何とかするとしよう。

 

「――にき。おい兄貴! 聞いてるのか!?」

 

「ん?」

 

 すると、突然イッセーが俺に怒鳴ってきた。思わず振り向くと、リアス達だけじゃなくアザゼルも不思議そうに俺を見ている。

 

「何やってんだよ。今はアザゼル先生が話してるってのに」

 

聖書の神(おやじ)、もしかして俺の話を聞いてなかったのか?」

 

「……あ~、スマンスマン。聞こえてはいたけど、ちょっと考え事をしててな」

 

 若手悪魔達のパラメータを示した立体映像グラフ、サイラオーグの出生、サイラオーグに負けて恐怖に打ち震えたゼファードルの退場については全て聞いていた。殆どが上の空だったけど。

 

 聞いてた内容を簡単に言うも、それでもアザゼルは不服そうな顔だった。

 

「ったく。出来れば考え事は話しが終わってからにしてくれよ」

 

「本当に悪かった。んで? 代理のゼファードルは今後のゲームに参加しないってことで良いのか?」

 

「ああ。もう、奴は戦えん。圧倒的に強くなったサイラオーグに心――精神まで断たれたからな。以降は残りのメンバーで戦う事になる。グラシャラボラス家はここまでだ」

 

 アザゼルの台詞を聞いた俺がモニターを見ると、試合後も恐怖に打ち震えている映像のゼファードルが映る。

 

 確かにあの顔を見るだけで、完全にダメだな。完全に心が折れてる顔だ。ゼファードルは今後、表舞台に立つ事はないだろう。折られた心が復活しない限り。

 

「リアス達も充分に気をつけておけ。サイラオーグは対戦者の精神も断つほどの気迫で向かってくるぞ」

 

「アイツにはそれだけの覚悟と強い目標があるからな。そこに一切の妥協も躊躇もない筈だ。特にイッセー、もし戦う時はヴァーリの時みたいに一切油断なんかするなよ」

 

「お、おう!」

 

 アザゼルと俺の忠言を聞いたリアスは深呼吸を一つした後、改めて言う。

 

「先ずは目先の試合ね。今度戦うアスタロトの映像も研究の為にこのあと見るわよ。聞いた話だと、対戦相手の大公家の次期当主シークヴァイラ・アガレスを倒したそうよ」

 

「シークヴァイラがディオドラに負けた?」

 

 リアスの台詞に俺は疑問を抱くように声を出した。思わず立体映像グラフを見るも、シークヴァイラとディオドラの総合パラメータを比べるも、明らかにシークヴァイラが上だった。

 

 パラメータだけで言うなら、シークヴァイラの方が強いのでディオドラが負けると思っていた。まぁこれはあくまでデータに過ぎないから、必ずしもパラメータが全てじゃない。レーティングゲームはそんな単純なものではないし。

 

 だが、それでも俺は何故か納得出来なかった。特にこのディオドラのパラメータを見て。

 

 取り敢えずリアス達と一緒に映像記録を見てみようと思ったその時、突然何か感じた。

 

 

 パァァァァァァァッ!

 

 

 すると、部室の片隅で一人分の転移用魔法陣が展開した。

 

 あの魔法陣の紋様は確か――

 

「――アスタロト」

 

 そうそう、アスタロトの紋様だった。呟きありがとうな、朱乃。

 

 そして一瞬の閃光の後、部室の片隅に現れたのは爽やかな笑顔を浮かべる優男――ディオドラだった。

 

「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いにきました」

 

 いきなりふざけた事を抜かす愚か者(ディオドラ)を瞬殺しなかった聖書の神(わたし)を誰か褒めてほしい。

 

 

 

 

 

 

 レーティングゲームについてのミーティングは中断となり、俺たちオカ研は急遽ディオドラの対応をする事となった。

 

 部室のテーブルには俺と部長のリアスとディオドラ、顧問としてアザゼルも座っていた。俺が座っているのは三大勢力の協力者である聖書の神(わたし)としてだ。

 

 イッセーやアーシア、他の眷族達は部室の片隅にて状況を見守っている。以前のライザーの時と同じ光景だ。

 

 だがライザーの時とは違い、今回はリアスでなくアーシアだ。当のアーシアはイッセーの隣で困惑した表情をしている。そんな不安げなアーシアの手をイッセーが無言で握っていた。

 

 一先ずアーシアは大丈夫だと思った俺は、目の前にいるディオドラを見る。コイツは俺やアザゼルを気にした様子を見せること無く、リアスに用件を言おうとする。

 

「リアスさん。単刀直入に言います。『僧侶(ビショップ)』のトレードをお願いしたいのです」

 

 ディオドラが言う『トレード』とは、『(キング)』同士で駒となる眷族を交換できるレーティングゲームのシステムだ。

 

 コイツが言う『僧侶(ビショップ)』のトレードとは、ギャスパーか――

 

「いやん! 僕のことですか!?」

 

「なわけないだろう」

 

 すると、ギャスパーが突然身を守るようにするが、即座にイッセーが頭を叩いた。

 

 思わず笑いそうになる俺だったが、内心ギャスパーも随分と逞しくなったと思った。以前なら悲鳴をあげて段ボール箱の中に逃げ込んでいたというのに。

 

 ま、ギャスパーも冥界での修行の成果が出ているって訳だ。ついでにイッセーが考案したニンニクの克服修行は今も継続中だ。俺手作りのガーリックトースト、ガーリックライスを主食として。偶にニンニク臭かったりするが、そこは修行だからご愛嬌と言う事で。

 

 それはそうと、ディオドラが欲しい『僧侶(ビショップ)』は間違いなくアーシアだ。聖書の神(わたし)から各若手悪魔達に、『兵士(ポーン)』のイッセーと『僧侶(ビショップ)』のアーシアは正式なリアスの眷属じゃない事は周知した。にも拘らず、聖書の神(わたし)を無視してリアスにトレードを持ちかけるとは随分良い度胸してる。さっきから俺を見ようともしないし。

 

「僕が望むリアスさんの眷族は――『僧侶(ビショップ)』アーシア・アルジェント」 

 

 不機嫌となってる俺を余所に、ディオドラは躊躇い無く言い放ちながらアーシアへ視線を向けた。

 

「こちらが用意するのは――」

 

 自分の下僕が載っていると思われるカタログらしきものを出そうとしたディオドラへリアスが間髪入れず言う。

 

「生憎、私はトレードする気はないわ。理由は単純よ。アーシアを手放したくないし、イッセーと同様私の大事な眷族候補なのだから」

 

 真正面から断るリアスを見て俺はよく言ったと内心褒めた。

 

 これでもしカタログを見てアーシアと比べるような事をしたら俺は失望していたところだ。リアスがそんな事をするつもりなんて無いのは元々分かっていたけど。

 

「それは能力? それとも彼女自身が魅力だから?」

 

 だが、ディオドラは淡々と訊いてくる。アッサリと断られたんなら諦めて帰れよな。俺がブチギレしない内に。

 

「両方よ。私は、彼女が人間でも妹のように思っているわ」

 

「――部長さんっ!」

 

 アーシアは口元に手をやり、綺麗な瞳を潤ませていた。リアスが『妹』と言ってくれた事が心底嬉しかったんだろう。聖書の神(わたし)聖書の神(わたし)でアーシアを大事な妹として見ているからな。

 

「それに貴方、何か勘違いしていないかしら? 私はリューセー――聖書の神から許可を貰ってアーシアを眷族候補にしているの。私にトレードの申し出をする前に、先ずは聖書の神に掛け合うのが筋ではなくて?」

 

「そう言われてみれば、確かにその通りですね。僕とした事が肝心な事を忘れていました。では聖書の神、アーシア・アルジェントをトレードする許可を頂きたいのですが?」

 

 まるでついさっき思い出したかのように、何の悪びれもなくリアスの隣に座ってる俺に向かってほざいてきやがった。

 

 マジでいい度胸してるよ、コイツ。因みに俺が不機嫌な顔で頬を引き攣らせている事に、イッセー達が冷や汗を流しながら少し引いている。

 

「戯け。アーシアを大事にしてくれているリアスだからこそ、聖書の神(わたし)は眷族候補にするのを許可したんだ。加えて、アーシアは聖書の神(わたし)の大事な『家族』だ。お前に許可する道理など一切ない」

 

「――リューセーさんっ!」

 

 聖書の神(わたし)の台詞に、アーシアは次に大粒の涙を流していた。冷静に考えてみれば、聖書の神(わたし)の発言は教会の信徒にとって最高の名誉に等しい。崇拝していた相手から言われたら尚更な。

 

 だがそんなのを抜きにしても、アーシアを大事にしている。聖書の神(わたし)にとってアーシアは大事な家族なのだから。

 

「聞いた話だがディオドラ、お前は以前アーシアに助けられて一目惚れしたそうだな。それが理由で求婚しているようだが、トレードで手に入れようとするのはどうかと思うぞ」

 

「聖書の神の言う通りよ。そんな風に私や彼を介してアーシアを手に入れようとするのは解せないわ、ディオドラ。あなた、求婚の意味を理解しているのかしら?」

 

 リアスも賛同するように迫力のある笑顔で問い返す。言うまでもないが、リアスは聖書の神(わたし)と同様にキレてるぞ。

 

 だがディオドラは笑みを浮かべたままだ。自分で言うのもなんだが、格上の聖書の神(わたし)に対してよくそんな平静でいられるな。

 

「――わかりました。今日はこれで帰ります。けれど、僕は諦めません」

 

 ディオドラは立ち上がり、イッセー達……正確にはアーシアの元へ近寄る。

 

 当惑しているアーシアの前に立つと、その場で跪くと手を取ろうとしていた。

 

「アーシア。僕はキミを愛しているよ。大丈夫、運命は僕たちを裏切らない。この世の全てが僕たちの間を否定しても、僕はそれを乗り越えてみせるよ」

 

 訳の分からん事をほざいているディオドラは、アーシアの手の甲にキスしようとしていた。

 

 決めた。やっぱり殺そう。

 

 光の剣と光の槍で串刺しにしてやろうと思った聖書の神(わたし)だが――

 

 

 ガシッ!

 

 

「おいテメェ、いい加減にしねぇとマジでぶっ飛ばすぞ」

 

 アーシアの隣にいたイッセーが我慢の限界だったのか、ディオドラの肩を掴んでキスを制止させた。

 

 ナイスだイッセー。お前がそうしてくれなかったら、聖書の神(わたし)はディオドラを殺しているところだったよ。まぁ本気で殺しはしないが。……………言っておくが本当に殺さないからな。

 

 イッセーの行動にディオドラは爽やかな笑みを浮かべながら言う。

 

「放してくれないか? 聖書の神の弟とは言え、薄汚いドラゴン混じりの人間風情に触れられるのはちょっとね」

 

 ……笑顔で言い放つディオドラにイッセーだけじゃなく、兵藤隆誠(おれ)も本気でブチ殺したくなってきた。

 

 ディオドラ・アスタロト。それがお前の本性なんだろうが、その発言は人間の俺たち兄弟に対する挑戦状と見なしてもいいよな?

 

 完全にブチ切れそうになる俺とイッセーだったが――

 

 

 パチッ!

 

 

 アーシアのビンタがディオドラの頬に炸裂していた。アーシアは隣のイッセーに抱きつき、叫ぶように言った。

 

「そんなことを言わないでください!」

 

 ……これは驚いた。まさかあの優しいアーシアがビンタをやるとは思わなかった。だがそのお蔭で、俺とイッセーはすっきりしたよ。

 

 ディオドラの頬はビンタで赤くなるも、それでも奴は笑みを止めようとはしない。ここまで笑みを続けると不気味だ。

 

「なるほど。わかったよ。――では、こうしようかな。聖書の神よ」

 

「何だ?」

 

「次のゲーム、僕は赤龍帝の兵藤一誠を倒します。そうしたら、アーシアを僕の眷族候補にする許可を頂きたい。無論、シトリー戦とは違って赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の使用は認めます。それなら構わないですよね?」

 

「………は?」

 

 何を言うかと思えば……コイツ、正気か? 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使用したイッセー相手に勝てると本気で思ってるのか?

 

 だがディオドラからそんな事を言ってくるって事は、何かあると見た方が良いだろう。

 

「ふざけんな! 俺がテメェに負けるわけねぇだろっ! 兄貴! 悪いけど俺は受けるぜ!」

 

「……はぁっ。好きにしろ」

 

 俺が返答する前にイッセーが勝手に承諾してしまった。いくら俺でも、イッセーがこうなったら聞く耳持たないからな。

 

 それに俺としても……あの程度のパラメータでイッセーに勝てると思い上がってるディオドラをぶちのめして欲しいと思ってるし。

 

「赤龍帝、兵藤一誠。次のゲームで僕はキミを倒すよ」

 

「ディオドラ・アスタロト。お前が言った薄汚いドラゴン混じりの人間の力、存分に見せてやるさっ!」

 

 睨み合うイッセーとディオドラ。

 

 その時、アザゼルのケータイが鳴った。いくつか応答した後、アザゼルはリアス達に告げる。

 

「リアス、ディオドラ、丁度良い。ゲームの日取りが決まったぞ。日程は五日後だ」

 

 その日はそれで終わり、ディオドラが漸く帰った。アイツにはもう二度と部室には来ないで欲しい。

 

「兄貴! ゲームが始まるまでに――」

 

「実戦式バトルの修行を頼む、だろう? お前に言われなくてもそのつもりだ。少し本気でやるから覚悟しておけ」

 

「おう!」

 

 取り敢えず部活が終わった後、先ずは簡単な組み手をするか。本格的なバトルをやる前に身体を慣らしておかないとダメだからな。

 

「またイッセーが隆誠先輩との修行時間を独占してるな……」

 

「うん。こう言う時、イッセーくんがリューセー先輩の弟であることを嫉妬しちゃうね……」

 

 ゼノヴィアと祐斗が少し拗ね気味になってるので――

 

「ゼノヴィア、祐斗、時間が空いていたら俺の修行時間に付き合ってくれるか?」

 

「「はい、勿論です!」」

 

 俺からの問いに空かさず揃って良い返事をするのであった。




危うくディオドラを殺そうとする兵藤兄弟でした。
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