ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
ディオドラの『
「や、おひさ~」
白髪の少年神父――
「フリードッ! テメェ、まだ生きてやがったのか!?」
最初に出会った頃から最悪なクソ野郎だった。随分懐かしいじゃねぇか!
あの顔を見たのはエクスカリバー事件以来だな。俺とコカビエルが撃った大技の余波でボロ雑巾みたいになってたから、よくもまぁ無事でいられたな。
「そりゃ生きていましたよ、イッセーくん? 僕ちん、しぶといからキッチリキッカリ生きてござんすよ?」
ああ、そうかよ。ゴキブリ並みの生命力だったんだな。
そりゃそうと、『
「おんや~、もしかして『
人の考えを見透かしたような発言。あの嫌な笑みを見てるとマジで癇に障るぜ。
「先ず『
マジかよ! あのクソ野郎、たったそれだけの理由で自分の眷族を殺したのか!?
けど、新しい
となれば、ゲームに興味のねぇ上級悪魔から未使用の『
どう言う理由で駒を用意したのかはしらねぇが、何かしらの不正をやったのは確かの筈だ。
「それと~、『
そう言ってフリードは口をもごもごすると、ペッと何かを吐き出した。見てみると……それは指だった!
「俺さまが食ったよ」
……食った、だと? コイツから感じる悍ましいオーラはまさか……!
俺が最悪な事を考えていると、小猫ちゃんは鼻を押さえながら目元を細めた。
「……その人、もう人間を辞めてます」
小猫ちゃんが忌むように呟いた。
すると、奴はにんまりと口の端を吊り上げると、もう人間とは思えない形相で哄笑をあげる。
「ヒャハハハハハハハハハハハッ!! てめえらに切り刻まれ、ボロ雑巾にされたあと、ヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁぁぁぁあっ! 腐れ総督のアザゼルにリストラ食らってよぉぉぉおおっ!」
ボコボコッ! グチュグチュッ!
異様な音を立てながら、フリードの体の各所が不気味に盛り上がる。神父の服を突き破り、角やら変なモノが身体から生えていく。全身が隆起し、腕も脚も何倍も膨れ上がっていた。
「行き場無くした俺を拾ってくれたのが『
背の片側だけコウモリみたいな翼が生え、もう片側には巨大な腕が生えてきていた。
以前に戦ったはぐれ悪魔のバイサーの姿が可愛く見えるぜ。アレもどす黒くて醜悪な
変化を遂げた眼前の巨躯の生物――フリードだったものは、一切奴の面影を残さない異形の存在だった。
あれは嘗てのフリード・セルゼンじゃねぇ。もう完全に狂ったバケモノだ。
「ヒャハハハハハッ! ところで知ってたかい? ディオドラ・アスタロトの趣味をさ。これが素敵にイカレてて聞くだけで胸がドキドキだぜ!」
フリードは突然ディオドラの話をしだした。こんな状況で何を言うつもりだ?
「ディオドラの女の趣味さ。あのお坊ちゃん、大した好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって! 特にシスターとかがな!」
シスターが好みって……まさかアーシアもか!?
「しかも狙う相手は熱心な信者や教会の本部になじみが深い女ときた! ここに来る前にイッセーくんたちが倒してきた眷族悪魔の女達は元信者ばかりなんだよ! ぜーんぶ、元は有名なシスターや各地の聖女さま方なんだぜ! ひゃははは! あの悪魔のお坊ちゃん、マジで良い趣味してるよなぁぁっ! 教会の女を誘惑して堕としてるんだよ! 熱心な聖女さまを言葉巧みに超絶うまいことやって堕とすんだからさ! まさに悪魔の囁きだ!」
「おい待て! じゃあ、あの野郎がアーシアに傷の治療をさせたのは――」
俺が言ってる最中、フリードは嘲笑をあげる。
「せいか~い! アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオはディオドラ・アスタロトが仕組んだんだよ~。シナリオはこうだ。ある日、シスターを堕とすのが大好きな悪魔のお坊ちゃんは、チョー好みの美少女聖女さまを見つけました。会ったその日からエッチがしたくてしたくてたまりません。でも、教会から連れ出すにはちょいと難しいと判断して、他の方法で彼女を自分のものにする作戦に変更しました」
……おい、待てよ。まさか、アーシアは――
「聖女さまはとてもとてもお優しい娘さんです。『あの聖女さまは悪魔をも治す
アイツはベラベラと話してるが、俺は脳内で、笑顔で『彼を救った事を後悔してない』と笑顔で言ったアーシアを思い出していた。
なんだよ、それは。ふざんけんな、ふざけんなよ……。
怒りが沸々と湧き上がる俺を余所に、フリードはトドメとばかりに言った。
「信じていた教会から追放され、神を信じられなくなって人生を狂わされたら、簡単に僕のもとに来るだろう――ってな! ヒャハハハ! 聖女さまの苦しみも坊ちゃんからすれば最高のスパイスなのさ! 最底辺まで堕ちたところを救い上げて、犯す! 心身ともに犯す! それが坊ちゃんの最高最大のお楽しみでした! 以上! ディオドラ・アスタロトくんの作戦でした! めでたしめでたし! ヒャハハハハッ!!」
ドゥンッッッッッ!!!
聞くに堪えなくなった俺はもう我慢の限界が訪れ、即行で龍帝拳を解放させた。
ディオドラは初めからぶっ飛ばす予定だが、コイツもぶっ飛ばさねぇと今の俺の怒りを抑える事が出来ねぇ!
「おうおう、なんつーオーラだよ。流石はあのバケモノ兄さん――クソッタレ神の弟くんだなぁ、クソ人間!」
俺が解放した
おいフリードよぉ、今の俺はテメェを楽には――
「待つんだ、イッセーくん」
俺が一歩前へ出ようとしてると、祐斗が俺の肩を掴んできた。
「放せ、俺は――」
「キミの気持ちは僕も痛いほど分かるよ。だが、その想いをぶつけるのはディオドラまで取っておいたほうがいい。アレの相手は僕一人で充分だ。今すぐにあの汚い口を止めてくるから、少し待っててくれ」
祐斗の顔を見た俺は即座に怒りが静まった。コイツの瞳から怒りと憎悪に満ちていたからだ。
俺が足を止めたのを確認した祐斗は、迫力のある歩みで俺の横を通り過ぎていく。
湧き上がっていた俺の怒りが静まるほど、祐斗の全身から放たれるオーラは余りにも鋭く尖った殺意に包まれていた。
そして祐斗はフリードだったモノの前に立ち、手元に聖魔剣を一振り創りだす。
「やあやあやあ! てめえはあの時俺をぶった斬りやがった腐れないとさんじゃあ~りませんかぁぁっっ! クソ人間を殺す前に、その顔をグチャグチャにしてやるからよぉぉぉっ!」
祐斗は剣を構えると冷淡な声で言う。
「この前、リューセー先輩からの修行と同時に面白い技を教えてもらってね。折角だからキミで試させてもらうよ」
「はぁ!? 俺を実験台扱いたぁ、調子くれてんじゃねぇぇぇぇぇぞぉぉぉぉっ!」
憤怒の形相となったフリードは全身から悍ましい刃を幾重にも生やして祐斗に突進する。
だが、祐斗は慌てる様子を見せる事無く剣を水平に構え――
フッ!
祐斗が視界から消え――
バッ!
フリードの後ろの数メートル先に現れた。
「ヒャハハハハ! おいおい、色男さんよぉ? 何通り過ぎてんだぁ!? ひょっとして怒りの余りにミスりでもしたかぁ?」
「先に言っておく。その場から足を動かした瞬間、キミはバラバラになるよ」
「あぁ? 何カッコつけたこと抜かしてんだよぉぉおおおおっっ!」
祐斗の宣言を無視するようにフリードが走り出そうとした瞬間――
ボトボトボトッ!
「……あれぇ? 俺、何でバラバラに……?」
突然、フリードの体の線が入った直後、血を噴出しながら全身バラバラにとなって地面に転がった。
とんでもねぇスピードだな。祐斗がフリードを通る直前、凄まじい速度で奴の両腕両脚、そして首を剣で斬りやがった。余りの早さに奴は斬られた事に全く気付いてなく、身体を動かした事で漸く理解してバラバラになった。
それに祐斗が使ったあの技は――
「リューセー先輩直伝の技――
「……んだよ、それ。あまりにも強すぎんだろ……」
首を斬られているにも拘らず、フリードはまだ生きていた。首だけになっても喋れるのは、見てて不気味だな。
「……ひひひ。ま、おまえら程度じゃ、ディオドラの計画も裏にいる奴等も倒せないさ。何より
ズンッ!
頭部だけで笑っていたフリードに祐斗は容赦なく剣を突きたて、絶命させた。その後に聖魔剣に着いた血を空で払う。
「――その耳障りな台詞は、地獄にいる死神相手に吼えてくれ」
中々カッコイイ決め台詞をいうじゃねぇかあのイケメンはよぉ!
……ちくしょう! 男の俺でも祐斗をカッコイイって思っちまった!
本当は俺も戦うつもりだったのに、またしても見せ場がなかった。朱乃さんと部長と同様、ディオドラと戦う予定の俺に気を遣って体力温存させたってか?
それにしてもフリード……。余りにも惨めな最後だったな。
もしテメェがもっと早く兄貴に会ってたら、その腐った根性を徹底的に叩き直されていただろうに……。
ま、今はそんな事を考えている暇は無い。アーシア救出が先だ!
「行こう、皆!」
祐斗の掛け声に俺達は頷き合い、ディオドラの待つ最後の神殿へ走り出した。
ディオドラ、俺はもうテメェが泣いて謝っても絶対に許させねぇからな!