ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
部長達と一緒に俺――兵藤一誠が辿り着いたのは最深部にある神殿だった。その内部に入っていくと、前方に巨大な装置らしきものが姿を現す。
壁に埋め込まれた巨大な円形の装置で、あちらこちらに宝玉が埋め込まれ、怪しげな紋様と文字で刻まれていた。
何だアレは? 見るからに作動して、何らかの役割があると思うんだが……。何か嫌な予感がするから、後でぶちのめす予定であるディオドラに吐かせるか。
すると、俺は装置の中央を見て――
「アーシアァァァアアアアアアッ!」
磔にされているアーシアを見て叫んだ。見た感じ、外傷はない。衣類も破れた様子もなく、オーラも人間のまま。兄貴が渡された腕輪のお陰で、何のケガとかはないようだ。
「やっと来たんだね」
装置の横から姿を現したのはディオドラ・アスタロトだった。あのいけ好かない笑みが俺の怒りを更に高めてくれるぜ!
俺は即座に二十倍龍帝拳を使える準備をしていた。もし発動した瞬間、俺はディオドラの顔をぶん殴る! 全力で! 全速で! あの野郎の顔面を絶対にぶち抜いてやるつもりだ!
「……イッセーさん?」
俺の声を聞いたアーシアがこちらへ顔を向けた。
彼女の顔を見ると……目元が腫れあがっている。
泣いていたのが分かった。それも尋常じゃない量の涙を流したと思えるほど、目が赤くなっている。
それを見た俺は、ある事を思い出した。兄貴が腕輪は悪魔の力を防ぐと言っていたが、それはあくまで肉体を守る為だ。と言う事はつまり、それ以外の事をされても発動しないと言う嫌な結論に至った。
「……おいディオドラ、テメェ、アーシアに事の顛末を話したのか?」
ついさっき、死んだフリードが語った事を。
あんな最悪な話はアーシアに絶対聞かせてはいけないものだ。
だが、ディオドラは俺の問いににんまりと微笑んできやがった。
「うん。全部話したよ。キミたちにも見せたかったな。アーシアが最高の表情になった瞬間を。あまりにも最高で記録映像にも残したんだ? なんなら今すぐ再生しようか? 僕にとって、あの顔は何度見てもたまらない」
クソ野郎の台詞にアーシアがすすり泣き始めていた。
この場に兄貴がいなくて良かったな。もしも兄貴がアーシアが泣いてる理由を聞いた瞬間、即行でテメェに夥しいほどに出現させた光の剣と光の槍で串刺しにしてるんだからよ。
「でも、足りないと思うんだ。アーシアにはまだ希望がある。そうキミたちだ。特にそこの薄汚い赤龍帝と、あとここにいないあの堕神だ。キミや堕神がアーシアを救ってしまったせいで、僕の計画は台無しになってしまったよ。堕天使の女――レイナーレが一度アーシアを殺した後、スパイとして送り込んだエリガンに始末させ、僕が登場して駒を与える予定だったんだ。キミたちが乱入して万が一レイナーレに勝ったとしても、エリガンには勝てないと思っていた。そうしたら、キミは赤龍帝で、更には後々になって兵藤隆誠が聖書の神だという。偶然にしては恐ろしすぎる出来事だね。おかげで計画は大分遅れてしまったけれど、やっと僕の手元に帰ってきた。尤も、あの堕神がアーシアに付けた腕輪の所為で眷族に出来なかったけど。だがそれはもう終わりだ。キミを殺せばアーシアはやっと僕のものになる」
「黙れよ」
自分でも信じられないほどに低い声を出していた。
あの野郎の魔力を感じていた時から何となく分かっていた。アイツから感じる醜くドス黒い魔力が、とてつもない外道で鬼畜だった事を!
それをあのクソ野郎が、俺や兄貴の前で愛を語っていたとなると腸が煮え繰り返るぜ!
以前にヴァーリが俺を上から目線で舐めた発言をした時以上に――怒りを抑える事なんて出来やしなかった。
俺がもう我慢の限界に達しようとしているにも拘らず、ディオドラは下劣極まりない言動を止めようとしない。
「念の為に訊くけど、アーシアはまだ処女だよね? 僕は処女から調教するのが好きなんだ。だから赤龍帝や堕神のお古は嫌だな」
コイツだけは――
「あ、でも、赤龍帝や堕神から寝取るのもまた楽しいのかな?」
絶対に徹底的に圧倒的にぶちのめさないと俺の怒りが収まらねぇ!
「キミや堕神の名前を呼ぶアーシアを無理矢理抱くのも良いかもしれ――」
「いい加減に黙りやがれェェェェェェェェェェェッ!」
『
ゴウッッッッッ!!!!!!
怒りの限界を突破した俺の中で何かが勢いよく弾け飛んだ!
「ディオドラァァァァァァァァァァァァッ!! てめえだけは! もう絶対に許さねぇぞぉッ!!」
膨大な赤い
初手から二十倍龍帝拳を使うには相応の準備が必要だったが、そんなの必要無く発動できた!
「部長、皆、アレは俺が倒しますので絶対に手を出さないで下さい」
「元よりそのつもりよ。尤も、いまのあなたを止められそうにもないわ。だから――全力でやりなさい」
最高の一言を発してくれる部長。勿論、そのつもりですよ。
「ドライグ、聞いたとおりだ。ここからは俺の好きにさせてもらうぞ」
『ああ、構わん。あの小僧にドラゴンの恐ろしさを刻み込んでやれ』
俺の姿を見て、ディオドラは楽しげに高笑いしていた。
奴の全身がドス黒いオーラに包まれていく。
「アハハハハハ! すごいね! これが赤龍帝! あの時はやばかったけど、今回は僕もパワーアップしているんだ! このオーフィスからもらった『蛇』でね! あの時と違って、今のキミなんて瞬殺――」
バキィッッ! ダァァァァンッッ!!!
余裕な笑みを浮かべてるディオドラを見た俺は、超スピードで懐に入ってすぐ思いっきり顔面をぶん殴った!
殴られたディオドラはぶっ飛んで壁に激突して倒れ、口から血を吐いている。
「あ、が……な、なぜ……?」
信じられないと言わんばかりに呟いているディオドラ。
「おい、瞬殺がどうした?」
ディオドラは殴られた頬を手で押さえながら、先程のような余裕ある笑みが完全に消失していた。
「い、今のはマグレだ! ちょっと油断しただけだ! 僕は上級悪魔だ! 現魔王ベルゼブブの血筋だぞ!」
マグレと言い張るディオドラは手を前に突き出し、魔力の玉を無数展開した。更にはディオドラ自身の両手からも特大の魔力が収束されている。
「キミのような下劣で下品な薄汚い人間ごときに気高き血が負ける筈がないんだッ!」
ディオドラの放つ無限に等しい魔力弾の雨が俺に向かってくる。
避ける気なんて更々無い俺はそのままゆっくりと歩き始めた。全身から発してる龍帝拳の
何なんだ、この攻撃は? 威力が余りにも弱過ぎるから、手で弾く気すら起きねぇよ。兄貴がぶっ放してくる連続光弾と比べるまでもなく弱すぎだ! ついでにタンニーンのおっさんの炎と比べるまでもねぇ!
『そうだ。聖書の神だけでなく、龍王との修行はおまえを相当鍛えこんだ。シトリーとの一戦はその修行を活かしきれなかったが、制限無しならば力を最大に出し切れる。龍帝拳を使った
そうだな、ドライグ。匙との勝負では制限付きでパワーを最大限に出せなかったが、今なら違う。
『単純なパワー勝負なら、現在の相棒は若手悪魔眷族の中で最高の筈だ』
奴の直前まで迫った時、ディオドラは両手に溜めていた魔力を収束し終えてたようだ。
「その両手にある魔力はどうするつもりだ?」
「無礼者が! 僕に質問をするな! この……薄汚い人間風情がぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」
そう言ってディオドラは両手を俺に向けて――
ドォォオオオオオオンッッッッッ!!!
強力な魔力波が俺に襲い掛かった!
それをモロに直撃した俺はそのまま吹っ飛んで――
ドッガァァァァァァァァアアアアアアアンッッッ!!!
壁に激突した瞬間、魔力波による凄まじい爆発を受けてしまった。
「イッセーさん!?」
アーシアが魔力波を喰らった俺を見た事により、悲痛な声を上げる。
「ハ、ハハハ、アハハハハハハハハ!! 思い知ったか、赤龍帝! 僕が本気を出せば、キミなんか瞬殺出来るんだ!」
ディオドラが勝利したと言うように声高に叫んでいる。
そして魔力波の爆発によって発生した煙が霧散すると――
「おいおい、今のがテメェの奥の手なのか?」
「んなっ!?」
龍帝拳の
「ば、バカな……! 今のは、僕の全魔力を最大にして撃ったんだぞ! それが何故……ダメージを受けていないんだ!?」
「まだ現実を受け入れる事が出来ねぇみたいだな。だったらショックな事実を教えてやるよ」
そう言って俺は部長達がいる方へ指をさす。
「あそこに部長、もといリアス・グレモリー様の『
「イッセーくん……」
何か祐斗が俺を妙な目で見ているような気がするが、一先ず無視しておこう。
「そ、そんな訳がない! 僕があんな転生悪魔なんかに……!」
俺の台詞を聞いたディオドラは信じられないように祐斗を見るが、すぐに首を横に振って思いっきり否定した。
ディオドラの言動に俺は途端に失望するような目で見る。
「まだ何か奥の手を隠しているかと思っていたが、どうやら本当にさっきの一撃がお前の全力だったようだな。ガッカリさせやがって……! 余りにも拍子抜けだ。ズルしてるとは言え、オーフィスって奴の力を借りてどんだけ強くなったかと思えば……」
溜まっていた怒りが途端に萎え始める俺はこう言い放つ。
「なんかテメェを本気でぶちのめすのが、バカバカしくなってきたぜ……!」
「こ、この……! 僕を見下す目で見るな! 薄汚い人間風情が!」
尤も、あのクソ野郎をぶちのめす事に変わりはないがな。
だけど本気でぶっ倒す気が失せたから、俺は即座にさっきまで開放していた龍帝拳を解除した。
「っ! い、一体それは何のつもりだ……?」
「テメェなんざ龍帝拳どころか
「イッセー! あなた、何をやってるの!?」
俺が龍帝拳と
けれど、祐斗が即座に止めようとする。
「大丈夫ですよ、部長。イッセーくんはディオドラの実力を把握して、あれで充分だと判断したんです」
解説あんがとよ、祐斗。お前の言うとおり、あのクソ野郎はこのままでも充分に倒せるからな。
祐斗のフォローに感謝しつつ、俺は両手の骨をポキポキと鳴らす。
「前に匙にも言ったが、俺が使ってる『
「~~~~っ! どこまでもふざけた事を! その思い上がりを今すぐに消してやる!」
完全に頭に来たと思われるディオドラは再び全身から魔力を発した。
やっぱ思ったとおり、アイツがオーフィスの力を得ても今の俺でも充分に倒せるわ。
「はぁっ……。この際だから、テメェの敗因を教えておいてやるよ」
「なっ、は、敗因、だと……?」
予想外だったのか、ディオドラは虚を疲れたように鸚鵡返しをする。
「確かにテメェは俺みたいな才能のない人間と違って、生まれ持った才能とずば抜けた魔力を持っている。だがライザー・フェニックスと同様、最初から持ってる力がある故に、自分を鍛える事をしなかった。ハッキリ言って宝の持ち腐れもいいところだ」
そして俺はディオドラに指をさしてこう言い放った。
「テメェの攻撃や技は俺からすれば見せかけだけで軽すぎんだよ! テメェに比べたら、この前戦った匙のほうが何倍も強ぇよ!」
「ぼ、僕が……あんな下品な転生悪魔に劣るわけがないだろうがぁぁぁぁ~~~~~!!」
完全にキレたディオドラは再び魔力弾を放とうとするが――
バキィッ!
「ぐあっ!」
再度一瞬で懐に入った俺が奴の顔面を殴った。
その衝撃で吹っ飛んだディオドラは前と違って地面を引き摺っている。
それを見た俺はジャンプしながら両足を曲げて――
ドギャッ!!
「が! あ、ああ……」
突き出した両膝でディオドラの腰へ直撃させた。ディオドラは血を吐き、更には奴の身体からベキボキと骨が折れる音が聞こえた。
「つ、強い! 流石はイッセー先輩です!」
「それは違うよ、ギャスパーくん。イッセーくんから見て、ディオドラが弱すぎるんだ」
ギャスパーからの賞賛を冷静に突っ込む祐斗。正にその通りだよ!
それを聞いた俺は内心頷きながら、再びジャンプして今度はうつ伏せに倒れてるディオドラの前に立ち――
「さっさと起きろっ!」
ベキッ!!
「があっ!」
奴の頭を思いっきり蹴り上げた。
蹴りによって、ディオドラが浮き上がると全くの無防備だった。
それを見た俺は――
「はああぁぁぁああああああっ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!
ディオドラの上半身(主に顔)にマシンガンの如く、拳の弾幕による連続攻撃を当て続けた。
「あ、やべ……」
攻撃して数秒後、俺はある事に気付く。
「コイツをぶちのめした後、あの装置について吐かせるのを忘れてた」
「あ……あ、ひ、る……」
ドシャッ
顔全体が晴れ上がり、上半身がズタボロ状態となったディオドラはおかしな事を言って気絶と同時に倒れてしまった。
「イッセー、トドメを刺さないのか?」
俺が攻撃するのを止めるのを見たゼノヴィアが近づき、アスカロンの切っ先をディオドラに突き立てて訊いてくる。
その瞳からは凶悪なほど、冷たいものだった。怒りが萎えた俺と違って、ゼノヴィアは殺す気満々だ。
「アーシアにまた近づくかもしれない。いまこの場で首を刎ねたほうが今後のためじゃないのか?」
ゼノヴィアは本気で殺しそうだ。俺か、部長がやれと言ったら即座にディオドラの首を飛ばすだろう。
けど、俺は首を横に振った。
「お前の気持ちはわかる。これど、コイツをぶちのめしても殺すなって兄貴から言われてるんでな。コイツを殺せば悪魔のお偉方が面倒な事をするかもしれないんだと。それに俺はもう充分にぶちのめしてスッキリしたしな」
俺の言葉を聞いた部長は眉を顰め、瞑目していた。あの人も激怒していたけど、このクソ野郎の処分は上の連中に任せた方が良いと決めてるんだろう。
ゼノヴィアは心底悔しそうにしていたが、アスカロンを勢いよく床にぶっ刺した。少しでも憂さを晴らしかったんだろうな。
「……わかったよ。隆誠先輩がそう言ってたなら私は止める」
「そうしてくれると助かる。今度修行する時、ゼノヴィアも一緒に混ぜてもらうよう兄貴に言っとくからさ」
「楽しみにしているよ」
兄貴の修行が出来ると聞いたゼノヴィアは嬉しそうな顔をしていた。
さて、そんな事よりもアーシアをどうにかしないとな。
俺達は気絶してるディオドラを放置し、アーシアの方へ足を向ける。
「アーシア!」
装置のあるところへ俺や皆も集合していった。
「イッセーさん!」
俺はアーシアの頭を優しく撫でる。
「遅くなったけど、助けにきたぞ、アーシア。ハハハ、約束したもんな。必ず守るって」
安堵したのか、アーシアはうれし泣きをしていた。よし。さっさとアーシアを救ったら、どこか安全な場所に逃げ込んで、兄貴達が事を収めるまで待機だ。
アーシアを装置から外そうと、祐斗達が手探りに作業をしていた……が、少しすると顔色が変わる。
「……手足の枷が外れない」
何だと!? そんなバカな! 俺もアーシアと装置を繋ぐ枷を取ろうとするが――
「クソ! 全然外れねえ!」
俺がフルパワーでやっても、枷が全く外れる様子が無かった。
力以外にも魔力以外の方法で部長や朱乃さんもやってみたが、それでも全くビクともしなかった!
一体何なんだよ、この枷は!? もしかして特別製なのか!?
くそっ! ディオドラの野郎は俺がぶちのめした所為で気絶してるから、コレが何なのかを訊くことが出来ねぇ!
『この装置、何やら
はぁ!? どう言う事だよ、ドライグ!?
『詳しい事は俺にも分からん。だが少なくとも、
だったらドライグが何とか出来ないのか!? お前も
『残念だが、「
……非常に嫌な現実だが、否定する事が出来ない自分に腹が立つ!
クソッたれ! もしこの枷がアーシアの服だったら……いや、待てよ?
よく見ると、アーシアを拘束している枷はピッタリくっ付いているな。そう考えると今のアレは……。
「ドライグ、ちょっとした賭けだがやってみる価値はあるぞ」
『それはどういうことだ、相棒?』
「部長、皆、一先ず離れて下さい」
怪訝に聞いてくるドライグだが、俺は気にせず部長達にアーシアから離れるように言う。その後に俺はアーシアの枷に触れる。
俺はあることを考えた。ドライグの直接の力が無理でも、ドライグの力で高めた妄想の類から生じる俺自慢の特殊技ならばどうだろうか、ってな。
「アーシア、先に謝っておく」
「え?」
俺が謝る事に首を可愛く傾げるアーシアだが……これは人命救助だ。
だけど再度言う。本当にゴメンね!
「さあ、久々に使うぜ! 高まれ、俺の性欲! 俺の煩悩!
『
龍帝拳を発動させると俺の全身から
俺がいま思い浮かべているのはアーシアの全裸! 何の服を纏っていない生まれたままのアーシアの姿だ! アーシアの全裸は脳内にバッチリ保存されているから、それを思い出してイメージを強くする!
キメ細かくスベスベで白い肌! 柔らかい体! そしてキレイな! ピンク色の! プックリした乳首ぃぃぃぃっ!
そして――
ビキッ! バババッ!
金属に罅が入って壊れる音と……更には衣類が弾け飛ぶ音がした!
アーシアの四肢を捕らえていた枷は粉々に吹っ飛び、同時に腕輪を除くアーシアのシスター服も消し飛んだ!
「いやっ!」
全裸になったアーシアは瞬間的にその場で屈んだ。
成長中のアーシアちゃんの全裸に。俺は思わず鼻血を垂れ流していた。
いいもん見せてくれて、ありがとうございました!
すると、さっきまで動いていた装置が急に動きが止まった。
「あらあら大変」
朱乃さんがすぐに魔力でアーシアに服を着させていた。アフターフォロー感謝です。
そんな中、部長が少し呆れ顔の部長が俺に訊いてくる。
「まさかドレス・ブレイクで壊せるなんて予想だにもしなかったわ。確かあれって、女性が身に付けている衣類だけを壊すものだと思っていたのだけれど、何でもいいの?」
「な、なんとなくなんですけど、枷は手首足首に密着状態でしたので、それなら身に付けている物の一部としての要領としていけるんじゃないかなーって。当然、普通じゃ無理ですけど、龍帝拳で高めたから成功したんだと思います」
下手な説明のせいで、部長は完全に納得できずに首を捻っていた。
まぁ何はともあれ、アーシアは無事救出だ! ついでに装置も機能しなくなったしな! 一先ず任務完了だ!
「イッセーさん!」
「アーシア!」
朱乃さんによって新しいシスター服に身を包んだアーシアが俺に抱きついてくる! 不謹慎だけど、アーシアの柔らかい体を堪能しまくってる! 戻って来てくれてよかったよ!
「信じてました……。イッセーさんが来てくれるって」
「当然だろう。でも、ゴメンな。あの野郎から辛い事、聞いちまったんだろう?」
アーシアは首を横に振り、笑顔で言う。
「平気です。あの時はショックでしたが、私にはイッセーさん、そしてリューセーお兄さまがいますから」
ううっ! なんて可愛い子なんだろうか! ってか兄貴の事を『リューセーお兄さま』って……兄貴が聞いたら絶対に歓喜しそうだ!
俺だけじゃなくゼノヴィアも目元を潤ませていた。
「アーシア! 良かった! 私はおまえがいなくなってしまったら……」
アーシアはゼノヴィアの涙を拭いながら微笑む。
「どこにも行きません。イッセーさんとゼノヴィアさん、ここにはいませんがリューセーお兄さまが私の事を守ってくれますから」
「うん! 私はおまえを守るぞ! 絶対にだ!」
抱き合う親友同士。なんて美しい友情だ。そう言えばディオドラと戦ってる時、思わず祐斗を親友と言っちまったが……って、止めろ祐斗! いくら親友でも、俺と抱き合う準備をしたところで絶対にやらねぇからな!
「部長さん、皆さん、ありがとうございました。人間である私のために……」
アーシアが一礼すると、皆も笑顔でそれに応えていた。
今度は部長がアーシアを抱き、優しげな笑顔で言う。
「アーシア、人間とか悪魔なんて関係ないわよ。あなたは私の眷族なのだから。それにそろそろ私の事を家で部長と呼ぶのは止めてもいいのよ? リューセーを兄と思っているなら、私も姉と思ってくれていいのだから」
「っ。はい! リアスお姉さま!」
部長とアーシアが抱き合っている。またしても感動のワンシーンだぜ!
「よかったですぅぅぅぅっ! アーシア先輩が帰ってきてくれて嬉しいよぉぉっ!」
ギャスパーもわんわん泣いてやがるな。あ、小猫ちゃんに頭まで撫でられ始めた。
取り敢えず、気絶したディオドラをグルグル巻きにして、その後は安全な場所で待機だ。流石に二十倍龍帝拳はずっと使ったら身体が不味いから、解除しておかないとな。
「さて、アーシア。帰ろうぜ」
「はい! と、その前にお祈りを」
アーシアは天に向かって何かを祈っていた。
「アーシア、何を祈ったんだ?」
恥ずかしそうに言おうとするアーシア。
「内緒です」
笑顔で俺のもとへ走りよるアーシア。
すると、突然現れた邪悪な気配がアーシアに狙いを定めていた。
「アーシア!!」
俺はすぐにアーシアをドンっと突き飛ばし――
ドッ!
「がはっ……!」
光線と思わしきものが俺の身体を貫いた。それを喰らった俺は血を吐きながら倒れる。
「い、イッセー……さん?」
倒れた俺を見たアーシアが信じられないものを見るように呟いていた。
アーシアに付けられた枷は