ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
別人と思われるほどの荒い口調で言ってくる一誠に誰もが戸惑っている。
無論、それは敵側のシャルバも同様だった。
「な、なんだ? あの
全く見た事のない
だが、当の本人の一誠はそんな事を気にせず再度声を荒げる。
「早くしろ、リアス! 俺の事は気にするな! あの野郎をぶち殺したら、必ず後で戻る!」
「で、でも……いくらあなたが
一人でシャルバを倒すのは無理だと言うリアスに――
「ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ! 俺を困らせてぇのかっ!!!」
口汚く言う一誠だった。しかし、そこには主の自分を思っての発言だとリアスは分かった。
考えてみれば、ここで自分達がいても一誠の足手纏いになる。候補とは言え、眷族からの思いを無下にするのは主としてやってはいけない事だと。
「皆、ゼノヴィアを連れて逃げるわよ」
リアスの命に眷族達は頷き、その中で朱乃が倒れているゼノヴィアに肩を貸して逃げようとする。
「……イッセー、必ず戻ってきてね……」
眷族達が逃げるのを確認したリアスは、イッセーにそう言い残して神殿から脱出しようとする。
「イッセー、私は待ってるわ。あなたが……シャルバを倒して、私の元へ戻ってくるのを、待っているわ……」
背を向けながらも呟くリアス。愛しい眷族が必ず戻ってくると信じて。
「愚か者どもが。私がこのまま逃がすわけがなかろう!」
リアス達を見逃すまいと、シャルバが手を前に出して狙いを定めようとする。
シャルバは背を向けているリアスを狙おうとして、手から光を出そうとしていると――
ピシュッ!
「なっ!?」
目の前に宙に浮いてる一誠が突然現れた。さっきまで地面に立っていた筈の一誠がほんの一瞬で。
ガシッ! グググググッ!
「こ、この無礼者が! 放せ……!」
一誠がシャルバが真っすぐ伸ばしている手首を掴んできたので放そうとするも、凄い握力で握られている為に逃れることが出来ないシャルバ。
「いい加減にしやがれ……このクズ野郎……」
「ぐ、ぐああああ……!」
更に握力を強めた事で、手首が悲鳴をあげるような音を上げてる事でシャルバが苦しそうな声を出す。
「罪のねぇ同族の悪魔を殺すだけじゃ飽き足らず……俺や兄貴の大事な
「ぐっ! ぎぎ……!」
一誠に掴まれている手から解放されたシャルバは即座に距離を取ろうと後退する。すぐに掴まれた手首を、もう片方の手で押さえながら。
「な……なぜ人間の貴様に、そんな力……ま、まさか……その姿は……本当に……」
「俺は……俺は……! 俺は完全にキレたぞーーーーー!!! シャルバーーーーッ!!!!」
ゴオオォォォォオオオオオオッッ!!
力を完全開放するように一誠の全身から凄まじい
それに気圧されたのか、シャルバは一瞬動きを止めてしまう。だが、それはやってはいけない行為だった。
ギュオッッ! バキィッッ!!
「ぐおっ!!」
一誠が猛スピードでシャルバに突進し、そのまま
しかし、それだけじゃ許さないと言わんばかりにイッセーはまた猛スピードで突進した。その状態のままで両手を組んだまま翳し――
ドカッッ!
「があっ!!」
シャルバの腹部目掛けて思いっきり振り下ろした。直撃したシャルバは腹部から強烈な痛みが走り、体がくの字となったまま下へ向かっていく。
そして――
ダァァァァアアアアアアンッッ!!
神殿から少し離れた岩山へ激突し、その衝撃で粉塵が発生して姿が見えなくなった。
「……………………」
一誠は粉塵が発生している岩山を無言のままジッと見続けている。そこにはシャルバがいるのが分かっていたから。
ブアッッッ!!
すると、そこから突然爆発するように、岩山の破片がそこら中に吹き飛んだ。破片は宙に浮いたままの一誠にも当たっているが、当の本人は全く気にせずに注視し続けている。
粉塵が晴れると、周囲の岩山を吹っ飛ばしたかったのか、シャルバが両腕を空に向けて伸ばすポーズをとっていた。
シャルバは伸ばしていた両腕を下ろしながら、一誠が宙に浮いてる位置まで上がり、同じ目線になるとそこで止まる。忌々しげに一誠を睨んだまま。
「何も知らん人間風情が何をほざくか……! 罪の無い同族の悪魔だと? 正統な魔王である私の全てを奪った現魔王の血族共は生きている事が罪なのだ!」
「くっだらねぇな。魔王が八つ当たりなんてよ」
「八つ当たりではない! これは正当な理由であり、正しき行いなのだ!」
「………………」
自分は正しいと叫ぶシャルバの持論に、一誠は怒りに満ちていながらも若干呆れた表情をする。
「んな事させねぇよ。この俺がテメェを滅ぼすからな」
「この魔王シャルバ・ベルゼブブを、だと? ……あの程度の攻撃で図に乗らないでもらおうか。人間の赤い汚物が、この私に勝てるわけがなかろう……!」
一誠の台詞を聞いて不愉快に思ったのか、顔を歪ませながら睨んでくるシャルバ。同時に殺気を放つも、一誠は平然としている。
「例え貴様のその醜い姿が、
「………フッ」
一誠が口元を上げて笑みを浮かべる。まるで挑発するように。
あの不愉快な笑みをすぐに消してやろうと、シャルバは即座に手を前に出し――
ドウッ!!!
魔法陣が出現した直後、そこから凄まじい黒の魔力波が放出された。一誠は避ける姿勢を見せぬまま、魔力波に覆われていく。
「この程度では済まさんぞ!!」
シャルバは次に両手で撃ち始ようとすると――
ドドドドドドドウッッッッ!!!
もう一つの魔法陣から先ほど撃った同じ大きさの魔力波が連続して放たれた。
これを受けては塵一つ残らず消滅したと確信するシャルバだったが――
「……………もう終わりか?」
「なっ……ば、バカな……!」
赤い
オーフィスの蛇で魔力増大し、本気で放った魔王の攻撃にビクともしてない一誠に信じられないと驚愕するシャルバ。
「言っておくが、テメェがどんなに泣いて謝ったところで許さねぇからな」
「………ふ、ふふふ。何を言い出すかと思えば」
先ほどの攻撃で頭がおかしくなったのかと思ってシャルバは笑う。
しかし、一誠はそんな事を気にすることなく、開いた片手を伸ばしてシャルバに向ける。
「一体何のつもりだ? 貴様如きの攻撃など、私が受けるわけが――」
ドンッッッ!!
「ぐぁっっ!」
シャルバが言ってる最中、突然見えない衝撃が襲い掛かった。それを受けたシャルバは物凄い勢いで吹っ飛んでいく。
だが、すぐに体勢を立て直そうとシャルバは急ブレーキを掛けるように停止させる。
「はぁ……はぁ……な、なんだ、今のは……?」
自身の胸部辺りから見えない衝撃を受けた瞬間に吹っ飛んだシャルバは理解出来なかった。
一誠が何かをしたのは分かってはいる。その証拠に、手を向けてながらニヤっと笑っているから。
だがそれも束の間で、一誠は次の行動に移ろうとしていた。笑みから一変し、真剣な表情で構え始める。
そして――
ドガッ!
「ぶっ!」
一誠は一瞬でシャルバに接近し、そのまま顔面に肘打ちをかます。
「ぐ……くっ!!」
吹っ飛ぶシャルバだが、今度は即座に宙返りさせて停止するが――
バキッ!
「ごあっ!」
顎に一誠からの強烈なアッパーを受けて、仰け反るように再び吹っ飛ぶ。
追撃の手を緩めようとしない一誠は今度は頭を前に出しながら突進し――
ドゴッ!
「ぐあっっ!!」
シャルバの腰目掛けて頭突きを食らわせた。
「き、貴様ぁ……!」
しかし、今のシャルバにそんな痛みを気にしてる場合ではなかった。即座に体勢を立て直して一誠と向き合い、凄まじい殺気を出しながら睨む。
攻撃を食らって頭に来ているシャルバを見たのか、一誠は笑みを浮かべる。さっさと来いよ、と言う意味を込めた挑発で。
それを見たシャルバは完全に引っ掛かって完全に頭に来たのか、羽織っていたマントを脱ぎ払った。
「調子に乗るなぁ! 人間風情がぁぁぁぁ!!!! かぁっ!」
シャルバが魔力を撃とうとはせずに自らの拳で一誠に攻撃を仕掛けた。さっきまで一誠に殴られた所為か、お返しと言わんばかりに拳や脚を使っての連続攻撃を繰り出す。
ドガガッ! ガガッ! ドドドッ!
「はぁぁあ~~~!!」
「………………………」
シャルバからの猛攻に一誠は慌てる事無いまま攻撃を捌くように防御している。
対してシャルバは両手足に魔力を込めて力任せの攻撃だった。それでも並みの人間や悪魔が受ければ死んでしまう程の威力でもある。しかし、一誠からすれば素人丸出しの攻撃としか見ていない。とは言え、相手は腐っても魔王でもあるから、一誠はそれでも油断する事無く防御し、更には受け流している。
接近戦が開始して数十秒経つが、一方的に攻撃をしても当てる事が出来ないシャルバは一旦距離を取ろうと即座にバッと後退する。
「おのれっ!」
ピッ!
接近戦でやっても無駄だと理解したシャルバはやり方を変えようと、右腕を前に出し、真っすぐと伸ばした人差し指から光線を撃ちだした。
その光線は先ほど一誠に当てて瀕死へと追い込ませたモノ。大して破壊力はないが、それでも貫通力があり、凄まじい速度で撃つ光線だった。
これならば当たる筈だと確信するシャルバは笑みを浮かべる。
シャッ!
「なっ! よ、避けただと……!?」
しかし、一誠が身体を僅か横にずらしただけでアッサリと避けた事に驚愕するシャルバ。
絶対の自信を持っていた技を躱された事に、シャルバはすぐに認めようとしなかった。
「そ、そんな筈はない! 今のは偶然だ!」
ピッ! ピピピッ! ピピッ!
運良く躱しただけに過ぎないと思ったシャルバは、再度右の人差し指から光線をマシンガンのように撃ちだした。
だが、連続で撃っても結果は同じだった。一誠がそれらを全てさっきと同様に紙一重で躱し続けているから。
「お、おのれ……! 当たりすれば……貴様なんか……!」
「…………………」
歯軋りしながら言ってくるシャルバを見た一誠は――
「じゃあ当ててみろよ」
「ッ! な、何だと……!」
何と笑みを浮かべながら当てろと言ってきた。今度は動く気が無いのか構えを解いている。
それを見たシャルバはピクピクと頬を引きつらせ、憤怒の表情と化していく。
「どこまでもふざけおって! ならば後悔して死ねぇぇぇええええ!!」
ピッ! ドンッ!
渾身の魔力を込めて撃った光線が一誠の顔面に直撃した。受けた一誠は衝撃によってか、顔だけを仰け反らせる。
今度は当たったから確実に死んだ筈だとシャルバは笑みを浮かべるが――
「………ふぅっ。同じ悪魔は消せても、たった一人の人間は消せねぇようだな」
「…………ば、ばか、な……」
仰け反った状態を戻した一誠がそう言ってきた事に言葉を失ってしまった。
先ほどの光線を受けて一誠は全くダメージを受けていない訳ではないが、唇を少し切ったように僅かな血が流れているだけだ。
一誠を瀕死に追い込ませた光線が、今やただの豆鉄砲同然となってしまった事をシャルバは漸く理解した。
「き、貴様は……一体……何者だ……?」
目の前にいる相手は人間ではなく化け物だと思い始めたのか、シャルバは恐怖するように問いかける。
「もうとっくにご存知なんだろ? 俺は人間界からやってきた普通の人間。歴代の中で最弱と呼ばれながらも激しい怒りによって目覚めたニ天龍の内の一人――」
そして一誠は赤い
「今代の赤龍帝、兵藤一誠だ!!!!」
ゴウッッッッッ!!!!!!
一誠の叫びと
当然それはシャルバだけじゃなく、他の者たちも感じ取っていた。
「この力は………イッセー、なの?」
「これは間違いなく……イッセーくんの
「イッセーくんからかなり離れている筈なのに……まるで近くにいるようだ!」
「……ですがこの
「も、もう僕なにが何だが分からなくなってきましたよぉ!」
「ここまでの力を出せるなんて……隆誠先輩――主は予想していたのか……?」
神殿から脱出している最中、一誠の凄まじい
「む? この
旧魔王派の悪魔を一通り片付け終えたオーディン。
「感じる! 感じるぞ! リアス達がいるフィールドからかなり離れていると言うのに、奴の――兵藤一誠の
「サイラオーグさま! 今は戦闘中です!」
別のフィールドで旧魔王派を一掃中のサイラオーグが一誠と戦いたい衝動に駆られ、それを諫めるクイーシャ。
「とうとう至ることが出来たか、我が
「おうおう、赤龍帝がすんげぇ気を感じた途端に喜んじゃってまぁ……」
「まぁどの道、美猴が抱えている
次元の狭間で探索していたヴァーリ達。
「おいおい何だよ、このバカでかいオーラは!? マジでイッセーの
「
「これが兵藤一誠の
別のバトルフィールドで戸惑うアザゼル、苦笑するサーゼクス、高ぶるタンニーン。
しかし三人の反応とは他所に――
「……
人間の姿に戻っている聖書の神――兵藤隆誠が険しい顔をしていた。
確認しようと隆誠がイッセー達がいると思われる神殿を探知してみると――
「やはりアーシアがいない……! く、くっ……! くそがぁぁぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!」
ゴォォォオオオオオオオオオッッッッッッッ!!!!
アーシアを失った事で発動したと確信した隆誠は再び聖書の神となり、凄まじい黄金のオーラを放出させていた。
「聖書の神、さっきと違って桁違いの力を感じる」
突然の事によってアザゼル達は驚いてる中、ずっと放置されていたオーフィスがジッと隆誠を見ている。
「許さん! どこの誰かは知らんが、俺の大事な妹分を手にかけた奴は、絶対にぃ! 許さんぞぉぉ~~~~!!!!」
「お、おい
一誠以上の怒りに満ちたオーラを放出させている隆誠は、アザゼル達の制止を振り切り、ジェット噴射の如く猛スピードで一誠達がいる神殿のフィールドへ向かった。『
ドラゴンボールを知っている読者の方はご存知でしょうが、今回はあの戦いを再現させました。ちゃんと再現出来たかどうかは不安ですが。