ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
イッセーが限界を超えた怒りで発動した
俺の接近に気付いたのか、身体から
「よう、随分と雰囲気が変わったじゃないか。それがお前の
「………………………」
気兼ねなく話しかけるも、イッセーは無言だった。
けれど俺は気にせずに話を続けようとする。
「髪の色は全く違うが、漸く『
「…………んで、……ん……だよ」
「ん?」
「何でそんなこと言うんだよ!? 本当は俺を責めに来たんだろ!?」
ドンッッ!
さっきまで無言だったイッセーが、いきなり俺に向かって怒号してくる。イッセーの
「兄貴がここに来た時点で知ってる筈だ!! 俺の不甲斐無さでアーシアが死なせてしまった事を!! 言えよ! 責めろよ! 無様な姿を晒してるバカな弟をよ!」
「イッセー……」
どうやらイッセーは、アーシアを守る事が出来なかった事に酷く責任を感じてるどころか、己の不甲斐無さを責めているようだ。そして俺がここに来たのは、アーシアを死なせてしまった自分を罰する為だと。
なのに俺が開口一番に開いた内容が、
俺としては
まぁ例え先にアーシアの生存を教えたところで、今のイッセーはすぐに聞き入れたりしないだろう。何しろ、アーシアを失った事で
となればやる事は一つ。イッセーを力尽くで大人しくさせるしかない。
「どうやら今のお前に何を言っても無駄みたいだな。アーシアに会わせる前に、俺が相手をしてやるよ」
「ああ、そうしてくれ! 死ぬ前に兄貴と最後の真剣勝負をするつもりだったんだからな!」
コイツ……アーシアを死なせしまった責任を取る為に、自決するつもりだったのか。だとすれば、これは猶更俺が止めなければいけないな。そんな馬鹿な真似をさせるつもりは毛頭ないし、何より俺が絶対に許さん!
死んで解決しようと言う甘ったれた考えを持ってる今のイッセーには……お仕置きが必要だな!
「「はあぁああああああああッ!!!」」
グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッッ!!!!!!
俺と同じタイミングで
本当なら周囲に被害が及ばないように結界を張りたいところだが、生憎今はそんな余裕は無い。そんなの張ったところで、今のイッセー相手じゃすぐに壊されてしまう。俺も俺で、久しぶりに全力を出したいと思ってたからな!
そして準備は完了し、互いに目の前の相手に向かって突撃した直後――
ドウン! ドガガガガガガガガッ! バキィ! ガガガッ!
「うおおおおおおおおお!」
「かあああああああああ!」
怒涛の勢いとも呼べる高速戦闘が開始された。
拳と拳、肘と肘、膝と膝、それらが互いにぶつかりあう事によって衝撃波が発生している。周囲に大きく影響を及ぼしているにも関わらず、俺達はそんなのお構いなしだ。
俺達の攻防がまるで切り替わるように、今度は相手の拳を握り合う態勢へと変わる。
「ぐ、ぐぎぎぎぎ……!」
「ぬぅぅうううう……!」
空中で浮いたままの力比べの姿勢になり、イッセーと俺は互いに負けじと腕に力を込めながら睨み合う。
それと同時に俺達は身体からオーラを発し、その余波で空間が徐々に歪み始めた。
そのまま瓦礫と化した神殿へと向かうように降下し、そのまま地面へと降り立つ。途端に両足を踏ん張る態勢へと変えて、更に腕の力を込めると――
ピシィッ! ガラガラガラッ! ガッシャーーーンッ!
辛うじて残っていた神殿の一部が完全崩壊するだけでなく、俺達が立っている地面の重力がまるで違うように陥没していく。
「がああああああああっっ!」
「おおおああああああっっ!」
イッセーと俺は、獣の咆哮とも言うべき雄叫びをあげながら、完全崩壊する神殿を気にする事なく力比べを未だに続けようとしている。
☆
「おいおい……なんつー戦いしてんだよぃ、あの兄弟は。まるで神とドラゴンの戦いを再現してるみてぇだよぃ」
「凄いですね。あれほどの戦いを、まさかこの目で直接見る事が出来るのは僥倖と言うべきでしょう」
兵藤兄弟の戦いを見ている美猴とアーサーは、それぞれ思った通りの感想を口にする。同時に、とても自分達が割り込める戦いではないと。
滅多に見られる戦いでない事に、二人は戦々恐々としながらも傍観に徹しようとしていた。まるで今後の参考にしようと言わんばかりに。
「……………………」
その二人とは別に、ヴァーリは無言だった。
兵藤兄弟が戦う直前までは興味深そうに眺めているだけだったが、始まった途端に目の色が変わった。今は二人の戦いを絶対に見逃すまいと真剣な表情となっている。
「ヴァーリ? 何かさっきから黙ったままじゃねぇか?」
「………今は俺に話しかけるな、美猴」
無言だったヴァーリに美猴が声を掛けるが、物凄く低い声で拒絶された。ヴァーリの変わりように美猴は少し引き気味だ。
「兵藤一誠、君は普段からこんな戦いを聖書の神とやっていたのか……? そう考えるだけで嫉妬に狂ってしまいそうだよ……! ああ、今すぐに戦いたい……! あの場に入って混ざりたい程に……!」
「自重して下さい、ヴァーリ。今日は見に来ただけなのでしょう?」
「分かっている……! だが、あれ程の戦いを見た所為で、今は必死に抑えるだけで精一杯なんだ……!」
「おいヴァーリ! 俺っちはあしらって、アーサーには普通に答えるのかよ!? ちょっと酷くねぇかよぃ!」
美猴が突っ込むもヴァーリは無視していた。今はもう戦いに割って入らないよう必死に己を押し殺している。
今のヴァーリは嘗て『レーティングゲーム』で一誠の戦いを見て、物凄く戦いたい衝動に駆られたサイラオーグ・バアルと一緒だった。バトルマニア故の性とも言うべきか。
そしてリアスや眷族達は――
『…………………………』
言うまでもなく全員唖然としていた。
余りにも己との実力差があり過ぎる戦い故に、もはや言葉すら失っている状態だ。
しかし、彼等が戦いを見守っている最中、兵藤兄弟の戦いは今も続いている。
力比べをしている二人だったが、突然止めるように離れた。そして今度は地上戦での攻防へと変わる。
互いに激しく攻め合う二人の攻防に、地面が揺れている。その途中、一誠が回し蹴りをすると隆誠は避ける為に跳躍し、そのまま空中へと飛んでいく。
一誠も追うために飛ぶと、隆誠がそれを見越しているように無数の光の槍を展開して発射する。一誠も負けじと両手から無数の
ドドドドドドドドドドドドドドドオオオオオオオオンッッッッッッッッ!!!!!
光の槍と
それらは当然、遠く離れているリアス達にも届いていた。尤も、二人が戦っている爆心地と違って、そこまでの爆風は来なかったが。
しかし、爆心地にいる兵藤兄弟は全然気にしてないように、そこから更に上の位置から再び空中戦を始めている。
兵藤兄弟の戦いが始まって、まだそこまでの時間は経っていない。けれど、リアス達からしたら何時間も見ている感覚となっている。濃厚とも言える超越した戦いを見てる事によって、リアス達の感覚が既に麻痺も同然となっているから。
「ん? 赤龍帝の動きが……」
「おまけに、さっきまであったバカでかい気も段々落ち始めてるねぃ」
すると、先ほどまで互角だった二人の戦いに変化が訪れ始めた事にアーサーと美猴が気付いた。
二人の言う通り、一誠が途端に劣勢へとなっている。さっきまで防いでいた隆誠の攻撃が当たり、さらには強烈な一撃を受ける羽目となった。
一誠の異変に隆誠も気付いている筈だろう。だが今は気にせず只管攻撃を続けている。
攻撃を受けている一誠は一旦距離を取ろうと隆誠から離れ、さっきまでとは打って変わるように息が上がるどころか、左胸を手で押さえている。
「例え
『!』
戦況が変わった事に落ち着き始めたのか、ヴァーリは冷静に分析する。その分析内容を聞いたリアス達は気付いた。一誠に異変が起きた原因に。
「イッセーは
「咄嗟に身体をずらして致命傷は何とか避けましたが、アーシアちゃんが治療を施しても重症のままで……!」
「……なるほどな」
リアスと朱乃が思い出すように言ったのを聞いたヴァーリは納得の表情をする。
「
一誠の死と聞いた瞬間、リアス達が驚愕を露わにする。
「聖書の神も赤龍帝が重傷だと気付いたのか……決着を付けるようですね」
アーサーの発言に、リアス達は再び兵藤兄弟の方を見る。そこにはお互いにオーラを最大限に放出し、自身の最高の技を放とうとする構えだった。
一誠は当然ドラゴン波で、隆誠は………何と一誠と同じ構えでドラゴン波を撃とうとしている。
そして二人が構えた両手からは凝縮されたオーラの塊が形成されて撃った直後――
ズォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
『きゃあ!』
『ぐっ!』
二つの巨大なドラゴン波が激突した。先ほど光の槍と
そんな中、ヴァーリとアーサーと美猴はそれぞれ防御結界を張ろうとする。一緒にいるリアス達も守りながら。
ドラゴン波による激突が十秒以上続くも、徐々に隆誠の方が押しつつあった。一誠も負けじと威力を上げようとするが、左胸が痛む事によって思うように出す事が出来ない状態だ。
そして――
「今回も俺の勝ちだなイッセェェェェェェェl!!!!」
「っ! ぐ、ぐあああああああああああああっ!!!!!!」
一誠のドラゴン波が隆誠のドラゴン波に負けたどころか、一誠自身もそれに包まれるように飲み込まれた。
~一方その頃~
余談ではあるが、もう既に旧魔王派の撃退が完了しており、今はVIPルームにいる各陣営は落ち着いている状況となっていた。そんな中、襲撃の発端となったバトルフィールドを確認しようとモニターで確認してる際に――
「流石は赤龍帝だ! 神の姿となってる隆誠殿相手に、あそこまでの戦いを見せるとは……! もう我慢出来ん! 今すぐあの場へ行くぞ!」
「お止め下さい、サイラオーグさま! 旧魔王派の残党がいないかの確認をしなければいけないと言うのに! レグルス達も一緒に止めて!」
「か、畏まりました! サイラオーグさま! お気持ちは分かりますが、どうかご自重ください!」
興奮を抑えきれなくなっているサイラオーグを必死に止めようとするクイーシャとレグルスだった。他の眷族達も同様、必死に彼を止めている。
次回でやっとイッセーが悪魔になる……予定です。