ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~ 作:さすらいの旅人
「冥界に帰るって、もしかして帰省か?」
ツッコミ所満載な朝食が終わり、イッセーの部屋で庭園の栽培プランを考案していた俺にリアスは頷いた。イッセーの部屋にはオカ研のメンバー全員集合していた。
同居メンバーはラフな格好で、祐斗と小猫とギャスパーは普段着だ。因みにギャスパーだけ自前の段ボール箱に入り込んでいたが、服装は女物だ。ま、普段から女子の制服を着てる女装少年だからな。けれど偶には男らしい姿を見せて欲しいんだが。
「夏休みだし、故郷へ帰るの。毎年の事なのよ」
「だそうだ、イッセー。リアス達が冥界へ帰ってる間、俺達は毎年恒例である修行の旅に行くぞ。今回アーシアも同伴だ」
「結局そうなるのかよ!? ……まぁいいけどさ」
「はう! わ、私もですか!?」
リアスの返答を聞いた俺は好機と見なすように、即行で修行の旅を提案した。アーシアは突然の事で戸惑っているが。
「リューセー先輩、よろしければ僕も旅に同行させて下さい」
「主よ、どうか私も一緒に!」
修行と聞いた途端に祐斗とゼノヴィアの目の色が変わった。相変わらず凄い食いつきだな、この二人は。あとゼノヴィア、いい加減に呼び方を戻せっての。
「それは却下よ。今回の帰省は私の下僕と眷族候補のイッセーとアーシアも同伴なの。勿論あなたもよ、リューセー」
すると、リアスが眉を顰めながら却下されたと同時に理由も言われた。
「え!? 俺達も冥界に行くんですか!?」
「何でイッセーとアーシアを冥界へ同行させるんだ? ってか何故に俺まで」
理由を聞いたイッセーは驚き、俺は不可解な顔をしながら問う。
「候補とは言え、イッセーとアーシアは私の眷族なのだから、主に同伴は当然。一緒に私の故郷へ行くの。リューセーはオカ研の部員として私達と一緒に同行よ」
「……つまり初めからオカ研メンバー全員で冥界へ行く予定だったって事か」
「そういう事よ」
ちっ。どうやらリアスは俺が独断行動をするのを見越していたようだ。
……仕方ない。正体バレたくない為に敢えてオカ研に入部した以上、ここで俺が『冥界へ行きたくない』なんて我侭を言う訳にはいかないな。
けどまぁ、冥界へ行くんなら相応の準備が必要だな。あそこの空気は人間にとって毒だから、イッセーやアーシアには後で俺が空気に適応させる為の術を施しておかないと不味い。因みにリアス達には、俺たち兄弟が既に冥界へ行ってる事は前の会談の時に教えてる。
俺が冥界へ行く事に承諾した様子を見たリアスは、次にアーシアとゼノヴィアの方へと視線を移す。
「そういえばアーシアとゼノヴィアは冥界へ行くのは初めてだったかしら?」
リアスの問いにアーシアは頷く。
「は、はい! 生きているのに冥府に行くなんて緊張します! し、死んだつもりで行きたいと思います!」
おいアーシア、言ってる意味が全く分からないぞ。
「冥界、か。地獄には前々から興味があったんだ。でも、私は天国に行くため、主に仕えていたんだが……。にも拘らず、目の前にいたのにも気付かず悪魔になってしまったからな。ふふふふ、地獄か。悪魔になり、主に度重なる無礼を働き続けた元信者にはお似合いだね」
ゼノヴィア、もう過去を引き摺るのを止めてくれないか? 以前の
彼女の言い分に呆れてると、リアスが俺達にスケジュールを説明する。八月の二十日過ぎまで冥界に過ごし、人間界に帰ってくるのは八月の終わりだそうだ。
それにしても冥界へ行くのは久しぶりだな。折角だし、久々にタンニーンに会いに行くのも良いかもしれない。
「そう言えばイッセー、確か今年も松田と元浜の誘いがなかったか?」
「……あ、そうだった」
修行の旅に行く前に、イッセーには学生としての夏休みをちゃんと満喫させている。夏休みの最初から最後まで旅をしてる訳じゃないからな。イッセーにも誰かの付き合いがあるし。尤も、その相手は松田と元浜だけど。
「アイツ等と海やプールに行こうって約束したんだけどなぁ」
「じゃあ今回は断っておけ」
どうせまたナンパして彼女作るってプランなんだろ? って言った瞬間、リアスとアーシアが不機嫌な顔となり、イッセーの耳を引っ張ると思うから敢えて言わないでおこう。
「けど、アイツ等に断りの一報を入れたら要らぬ疑い掛けられるぞ?」
「その時は俺が上手く誤魔化しておくさ。内容としては……そうだな。『オカマのローズさんの店でバイトしてる』って」
「それはそれで嫌な誤解されるから勘弁してくれ!」
「ははは、冗談だ」
物凄く嫌そうな顔で拒否するイッセー。まぁ確かに自分で言ってなんだが、確かに誤解されるな。
どうやって誤魔化そうかと考えてると、急に誰かがイッセーの部屋に入ってきた。ソイツは堂々と入ってくるが、イッセーを除く誰もが気付いてる様子を見せない。
「ついでにそこの無断侵入者にも訊いておくが、ここに来たって事はお前も俺達と一緒に行くのか?」
「ああ。俺も冥界に行くぜ」
『ッ!?』
俺の問いに、席に一角に座った黒髪男性が座った直後に答えた。ソイツは言うまでもなく堕天使総督アザゼルだ。
イッセーを除く全員がアザゼルの突然の登場に面食らっている様子。
アザゼルが駒王町にいるのは、駒王学園で教師を始めたからだ。同時にオカ研の顧問も兼任している。以前まで三竦み状態だった頃では考えられない状況だ。
「あ、あなた、どこから入ってきたの?」
リアスが目をパチクリさせながらアザゼルに訊くが、代わりに俺が答えた。
「コイツは普通に玄関から入ってきたよ。尤も、呼び鈴を鳴らさなかったが」
「何だ、リューセーはとっくに気付いていたのか?」
「当たり前だ。どんなに上手く気配を隠したところで、父親である
「やれやれ。人間になっても、流石に
嘆息して言うアザゼルに俺が少し呆れてると、イッセーが指摘をする。
「ってかアザゼル先生。気配を消しても無意識に垂れ流してるオーラで分かるって前に言ったじゃないですか」
「おっと、そういやイッセーにも分かるんだったな」
すっかり忘れてたみたいな感じで言い返すアザゼルに、祐斗は驚いた顔をしていた。
「い、イッセーくん。君もアザゼル先生が入ってきたのを気付いてたのかい?」
「ああ。この人は以前学校で急に現れた事があったからな。何となくだが、家に入ってきたのは分かってた」
「……僕は全然感じなかったのに」
祐斗がイッセーとの実力差を改めて知ったと言うような感じで口にする。祐斗が
「イッセーですら気付いたってのに、悪魔のお前等がそんなんじゃ先が思いやられるぞ。それよりも冥界に帰るんだろう? なら、俺も行くぜ。俺はお前らの『先生』だからな」
確かにオカ研全員で行くなら、『先生』役であるアザゼルも行くのも道理だ。先生をやってるだけあって、豊富な
アザゼルに教授してもらってるのは祐斗とギャスパーの
そう思ってると、アザゼルは懐からメモ帳を取り出して、開きながら読み上げていた。
どうやらアザゼルも冥界でのスケジュールが決まってるらしい。主に修行に付き合うのと、サーゼクス達と会合みたいだ。
「ったく、面倒くさいもんだ」
「堕天使総督なんだから、ソレ位はちゃんとやれよ」
「他人事のように言ってるようだが、
「はぁ? 何で俺が参加するんだよ。俺の立場はあくまで助っ人だぞ?」
「元とは言え、天界のトップだった聖書の神が参加しないでどうする。それに……
「おいコラ、最後が一番の理由だろう」
アザゼルの奴め。
「全く、正体知った途端に働かせるとは……それくらいはお前達だけでやってくれよ」
「
「はいはい、分かったよ」
確かに三大勢力の協力者になった以上、向こうから要請が来たら参加せざるを得ない立場となってしまったからな。ここはコッチが妥協するしかないか。
「っと、三大勢力で思い出したが、ここの郵便受けに
「……ったく、またかよ」
アザゼルが懐から複数の封書を出して俺に渡してくる。封書に書かれてる送り主は偽名だが、実際は天界の
最初の文面は
因みにアザゼルのところも同様に、堕天使達が会いに来ていた。その理由は
「アイツ等もいい加減にして欲しいもんだ。こんなの送ったところで、返答は変わらないってのに」
「全くだ。こっちの事は気にすんなって何度も言ってるんだけどな」
「「……はぁっ」」
俺とアザゼルは揃って嘆息する。
「それはそうとアザゼル――先生はあちらまで同行するのね? 行きの予約を此方でしておいていいのかしら?」
リアスが話題を変えるように質問したので、アザゼルはすぐに頷く。
「ああ、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだからな。楽しみだぜ。いつもは堕天使側のルートで行ってたからな。尤も、
ほっとけ。これからはちゃんとした正規のルートで行くっての!
因みに俺たち兄弟が今まで冥界に無断侵入してた件については本来だったら重罪だ。冥界で罰せられなければならない立場でもある。けれど、魔王サーゼクスとセラフォルーの口添えにより、リアス達の手助け+コカビエル撃退+トップ会談の協力による功績で全て帳消しにしてくれたからな。あの二人には感謝しないと。
如何でもいい事なんだが、人間が冥界に無断侵入するのが重罪なら、人間界に無断侵入しまくってる悪魔はどうなんだ?
と言う疑問をサーゼクスやセラフォルーに投げてみたが、当の二人は気まずさ全開で何も言い返さなかった。それどころか何も聞かなかったかのように、俺とイッセーの罪は早急に帳消しにしてくると言ってすぐ転移で退散したよ。
ついでにアザゼルにも同様の疑問を投げたが、アイツはすぐに「バレなきゃいいんだよ」と言い返された。アイツには罪悪感が無いって事がよく分かったよ。
尤も、嘗ての
おっと。そんな事より、イッセーの代わりに松田と元浜にメールを……。って、そう言えばこの前のミニリアスとミニアーシアの件で、俺がアイツ等のケータイやスラフォを壊したんだった。こうなったら俺が直接二人の家に行って事情を話しておくとしよう。