ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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第二話

 旅立ちの日。駒王学園の制服姿で最寄の駅に向かった俺達は、悪魔専用ルートにある列車を使って冥界へ向かっていた。あるのは知っていたが、まさか堂々と使う日が来るとは思いもしなかったな。

 

 列車に乗る前、朱乃がイッセーに接近して恋する乙女のように振舞っていた。言うまでもなくイッセーに対するアプローチだ。それによってリアスとアーシアがイッセーに鋭い視線を送っていたが。

 

 そして現在、列車に乗ってる俺達は中央に座っている。リアスは列車の一番前の車両で、眷族+俺とアザゼルは中央から後ろの車両だ。座るならどこでも良いだろうと思うだろうが、悪魔はしきたりに関して細かいので座る場所は予め決まっているからな。

 

 因みに俺はイッセー達から少し離れた席で一人でポツンと座っている。言っておくが別に仲間外れにされたとか、ボッチだからじゃない。冥界へ着くまでにやっておきたい事があるので、少し離れた席にしたいとリアスに頼んだからだ。

 

 んで、そのやりたい事とは、イッセーの部屋でやっていた栽培プランの考案だ。今はこれからやる栽培プランをノートに記載している。今時ノートに書くなんて時代遅れだと思われるだろうが、俺の栽培プランをパソコンでデータ保存させる訳にはいかないから、敢えてノートで記載+保管にしてる。パソコンは便利だけど、便利過ぎる故にウイルス感染やハッキングの恐れがある。だから学生である今の俺としてはノートで残した方が良い。

 

「う~ん……今の季節だと温度の影響もあるから、そこは俺が調整して――」

 

「お取り込み中のところ申し訳ありませんが、少しよろしいですか?」

 

 ノートに記載してる最中、誰かが俺に声を掛けてきた。

 

 すぐに振り向くと、車掌と思わしき男性が俺に頭を下げてくる。

 

「初めまして。私はこのグレモリー専用列車の車掌をしているレイナルドと申します。以後、お見知りおきを」

 

「これはご丁寧に。こちらこそ初めまして。兵藤隆誠です」

 

 一旦作業を中断して車掌――レイナルドに挨拶をする俺。すると彼は特殊な器具を取り出し、モニターらしきもので俺を捉える。

 

「それは我々が冥界へ行く手続きに必要な機械ですか?」

 

「おや、ご存知でしたか」

 

「イッセー達のいる席から、そう言った話し声が聞こえてましたので」

 

 作業中にイッセー達の話し声が聞こえてたから、多分俺もイッセー達と同じ事をされると予想してた。作業をやってても、ちゃんと周囲にも意識してるし。

 

 説明の必要が無くなったと判断したレイナルドは、問題無く入国手続きを済ませようとする。

 

「それにしても、あそこで眠っておられる堕天使の総督さまだけでなく、聖書の神までも御一緒に入国とは……。いやはや、これも時代の変化と言うべきでしょうか」

 

「その変化はまだ序章にすぎませんけどね」

 

 

 

 

 

 

「よし、ここまでだな」

 

 発射から四十分程過ぎた頃、栽培プランの考案に一区切りを付けた俺はノートから目を離して両腕を上に向けて伸ばしていた。

 

『もうすぐ次元の壁を突破します。もうすぐ次元の壁を突破します』

 

 アナウンスからレイナルドの声が聞こえた俺は伸ばした両腕を下ろし、思わず窓へ視線を向けた。

 

 すると、さっきまで何もない空間から一変し、風景が出現した。以前から何度も見てる冥界の景色だ。

 

 冥界に着いたのを確認した俺は席を立ち、イッセー達がいる席へと向かう。

 

「イッセー、アーシア。冥界に着いたから術をかけておく」

 

「あ、そういやそうだった」

 

「え? 術、ですか?」

 

 外を見ていた二人に声を掛けると、イッセーは思い出したように言うも、アーシアは分からない様子で首を傾げてる。一緒にいたリアスと朱乃は納得し、ゼノヴィアはアーシアと同様の反応だ。

 

 因みにリアスは本来だったら前方の車両にいる筈なんだが、どうやら独りでは寂しいらしく俺達がいる車両にいる。何とも分かりやすい理由だ。

 

「アーシアは知らないから教えておく。悪魔は問題無いが、冥界の空気は人間にとって、ちょっとした毒みたいな物だ。何の対処もせずに吸い続けてると、身体の抵抗力が弱まって病気になりやすくなるどころか、下手したら死んでしまう恐れもある」

 

「そうなんですか。知りませんでした……」

 

「知らないのは当然さ。ま、どっかの愚弟(バカ)は俺が術を掛けようとする前に勝手に飛び出した挙句、空気を思いっきり吸いすぎてダウンしてたからな。なぁ、イッセー?」

 

「ぐっ……! って、俺を見ながら言ってんじゃねぇよ!」

 

 俺の台詞に言い返せないイッセーだったが、悪足掻きするように声を荒げた。

 

 懐かしいなぁ。あれは中学の頃、修行と同時に調査をしようと転移術で冥界へ来た時、イッセーが『ここが冥界か!? 山も木もある! すげえ! すげぇぇぇぇっ!』と大声ではしゃいでいた。俺が何とか落ち着かせて術を掛けようとするも、イッセーが急に『ちょっとこの辺り探検してくる!』と言い勝手に飛んでいってしまった。

 

 その結果、飛んでる途中で落ちてしまったイッセーは、冥界の空気を吸いすぎた為に内臓が汚染状態となってしまった。当然、俺が即行で『浄化の光』を使ってすぐに内臓を洗浄させた。ついでに『勝手な事するな!』と俺からのキツい説教付きで。

 

「と言う訳だからアーシア、術を掛けてる時に動かないでくれよ」

 

「は、はいぃ!」

 

 アーシアは俺の指示にビシッと動きを止めた。それでも緊張してるのか、少しばかり震えているけど。

 

 大袈裟な反応だと思いながらも、俺は開いてる片手をイッセーとアーシアに向けて冥界適応の術式を施した。それを受けた二人の全身は淡い光に包まれるも、ほんの数秒経った後に消えた。

 

「はい、これで完了っと」

 

「……え? もう終わりですか?」

 

「ああ。術を掛けるって言っても、そこまで大袈裟なものじゃない。以前使い魔の森へ行った時に施した術と全く同じだよ」

 

 あの時はまだ聖書の神(わたし)の正体がバレてなかったから、アーシアは大して緊張した様子は見せていなかった。けれど今は聖書の神(わたし)からの術だと分かれば、緊張するのは無理もないかもしれない。

 

 拍子抜けしたアーシアの表情を見た俺は思わず苦笑する。

 

「主……ではなく隆誠先輩! よろしければ、私も……!」

 

「君は悪魔だから必要ないよ」

 

「あ………そうでした」

 

 自分の術を掛けてほしいと懇願してくるゼノヴィアだが、俺が断った瞬間にガクンと落ち込んでしまった。大袈裟に落ち込み過ぎだっての。

 

「イッセー、術は掛け終えたから窓を開けても大丈夫だぞ」

 

「んなこと言われなくても分かってるよ!」

 

 そう言いながらイッセーは少々グレた感じで窓を開けようとする。すると、窓が開いた直後に風が入り込んできた。人間界とは違う冥界独特の空気が。けれど寒くもなく、暑くもない丁度良い気温だ。

 

 俺も思わず外を見ると、自然な風景だけでなく、独特の形をした家が多くある町もあった。

 

「あれ? ここって確か……」

 

「グレモリー領だな。ま、グレモリー家専用の列車を使ってるんだから、当然と言えば当然だな」

 

「……もしやとは思っていたのだけどリューセー、やっぱり私たちグレモリー家の領地も調べていたようね」

 

 イッセーと俺の会話を聞いたリアスが少し顔を顰めながら言う。特に俺をジッと睨んでる。

 

「そんな恐い顔をするなって。調査と言っても、お宅の領地で何も悪さなんかしてないよ。殆どはイッセーの修行がメインで、そちらが殆ど手付かず状態となってる森林や山で過ごしていただけだし」

 

「……ほったらかしにしていた私達にも非があったようね」

 

 俺達がグレモリー家の目が行き届いてない所で潜めていた事に、リアスは諦めたように手を頭の上に置きながら嘆息する。

 

「けどまぁ、グレモリー家の領地を無断使用してた事に変わりないから、お詫びとしてコレを渡そう」

 

「何なの、そのノートは?」

 

 収納用異空間から一冊のノートを取り出して直ぐに渡すと、リアスは不可解な顔をしながら問う。

 

 取り敢えず読んでみろと催促してリアスに読ませようとする。言われたままノートを開いたリアスは読み始めると――

 

「…………え? ちょ、ちょっとリューセー。これ、本当なの?」

 

「勿論だ。俺とイッセーがこの目で見たからな。尤も、今どうなってるかは知らないが」

 

「……これは後でお父さまに報告させてもらうわ」

 

「是非ともそうしてくれ。アレ等は元々そちらの所有物なんだからさ」

 

 一先ずノートを読み終えたリアスは大事そうに保管する。その行動に今度は朱乃達が不可解な表情をした。

 

「リューセーくん、部長に見せたノートには何が書いてあるんですか?」

 

「そうだな、一言で言えば……『宝の在り処』だ♪」

 

「はい?」

 

 益々分からないと言った感じの朱乃。

 

 あのノートの中身は、俺とイッセーが山や森林を調査した時に書いたレポートだ。主に原油や温泉や鉱山などの大量資源が眠ってる場所が書かれている。

 

 朱乃達の反応を他所に、リアスがこの話題は終わりだと言わんばかりに、今度は眷族であるイッセー達に領地を与える話題となった。それを聞いたイッセー達は話しがぶっ飛びすぎて、物凄く驚いていたが。

 

 その会話の途中、俺はふと疑問を抱いた。と言ってもイッセー達の会話じゃなく、その会話に全く加わってない小猫だ。それどころか会話もせず、ずっと窓の方を見てて放心状態だった。

 

 俺以外に小猫の隣にいるギャスパーも気付いてはいたが、彼女のらしくない様子によって話しかけるのを躊躇っている。

 

 何故だか分からんが嫌な予感がした。特定のキャラクターが抱え込んでる悩みが顕著に現れた後に事件(イベント)発生と言う、物語でありがちなパターンが起きそうだと。




またいつもの悪い癖であるダラダラ感が出てしまいましたね(汗)

これでも飛ばし飛ばしでやってるつもりなんですが……。
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