ハイスクールD×D ~神(兄)と悪魔(弟)~   作:さすらいの旅人

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遅くなってすいませんでした。

ではどうぞ!


第四話

「リューセー兄さま、本当に聖書の神だったんですね。じゃあ以前お会いした時、偶然冥界に迷い込んだというのは――」

 

「勿論嘘だ。あの時は勝手に連れ回して悪かったな。本当だったら君をすぐにグレモリー家の屋敷に送るつもりだったんだが」

 

「仕方ないですよ。もしリューセー兄さま達がいなかったら僕は危なかったんですし。それに、ほんの少しの間でしたけど、リューセー兄さまたちと一緒に旅をしたのは楽しかったです。僕にとっていい経験になりましたし」

 

「そうか」

 

 冥界のグレモリー宅に到着した翌日。

 

 俺はミリキャスの話し相手をしている。会うのを凄く楽しみにしてたのか、ミリキャスは朝食前から俺たち兄弟の傍にいる。もう結構懐かれています、はい。

 

 因みにイッセーは別の部屋で勉強中。今頃は内心疑問を抱きながら貴族についての話を聞かされてるだろうな。

 

 今回ヴェネラナさんがイッセーに勉強させると言い出したのには当然理由がある。彼女……と言うよりグレモリー家は、イッセーをリアスの婿に迎え入れる為の準備をしているからだ。

 

 多分だけど、これはフェニックス家も同様の事を考えてるに違いない。昨日の夕食でヴェネラナさんが「フェニックス家と話が済んでない」と言ってたから、未だイッセー争奪戦は続いてるんだろう。だけどグレモリー家がイッセーに勉強させるって事は、今のところはフェニックス家より優勢と見た。

 

 果たしてイッセー争奪戦に勝つのはどっちになるのやら。俺としてはリアスを応援してるけど、ああだこうだと口出しする気はない。尤も、両家が強引にやろうとしていたら俺が即行で強制的に終了させるけど。

 

 あとリアス達だが、部員達を連れてグレモリーの敷地を観光中だ。俺はイッセーと一緒にグレモリー宅に残り、ミリキャスの話し相手をしているって訳だ。

 

「それにしても、俺の正体を知っても兄と呼んでくれるとは。今は協力体制だけど、俺は嘗て君たち悪魔と敵対していた存在だと言うのに」 

 

「神だろうと人間だろうと、リューセー兄さまは僕の恩人です。それに僕にとって、初めて出来た兄さまですから」

 

 悪魔とは思えないほど素直で純真な良い子だねぇ。未だ古い仕来たりに拘ってるどこぞの老悪魔さん達に聞かせてやりたいよ。

 

 因みにミリキャスが俺を恩人と言ってるのは、ミリキャスと偶然出会った経緯に大きく関係してる。昨日にグレモリー夫妻やグレイフィアさん、そしてリアスに説明済みだ。それを聞いたグレモリー家――特にグレイフィアさんから物凄く感謝されまくったよ。

 

 

 ガチャ

 

 

 ドアが開けられ、入ってきたのはグレイフィアさんだった。

 

「おかあさま!」

 

 ミリキャスは嬉しそうに呼ぶも、彼女はゴホンを咳払いをする。

 

「今の私はグレモリー家の使用人ですので、その呼び方はお控え下さい」

 

「相変わらず固いですね、グレイフィアさん。昨日は昨日で――」

 

「隆誠さま、ミリキャスさまの前で余計な事は仰らないように願います」

 

「はいは~い、分かりましたよ」

 

 有無を言わせない威圧感を出しながら言ってくるグレイフィアさんに、即行で降参した俺は両手を上げた。

 

「ところで、俺に何か御用ですか?」

 

 話題を変えるように尋ねると、彼女は用件を言おうとする。

 

「もうすぐリアスお嬢さまがお戻りになります。本日は若手悪魔の皆さまが魔王領に集まる恒例のしきたりの行事がありますので」

 

 そういえば、昨日の会合でそれをやるってサーゼクスが言ってたな。

 

 本来だったら悪魔のみの会合だから、聖書の神(わたし)の他に人間のイッセーとアーシアは参加出来ない決まりとなってる。けれど今回は四大魔王達の計らいにより、俺達は三大勢力の和平に貢献した特別ゲストとして参加する事となった。

 

 俺は正直言って参加するつもりはなかった。未だに人間を下等生物と見なしてる悪魔達と顔を合わせても碌な事にはならない。俺はまだしも、イッセーとアーシアにとったら気分の悪い会合になるかもしれないからな。

 

 だが、三大勢力は和平を結び、その協力者となってる俺達が参加しない訳にもいかない。何しろこれは四大魔王からの依頼でもあるからな。

 

 ま、もし悪魔の誰かが喧嘩を吹っかけてきた場合、それ相応の報いを受けさせてやるけどな。サーゼクス達からも、ある程度は正当防衛で済ませると許可は貰っている事だし。

 

 取り敢えず会合に参加する準備の前に、先ずは寂しそうな顔をしてるミリキャスをどうにかしないとな。

 

 

 

――――――

 

 

 

 リアス達がグレモリー城観光ツアーから帰ってきて直ぐ、俺達は昨日に使った列車で魔王領――都市ルシファードへ移動した。

 

 俺やイッセーは既に知ってるが、都市ルシファードは近代的で、建物などは最先端の様相を見せている。イッセーが初めて見た時はかなり驚いていたよ。俺も俺で内心同様の反応をしていたけど。

 

 因みにイッセー達の格好は駒王学園の夏の制服だ。これがリアスたち眷族のユニフォームでもあるからな。俺も俺で駒王学園の制服だが冬の方を着てる。本当なら神としての正装を着なければいけないが、駒王学園の生徒である俺は敢えて制服にしてる。それに個人的に駒王学園の制服は気に入ってるし。

 

 会合場所となってる建物へと向かう途中、リアスのファンと思われる大勢の下級、中級悪魔に鉢合わせそうになった。魔王の妹で名門グレモリー家の次期当主で美少女でもあるから、人気があるのは無理もない。

 

 そして目的地へ付いてエレベーターに乗り込むと、リアスはこう告げる。

 

「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何を言われても手を出さないこと。この上にいるのは将来の私たちのライバル達よ。無様な姿は見せられないわ」

 

 いつも以上に気合が入って、凄みを出すリアスの声にイッセー達は真剣な顔となって頷く。 

 

 それを見た聖書の神(わたし)は若いなぁと年寄り染みた事を思ってた。ま、今は人間に転生した学生だけど。

 

 エレベーターが停止し、扉が開いたのを見た俺達が踏み出したその先は広いホールだった。エレベーターから出ると、そこには使用人と思われる悪魔数名が、リアスや俺達に会釈してきた。

 

「ようこそ、グレモリーさま。こちらへどうぞ」

 

「聖書の神とグレモリーさまの眷族候補お二人はこちらへ」

 

 どうやらここでリアス達と一旦別れるようだ。俺はともかく、まさかイッセーとアーシアも一緒とは。

 

「イッセーとアーシアは私の眷族よ。どうして別にさせるの?」

 

 当然リアスが抗議するも、使用人は頭を下げながら理由を言おうとする。

 

「申し訳ありませんが、正式な悪魔ではないお二人を御連れするわけにはいけませんので。それにこれは魔王サーゼクスさまの命でもあります」

 

「諦めろ、リアス。これは昨日の会議で決まった事だ。俺たち人間側と悪魔が公の場以外で面倒な揉め事は避けようと、サーゼクスからの配慮でもあるんだ」

 

「っ……。そう、分かったわ」

 

 使用人と俺がサーゼクスの名前を出した途端、リアスは少々不満を表しながらも納得した。流石にサーゼクスの命となれば、背くわけにはいかないからな。

 

「それじゃ、後で落ち合おうな」

 

 俺はイッセーとアーシアを連れて、使用人と一緒にリアス達と一旦別れた。リアスは少し名残惜しい顔をしていたが。

 

「なぁ兄貴。俺やアーシアが正式な悪魔じゃないんなら、この会合に参加する意味無いんじゃねぇか?」

 

「普通に考えればそうなんだがな」

 

 確かにイッセーの言うとおり、今回の会合に部外者である俺達は参加する必要など無い。

 

 昨日の会議が終わった後に俺は『俺達が参加する必要があるのか?』とサーゼクスに尋ねると――

 

『隆誠くん――特に聖書の神には知っておいて欲しいんだ。一番厄介な敵が誰であるかをね』

 

 それを聞いた瞬間に俺は理解と同時に納得した。四大魔王達が手を焼いてる存在は、禍の団(カオス・ブリゲード)だけでないと。予想していたが、悪魔側は協力体制になっても決して一枚岩じゃないと言う事を改めて理解したよ。

 

「ま、サーゼクスが昨日の会議で俺達に参加して欲しいって言うからには、何か深い考えがあっての事だろう。取り敢えず参加するよう依頼された俺達は、ゲストとして振舞ってればいいさ」

 

 今のイッセーとアーシアに真の理由を教えるのは流石に不味いから、適当にはぐらかす事にした。今は知らなくても、どうせ後々になれば分かるだろうし。

 

 俺達は使用人の後に続き、通路を進んでいると、複数の悪魔達がいた。その中の一人がこちらにやってきて――

 

「お久しぶりです、聖書の神。再びお会い出来て光栄です」

 

「本当に久しぶりだな。あと出来れば俺の事は兵藤隆誠と呼んでくれ。ついでにその堅苦しい口調もいいからさ」

 

「それは失礼した。では隆誠殿と呼ばせてもらうが、構わないか?」

 

「結構」

 

 バアル家の次期当主――サイラオーグ・バアルが声を掛けてきた。彼の後ろにいる眷族と思われる悪魔達は俺を見て物凄く警戒してるが。特に以前見たクイーシャと言う女性悪魔が。

 

 サイラオーグが俺と握手し終えると、イッセーを見た途端に目の色が変わった。以前の『レーティングゲーム』を思い出したんだろう。その証拠にサイラオーグの闘気(オーラ)が少し荒々しくなってきてる。

 

「え、えっと……俺に何か?」

 

 突然の視線にイッセーは少し驚きながらサイラオーグに問う。

 

「イッセー、彼の名はサイラオーグ。以前、ライザーとの『レーティングゲーム』を観戦していた一人だ」

 

「いい!? ま、マジか!?」

 

 俺が『レーティングゲーム』と言った途端、イッセーは慌てふためいた顔をする。多分コイツの事だから、『レーティングゲーム』でやらかした恥ずかしい出来事を思い出してるんだろうな。

 

 だがサイラオーグはイッセーの反応を気にせずに近寄り――

 

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 

 初対面のイッセーに自己紹介をしながら握手をしようと手を差し出した。

 

「え、あ、ど、どうも。ひょ、兵藤一誠です」

 

 イッセーは何とか落ち着かせながら握手する。その直後、サイラオーグは何かを感じとったのか笑みを浮かべる。

 

「隆誠殿の言うとおり、以前の『レーティングゲーム』を見せてもらった。非常に素晴らしい戦いだったぞ。流石は赤龍帝と言うべきか」

 

「は、はぁ……それはどうも」

 

 握手を終えて高評価の言葉を送られてる事に、イッセーは戸惑うばかりだった。

 

「本当なら俺としては今すぐお前と戦いたいが――」

 

「こらこら、俺がそんな事を見逃す訳ないだろうが。ついでにその昂ぶった闘気(オーラ)も抑えろ」

 

「――すまない、隆誠殿。あの時の事を思い出してつい……」

 

 俺が割って入るようにサイラオーグを窘めると、彼は自重するように謝罪した。まぁ気持ちは分からんでもないが。

 

「ところでサイラオーグ、何故君は眷族達を連れてここにいるんだ?」

 

「下らん事をするより、貴殿たちと会った方が有意義だと思ってな」

 

「下らん? 聞いた話だと、今回の会合前に若手悪魔同士の顔合わせをする事になってるが、ソイツ等が何かやらかしてるのか?」

 

「仰るとおりだ。既にアガレスとアスタロト、ゼファードルが来てるんだが……。着いた早々ゼファードルとアガレスがやり合い始めたから、ここは貴殿たちに会おうと決めたと言う訳だ」

 

 心底嫌そうな表情だねぇ。サイラオーグが言うからには本当に下らない事をしてるんだろうな。

 

「えっと、差し出がましいんですが、何をやり合い始めたんですか?」

 

 状況が飲み込めてないイッセーの問いに、サイラオーグはすぐに答えようとした。

 

「ああ、それは――」

 

 

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

 

 彼が言おうとしてる途中、建物が突然揺れた。それと同時に破砕音も聞こえてくる。

 

「きゃあっ!」

 

「っと! アーシア、大丈夫か?」

 

「は、はい……」

 

 突然の出来事にアーシアが倒れそうになるも、イッセーが咄嗟に支えた。ナイスだイッセー。

 

「成程。サイラオーグはこうなる事を予想して俺達に会いに来たんだな」

 

「そう言う事だ。まったく、隆誠殿がゲストとして来てるというのに、同じ若手悪魔として恥ずかしい限りだ」

 

 サイラオーグは手を額に当てて嘆息しながら言う。

 

「取り敢えず俺達はこの騒ぎを聞かなかった事にしておくから、様子を見てきてくれないか? 俺達は若手悪魔達がいる大広間にはいけないからな。それに一緒に来たリアス達が巻き込まれてないか心配だし」

 

「そうしよう。流石に従兄弟として放ってはおけないからな。では、また会おう」

 

 サイラオーグは眷族達を連れて騒動が起きてる大広間へと向かった。

 

 彼等がいなくなると、アーシアの安全を確認したイッセーは離れる。アーシアはイッセーと離れる事に少し残念そうな感じをしていたが。

 

「兄貴、サイラオーグさんが言ってた従兄弟ってどう言う事だ?」

 

「ん? ……ああ、イッセーは知らなかったか。サイラオーグはリアスの母方の従兄弟なんだよ」

 

「え、マジ!? あー、だからなんとなくサーゼクスさまに似てたって訳か」

 

 疑問を解消したイッセーがすぐに納得したのを確認した俺は、ずっと控えていた使用人に声を掛けた。そして俺達はすぐに待機室へ移動するのを再開する。

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