アルベドおぎゃあ事件からしばらくたったある日、という設定。
若干オリジナル設定(身体測定云々)入りますがほんのりモモベド風味なだけのネタ話です。

1 / 1
彼女の陰謀

 おぎゃあ事件。

詳細は秘するが、アインズの膝の上にアルベドが腰かけられたこの事件をアルベドは超脳力で超解釈した。

まず“モモンガ様のお好みは子供なのでは?”

だがある種不敬とも言えるこの考えはすぐに切り捨てられる。

モモンガが寵愛する条件が相手が未成熟な者、ならばすでにアウラは何度もアインズの閨に呼ばれているだろう。

だが守護者統括としての、一人の女としての情報網にそのような事実の報告はない。

無論、完全なる超越者にして支配者たるアインズが本気で隠せばその程度の情報の隠蔽は容易いとも考えられるが……。

サキュバスとしての勘が「それはない」と訴えている。

 

 そして第二案。

“モモンガ様は守護者を子供の様に思っている”

これはアインズがアウラとマーレという「成長する者」に食事をとるように計らい、定期的に身体測定などを実施しているためにそこそこありうる話だ。

そして彼女の明晰(だが情欲でしばしばオーバーフローするポンコツ)な頭脳は一つの結論を出す。

 

 すなわち、アインズ攻略の為に子供っぽく振舞うの術。

それも件のおぎゃあ事件のような赤子ではなく娘として父親に接するように節度ある愛情をもって甘える……。

アルベドはこの時おもわず。

 

「見えた!水の一滴!」

 

 と叫んだ。

幸い自室だったために見開いた眼と牙をむく口元、その後に続く不気味な笑みは誰にも見られなかったが。

 

 

 

「アインズ様。今日の都市運営の意見交換は十分でしょうか」

「うむ。アルベドよ。苦労を掛けるな。ゆっくりと休んでくれ」

 

 ある日のエ・ランテルの出張事務所のような施設。

一半時ほど都市の運営方針、次に打ち出す人間に与える飴に見える毒杯となる施策などの打ち合わせを終えてアルベドを労うアインズ。

下がって良い、ということを示すために本人はちょっとサラリーマン魂が「それはないよなぁ」と思う大仰な動作で手を振る。

だがその日のアルベドは違った。

なんかよくわからないが違ったのだ。

 

「あの、アインズ様……」

「ん?なんだアルベド。なにか……問題が?ああ、これは打ち合わせに、ではない。お前個人として何か問題があったか?という意味だ」

「お気遣いありがとうございます。ではちょうどいいので言わせていただきますが……」

「なんだ。なんでも……とは確約できないが。私にできる範囲で在ればなんでも相談してほしい」

「では……」

 

 アルベドがしゃなりと翼をおしとやかに畳んで、角の生えた頭を下げてアインズに歩み寄る。

 

(う、うむ?)

 

 若干、アインズの脳裏を守護者統括殿ご乱心がよぎって緊張が高まる。

しかしそれ以上の急な動きがないために、時間と共に警戒心が弱まっていく。

そしてそんな中でアルベドから告げられたのは……。

 

「アインズ様とは毎日お会いしているのですけれど、ふれあいが足りないと思います」

「そ、そうか?」

「ですので、僭越とは思いますが……なでなでしてほしいのです」

「何処を?」

 

 聞いてからアインズははっとして口元を骨の手で隠す。

迂闊なことをいって刺激してはならんとばかりに。

 

「どこをって……頭です。頑張っている妻への労わりとしては常識的な範囲ではござませんか?」

「あ、ああー。頭、頭な。ふむ……」

 

 顎を手で摩りながら暫し勘案する。

頑張っている部下を労わって頭を撫でる。

まるで元ギルドメンバーの女性陣が好む女性物漫画のような展開で、アインズが行って絵になるのか。

そもそも嬉しいのか?という疑問は生まれたが……。

 

「ああ、その程度なら構わないぞ。頭をそのままに」

「はい」

 

 さらりとした絹糸のような黒髪を白い指が梳く。

そして仕事を労わっているのに無言なのもなんだなぁ、と思ったアインズは更に言葉を紡ぐ。

 

「日々私を助けてくれて本当に感謝の念に堪えないぞアルベドよ。今後も私の為に働いてくれ」

「はいモ……アインズ様!私明日からも張り切って仕事に励みます!」

「うむ。頼むぞ」

 

 暴走することもなく頬を染め、体をすこしくねらせ頬を染めるアルベドの姿に。

なんだ、今日は随分可愛らしいんだなぁ、と思ってアインズは想定より長い時間アルベドの頭を撫でてしまう。

 

「む……すこし触り過ぎたな。すまない」

「いいえ!アインズ様が謝罪なさることなど!」

「ふ、そうか?どうだ、労わりとしては十分だったかな?」

「はい。明日からも仕事をするぞ、という気力がいやましました」

「そうかそうか。ではまた明日な、アルベド」

「はい……それでは、失礼いたします」

「うむ。下がれ」

 

 すすすーっと下がり扉をメイドに開閉させ室外に出るアルベド。

そして、彼女はほくそ笑む。

 

(くふ、くふふー!やはりモモンガ様は私が娘のようにお願いすればそれほど強く拒否反応を示されない!この調子で徐々にふれあいの機会を増やしていき、いずれは……私こそがモモンガ様の正妻になるのよ!見ていなさいシャルティア!その日が来るのを涙と共に拝ませてあげるわ!)

 

彼女の長い陰謀は始まったばかり……。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。