電脳空間のAgentが異世界から来るそうですよ?    作:ガーネイル

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 お久しぶりです。新社会人になった人も学生になった人も新しい環境には慣れてきたでしょうか? 自分はまずまずといったところです。会社の先輩は皆いい人で恵まれたのでよかったです。後は今の仕事が続くかどうかですかね。

 さぁ。それはそれとしまして今回は白夜叉とのギフトゲームです。どのような展開になるんでしょうかね。それではどうぞ


4.ギフトゲーム

 店内は外から見た限りでは考えられないほど広い。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私室で勘弁してくれ」

 

 先ほど川に落ちたはずなのに既に着物が乾いているのはどういうことだろうか。誰もそれにつっこむことなく六人と一匹は白夜叉の後ろを付いて行く。和風の中庭を通過し縁側で足を止める。

 障子を開けて招かれた部屋には香のようなものが焚かれている。個室というには少々広い和室に案内された。

 白夜叉は上座に腰を下ろし一度伸びをしてから改めてこの場にいる全員を見渡す。

 

「それでは改めて、もう一度自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている“サウザントアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいておくれ」

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

 黒ウサギが投げやりな返事をするが、ここで一つ疑問が生まれたのか耀が小さく手を上げる。

 

「……外門ってなに?」

 

 ここでその質問に答えるのは白夜叉ではなく、黒ウサギ。

 

「箱庭の階層を示す外門のことです。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者たちが住んでいるのです」

 

 箱庭は上層から下層まで七つの階層で分けられている。それに伴い、それぞれの層を区切る門には数字が振られている。外壁から数えて一から七桁まで存在し、中心に近付いて行くほど桁が少なくなっている。それは同時に強大な力を持つことを表している。四桁の外門ということはそれなりに名のある修羅神仏が闊歩する人外魔境だ。

 黒ウサギが描いた箱庭の図は外門によって幾重もの階層に別れている。

 

「……超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大なバームクーヘンではないかしら?」

「そうだな。どちらかと言えばバームクーヘンだ」

 

 身も蓋もない三人の例えに肩を落とす黒ウサギ。大輝とまりねは黙って話の続きを待つ。白夜叉は哄笑を上げて三度ほど頷き、その例えに同調する。

 

「バームクーヘンか。なるほどいい例えじゃ。その例えなら今いるこの七桁外門はバームクーヘンの一番外側である薄い皮の部分にあたるな。更に踏み込んで説明するなら東西南北の四つに区切られており、ここは東側で外門のすぐ外は“世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティには所属しておらんが、強力なギフトを持ったもの達が数多く存在する。――その水樹の持ち主などな」

 

 白夜叉は薄く笑いながら黒ウサギの隣に置かれている水樹の苗に視線を注ぐ。笑ってはいるが、目は笑っていない。

 

「して、誰がどのように勝ったのだ? 知恵比べか? 勇気を試したのか?」

 

 白夜叉が抱いた疑問に答えたのも黒ウサギ。自分がやったわけではないが胸を張ってそれに応える。

 

「いえいえ、これは十六夜さんがここに来る前に蛇神様を素手で叩きのめしたのでございます」

 

 全く思いもしない答えに白夜叉が驚愕の声を上げる。

 

「では、その小僧は神格持ちか?」

「いえ、それはありえません。一目見たら分かるはずです」

「む、それもそうか。しかし種族間の力で言うならドングリの背比べだぞ」

 

 ここで言う神格というのは神そのものを指し示すものではなく、その種族の中で最高ランクの体に作り替えることを表すのだ。

 蛇ならば蛇神、鬼なら鬼神。人間なら現人神、神童だ。神格の力はそれだけに留まらず、自身が持つ他のギフトを強化する。

 これだけ強大な力なのだ。箱庭に存在する多くのコミュニティがこのギフトを手にすることを第一の目標としている。

 だが、それだけ強大な力も持っているの為、なかなか入手できないのもまた事実だ。

 

「まぁ、アレに神格を与えたのはこの私だがな。もう何百年と昔のことだがな」

 

 そう言いながら豪快に笑う白夜叉。それを聞いて目を光らせたのは十六夜。誰より強者を求めこの世界に来たのだ。食いつかないわけがない。

 十六夜の反応に一番嫌そうな表情を浮かべたのは意外にも大輝だった。面倒事に巻き込まれるのと遭遇するのは別の話なのである。基本的に大輝は巻き込まれるのを嫌うのだ。

 

「へぇ。じゃあ、オマエはあの蛇より強いのか?」

「当然だ。私は東側の“階層支配者”だぞ。東側で四桁以下に存在するコミュニティでは並ぶものは存在せぬ最強の主催者だからの」

 

 最強の主催者という言葉に十六夜は元より、耀・飛鳥も反応を示し、瞳を輝かせる。

 ついに大輝は頭を抱える。すずねも溜息を吐く。異世界から来ている五人の中で力量の差を認識しているのはAgent組だ。これも仕事柄身に着けたものである。

 

(頼むから面倒事は勘弁してくれよ)

 

 だが、そんな願いは届かない。

 

「ではつまり、貴女のゲームをクリアすれば私たちが東側最強のコミュニティということになるのかしら?」

「そういうことじゃろうなぁ」

「随分と景気のいい話だ。だが、探す手間が省けただけ良しとするか」

 

 立ち上がり闘争心むき出しの視線を送る三人。その視線を受け止め、なお白夜叉は高らかに笑い声をあげる。黒ウサギが止めようとするが、それを白夜叉が止める。

 

「構わぬ。私も遊び相手には常に飢えているのでな。……しかし、ゲームをする前に確認することがある」

 

 着物の裾から“サウザントアイズ”の旗印が入ったカードを取りだす。

 

「おんしらが望むのは“挑戦”か――それとも“決闘”か?」

 

 そう言いながら今までとは別種で獰猛な笑みを浮かべる。そのままカードが光りだし、投げ出されたのはどこまでも続く雪原と凍り付いた湖畔。そして沈む様子を見せない太陽が存在する世界。

 余りの異常さに言葉にすることが出来ない三人と似た感覚を知っている二人。そんな五人に今一度問いかける。

 

「私は“白き夜の魔王”――太陽と白夜の星霊・白夜叉。改めて問おう。おぬしらが望むのは“挑戦”か? それとも“決闘”か?」

 

 白夜叉が浮かべた笑みは今までの笑みとは違い、物言わせぬ凄みがある。

 そして彼女が言った星霊とは何か。それは惑星以上の星に存在する主精霊を指し、所謂悪魔などの様々な概念の中で最上級であり、ギフトを“与える”側に位置している。

 

「なるほどね、白夜であり、夜叉でもある。つまりここはあなたの在り方を表現している、ということで合ってるか?」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす私が持つゲーム盤の一つだ」

 

 白夜とは一定の経緯に位置する地域で起こる体協が沈まない現象のことである。

 ならば、夜叉とは何か。これはインド神話における鬼神の総称とされている。男女で呼ばれ方が違うが仮として男性のヤクシャという呼ばれ方で焦点を置こう。人を喰らう鬼神である一方、人々に恩恵をもたらす神霊だと考えられていた。その中で水との関係もあり、夜叉(ヤクシャ)と名付けられたのだ。

 

「して、おんしらの返答は? “挑戦”ならば手慰み程度に遊んでやる。だが、“決闘”を望むなら話は別。魔王として命と誇りの限り闘おうではないか」

 

 自信家である十六夜でさえ、即座に返事をすることが出来なかった。

 彼女が如何なるギフトをどれほど所持しているのか想像は出来ない。しかし、勝ち目がないことだけは理解していた。いや、理解させられた。力の差は一目瞭然。敗北は免れない。それでも自分から売った喧嘩を引き下げるのはプライドが邪魔していた。

 沈黙の後に十六夜が諦めたように笑い、両手を上げる。

 

「参った。やられたよ、白夜叉。今回は黙って試されてやるよ」

「ふむ、よかろう。他はどうする?」

「……えぇ、私も試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

 

 二人は苦虫を噛み潰したような表情でそう返す。その奥にいる二人を白夜叉は逃さない。黙って見続ける。

 

「わたしも挑戦にしておこうかな。こういうのはあまり得意じゃないの」

 

 そう言うまりねと沈黙を貫く大輝。やがて、ガシガシと頭を掻きながら口を開く。

 

「だから面倒になりそうで嫌だったんだ。お前ら、結果的に下がるなら最初から喧嘩売るなよ」

「あ?」

 

 大輝の言葉にプライドの高いムッとする三人。まりねはあぁ、始まった……。と言いたげな顔をしているが、そんなことは関係ないと言わんばかりに白夜叉へと言葉を投げる。

 

「……俺は決闘を選ぶ。相性が悪いと瞬殺されるだろうが、まぁ何とかなるだろう、これも訓練の一環ってことで。それに試してみたいこともであるし丁度いいかな」

「ちょ、大輝さん!? 相手は元魔王ですよ! 今ならまだ間に合います、ですから」

「ごめん。それは無理だ。一応こっちからふっかけた喧嘩だ。全員挑戦じゃ示しがつかない。俺たちはいつもそうやってきたんだ。今回は俺がそうする。大丈夫なんとかなるって」

 

 笑いながらそう言う大輝に何も言えなくなってしまう。

 全員の意見が纏まったところで遥か遠く、山の向こう側から何かの鳴き声が聞こえる。鳥とも獣とも当てはまらない鳴き声。それに一番早く反応したのは耀だった。

 

「今の鳴き声は何? 今まで聞いたことがない」

「ふむ。あやつならおんしらを試すのにちょうどいいかもしれな」

 

 山脈の向こう側からやってくるのは巨大な翼を広げ、体長5mはありそうな巨大な獣。

鷲の翼と獅子の体を持つ生き物を見て要は驚きの声を上げる。

飛んできたのは幻獣の中でドラゴンと同じぐらいネームバリューがあるグリフォンだった。

 

「あやつこそ、鳥の王にして獣の王。“力”“知恵”“勇気”の全てを兼ね備え、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

グリフォンは彼女の側へと降り立ち、深く頭を下げ礼を示す。

 

「さて、肝心のゲームだがの。おんしら四人にはグリフォンと“力”“知恵”“勇気”のいずれかを示してもらう。決闘はその後じゃ」

 

 白夜叉が虚空から“主催者権限”のみに許された羊皮紙を取りだし内容を記述する。

 

 

『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”

 

・プレイヤー一覧

 逆廻 十六夜

 久遠 飛鳥

 春日部 耀

 鈴森 まりね

 

 

・クリア条件 グリフォンの背に乗り湖畔を一周する。

・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”のいずれかをグリフォンに認められる。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった時。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

“サウザントアイズ”印』

 

 一番最初に立候補したのは耀だった。ピシッという擬音が合いそうなほどきれいな挙手だった。彼女の熱い視線はグリフォンへのみ注がれている。その様子に飛鳥と十六夜は折れて一番手を譲る。三人は一言ずつエールを送り、送り出す。

耀が近づくとグリフォンは大きく翼を広げて威嚇する。そして周りの人間を巻き込まないようにするためか、少し離れたところまで進んでいく。耀もそれを後ろから追いかける。その間も翼はグッと広げている。

 止まった後もグリフォンの体を見続ける。そして声をかける。グリフォンは体を一度震わせる。名乗った後一つ提案する。それは誇りをかけて背に乗ること。そして賭けるものは自分の命。

 その条件の下でお互い合意。背にまたがり湖畔を一周する。山脈に差し掛かると更に速度を上げ振るい落としにかかる。ゴールまで残り数メートルというところで投げ出される。このままでは危ないがその心配はいらなかった。彼女は何もない宙を踏みしめ降りてくる。

 これは彼女のギフトによるもの。彼女が持つギフトは心を通わせた他種族の力を使用できるというもの。その力の一端は一番最初に黒ウサギが風上に立っていることに気付いたのもその力によるものだ。

 父が作ったという木彫りには複雑な幾何学模様が描かれ、それがいくつも枝分かれしている。それはまさに生命の目録と呼ばれるものだった。

四人の挑戦はクリア。そして大輝の決闘へと移行する。

 

 

『ギフトゲーム名 “白き魔王との決闘”

 

・プレイヤー一覧

 湊 大輝

 

・“サウザントアイズ”ゲームマスター 白夜叉

 

・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった時。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

“サウザントアイズ”印』

 

 

「おんし、本当に決闘でよかったのか?」

「どうせならってやつだ。やれる限りはやってやるさ」

「面白いやつだ。よかろう、先手は譲ってやる。全力でかかってこい」

 

 大輝はサテライトを起動しデッキを展開する。展開されたデッキが大輝の周りをゆっくりと回転している。白夜叉が興味深そうにそれを眺める。

 大輝は三枚のカードを手に取る。

 

「二枚カードをセット。ユニット召喚!」

 

ブロックナイト

緑属性

種族:珍獣

LV1. BP1000

 

 伏せたカードの内一枚は同じ緑属性のユニットカード。これはコスト軽減によりブロックナイトはノーコストで召喚できる。さらにブロックナイトの召喚時効果により緑属性のカードを一枚ドローする。更に伏せたトリガー『進化の系譜』が発動される。このトリガーは自身のユニット召喚時、進化ユニットを一枚引くというもの。

 新たに手札に加えたカードはアプスーとアームズドラゴン。

 

「続けてユニット進化、更にユニット召喚!」

 進化前          進化後

ブロックナイト  →   アームズドラゴン

緑属性

種族:珍獣    →   ドラゴン

LV1.BP1000 →   BP3000

 

 

アプスー

緑属性

種族:ドラゴン

LV1.BP7000

 

「アームズドラゴン召喚時、相手の力を1/2にする。続いてアプスーの効果。強制防御を与える」

「純血の龍さえ召喚するか。それにこれはッ!?」

 

バースト・カタストロフィという効果により力が半減する。

 

「アームズで攻撃! この時、BPは三倍となる!」

 

 BP9000となったアームズドラゴンが白夜叉へと襲い掛かる。白夜叉は素手で攻撃を抑えこむ。

 力は半減したはずだが、未だ力の差は歴然。そのままひっくり返される。

 

*************

 

 戦闘を見ながら飛鳥に気になることがあったのか隣でまりねに尋ねる。

 

「ねぇ、鈴森さん。湊くんの周りに浮かんでいるものってガルドの時の貴女と同じものよね? あれは一体なんなのかしら?」

 

 答えが気になるのかその場にいる全員がまりねに注目する。

 

「えぇ、そうよ。大くんの周り浮かんでいるのはデータ化されているカードよ。四十枚で一組のデッキというものが出来るわ。デッキはユニット、トリガー、インターセプトの三種類のカードでデッキが構成されるの。それを収めているのがこのサテライトっていう小型端末よ。これはデッキ以外にも全カードの情報やメールのやり取りや地図の表示等色んな機能が搭載されているの。この世界に来てから黒ウサギさんに言ったことを覚えているか分からないけど、あれはわたしを含めた8人しか持っていないわ。ワクワクしているところ悪いけど、ごめんね。耀ちゃん。残念ながらユニットは召喚者の言葉しか理解できないから生命の目録は通用しないと思う」

「…………残念」

 

 耀は心底残念そうに呟く。その次に質問したのは黒ウサギだった。

 

「トリガーとインターセプトの違いは何でしょうか?」

「トリガーは条件を満たしたうえで強制的に発動するもの。インターセプトは任意なの。発動条件やタイミングは効果次第よ。あの緑色の竜、アームズドラゴンを召喚するために使用したのはトリガー。あのトリガーはユニット召喚時に進化ユニットをデッキから手札に入れる効果を持っているの」

 

************

 

「どうした、それだけか? そんなじゃ満足できんぞ!」

 

 アプスーも破壊される。本来なら高BPとして扱われるユニットだ。が、星霊が相手ではまだ足りないようだ。

 

「まだまだ! 新しくユニットを三体召喚する」

 

白夜刀のカンナ

黄属性        

種族:魔導士/盗賊

LV1.BP4000

 

赤誠の沖田

赤属性

種族:侍

LV1.BP5000

 

開眼のアヤメ

黄属性

種族:侍

LV1.BP5000

 

 BPでは二体の龍には及ばない。だが、彼女らにはそれを補う能力を持つ。

 

「ほう、次は侍か。よかろう、楽しませよ!」

 

 アヤメと白夜叉による近接戦が始まる。打ち合いが続く中、大輝はカンナへ攻撃の指示を出す。

 LV1状態のカンナが持つ特殊能力。それは攻撃を当てるのが可能ということ。カンナの刃が白夜叉へと当たる。それにより、レベルが上がる。だがBPは変わらない。

 

「ほぅ、攻撃を当てるか。面白い!」

 

 アヤメを倒し、目標をカンナへと変える。破壊されるのを防ぐため、沖田にブロックを命じる。

 インターセプトをセットし、もう一度カンナに攻撃指示を与える。

 

「インターセプト発動!」

 

 発動したインターセプトの名は光の福音。効果は次元干渉/コスト3。これはコスト3以上のユニットからはブロックされないというもの。ユニットではない白夜叉に通用するかは不明だ。だが、彼女の力からするとコスト5は必須。これは賭けである。

 カンナが再び攻撃を仕掛ける。だが、何度も同じ手を喰らう白夜叉ではない。沖田を弾き飛ばし、カンナの攻撃を弾こうとするがそれは叶わなかった。カンナの体が蜃気楼のように消える。

 

「何と!」

 

 ワンテンポ遅れて疾る刀。その刃は再び白夜叉へと届いた。そしてその瞬間、カンナのレベルは3へと上がる。それと同時に白夜叉の体の動きが鈍くなり、最終的にまるで拘束されたかのように動けなくなる。そしてカンナがLV3になったときに発動する能力『呪縛』。これは本来対象にしたユニットの行動権回復を封じるものだが、ここでは違う形で発揮されるらしい。

 そしてどのユニットも必ずLV3になった時、『オーバークロック』というものが存在する。これは消費した行動権を回復し、もう一度行動できるようにするものだ。

 大輝はもう一度攻撃を命じる。

 

「一体何が……」

「カンナ! もう一度攻撃。これで止めだ!」

 

カンナの刃が白夜叉へと届く寸前で大輝がストップをかける。

 

「これで俺の勝利だ。構わないだろ? ……手加減してくれたんだろう?」

「よかろう、おぬしの勝ちじゃ。手加減は……どうじゃろうな。分からんよ」

「次は手加減なしで勝てるようになってやるよ」

「その時を楽しみにしておこう」

 

 大輝はキャットレイを二体召喚し、白夜叉と共に皆が待っているところへ戻る。召喚主である大輝が獣に乗ることは慣れているであろうが、白夜叉にとっては初めてだった。異世界の獣に乗り雪原を走ると言う体験をすることは。その証拠に彼女の目はまるで色々なものに興味を示す幼子のように輝いていた。

 まりねはその様子をニコニコと笑顔を浮かべながら見ている。

 データとはいえ獣。先ほど無理と言われたが、それでも意思を交わしたくてそわそわしている耀。

 戦闘中から鋭い目つきで見ている十六夜。

 やれやれと言いたげな飛鳥。

 駆け寄って話をしたくても昼間のトラウマが蘇って行くに行けない黒ウサギ。

 そんな四人の反応の違いは傍から見ているだけでも多少面白い。

 二人が戻ってくるのに三分もかからなかった。

 大輝が二頭を消してようやく黒ウサギが二人の元へ駆けだす。

 

「大輝さんも白夜叉さまも一体何を考えていらっしゃるんですか! お二人にお怪我がなかったからよかったものの大怪我でもしたらどうなさるおつもりですか! ……でも、大輝さんが白夜叉さまに勝てただけでも……どうかしました?」

「俺は勝ってない。先手を譲ってくれた上に本気を出されていたら瞬殺されたはずだ。あいつらを使役っていようと俺自身はただの人間なんだからな」

「それはそうですが……」

 

 思っていたより厳しい面があることを知った黒ウサギだが、何て言葉を掛ければいいのか分からなかった。

 この手の人間は他人が何を言っても自分の意思を曲げることはまずないと言っていい。

そして手加減という言葉を聞いて一番最初に喧嘩を売った問題児三人は悔しそうな表情を浮かべ歯噛みする。

まりねが仕方ないなぁと苦笑いしながら大輝に言う。

 

「大くん、前と同じだよ。君がエージェントになったばかり時と同じ。だから今よりずっと強くなればいいんだよ。大丈夫、大くんなら出来るよ。ずっと大くんを見てきたわたしが保証するから。自分を信じられないなら大くんを信じるわたしを信じて。ね?」

「……、分かった」

 

 不承不承頷く大輝。

 それを視ていた黒ウサギ。彼女は大輝が頷いたことよりもそうさせることが出来るだけの言葉を、積み重ねた過去を持っているまりねに対し、何故か嫉妬していた。そしてそんな自分に戸惑っていた。黒ウサギにとって大輝という存在は同じコミュニティの仲間でしかないはずなのだから。でも、やはりよく思わない自分がいるのも確かだった。それに答えを出せないのもまた事実である。一度深呼吸をして気持ちを切り替える。

 

「さて、白夜叉さま。約束通り報酬をもらいますからね!」

 

 そして、黒ウサギは一度自分の感情を見ないふりをして、白夜叉に報酬を要求することにしたのだった。

 




 というわけで決闘を選んだ大輝でした。まぁツッコミたいところはあるでしょうがそれは捨て置いてくれるとありがたいです。アンチ的な表現が少なからず出てしまいましたが、それなりに意図があるので見守っていてください。
 戦闘描写が苦手だからもっとうまくなりたい。というのが一番です。オリジナルの展開も苦手なので発想力も欲しい。
 今の自分には足りないものが多すぎるのでこれが精一杯です。これから上手くなれるはず。と思いながら書き続けますのでよりよくなっていくことを期待しながら待っていて下さると嬉しいです。でも、過度な期待はNGでお願いします。
 それでは次回もよろしくお願いします。
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