「おーいマスター。どこか連れてってくれプリーズ」
真っ黒な英霊は彼のマスター。藤丸に向かって気の抜けた言葉を投げ掛けた。
「いいけどひとつ条件があるんだけどいいかな?」
「なんだ?その条件ってのは」
藤丸は真っ黒な英霊に向かい顔を見つめた。そしてゆっくりと口を開き
「宝具...まだ何か隠してるよね?あの自傷宝具の他にあと2つ」
藤丸は真剣な眼差しで真っ黒な英霊、アンリマユに向かって問いかけた。藤丸は数々のサーヴァントと契約している。魔術師としては未熟なのだろうけど直感というか、何かを見通す力があるらしい。
「俺の宝具~?あるけどさー、何?宝具を見せろってことか?」
ニヤニヤしながら返答したアンリマユは真っ黒な姿から刺青だらけの姿に変えた。なんともおぞましい刺青だ、うにょうにょ動いている。
「君と契約したマスターとしてサーヴァントの戦力は把握しておきたいんだよ。だから今から望み通りレイシフトするから君の宝具を見せて欲しい」
藤丸がなぜ宝具を把握したいと言ったのかアンリマユには理解できた。あの赤い弓を持ったサーヴァント。あのサーヴァントの宝具は撃った直後に自滅する。もう自分のサーヴァントが死んでしまう様を見たくないのだろう
「全く....どこまでお人好しなんですかねぇ」
ため息が出る。藤丸はかつての俺のマスターに似ている。何者を捨てられなかったあの女に。
「俺の宝具を見せてどーなる」
「君の宝具は扱いづらいし俺には弱ったサーヴァントに止めをさせる力もない。ならせめて君の隠している2つの宝具を見て戦い方を考えたい。君を死なせたくないからね」
呆れるくらいお人好しだった。
「仕方ないから教えてやりますよー。1つ目は俺の分身体、知能の無い獣が宝具ですよー。まあ、この宝具はつかえないんですけどね!」
あはははっと笑ってみる。けど藤丸は笑っていない。
「もう1つは?」
「もう1つは俺が殻を被った時に作り出した宝具だ。その英霊はカルデアにも来てるはずだ、その英霊が持っていた宝具、固有結界宝具を俺の心情風景と合わせたわけ」
「その宝具の真名は」
教えてやるよ
「教えてやる、この宝具は俺だ、俺の名が真名だ。俺はこの宝具をあんたに使わせたくない」
「だから隠してたんだぜ?マスター」
藤丸は優しい人間だ。
俺は悪だ、悪を従えるなんざあんたにゃ似合わないぜ。
「けど....アンリマユ...君は....」
ああ、またこの世界でも大切なものができそうだ....悪らしくないぜ...