薄暗い小屋の中。ハグリッドが、赤ちゃんドラゴン・・・いや、もう赤ちゃんではないドラゴンのそばに座っていた。
「外に放してあげれば?そっちの方が幸せかもしれないよ」
「そんなことは出来ん。すぐに死んじまう」
ハリーが促したけれど、ハグリッドは、すぐに否定する。
「この子は、ノーバートって名前にしたんだ」
はぁぁ。
「ノーバートや、ノーバート。ママはどこでしょう?」
「狂ってるよ」
ロンが囁いた。
「あ、あのさぁ、ハグリッド。いつかは飼えなくなる時がくるんだよ」
「うんうん」
「お、俺だってそれは分かっちょる。だけど、捨てるなんて俺にはできん」
ハグリッドが唇をかんだ。
「そうだ!」
「どうしたんだい、ハリー?」
「チャーリーだよ!チャーリー!君のお兄さんの!」
「チャーリーがどうかした・・・あ、そういう事か!」
「どういうことだ?」
「ルーマニアでノーバートの世話をして貰えばいいんだよ」
「賛成!」
ハグリッドは考え込むようなそぶりを見せたけれど、私達の必死の説得もあってか、最後は承諾した。
次の週。時々ドラゴンの様子を見に行っている。
「ハグリッド、大丈夫?」
「ああ・・・少々噛まれとるが、大丈夫だろう」
「はぁ」
ノーバートは、私に向かって歯をむき出した。
「・・・もう随分大きくなったけど」
「ああ。成長が早いな」
ノーバートが私に向かって火を吹く構えをしようとした。
「やっぱり、ドラゴン同士じゃないと、躾とかは無理なんじゃないの?」
「う〜む」
「ドラゴン召喚してあげるよ。そしたら、もうちょっとはマシになるんじゃない?」
「そうかもしれないな」
ハグリッドがそう言うが早いか。
「インウォカーティオ!セイラン!」
真っ白なドラゴンが召喚・・・されたかと思いきや、銀色の髪をした少女が立っていた。
「こんにちは〜、ティアナ〜。久しぶり〜」
「久しぶりね」
片手を上げて挨拶をする。
「今日は、何の用?」
「あのね。ノーバートを、しつけて欲しいの」
「しつけ?」
「そう。セイランなら出来るでしょ?」
「まぁ、多分」
「ティ、ティアナ。本当に、ドラゴンなのか?」
「「もちろん」」
声を揃えて言うと、ハグリッドの口と目が大きく開いた。
「さてと。外に出ないと、ドラゴンのしつけは出来ないんだけど」
「禁じられた森の中とか?」
「うん。とにかく広いところね」
「じゃぁ、ノーバートを連れて行こう、ハグリッド」
「あ、ああ」
セイランがノーバートの首を掴んで持ちあげて、禁じられた森の中に入って行った。
「き、禁じられた森は危険だぞ⁉︎」
「大丈夫だって」
ハグリッドを連れて、セイランの後を追った。
「ここら辺でいっか」
開けた空き地に着いてから、セイランがノーバートを降ろす。
「さすが、セイラン」
「腕力には自信あるからね」
ノーバートがセイランに襲いかかっていく。どうやら、運び方がお気に召さなかったらしい。
「セイランっ!」
「大丈夫大丈夫」
セイランが右手を前に出して、言った。
「待て」
セイランの身体を、殺気が包む。が、顔は依然として笑顔のままだ。だけれど、ノーバートはキキーっと音をさせて止まった。
「よしよし。えらいえらい」
そう言った瞬間、殺気が消える。元の、どこにでもいるような少女に戻った。
「なっ・・・」
ハグリッドが絶句している。
「さっすが、セイラン」
「どんなもんよ!」
そんなことを1時間ぐらい続けると、ようやくノーバートはおとなしい普通の(?)ドラゴンになっていた。
「おお〜っ!」
ハグリッドが歓声をあげる。
「さてと。これで良いよね?」
「うんうん。あ、そだ。最後に、背中に乗せてよ。久しぶりにさ」
「え?良いけど」
そう言うと、セイランの姿を光が包み込む。そして、光が消えると、そこには真っ白なドラゴンが座っていた。
「じゃ、失礼して」
そう言ってから、背中に座って、しっかりとつかまる。
「じゃ、いくからね!」
セイランの声がした。
「うわぁ!」
前世、大好きだったジェットコースターに乗ったときとよく似ている、独特の浮遊感。たまりませんわ。
「すっごい良い景色!」
大きな湖はキラキラと輝き、ホグワーツ城は、おとぎ話に出てくるようだ。
「じゃ、ホグワーツ一巡りの旅に出発進行!」
「お〜っ!」
10分ほどで、旅は終了。
「ああ、良い気分」
「楽しかった〜。あ、人間に戻って戻って」
「はいはい」
またセイランの身体を光が包み込み、銀髪の少女に戻る。
「さてと。戻ろっか」
またセイランがノーバートを吊り上げ、小屋の中に戻る。
「ありがとね。また召喚するから!」
「じゃぁねぇ」
セイランが消える。
「じゃ」
「あ、ありがとな、ティアナ」
「ううん。別に」
今日も1つ、良いことしたな〜。
寮の談話室に戻ると、ハリーたちが待ち構えていた。満面の笑みで。
「ティアナ!」
「え、えっと・・・何?私の悪事、なんかバレちゃった?」
「何したの?いや・・・そんなことより!チャーリーから返事が来たよ!土曜日の夜、1番高い塔に持って来てだって!」
「へぇ〜」
「でもさ、どうやって連れてけばいいんだろ?暴れるっしょ」
「あ、そのことなんだけど」
さっきのことを話す。ただし、セイランがドラゴンであるというところはふせてね。
「そうなんだ。っていうか、その女の子、何者なの?」
「えっと・・・わ、私の友達」
「すごい友達だね・・・」
「あはは・・・」
土曜日の夜。
「もうそろそろ行かないと」
ハリーがそう言って、透明マントと、すっかり大人しくなったノーバートを入れた箱を持った。
「あ〜。透明マント、3人までしか入れないよ・・・どうしよう」
「あ、私目くらまし術使うから、大丈夫だよ」
「目くらまし術って・・・?」
「すごいレベルが高い魔法だよ!ってか、そんな魔法まで使えるの⁉︎」
「まぁ、一応」
「「「・・・」」」
そんなこんなで、1番高い塔の上に着く。ちょうど着いたらしいチャーリーの友達とやらにノーバートの入った箱を渡す。もちろん、ちゃんと見えるようにしてからね。
「こんなに穏やかなドラゴンは、初めてだよ」
驚いていた。非常に驚いていた。
「あはは・・・」
穏やかにした方法を知りたがってたけど、笑ってごまかした。まさか、ドラゴンに頼んでやってもらったなんて、口が裂けても言えない。チャーリーの友達が箒に乗って帰っていく。
「これで、やっと厄介払い出来たね・・・」
「うん」
「出来れば、もうノーバートみたいに気性の荒いドラゴンとは、関わりたくないな」
「炎のゴブレット」で、ドラゴンと戦うけど・・・まぁ、あと3年も先のことだし。階段を降りていく。その時。背後から声がした。反射的に杖を構えてしまう。
「これはこれは。大変なことになってしまいましたねぇ」
振り向いた私たちの目に飛び込んできたのは・・・ニヤニヤ笑いをした、フィルチだった。やっべぇ。目くらましかけるの忘れてた。
それから、マクゴナガルに会って、1人50点ずつ引かれてから、寮に戻った。
翌日。談話室は、大騒ぎだった。だって、200点も引かれたんだもん。みんな、私達の方を見ながら、聞こえよがしにヒソヒソ話していた。その内容を要約すると、こんな感じ。
「ハリーポッターとか、あのティアナ・ブラックが、寮の点数を200点も引いちゃったらしいぞ」
「やっぱりな。あいつ、ティアナ・ブラックな、いつか問題を引き起こすと思ってたんだよ。だって、あの大量殺人鬼、シリウス・ブラックの娘なんだぜ?」
はぁ。私としたことが、あんなミスをするとはなぁ。夕食の席で、4人で並んで座って話す。
「ってか。私、授業で100点近く稼いだんだから。そのおかげで、200点引かれても、グリフィンドールは3位と10点ぐらいしか差がないんじゃない」
「しっ、ティアナ。皆、こっち見てるよ」
「ハーマイオニー。確かに、私達は、悪いことをしたわ。それは認めるけど・・・でも、あなただって50点はもらってたでしょ?それに、ハリーはクィディッチで得点もらえたし、ロンだって最近は点数をもらえるようになってきたし」
「ま、まぁそれは否定しないけど・・・」
実際、今日だって頑張って点数もらって、3位に押し上げたのに。感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはないはずだ。そう思いながらフライドチキンを噛みちぎる。
「そういえば、罰則はどんなのなんだろ?」
「さぁ?」
「書き取りとかじゃないの?」
「う〜ん」
禁じられた森で、怪我したユニコーンを探すんじゃなかったっけ?で、その時、クィレルが、ハリーを襲うんだよ!ああ、楽しみ・・・(何かが間違っている気がするな)