寮の談話室に戻ると、ハリーとロンがすでに帰っていた。
「ハリー、ごめんなさい!」
まず最初に謝っておく。それから、2人で事情を説明した。
「じゃあ、僕が行くしかない。そうだろう?」
じっと顔を見つめる。馬鹿か、こいつ。いや、気持ちはわかるけどさぁ。そう思っちゃうんだよなぁ、何故だか。
「僕は今夜1人でここを抜け出す。石を何とか先に手に入れる」
「気は確かかよ⁉︎」
「だめよ!退校になっちゃうわ!」
「だからなんだよ!」
ハリーが叫ぶ。
「分からないのかい?もしヴォルデモートが石を手に入れたら、あいつが戻ってくる!そうだ・・・もし僕が退校になって、プリベット通りに戻っても、どうせ死ぬまでの時間が短くなるだけだ!」
うん、まあそうだよねー。あ、いや、でも。ハリーのお母さんの愛の呪文でハリー守られてるんだったよね?そう簡単には死なないか。ま、死ぬより酷い目にあわされるかもだけど。ん?死ぬより酷い目って、どんな目なんだろうか。想像したくないなぁ・・・。
でもねぇ・・・ちょっとイラっとしちゃった。勇気と無謀は違うってよく言うじゃん?こいつのは後者でしょ。とにかく、むかっときちゃった私は、思いっきり、
「はぁ〜っ⁉︎あんたバカなわけ!つか、何なん⁉︎友達の心配してる気持ちわかんないの⁉︎せっかくお父さんとお母さんに助けてもらった命じゃん!大切にしろよ!もっと親孝行せい!1人で行くとか!無謀なんだよ!」
etc etc…色々叫びまくった私は、とりあえずスカッとした。ん、あれれ?ハーマイオニー達、目が点になってるよ??ま、仕方ないかなぁ?
「お〜い、どした〜?大丈夫?」
「い、今・・・何語で何を言ってたの、ティアナ?」
「気にしないで。とにかく叫びまくったおかげで、めちゃくちゃスカッとした」
「あ、そ・・・そうなの?」
「うん」
しばしみんな無言になる。それというのも・・・私がシリアスな空気ぶち壊しちゃったからである。やっぱ、まずかったかなぁ?
「ま、と、とにかく・・・僕は1人で行く」
「何言ってるの?私一緒に行くけど」
「えっ⁉︎」
「私達だって行くわよ。貴方1人で行かせるわけないでしょ」
ハーマイオニーがロンの方を見ると、ロンがうんうんと頷いた。
「で、でも・・・君たちまで退学に・・・」
「大丈夫よ!フリットウィックが教えてくれたんだけどね、彼の試験で私は100点満点中112点だったんですって。これじゃ私は退学にはならないわ」
そういやぁ何かすっごい悪いことしてるような場面だったなぁ。どっちも悪い笑み浮かべてコソコソと。フリットウィック先生もハーマイオニーもノリノリだったなぁ・・・まぁ指摘はしなかったけど。
長い授業がすべて終わり、夕食も食べ終わった後。談話室で、私達4人は他の人から離れて座っていた。私達がめちゃくちゃ頑張ったおかげで、4位から3位に上がったとはいえ、いまだに悪口を言われ続けている私達。誰も気に留める様子はない。長引くなぁ。怖い怖い。
「ハーマイオニー・・・そんなに呪文を調べなくても」
「私は心配なのよ!あなたみたいに自分に自信がないのよ!分かるでしょ⁉︎」
「いんや、分かんないけど」
「あのねぇ・・・!」
「大丈夫だよ。ハーマイオニーは十分いろんな魔法を知ってるから。十分強い」
ハーマイオニーの頭を撫でながら言う。
「う〜ん・・・まぁ嬉しいのは嬉しいんだけどねー、なぁんか上から目線なのよね。あやされてる的な」
「・・・ま、まぁ気にするない」
「・・・・・・指摘しないであげるわ」
ありがたい。
さて。寮生が全員寝室に行った時。
「マントを取ってきたら」
ロンがハリーに囁くと、ハリーは立ち上がって、透明マントを持って駆け戻ってきた。
「ここでマントを着て見たほうがいい。ティアナは、呪文で見えなくなれるんだよね・・・ってあれ?そのバッグは・・・」
「一応持って行っとこうと思って」
あの『検知不可能拡大呪文』をかけたハンドバッグっすよ。活躍してます。
「それじゃ、3人全員隠れられるかどうか確かめよう。足1本でも出てるところをフィルチにでも見られたら大変だ・・・」
「君達、何話してるの?」
突然ネビルの声が。部屋の隅・・・はっ!忘れていた!最近、物忘れが激しい。もう歳かなぁ。精神年齢(?)は、まだ20代・・・ってか、ネビルいたの気づかなかったって、どんだけ注意力散漫なのだろうか。いや、ネビルの影がまだ薄いだけなのかな?
「な、何でもないよ、ネビル。気にしないで」
「また外に出るつもりなんだろう?」
げっ。丸わかりじゃんね。私、思ったことすぐに顔に出るタイプ。
「ううん、違う、違うわよ。出るわけないじゃない。ネビル、もう寝れば?」
「嘘だろ。また外に出ているところを見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる」
「僕らがやろうとしている事は、とても重要な事なんだ」
「行かせるもんか!ぼ、僕は・・・君たちと戦う!」
ネビルが出入口の肖像画の前に立ちはだかった。
「ネビル!そこをどけ、バカな事やめろよ・・・」
「バカな事じゃない!もうこれ以上規則を破ってはいけない!それに、恐れずに立ち向かえって言ったのは、君だろ⁉︎」
「立ち向かうのは僕たちじゃない!」
「やるならやってみろよ。殴れよ!いつでもかかってこい!絶対通さないぞ!」
そう言ってネビルがファイティングポーズをとったところで、ハリー達が振り返って言った。
「「「ティアナ、何とかして」」」
んー、ハーマイオニーがやった方がいいと思うんだけどな。ま、いっか。
「あー、ごめんね、ネビル」
一応謝ってから、呪文を唱える。
「スエーニョ・ソムヌス 眠れ」
「え・・・?」
ネビルが絨毯の上に倒れこんだ。
「な、何したの・・・?」
「眠らせただけ。でも・・・」
肘掛け椅子に座らせたほうがいいか。
「モビリコーパス 浮遊せよ」
脱力したネビルをそっと持ち上げて、暖炉のそばの肘掛け椅子に座らせる。
「これで良しっと」
朝には目覚めてるはず。
「ネビル、ほんとにごめんね」
ま、ハーマイオニーよりゃあ良かったかな、方法としては。眠らせたんだもん。アフターケア(肘掛け椅子に座らせる)も万全だしね。
「さあ、もう行かないと!」
「うん、透明マントに入って!」
3人共が透明マントに隠れて見えなくなると同時に、杖を自分の方に向けて、
「クラールハイツ・トラスパレンツァ」
と、唱えてから、杖をしまった。
「さてと、行こう」
「うん」
肖像画の扉から出て、歩き出す。私は足どりもまぁまぁ軽かったのだけれども、他の3人は始終ビクビクしていた。
ん?階段の下に・・・ミセス・ノリスが。ミセス・ノリスって、あんまり好きじゃないんだよね。うちのソーレ虐めてそうだから。
「ねえ、あいつ蹴っ飛ばしてやろうぜ、1回だけで良いからさぁ」
「ダメよ、ロン」
慎重に、慎重に、猫をまたいで階段を上がっていった。ひえっ。なんか見てきたんですけど。怖いなぁ・・・。
ついに、4階に続く階段の下にたどり着いた。幸運なことに、ミセス・ノリス以来、誰にも遭遇しなかった。って、ああ⁉︎ピーブズ・・・いつまで私達の邪魔をすりゃ気がすむんだよ!!とにもかくにも、さっきのイライラがまたまたピークに達し、ついつい呪文を放ってしまった。
「デファンドール・プロテッジェーレ!」
この呪文には、除霊の効果もあるのである。ま、ピーブズはポルターガイストだから、完全には天に召されないだろうけど、1ヶ月くらい行動不能に出来る。
「ぎゃっ⁉︎」
シューッとピーブズの体が消えていく。良し!成☆敗☆完☆了!
「す、すごいわ、ティアナ・・・」
「サンキュ☆」
3人が少し引いたような顔をしていたけれど、それは気にしない気にしない。
そのまま長い階段を上がっていくと、4階の廊下にたどり着いた。見ると、扉が少し開いている。
「もうスネイp・・・クィレルはもうフラッフィーを突破したんだ」
おい、今スネイプって言おうとしただろ。そんな事を思っていると、ハリーが振り向いて口を開いた。
「君たち、戻りたかったら、今のうちに戻ってくれ。マントは持って行って良いから」
「バカ言うなよ」
「一緒に行くわ」
「もう覚悟はできてる」
私達の返事を聞き、ハリーの顔が少しだけ明るくなった。
「それじゃあ、扉を開けるね」
扉はきしみながら開いた。
「犬の足元に・・・ハープが置いてある・・・?」
「あいつが置いていったんだ。そうに違いない」
「きっと音楽がやんだ途端起きてしまうんだ」
「私が音楽を奏でるから、その隙にみんな行って」
「う、うん・・・でも、楽器は?」
「このバッグの中に入ってる」
そう言いつつ、ちゃんと組み立ててあるアルトサックスを出す。この世界の私は、さすが音楽の神に転生させられただけあって、音楽の才能もあるようで、1ヶ月ほどで1曲マスターできました!イェーイ!ぱちぱちぱち!
「それじゃ、始めるよ」
リードをセットしたマウスピースをくわえ、専用のベルトを首にかけて、吹き始める。必死で指を動かし、息継ぎもほとんどしないように頑張った。
すると、フラッフィーはみるみるうちにトロンとなり、眠り込んでしまった。
そうそう、今の状況に全く関係ないけど、サックスって、金属で出来てるのに、木管なんだよね。なんでも、昔は木で作られていたらしい。同じ木管楽器では、フルートとかクラリネットも有名だよね。フルートもやってみたけど、全くコツが掴めなかったため、諦めたのです。クラリネットは、サックスと同じようなマウスピースなんだよねー。以上、私の全くなんの役にも立たない雑学でしたー。
「演奏を続けてね」
ロンが念を押してくる。返事ができないので、とりあえず頷いて返した。
ハーマイオニー達がおそるおそる中に入り、仕掛け扉の方へ歩いて行く。私も吹きながら後を追った。
「扉は引っ張れば開くと思う。ハーマイオニー、先に行きたい?」
「嫌に決まってるでしょ!」
「ようし!」
結局、ロンが行くことになったらしい。ロンが引き手を引っ張ると、扉が跳ね上がる。よし!
「何か見える?」
「何にも見えないよ・・・階段さえないんだ。落ちて行くしかない」
「僕が先に行く。どのくらい深いかも分からないんだ。僕の身に何か起きたら、ダンブルドア宛てにヘドウィグを送ってくれ・・・それじゃっ!」
「「「ハリー⁉︎」」」
ハリーが突然穴の中に飛び降りた。思わず演奏をやめてしまった。
「「ティアナ!」」
「あっ!」
ハーマイオニーに言われて、急いで吹く。
「オーケーみたいだ!」
穴を見下ろしていたロンが言った。
「それじゃあ、次は僕が行く。ティアナは最後に来てくれ、いいね?じゃ、また」
「次は私が行くわ。よいしょっ!!」
・・・なんだか、飛び降りるのに抵抗がなさすぎる感がありまくるんだが。
「ティアナ、降りて来て!」
マウスピースから口を離し、バッグに入れる。ひええっ!背後で三頭犬が唸る声が聞こえた。
「いちっ、に〜のっさんっ!」
という掛け声と同時に、飛び降りる。あら、意外に楽しいかもしれない。着陸すると、床は植物。悪魔の罠、だっけ?
「きゃぁ⁉︎」
「植物が締めてくるんだけど⁉︎」
「動かない方がいいわよ」
「え?」
「これ、悪魔の罠っていうの。習ったでしょ?光と温もりが弱点なの!だから、火をつければいいんだけど・・・私、杖が取れなくって・・・ハーマイオニー、火をつけて!」
「わ、分かったわ!」
ハーマイオニーが杖を出して呪文を唱えながら杖を振ると、炎が噴射されて、悪魔の罠がすくみあがって、私達は自由になれた。
「ハーマイオニー、ありがとう、助けてくれて」
「良いのよ、どういたしまして」
ふわっとハーマイオニーが笑った。良いねー、美人は可愛くて。
「こっちみたいだよ」
ハリーが一本道を指差しながら言った。下りになっている道を歩いていく。時折、水滴が垂れる音が聞こえる以外には、足音しか聞こえなかった。
「何か聞こえないかい?」
「羽音・・・?」
次の部屋には、鍵鳥がいるんだっけ?私の記憶に違わず、宝石のようにキラキラした無数の小鳥・・・のような鍵が、部屋中に広がっていた。
「襲いかかってくるのかなぁ?」
「多分そうだよ」
「でも・・・他に手段はない。僕は走る」
ハリーが全速力で扉まで走って行く。ハリーが到着して、扉を開けようとしたけど、鍵がかかっていて開かないようだ。
「どうするんだろう?」
「鳥よ・・・あの鳥だわ!」
「あれが・・・鍵?」
「そうよ。多分、あの鍵のどれかをクィディッチの要領で取って・・・あれ?」
部屋中を見回す。あれぇ??箒がないぞ。あったはずなのに・・・どこ行ったんだ!?あのぉ・・・箒なくして、どうやって通れと!?
私達は、思いもよらないところで壁にぶつかってしまったのだった。
目くらまし呪文が分かりませんでした。ので、オリジナル呪文を作りました。