ハリーを見送ってから1、2分ほど待つと、薬が復活した。どういう仕組みなんだろうなぁ、これ。一瞬、調べてみたくなったけど、振り切って、一気に胃に流し入れた。
「う、わっ」
めっちゃ冷たい。例えると・・・かき氷を一気に飲んだ感じかな。うん。分かりにくいっすね。すいません。うう〜。喉がスースーするぅ。ま、気にしないで進みましょうか。って、ああ!一応目くらまし呪文をかけておこう。多分必要になると思うし。
ちゃんと目くらまし術をかけてから、炎の中へ。前世で火傷した事があるので、火は軽くトラウマものだったけども、我慢して入っていった。思ったよりは熱くもなく、お風呂ぐらいの温度。気持ちいいぐらいのね。ほっ。毒じゃなくて良かった。
部屋に出る。一応相手からは見えていないとわかってはいるけれども、反射的に柱の陰に隠れちゃう。ビビりな私を許して、ハリー!ハリーとクィレルが話している声が聞こえた。
「おや?あまり驚いていないようだね?」
「友達が、本当のことに気づいたんです」
信じてなかったけどね、君。
「ほうほう。聡明な友達がいるものだ」
「でも、まさかあなただったなんて・・・。僕、スネイプが貴方を脅しているところを見た・・・」
「ああ、ああ。セブルスは私のことを疑っていた・・・私を脅そうとしたんだ。私にはヴォルデモート卿がついていると言うのに・・・」
「え?それは・・・どういう意味ですか」
「それを君にいう義理はないね、ハリー・ポッター。君にはここで死んでもらうからな!」
B級悪役みたいなセリフを吐いて、クィレルは杖をハリーに向けた。やべっ。
「アバダ・ケダブラ!」
「デファンドール・プロテッジェーレ!」
ハリーに死の呪文が届くより速く、私の呼び出した鷲がハリーを守った。とはいえ、さすがに最上級の盾呪文でも、死の呪文の効果を弱めることしかできなかったらしく、ハリーが崩れ落ちた。簡単に結界のようなものを張っておく。
「なっ・・・誰だ⁉︎」
私は一応目くらまし呪文をといてから柱の影から出て行った。
「お前は・・・ふっ・・・さっきポッターが言っていた友人というのはお前の「すみませんけど、ぶっちゃけあなたに用ないんですよ。シレンシオ」
からの〜
「エクスペリアームズ」
パシッとクィレルの杖をキャッチする。
「さてと・・・」
口をパクパクさせているクィレルは無視して、その頭にいるであろう、ヴォルデモートに話しかける。
「こんばんは、『例のあの人』・・・いいえ、ヴォルデモートさん?クィレルの杖はもう奪ったわ。もう攻撃することはできないわ・・・つまりね、貴方はもう私に殺されるしかないってこと」
言い切ったぜ!かっけー、私、かっけーっ!!なんて、1人で勝手に自画自賛している時。地獄の底から響いてくるような声が聞こえた。
『ふん・・・使えぬ奴め・・・まあいい。お前は・・・ティアナ・ブラックか。まさか死の呪文を防御呪文で弾くとはな・・・。さすが、エレオノーレ・ホワイトの娘だ』
「そうですか。母を知っているんですね。ゆっくり長話でもしたい所ですが・・・残念ながら、私、今時間ないんですよ」
『ふん・・・まあいい。今ここで殺されても、俺様は死なない・・・』
「あ、そういえば、この前屋敷を掃除したら、大変面白いものを見つけましてね・・・なんと、スリザリンのロケットですよ」
『なんだと⁉︎あれは、洞窟に隠してあったはず・・・何故それを貴様が持っているんだ⁉︎』
「あ、やっぱあれ、分霊箱だったんだー。あれねー、もうちょっとで破壊できると思うんですよー」
『くそおお!!』
「急がないと。では、さようなら」
最後に少しだけ微笑んでから、私は電流で出来た鷲を呼び出した。
明るい光で目が覚めた。1つ大きなあくびをして、横たわったまま周りを見回す。大量のお菓子が置かれていて、隣のベッドにハーマイオニー、正面のベッドにロン、斜め前のベッドでハリーが起き上がって、ダンブルドアと話している。ハーマイオニーとロンは、まだ寝ているようだ。
・・・あれ、何が起こったんだったっけな?・・・そうそう、確か、ヴォルデモートを倒してから、ハリーを抱えて医務室に行ったら、ロンとハーマイオニーがいて、何だかんだ色々と説明して、マダム・ポンフリーの差し出した薬飲んだら、急に眠気が襲ってきて、寝ちゃったんだ。そして、今に至る。
にしても、クィレルぐらいなら、余裕で倒せると思ってたんだけどなー。うーん。ま、倒せはしたんだけど、ね。
・・・さて。私やハーマイオニー、ロンは、次の日すぐに退院できたが、ハリーは念のため、そのまた次の日まで入院していた。・・・つまり、学年度末パーティがある日まで。
パーティの夜。グリフィンドールのテーブルに座ってハーマイオニーと話していたら、ハリーが走ってやってきた。
「あ、ハリー。やっと退院できたんだ」
「そうだよ!パーティに間に合ってよかった・・・」
そこまで話したところで、ダンブルドアが立ち上がって、話し始めた。
「また一年が過ぎた!君たちの頭も以前に比べ、少しでも何かが詰まっておればいいのじゃが・・・。
さて!それではここで、寮対抗杯の表彰をしようと思う。点数は次の通りじゃ。四位 ハッフルパフ392点。三位 グリフィンドール397点。二位 レイブンクロー451点。一位 スリザリン537点」
スリザリンのテーブルから歓声が上がった。
「よし、よし、スリザリン。よくやった。しかし、最近の出来事も勘定に入れねばなるまい」
部屋全体がシーンとなった。
「えへん。では、点数を与えよう。まず最初に・・・ロナルド・ウィーズリー君」
ロンの顔が、カッと赤くなったのが横目で見えた。
「ここ何年か、ホグワーツで見ることのできなかった、最高のチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに30点を与える」
いえーっ!
「次に・・・ハーマイオニー・グレンジャー嬢。怪我をした友への、的確な治療と、対処を称え、30点を与える」
歓声が、もっと大きくなったような気がした。
「三番目はティアナ・ブラック嬢に・・・火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、30点を与えよう」
オーッ!イエーーッ!
「最後に。ハリー・ポッター君・・・」
歓声が一瞬で静まった。
「その並外れた勇気を称え、40点を与えよう」
うわっ⁉︎鼓膜が破れそうなんだけど。スリザリン以外の三寮がいっせいに大歓声をあげた。
「さてさて・・・まだあるぞ。・・・勇気にも色々ある・・・敵に立ち向かうのにも大きな勇気が必要となる・・・だが、友人に立ち向かうのにはもっと大きな勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」
さっきの歓声がハエの羽音だったかと思えそうなほどの大歓声が響いた。
その夜は、きっとスリザリン以外の人にとっては、忘れられない夜になったことだろう。・・・いや、スリザリンにとっては、ある意味忘れられない夜になったと思う。
そして、次の日、試験の結果発表が張り出された。つまり、晒しものである。
「ティアナ!」
「どうだった、ハーマイオニー?」
「すごいわ!あなた、学年一位よ!987点!」
・・・はい?
「あれ?700点満点だった・・・よね?」
「そうよ!」
「ハーマイオニーは、何点だったの?」
「私?私は、773点よ」
なんか、色々と変な気がする・・・。
その後、ハリーとロンの点数も聞いたのだが、ハリーは学年9位、ロンは学年12位という、意外に(ちょー失礼)いい点数だった。やっぱり私はぶっちぎって良かったらしい。
試験の結果を聞いてから、帰りの荷物をまとめ始めた。アガサは全く手がかからなかったけど、ソーレを見つけ出すのに、やけに時間がかかった。
またホグワーツ特急が9と4分の3番線に着いた。硬い壁から出ると、ロンが言った。
「夏休みに3人とも遊びに来てよ。フクロウ便を送るからさ」
「ありがと。僕も何か一つぐらい、何か楽しみだと思えることがなくっちゃ・・・」
「ねえ、ママ!見てよ!ハリーポッターよ!」
「ジニー、やめなさい、失礼ですよ」
赤毛のウィーズリーおばさんが笑いかけた。
「忙しい1年だった?」
「ええ、とっても。お菓子とセーター、どうもありがとうございました」
「どういたしまして」
「準備はいいか」
男の声がした。どうやら、バーノンおじさんの声らしい。
「ハリーのご家族ですね」
「まあ、そうとも言えるでしょうね・・・小僧、さっさとしろ。お前のためだけに丸一日潰すわけにはいかん」
と、とっとと歩いて行ってしまった。
「じゃ、夏休みにまた会おう」
「あー・・・楽しい夏休み・・・にななればいい・・・わね?」
「もちろんそうなるさ。僕達が家で魔法を使っちゃいけないことをあいつらは知らないんだ。この夏休みは、大いに楽しくやれると思うよ・・・もう行かないと。じゃぁね!」
そう言って、ハリーはバーノンおじさんを追って行ってしまった。
「あ、お父さんとお母さんがいるわ!じゃあね、また会いましょう」
ハーマイオニーにバイバイと手を振る。
「じゃ、私もそろそろ行くわ。手紙を送ってね」
「うん、もちろん。バイバイ」
ロンに別れを告げ、ロンの両親に挨拶をした後、私はキングズ・クロス駅を出た。
懐かしの我が家に帰り、玄関を開けると、クリーチャーが待ち構えていた。
「ただいま、クリーチャー」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
さて、「賢者の石」はこれで終わりです。どうだったでしょうか?
次から「秘密の部屋」編になります。最初の何話かは、夏休み編ですね。
最後に、今まで読んでくださった方、コメントをくださった方に、感謝を。ありがとうございました。