やはり俺の高校生活はどこかズレている   作:葱沢 桐ノ丞

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前話の感想にて書き方の指摘を受けたのですが既に1巻分は書き終えてしまっているので2巻以降から適応させていきます

これからも頑張りますよ

では3話をどうぞ・:*+.\(( °ω° ))/.:+


3話 どこか材木座義輝とは近いものを感じる

 

 

由比ヶ浜との再会から数日、気まずさはあったが一応部室には足を運んでいた。まあ部活とは言っても何をする部活なのかは未だによく分かっていないのだが。聞くところによると生徒のお願いを聞きその手助けをする部活らしいのだが…

 

「行くぞ由比ヶ浜。……第一問、打ち身で出来てしまう内出血の事を何という?」

「青なじみ!」

「くっ!正解だ。まさか千葉の方言まで押さえているとはな……。では、第二問。給食のお供と言えば?」

「みそピー!」

 

と、何故か千葉県横断ウルトラクイズが始まっていた。てか、みそピーって千葉の給食の定番だったのかよ。妙に出る回数が多いなとは思っていたけど…

 

「横断でも縦断でもいいのだけれど1人、ついてこれてないわよ?」

「「え?」」

「すまん。さっぱりわからん」

「えっと、もしかして山崎は千葉出身じゃないのか?」

「ああ、そのもしかして、だ。親の転勤の都合で千葉に越してきたからな。未だに千葉の事は分からないことだらけだ」

 

そう言うと比企谷君と由比ヶ浜は少し驚いた顔をしていた。

ほんと、千葉県横断ウルトラクイズなんてものがあるなんて知らなかった

 

 

♢

 

 

次の日の放課後…。部室へ向けて足を進めていると前に見知った背中を見つけた

 

「よっ、比企谷君」

「ん?ああ、山崎か」

「前から気になってたんだけどいつも読んでるのってラノベだよね?」

「ブックカバー付けてるのによく分かったな…。まさか?!」

「ま、そういうことかな」

 

そう言いながら俺は笑いかける

比企谷君も少し笑う。顔はひきつりかけてるが…

 

そんな感じで一緒に部室に向けて歩いていると雪ノ下さんと由比ヶ浜が扉の前で立ち尽くしているのが目に入る。どうやら少しだけ開けた扉の隙間から中を覗いているらしい。

そんな2人に比企谷君が声をかける

 

「何してんの?」

「ひゃうっ!」

 

あ、今の驚き方すっげえ可愛い。なんつーか本当に心から驚いてて警戒心的なのをむき出しにしてるのがなんとも言えない。最高だわ

 

なんていうアホな思考に囚われてしまう

 

「比企谷くんに山崎くん…。びっくりしたわ…」

「驚いたのは俺の方だよ…」

 

ああ、声をかけた比企谷君もびくってなってましたね。ちょっと挙動不審な人を見てるみたいでいなかったことにしようとしてしまったけど

 

「やあ、雪ノ下さんに由比ヶ浜。部室に何かいる?」

「不審人物がいんの」

「俺からすればお前らのが不審人物に見えたがな」

「いいから。そういうのはいいから。比企谷くん、中に入って様子を見てきてくれるかしら」

 

うわー、雪ノ下さん容赦ないなあ。4人もいるのに比企谷君を先に行かせるとかさ。比企谷君の目がさらに腐っちゃったよ

そんな状態でも行くんだね比企谷君…。君、将来いい社畜になるな…

 

比企谷君が扉を開くと海辺に立つ学校特有の潮風が吹き抜ける。そしてその風に舞うようにプリントが飛び交いさらには中にいる不審人物(?)が着ているコートがはためく

 

「うわあ。めっちゃ痛い人だ…」

 

そんな姿を見てつい呟いてしまう。その呟きが聞こえていたのかどうかは分からないがこちらに気づいた不審人物(?)がゆっくりとこちらに向き直る

 

「クククッ、まさかこんなところで出会うとは驚いたな。───待ちわびたぞ。比企谷八幡」

「な、なんだと!?」

 

いやいや、驚いたのに待ちわびたってどーゆうことやねん。意味わからへんわ…

で、この人誰?というふうに不審人物(?)の言葉にノッた比企谷君を見つめる

 

「比企谷くん、あちらはあなたのことを知っているようだけど…」

「あの、俺を盾にせんといてーや…」

 

雪ノ下さんが俺を盾にし比企谷君に問いながら不審人物(?)と比企谷君に交互に視線を投げかける

不審人物(?)はその視線に少し怯み比企谷君にいたっては知っているが知らないという顔をしていた

 

「まさかこの相棒の顔を忘れたとはな…見下げ果てたぞ、八幡」

「相棒って言ってるけど…」

 

雪ノ下さんに続いて俺を盾にしながら2人にものすごく冷たい視線を投げかける

 

「そうだ相棒。貴様も覚えているだろう、あの地獄のような時間を共に駆け抜けた日々を…」

「体育でペア組まされただけじゃねぇか…」

 

我慢しきれなかったのかこの空気に負けたのかは分からないがついに比企谷君が口を開く

 

体育のペアか。本当にあの好きなやつと組めってのはめんどくさいよな。俺みたいに友達が少なかったり比企谷君みたいにぼっちだったりすると

 

「で、何の用だ、材木座」

「む、我が魂に刻まれし名を口にしたか。いかにも我が剣豪将軍・材木座義輝だ」

「なんだ、ただの厨二病か」

 

こんなところで重症の中二病患者もとい厨二病患者に出会うとは思っていなかった。おかげで俺のひどい記憶も少し蘇った上に少しワクワクしてきてしまうわ…

って、あら?比企谷君?何故こっちを見てるのかな?それもそんな哀しい目で…

 

「あの…、ちゅーに病というのは何かしら?」

「中二病ね。簡単に言うと中学二年生くらいの特に男子によくある痛々しい一連の言動や行動を指すものの事を指すスラングだ」

「その中でもあいつの場合は重症だ。マンガとかアニメとかに出てくる能力や不思議な力に憧れて自分にもそういうものがあるように振る舞う。で、そういった能力を持つ以上必然性を付与するために設定を付与するんだよ。そしてその設定に基づいて行動するようになる」

「それがあの痛々しい格好と言動ってわけ」

 

そう言いながら俺は比企谷君に同属に向ける視線を投げると一瞬固まり視線を逸らされてしまった

その上、今の説明を聞いていた材木座君にも精神的にダメージを与えていたようで少し沈んでいたし雪ノ下さんと由比ヶ浜に関してはチンプンカンプンな上に俺達があまりにも詳しいため少し引いていた

 

「それで、何用かな、剣豪将軍とやら。見るところ、この原稿用紙が関連していると思われるが?」

 

とりあえず2人には引かれても構わないというスタンスで材木座君のキャラ設定に近そうな喋り方で案件を聞き出そうとする

 

「ふむ、我はそなたの事を存じ上げぬが言わずとも通ずるとはな」

「見たところ小説の原稿のように感じるがどうであろうか?」

「ご賢察痛み入る。いかにもそれはライトノベルの原稿である。とある新人賞に応募しようと思っているが、友達がいないので感想が聞けぬ。読んでくれないだろうか」

 

おい、サラッと自爆すんなよ。友達いないことを自ら晒しても心折れない事に関してはすごいとは思うがな

 

「なあ材木座。別に俺達に読ませなくても投稿サイトとか投稿スレとかがあるんだからそこに晒せばいいんじゃねえの?」

「それは無理だ。彼奴らは容赦がないからな。酷評されたらたぶん死ぬぞ、我」

 

ええぇ、そっち方向には心弱ぇのかよ…。まあ確かにそういうサイト読んでるとチラチラと酷評を見かけるもんな。そんなもの気にしてたらキリがないとは思うがな

 

「しかしなあ…」

 

そう言いながら雪ノ下さんの方に視線を向ける

比企谷君もそちらに視線を向けたのか雪ノ下さんはきょとんとする

 

「ああ、たぶん投稿サイトより雪ノ下が方容赦ないぞ?」

 

 

♢

 

 

その夜、材木座君から預かった原稿に少し目を通し読もうとしていたところに電話ががかかってくる

普段、電話がかかってくる事がないため着信音に気付かずなんの音だろうかという疑問を持ったのはここだけの話である

 

「ん?雪ノ下さんから?もしもし、どうしたんです?」

『遅くにごめんなさい。その、山崎くん、これは一体どういうものなのかしら…。この手のものを読んだことがないから全く分からないのだけれど』

「あー、読んだことないなら仕方ないよな、うん。材木座君は素人だから仕方ないとは思うけど面白いものはいくらでもあるよ。まあ、理解出来ないのなら無理に理解しない方がいい」

『そう。ありがとう。少し気が紛れたわ』

「おう、気が紛れたならよかった。無理はしないでね」

『ええ、もう少し読んでみるわ。それじゃあ』

「はいよ。おつかれさん」

 

それだけ会話して電話をおく。やばい、女子と電話なんてこんな話でいいのか…?

そんな事を頭の片隅で考えながら原稿を手に取った

 

 

♢

 

 

「あ〜、ねっむ。ホントなんであんなに強いんだよ。これもF〇Xエンジンの賜物ってか…」

 

絶賛寝不足のなか部室へと足を進める。寝不足の原因は材木座君の原稿ではなくメ〇ギアVであるが…

 

特別棟に入るとやけに元気な声と気だるげな声が響いてくる。この声は由比ヶ浜と比企谷君か。声の調子から由比ヶ浜は原稿読んでないんだろうなあ

そんな声を追いかけながら足を進めて行き部室に入る

 

「比企谷君も雪ノ下さんもおつかれ」

「ちょ、あたしは?」

「由比ヶ浜は読んでねーだろ?」

「うっ」

 

痛いところをつかれむぅっと唸りながら鞄から原稿を取り出す。その様子を見ながら席につきそして寝る体制を取るため机に突っ伏す

 

「なあ、山崎。材木座の原稿どうだった?」

「んー、途中までしかよんでないー」

 

あまりにひどい睡魔の影響で間延びした回答を返す

 

「頼もう」

 

扉がガラリと開かれ古風な呼ばわりと共に材木座君が現れる。その顔にはどこか優越感じみたものがある

 

「さて、感想を聞かせてもらうとするか」

 

そう言いながら空いた席にドカリと腰を落とす。

そんな材木座君を見ていると謎の愉悦感に包まれる。あっれえ、俺、愉悦部じゃないのになあ

 

「ごめんなさい。私にはこういうのはよく分からないのだけど…」

 

そう言って雪ノ下さんは一呼吸置き意を決した表情をする

 

「つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ」

「げふうっ!」

 

なんて綺麗な太刀筋だろうか。その一言だけで既に材木座君が椅子から滑り落ちそうになっている

 

「さ、参考までにどの辺がつまらなかったのかご教授願えるかな?」

「文法がめちゃくちゃね。なぜいつも倒置法なの?『てにをは』の使い方知ってる?小学校で習わなかったかしら?」

「ひでぶ!そ、それは平易な文体でより読者に親しみを…」

「そういう事は最低限まともな日本語をかけるようになってから考えることではないの?それと、このルビだけど誤用が多すぎるわ。『能力』に『ちから』なんて読み方はないのだけれど。だいたい、『幻紅刃閃』と書いてなんでブラッディナイトメアスラッシャーになるの?ナイトメアはどこからきたの?」

 

うわあ、やっぱ容赦ないなあその辺にしておいてあげないとほんとに死にかねんぞ。まあ、そんな依頼を文学少女という言葉が似合う雪ノ下さんにしてしまったのが運の尽きだよなあ

 

「ぴやあっ!」

 

あ、止め入っちゃった。可哀想に…。椅子から完全に落ちて四肢を投げ出しちゃったよ…

 

「雪ノ下さん、今回はその辺にしてあげて。その謎のルビ振りはラノベだとよくある事だから。キラキラネームみたいなものだから。作者が考えて考え抜いたすっげえカッコイイやつだから」

「そう…。まだまだ言い足りないけどまあいいわ。じゃあ次は由比ヶ浜さんね」

「あ、あたし!?え、えーと。む、難しい言葉をたくさん知ってるね」

「ひでぶっ!」

 

おーおー、一言で切り捨てるとは容赦ないですねえ。まあ読んでないし雪ノ下さんの言葉で既にボロボロになった材木座君をどう褒めるか悩んだ末にひねり出した言葉で悪意がないのは分かるがね…

 

「じゃ、じゃあユウくんどうぞ」

「あのなあ由比ヶ浜。逃げるように俺に振らないでくれよ…」

 

由比ヶ浜の指名につられ材木座君はすがるように俺に視線を向けてくる

やめろ。捨てられた子犬のような目でこっち見ないでくれ

 

「んー、そうさなあ。オリジナルでさらには賞に応募しようという意気込みや、やる気は評価できるポイントか、うん」

 

その言葉を聞き材木座君は「おお」と声を上げながら拳を握りしめて立ち上がる

 

「でもなあ、途中からその後の展開が読めたから失礼とは分かりつつも読むのやめて設定を読んだんだけど…ありがちすぎるんだよなあ。もう少しオリジナル要素追加した方がいいと思うよ」

 

終わりの言葉を聞きガクリと肩を落とす

 

「あとは…やっぱいいや。たぶん比企谷君も同じ事思ってるだろうから。んじゃ比企谷君、絞めちゃって」

「お、おい。締めるの字間違ってないか?」

 

その指摘を受け口笛を吹くフリをしながら材木座君の正面を譲る

 

「は、八幡。お前なら理解出来るな?我の描いた世界が。ライトノベルの地平が」

 

問われた比企谷君はわかっているという顔で材木座君に頷く。それを見て材木座君の目が輝きお前を信じていると告げる

 

「で、あれって何のパクリ?」

「ぶふっ!?ぶ、ぶひ…ぶひひ」

 

材木座君はゴロゴロと床をのたうち回り、壁に激突して動きを止め、そのままピクリとも動かなくなった。彼の頬を一筋の涙が伝ったのが見えたのは気のせいではないだろう

 

「いや〜、比企谷君容赦ないなあ」

「いや、同じ感想抱いてたんだろ?」

「まあね。でももう少しオブラートに包んであげなよ、体育の相方なんだし」

 

まあそんな姿を見ながら愉悦感に浸りかけている俺は相当な悪なんだろうけどさ。あれ、俺って愉悦部に片足突っ込んでね?そのうち材木座君に激辛麻婆豆腐食えとか言わないよな?

そんな事を考えていると材木座君は立ち上がり埃をはらいながら一言呟く

 

「また…読んでくれるか?」

「ん?ああ、俺は構わないけど」

「お前、あんだけ言われたのにまだやるのかよ」

「ドMなの?」

 

素人であろうが誰が書いたものを読むのはこちらとしても楽しいし勉強になるからありがたい。自分自身、二次創作とはいえそういった事をしているのだから

しかし違う視点で見るとそれはもう素晴らしいくらいのドMに見える。あれ?俺も同じ側に立ってね?

 

「我はドMではない、たぶん。しかし、だ。酷評されようともやはり嬉しかったのだ。自分が好きで書いたものが誰かに読んでもらえるということが、感想を言ってもらえると言うのが」

 

ああ、俺は材木座君に対してひとつ勘違いをしていたようだ。彼は厨二病など既に卒業している。卒業してグレードアップした作家病にかかっているのだ

その気持ちは俺にも痛いほど分かる。だから読まないわけがない。彼が突き詰めてたどり着いた境地なのだから。それを諦めずけっして曲げず足掻いた末に形にした証なのだから

 

「また新作が書けたら持ってくる」

 

そう言って清々しい笑顔を浮かべ親指を立てながら去っていく姿に俺は何を見たのだろうか。あれも青春のひとつの形なのだろうか

 

 

♢

 

 

あれから数日がたった。あの後も材木座君は小説を書き続けているようだ

 

「で、山崎は何やってんだ?」

「ん?なんか材木座君を見てたら自分の中で忘れかけていた熱を思い出してね。絶賛、執筆中」

「はあ!?」

「あれ?言ってなかったっけ?一応、俺も二次創作小説書いてるって」

「いやいやいや。聞いてないんだけど?」

「ははは、言ってなかったかあ。まあ、こんな感じで書けるのは彼のおかげかな」

 

俺も二次創作小説の執筆を再開した。そういったところでは彼に感謝しないとな

 

願わくば彼の小説が沢山の人の目に触れますように




感想の返信でも書きましたが僕の中では山崎祐介は比企谷八幡の上位互換として書いているわけではありません

それだけはここでも書かせておいてください

感想、評価、お気に入り登録、誤字報告お待ちしております

それではまた次話でお会いしましょう。しーゆー
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