レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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prologue
水火の苦しみ。


どうして、わたしの髪の色はノクトと違うの?

 

幼い私は疑問をストレートにあの人にぶつけた。色々と忙しいあの人がようやく帰ってくるということを聞きつけ帰りの挨拶もなしに飛びつくように言ったのを覚えている。

世話をしてくれる大人たちは、私がクリスタルの恩恵を一番濃く受け継いでいるからですよ、愛されている証拠ですと皆同じ事ばかりいうからだ。私に愛されている自覚というものは当初なく、ただ不思議な声がしたり、誰にも見えていないのに私にだけは見えて色々と面白い話をしてくれたりと、ノクト以外の同年代と接する機会を得られなかった私にとってはそれが普通の世界だった。友達のクペもいたから寂しくはなかった。けどある日、ノクトから聞かされた外の世界。そこで私のような髪を持つものはいないと言われ、どうして?と疑問を抱くようになった。

だから、私にだけ見える妖精さんと呼んでいるが、彼らに尋ねた。

 

どうして、わたしは他の人と違うの?

 

妖精さんたちは、私がミラと一緒だからと教えてくれた。

 

ミラ?

ミラはミラだよ。

 

この時、私にはミラという人が誰なのかは知らなかった。

でも後で嫌って程知ることになるのよね。それは置いといて。

 

ノクトの母、あの人だけが私を愛してくれていたと思う。思い込みだとしてもそうであってほしい。あの人の眼差しは真実を知った私の凍てつく心をいつも溶かしてくれていたもの。

 

母上、そう、母上は私を愛してくれていた。

ノクトと分け隔てなく愛情を注いでくれて、感謝している。あんなことが起こってショックだったのはノクトだけじゃない。私だって奈落の底に突き落とされた気持ちになった。

私がそこ(インソムニア)から逃げたくなるのを我慢してたのだって母上がいたからだ。じゃなきゃ妖精さんにお願いでもしてとんずらこいていたはずだ。

 

まぁ、子供一人あっという間にのたれ死にだろうけど。

ノクトと違って学校に通うことを許されなかった私にやることと言えば、クペと遊ぶこととあの人の墓前にふらりと足を運んでは母上が好きだった花を供えるぐらい。学校から帰ってきたノクトの相手して後は、色々ルシス国を出るための下準備くらいだ。城にある蔵書が詰め込まれた王立図書館並の空間、奥の一室に閉じこもっては一日中そこで過ごしたこともある。そこで誰も教えてくれない魔法の勉強したり実験したり。

護衛の人間巻いては怒られたりするなんてこともしょっちゅうあった。

周りの人間に過保護と思わせるくらい私を檻の中に閉じ込めている癖に、レギス王は私という人間には興味がないらしい。私も興味を抱いてもらわなくてよかったと思う。

 

だってあの人はあの時、はっきりいったもの。

わざわざ側近の人間下がらせて、私とふたりっきりの場をつくってまで伝えたこと。

 

『お前が、娘ではないからだ』

 

と。

 

ええ、レギス王。

私も貴方が私の親でなくて清々してますよ。

 

他の人間いなかったら堂々と啖呵切れるんですけどね。

あいにくとそれも叶わず。だって勅命くらっちゃいましたからね。

 

ノクティス王子の結婚式に同伴しろって。

 

その時の私の表情があまりに崩れてたって後からクペから聞かされたときには、自室のドアに【入るべからず】の札を下げてひたすら部屋に篭ってブリザドブリザトブリザド連発した。あっという間に氷の世界へと変貌を遂げた自室。イグニスにこってり怒られ、ノクトに何してんだよと額を軽く小突かれたが、心配したと眉を下げられては自分のほうが悪いことをしたような気になってしまい、一緒にその日は詫び代わりにノクトのベッドで寝た。私の部屋は使い物にならなかったので。

ちなみに、昔からの習慣というか母上が亡くなってから夜不安がるノクトのほうから一緒に寝ようと誘われたのがきっかけである。それ以来、共に寝起きするという毎日をしていたわけだが、お互い年も年だし何よりノクトも結婚を控える身。

それはやめた方がいいと周囲の人間に言われたノクトも渋々(納得してなさそうだけど)受け入れた。一人で寝た次の日のノクトは始終あくびをしていて眠そうだった。どうやらあまり眠れなかったようで、やっぱり一緒がいいなとさりげなく訴えてきたが、私はイグニスの鋭い眼光を恐れてきっぱりとお断りした。

だって小言うるさいんだもん。案の定ノクトは食い下がってきたが、私はだったらイグニスにオッケーと言わせてみてと言いその場からさっさと逃げた。いつもの日課終わらせて自室に戻るといつものノクトが人のベッドで横になり靴も脱がず寛いでいて、オッケーはもらえなかったが一矢報いてきたと意気揚々に語るじゃないか。

イグニスの眼鏡を奪ってきたらしい。

意外と子供っぽいところがあるのは国民の知らぬところだろう。

私は、またイグニスからの小言を受けねばいけないことに、胃痛を感じてしまったのは仕方ないことなんだろう。

 

私のベッドだとノクトを端に追いやればムッとした顔して何すんだよとの抗議の声。こっちが何してくれてんだよと言い返せば、レティの為にやったのにと拗ねる男がいる。

とても次期王とは思えない態度に私は肩を落として、はいはいよくやりましたと構うと態度をコロッと変えてどうやってイグニスから眼鏡を奪ったかの話を語りだすノクト。

 

丁度いい時間帯でイグニスが飛び込んで来るだろうと思った私は、メイドに水を頼んでベッド脇に置いてあるチェストの引き出しから常備薬を取り出し、自慢げに語るノクトの冒険談に付き合ったのであった。

 

【胃薬が私の相棒です】




設定(天邪鬼ver.)
レティーシア・ルシス・チェラム

年齢:20歳
身長:160㎝
好きなこと:人との触れあい。たまのお買い物(護衛アリ)。

ルシス王国王女。愛称はレティ。ノクティスの双子の妹。
白銀の髪を持ち深緑の瞳で儚い印象を与える容姿とは裏腹に快活な性格で誰とでも物おじせずに接するため好かれやすい。
今回はノクティスの結婚式に同伴するため男だらけの旅に参加することになった。
滅多に外へ出ないため(出させてもらえない)、今回の旅をとても楽しみにしていた。
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