ノクトとレティ、二人が次にたどり着いたところはまるでアリスの世界に迷い込んだかのような場所だった。ノクトが見おぼえるのある部屋にいち早く気が付いた。
「あ、ここお城だ」
「ほんとだ」
つられてレティも頷きながら言った。ノクトの言う通り城にある一部屋だった。が、しかしノクトたちのサイズと部屋の大きさがあまりに違いすぎる。まるでノクトたちには巨人の部屋と言わんばかりのサイズになっているのだ。だが実は逆でノクトとレティが小人サイズになってしまっていたのだ。だから部屋の家具やらが大きく見えていた。カーバンクルはさっさと歩きだしてしまう。ちなみにカーバンクルも大きい。
『えっと、次の入口はどこだっけ?……、そうだ面白いものがあるんだ。あげるよ』
カーバンクルはそう言ってまたくるっと回転した。するとノクトに手には10個の花火が現れた。ノクトはそれを5個づつに分けてレティに手渡した。
「レティ、もし危なかったらこれ投げて」
「うん」
レティはもらった花火を投げたかったがもしもの為にとっておくことにした。ポケットに無理やり押し込んだからわかりやすく膨らんでしまうのは仕方ない。
『あ!わかった、あっちだ』
ノクトは「待って!」と声を掛けるがカーバンクルは自分の世界に入っているのか、何かを探している様子でさっと先に行ってしまう。
「ああ……、先、行っちゃったよ。僕たち乗せてくれればいいのに」
「ノクト、歩くの?」
「それしかないよ」
「でもとおい…」
レティが指さす先は確かに遥か彼方。子供自分たちどうのこうのよりもサイズ的に問題が大ありだ。だがしかし歩かずには進まない。ノクトはごねるレティを励まそうと
「大丈夫だよ、お城に来たってことはきっと戻れるはずだから」
とレティを元気づけて歩かせようとする。レティはぷくーと頬を膨らませて
「歩きたくない」
とわかりやすく拗ねた。ノクトは「レティ」と軽くたしなめた。だがレティはペタンとその場に座り込んで「やだ」とごねる。ノクトはため息をついてレティの前に移動して背中をみせてしゃがみこんだ。
「だったらおんぶしてあげるから」
「やった!」
レティはコロッとわかりやすく喜んでノクトの背に乗っかった。背中にレティをおぶさってノクトは危なっかしげにも立ち上がることに成功。
「ノクト号、いっけ~!」
「レティ危ないから大人しくしてて!」
ノクトの背中で大はしゃぎするレティにノクトはハラハラしっぱなしだった。それでも妹の喜ぶ顔を見れて喜ばない兄じゃない。なんだかんだいってレティに甘いノクトはそれ以上余計なことは言わずに歩き続けた。そしてなんだかおかしなスイッチがあることに気付き、一旦レティを下した。
「ノクト、アレ」
「うん。また踏んだら天気が変わるのかな」
ノクトは試しにそれを踏んでみることにした。すると!
ぼふん!
「ノクト!?」
目の前が真っ白な煙に包まれたと思ったら、ノクトの前にブリキで作られた玩具の車が出てきたではないか。勿論、玩具サイズではあるが今のノクトたちには立派な車である。レティは驚きながらノクトの傍まで駆けてきて腕にしがみ付いた。
「……車?…」
「そうみたいだ。乗れるよこれ」
ノクトはレティを伴って車の周りを調べてみる。確かに乗り込めるようだ。二人は恐る恐るそれに乗り込んでみる。するとなんと運転までできたではないか!
ノクトはさっそく車を動かしてみることにした。レティは満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「ノクトすごい!」
「へへっ」
得意げにハンドルを握るが途中でガゴン!と何かにぶつかってしまう。
レティは「きゃ!」と小さく悲鳴をあげ、ノクトは「いだ!」と盛大にハンドルに頭をぶつけてしまう。シートベルトはちゃんとしめましょう、である。
さて、二人がおそるおそる何とぶつかったのかを確かめると、なんとそこにはあの突然襲ってきたナイトメアが数匹いるではないか。どうやら一匹ひいてしまったらしい。唸り声を上げて車から降りて来いと威嚇しているようだ。
レティはぶるりと震えてノクトに縋りついた。ノクトはレティを抱き寄せて囲まれている状況にピンチを感じた。だが、思い出したかのようにレティが
「あ、これ投げればいいんだ」
とノクトから体を離すと窓からぽいっと花火を投げた。
途端!激しい爆発が発生し、ナイトメアたちが声なき声を上げる中、レティが今のうちとノクトを急かして我に返ったノクトが再び車を発進させたことで事なきを得た。さきほどまで怖がっていたレティはルンルンと鼻歌まじりにドライブを楽しんでいて、ノクトは妹のテンションについていけずに疲れた様子で運転していた。
『おーい!二人とも机の上にあがっておいでー』
「あ、カーバンクルが呼んでる」
「上?」
ボフン!とタイミングよくブリキの車は消えて二人はその場に同時に尻もちをついた。
「イタっ!」
「う!」
二人は痛みを何とか堪えて立ち上がった。ノクトはレティに手を差し出してカーバンクルのいる場所を目指すことに。せっかくのドライブを楽しんでいたのに急に消え、しかもお尻まで打って不機嫌になったレティはテーブルの上に現れたナイトメアたちに向かって花火を無言で思いっきり投げつけた。ナイトメアたちは盛大に吹っ飛んで倒された。
ノクトは一応装備していたピコハンをしまいながら、レティの怒りには決して触れまいとこの時、誓った。
次なる輪っかの入口は積み木で作られた家の中だった。
『このおうちだよ、はいってはいって!』
「レティ」
行くよという意味でレティに声をかけたノクトだったが、レティは万全の準備で両手に花火をセットしていた。
「大丈夫。花火まだあるから、倒す」
「そうじゃなくて!それはいいからしまってしまって!」
ノクトはレティのやる気に怖さを感じて無理やり花火をしまわせた。レティは不満そうだったがしぶしぶポケットに突っ込んだ。
「行くよ」
「うん」
二人は仲良く手を繋いで次なる世界へワープ!