レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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魔導インビッシブルが欲しいなんて言ってない

レティーシアside

 

 

一つ、罪の告白をさせてください。

知らなかったんです。あんな事になるなんて……。決して、決してあのじーさんとは共犯者じゃないんです!

 

あれは、知り合いの策略(嫌がらせ)でした。えぇ、本人に問いただしてませんがきっとそうなんでしょう。私にとってははた迷惑、いや超迷惑……いやいや!あんなモノ作る暇あんならもっと国のほうに集中してくれよって感じです。御爺様は床に伏しておられるしアーデンは……。王様候補だったはずなので国民に変な事はしないはず。

 

ああ、今ニフルハイムはどうしているのか。……心配でたまらないです。これが祖国を想う気持ちなのねと感慨深く感じてますがそれで何か変わるわけでもなし。

 

ガーディナを無事に出発した私達は、じゃんけんで勝ったプロンプトの運転によるレガリアで無事にダスカ地方へと戻って参りました。

 

「どうせこっちに来たんならチョコボポスト寄ってかない!?」

 

とプロンプトたっての希望でまた寄り道をすることになりました。私は少しでもシリアスに持って行こうと真面目な表情で頷きました。

 

「異論はないわ」

「んでその意図は?」

 

すると隣に座っているノクトから茶々入れられたので私は無理やりにでもシリアスな雰囲気を演出しつつ、欲望を吐き出しました。

 

「チョコボに癒されたい」

「本能丸出しだな」

「それがレティクポ」

 

膝に乗っているクペの頭を優しく撫でながら問います。

 

「クペは褒めてくれてるのよね?」

「……ノーコメントクポ」

 

おい。

 

私がもらったはずのモーグリ人形を膝に乗せたグラディオから的確なツッコミされた私はつい感情的に熱くなってしまいました。つい座席から立ち上がってクペが転がるのも構わずにグラディオの胸倉掴んで揺さぶりをかけます。

 

「別にいいでしょ!?だってここまで来るのに128回も襲撃されてるのよ?癒されたっていいじゃないチョコボに会いに行ったっていいじゃないチョコボに跨って逃げたっていいじゃない!」

「逃げるな」

 

勢い余って本音をぽろりさせたら、ぽこっとモーグリ人形からチョップくらいました。

あ、少し癒された。

 

「帝国皇女とは思えない緩すぎな顔だな」

「うっさい!」

 

まったく!グラディオったら一言も二言も余計なのよ。

もう、忘れようそうしよう。頭の切り替えを行った私は心落ち着かせてイグニスから

 

「運転中に立ち上がるな。危ないだろう。大体君は……」

 

後半まったく耳に入らない注意をスル―しては早くチョコボに会いたいな~と期待感に胸膨らませていました。

 

129回目の戦闘(ゴング)が鳴るまでは。

 

だがそこへ向かう途中いつにもまして襲ってくる無能な我がニフル帝国の飛空艇。

も、ね。信じられないのよ、ヴァーサタイルの言葉がさ。

何処に生産終了してるって?まだまだわんさか来やがるんですけど?一体どれだけ創り上げてたの魔導兵らをさ。

それに学習能力というものは備わってないのか?あいつ等は。空から塵のように降ってくる魔導兵らをしばき倒すのも飽きてついつい私は、杖をグサッと地面に突き刺して眩いばかりの魔法陣を足元に大きく展開させたのです。

 

「よぉしぃぃ!野郎ども緊急避難しろー!バハムート呼び出す」

 

がしっ。

 

引っ付き虫よろしく男共が私の召喚を必死な形相で止めようとするじゃありませんか。見事な連携プレーに感心するばかりです。

 

「待て待て待て」

「レティ!それは駄目クポ~!」

「全部吹っ飛べ。賛同する人今すぐ離れてくださ~い」

「だから待てって!?」

「待たない絶対待たない!実行してやるぅうう」

 

男共(イグニス除く)にへばり付けられて召喚を邪魔されてしまいましたが、その隙にイグニスが魔法を放ち魔導兵らは呆気なく倒されました。

っチ、全部ぶっ壊してやろうと思ったのに。あ、イグニスが目ざとく私が舌打ちしたのに気付いたらしくまた小言がうんたらかんたら。もうイグニスの事はオカンって呼ぶよ!と叫んだらすごく嫌そうな顔してた。

さて、そこまではいいんです。そこまでは。

偶然、ブツを拾ってしまったのです。

 

魔導兵を落とすだけ落として一機逃げていく飛空艇が最後に落としたのがスーツケース四個でした。明らかに罠が設置されているのではないかというくらいに見た目怪しい銀色のスーツケース。とりあえずそれらを囲んで観察する私達。まずは生贄としてプロンプトがしゃがみ込んで棒切れでツンツンと試しにつついてみた。

 

「なんだろ、これ」

「飛空艇から落とされたようだな」

 

イグニスは眼鏡を光らせて鋭い観察眼を発揮させる。たぶんライブラでもかけてるのかしら。でも何やら魔法を遮断させる特殊加工でもされているのか私の力をもってしても中身を見ることはできなかった。ちょっと生意気じゃないとイラっときた。

 

「もしかして中身って危ない奴とか?」

「面白がってんじゃねーよ」

 

ノクトは珍しく同意せずに窘めているけどプロンプトは視線をノクトへと向けて逆に訊き返している。

 

「ノクトは何が入ってると思う?」

「オレに聞くのかよ……、んー、肉?」

 

もっとまともな回答はないのかい。

しかも食い物とは。まったくノクトは食べるか寝るかどっちかなのかしら。

 

「ノクトは食べることと寝ることばっかだよねー!後、レティの事とか?」

「ば、馬鹿!余計なこと言ってんじゃねーよ!」

 

どうしてそこで私の話題が出るのか理解できない。慌てたように赤面しながら逃げるプロンプトと無邪気に追いかけっこし始めた幼い王様は放置しておこう。面倒見の良いグラディオが二人の面倒を見てくれているので安心して真面目にスーツケースを観察することができる。すると紙切れのようなものがくっ付いてるのを発見した。私は紙だけをさっと取り去ってみる。うん、一応ただの紙のようだ。

 

「魔導インビッシブル……って書いてある……。随分とご丁寧に取り扱い方まで……。」

「レティ、むやみやたらに触らない方が良い」

 

イグニスが心配そうに私の肩に手を置きながら紙を渡せともう片方の手を出して催促してくる。私は素直に紙を渡しながら

 

「でも、触りたくなるでしょ。これ、パワースーツみたいなものみたいよ。試しに開けてみない?」

 

と提案してみた。ライブラも跳ね返すスーツケースなのだ。何か利用価値もあるかもしれない。けどイグニスは私の提案に渋い表情になる。

 

「だが」

「もしもの時はバハムート呼ぶから大丈夫よ」

 

茶目っ気たっぷりにウインクして安心させようとしてみれば、

 

「それはやめてくれ」

 

何よりの保険だと思うのだけれどやっぱり彼らには不評のようだ。両肩掴まれてマジ顔で攻められてしまった。端正な顔立ちがすぐ目の前に!

条件反射でついイグニスの顔を両手で押し退けてしまった。

 

「顔ちかっ!」

「ぐっ!?」

 

勢いが強すぎたのか彼の首がぐぎっと嫌な音をたてたような……。

おそるおそる彼の名を呼んでみた。

 

「……イグニス?」

「……首、が…」

 

だが嫌な予想通り、押されたままの姿勢で固まってしまったイグニスに慌ててケアルガかけたのは言うまでもない。

 

※※

 

グラディオによって首根っこ引っ掴まれて回収されたノクトとプロンプトが無事に戻ってきたことでついに謎のスーツケースを開けることに。

 

「うわぁ~!スゲ~」

「これは……丁度人数分あるというということか」

「サイズもピッタリだな」

「なんか黒いな」

 

各々関心は様々ではある。私としてはこのスーツの特性も気になるので皆に着替えを促してみた。

 

「試しに着てみたらどう?」

「おう。じゃ、着替えるか。クペ、テント出してくれ」

「オッケークポ」

 

ノクトがお願いすると快くクペのテントを取り出して男たちはスーツを各自持ってテントの中へ。外で待っている間、私はクペと説明書なるものを細かく読んでみることにした。大体理解できたが最後の文末にまさかまさかの見慣れた名前が書かれていたことに気づいた私は、咄嗟に紙をファイアで燃やした。

 

「レティ、これって」

「クペ。何も言わないで。私達はこれを見なかったことにするのよ。その方がお互いのためだわ」

「そうクポね」

 

幸いにもこれに目を通したイグニスの目に留まることはなかった模様。

これの製作者とか知らない絶対知り合いじゃない。

それからしばらくしてテントからのっそりと出てきた四人の姿に目が釘付けとなり私は言葉を失ってしまった。だって、ねぇ。

 

「なんか戦隊モノって感じするわ」

「でもなんで皆同じ色なんだろうねぇ~。全身黒黒」

「何か意味があるのではないか?」

「だとしてもまぁルシスのシンボルは黒だからな。オレはイケてると思うぜ」

 

上からノクトにプロンプト次いでイグニスにグラディオでありますが、私の正直な感想を述べてもいいだろうか。実際にこの目で確かめた事はない。王城の私の部屋にはあの存在は確認できていないからだ。毎日ピカピカに掃除してくれていたお陰でその存在を図鑑で確認するくらいしかなかったが。

 

今、まさに黒光りしている姿に触覚でも付ければあの生物に見えてしまう。

戦隊モノ?いやいや、そんな夢と希望溢れ子供たちを夢見させる存在じゃない。あれは人類史上最も滅ぶべき存在であるはず。

 

「レティ、どうだ?」

 

少しテンション高めに私に感想を求めてくるノクト。それに続いてビシッとポーズ決めたりなんかしちゃうグラディオ達。

 

「うわー!テンション上がる~」

 

プロンプト、その恰好で無駄にはしゃいだりしないで。見た目怪しい人なのよ。アレ絶対親子連れなら逃げてくタイプよ?子供に夢を与えるんじゃなくて恐怖を与える方だと思うわ。

 

「なるほど……、見た目の印象よりも軽く動きやすいな」

 

イグニスってヘルメットの中でも眼鏡してるのかしら。いえ、流石に外したわよね。でもあの眼鏡クイってあげる仕草してるからやっぱり眼鏡かけてるのかしら?うぅ、聞きたいけど聞けない。

 

「確かにな」

 

やめてグラディオ!貴方その恰好で一通りのボディビルポーズ披露しないでよ。誰に向けてのアピールなの?笑いを堪えるのに私必死なのよ!?マジ笑わせないで!ちょっとクペ!貴方滅茶苦茶震えてるじゃない。笑い堪えてるの丸見えよ!

 

……ここは空気を読むべきなのだろうか。今まで何かとクラッシャーしてきたけど今はせっかくはしゃいでいる皆のテンションを下げたくはない。私は表情筋を動かして笑みを作り上げる。でもクペがこっそりと『レティ引きつってるクポ』と指摘してきたが聞こえないふりをした。

 

「あー、うん。……ちょっと吃驚したかな」

「だろ?でもイカスじゃん」

「あー、そうね。イカスね」

 

もはや台詞も棒読みである。それでも受けごたえ出来たことだけでも立派なもんだ。

出来るだけ距離を置きたい。じりじりと後退しながら距離を置いていることにノクト達はまだ気づいていない。できれば今すぐにでもチョコボで逃走したい!と心の中で何度も願ったがそれは叶わず。私達は妙な格好の怪しげな集団として周囲に怪しまれながらチョコボポストへと向かったのであった。

 

……当然の如くチョコボ達を驚かせてしまいチョコボポスト始まっていら以来の大脱走事件まで引き起こしてしまう始末。ノクト達含め私もそのチョコボ捕獲に駆り出されヘトヘトになったのは言うまでもあるまい。全てのチョコボを捕まえるのに一週間以上もかかってしまった。それでもってしっかりと厳しいお叱りを受けたノクト達が再びあの魔導インビッシブルを着ることは二度となくひっそりとお蔵入りを果たしのである。

 

自室でのこと。ゆったりとソファに座りながら読みかけの本を膝に置いて一息つくレティとその隣で寝そべって寛ぐクペ。

 

レティ「これでアレを見ることもなくなるわね」

 

クペ「そうクポね」

 

レティ「ホントあのじーさん何を考えてこんなの作ったんだか……」

 

そう言ってレティは本に目を落とすと後ろから予想外の声がした。

 

イグニス「あのじーさんとは一体誰のことだ?」

 

レティ「ギクゥ!?いつの間に背後に立ってるのよ!?」

 

クペ「気配すらしなかったクポ……!」

 

レティはばさりと本を床に落としクペはメキョっと目を見開いて驚いた。

 

イグニス「夕飯を伝えに来たんだが……それで、レティ。あの『じーさん』とは一体誰の事を示しているんだ?もしや、あのスーツの製作者である『ヴァーサタイル』という人物の事を言っているんじゃないか?」

 

知り合いのじーさんの名前がイグニスの口から出た途端にレティは分かりやすく声をド盛らせた。

 

レティ「ぜぜぜぜ全然そそそそんなことないわ!」

 

クペ「レティ!動揺しすぎて逆に丸わかりすぎクポ!」

 

イグニス「―――なるほど。今回の一件は君が絡んでいるというわけか」

 

一つ頷いてはイグニスから冷ややかな視線がレティへと向けられる。

 

レティ「違うわ!あのじーさんの独断での嫌がらせであって私が関与してるなんて」

クペ「レティ」

 

イグニス「……」

 

レティ「あ」

 

イグニス「詳しく、説明してもらおうか」

 

レティ「うぅ、私のせいじゃないから~~!」

 

上手くヴァーサタイルの事ははぐらかすことに成功したレティだったが、連帯責任ということでキツイお説教された挙句、夕飯没収され(レティだけ)たまらずにお腹減ったとグラディオに泣きついた。兄心でイグニスに内緒でこっそりとカップヌードル分けてもらえたので多少腹は満たされたけどやっぱり足りないので夜中にこっそりと冷蔵庫を漁っていたら運悪く水を飲みに来たイグニスに遭遇してしまいまたその場でお説教され、レティは目の下に隈を作って次の日を迎えた。

 

ノクト「……レティ、隈ひどくね?」

レティ「……ウフフフ、……フフッ」

プロンプト「こわっ!」

 

しばらくの間、薄気味悪い含み笑いをするレティが度々目撃され男たちは出来るだけ距離を取ったとか。

 

【帝国に戻ったら覚えてろ、ジジイ】

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