レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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chapter.01
疑心暗鬼。


レティーシアside

 

 

いつか言っていたあの人の言葉をふと思い出した。

なぜ私を殺さず生かすのか、と幼い私はあの人に問うた。

 

『お前がミラの娘だからだ』

 

それが誰の名前かなど、どうでもよかった。

ただ非常に腹立たしかったのは、私ではなく、そのミラという女を通して私をみていたこと。

大体それが子供に対する説明か?もっと分かりやすく説明しろっていうの。

そりゃわかっていた。見た目からして一滴ほども血の繋がりなんてないことに。ノクトは少しも疑ったことがないのだろうか。私との関係性を。少し考えればわかるはずだと思うのだけど。私とノクトが同じ歳で顔も似てないのに兄妹とかおかしいだろう。双子じゃないんだし。一度も尋ねたことないけど、もしかして今でも双子とでも思っているのかな。だとしたら出奔する前に衝撃告白しといた方がいいのかしら。

いやでも、あのクールそうな面して内心ナイーブだからな。

私の所為で今後の王政面で支障でたら大変なのでやっぱりいうのはやめておこう。

どうせ嫌でも情報で入ってくるだろうから。

 

さて、ごちゃごちゃと色々考えているがこんなんでも一応、王女である。

一応偉いのである。

王の次の王子の次に。ぶっちゃけ政治じゃ何の発言権もない。

なぜなら城に隔離されてたから世間的常識もなんもないと思われてる。

なのでのろーく動く車の後部座席でふんぞり返ってもいいわけなのだ。普段三人でぎゅうぎゅうな狭さに我慢しているところ、貸し切り状態なので優雅に占領しているのだ。

左側でえっちらおっちら車押しているのは、兄か弟のようなあいまい関係である、ノクティス王子、愛称ノクトである。こうしてると王子に見えない、かなりのイケメンな青年である。だが寝起きは最悪。なぜわかるかというと一緒に寝てたから。寝相とか最悪。抱き枕化させられた日には締め上げられること確実である。だが私もやられっぱなしではなかった。逆に先手を取りプロレス並にノクトに一矢報いては、レフェリー役としてイグニスが待ったをかけに乱入するというのがお決まり。まー私はその任をちゃんと全うしたので次の被害者はルナフレーナ嬢だ。頑張れ。

ふと汗水流して頑張るノクトを見ていたら、おっと視線があってしまった。

健気に声援を送ることにした。

 

「………がんばれ~」

「わざとらしい、レティも手伝えよ!」

「無理無理!だって私か弱い女だし。ほらブリザドで氷出してあげようか?」

 

そういって指先からふわりとノクトの顔くらいの大きなの氷の塊を出現させる。

 

「どこがだ!それと氷デカすぎで無理だっつーの」

「ノクト、そりゃ無理でしょ」

「だよね~?流石プロンプト」

 

私は褒めてくれたお礼に氷の塊をあげようとしたけど全力で拒否られた。

 

「いらないんでいいですマジで。いえいえっ!姫のためならなんだってってぇ~!?何すんだよノクト!」

「フン」

 

器用なことにノクトったら剣を一本出現させてプロンプトの頭を柄頭で軽く小突いた。お見事。無駄に才能のクオリティ高いわ。やってることが幼稚だけど。私は氷を後ろに放り投げて処分した後、ぱちぱちと暇つぶしに拍手を送ってみたら、運転席からイグニスの冷ややかな視線と、

 

「レティ」

 

とのお叱りならぬ小言始まりそうな既視感である。その前にフラグ折りをせねばいけない。

 

「はいはい。イグニスは小姑みたいですねー。あらやだおねーさま、そう毎回眉間に皺寄せてたら鉛筆でも挟めそうですわよー」

「……はぁ…。氷は投げるんじゃない。後続車に当たりでもしたらどうする」

「はいはい。すぐ消えるようにしてるから大丈夫でーす。そりゃーね。私なんかノクトの愛しのルナフレーナ様には負けますよーだ!………胸とか」

 

とか可愛く拗ねてみるがあまりの似合わなさに吐き気をもよおした。胸はこの際、気にすまい。気にしないことにしよう。ちょっと自分で触ってみた。……撃沈した。

するとノクトがなんと嬉しいフォローをしてくれた。私の胸をチラ見しながら、

 

「そうか?オレはレティのほうがあるような気がするぜ」

「そう。ありが「ノクト」ちょっとイグニス。褒め言葉なのにどうしてそう目くじら立ててるのよ。せっかく褒めてくれてるのに邪魔しないでよ」

「君は馬鹿か!」

 

ハンドル握ったまま後ろ振り返るから車体が大きくぶれて一緒に歩いている皆がよろめいた。

 

「あーはいはい。運転に集中してください。前の車にぶつかりますよー」

 

そう注意するとイグニスはしぶしぶ前を向き直って

 

「……仮にぶつかったとしたらレティの責任だ」

 

とほざきやがった。

 

「私に押し付けますかそこで」

 

責任転換もいいとこですよ。しかもぶつぶつと納得いかなそうに「女性らしさがない」とか「まったく兄妹揃って馬鹿なのか」とか一人で呟いてるし。

グラディオラスがお兄ちゃん的目線で私とノクトを軽く叱ってきた。

 

「少しはそういう発言は控えろってことだ。レティにノクトもだ」

「へいへい」「はーい」

 

気の抜けた返事を返すノクトと私。グラディオラスはわかってねーなとため息をつく。

わかってますとも。ルナフレーナ嬢と張り合おうなんて気、さらさらない。

別に興味ないし私は。あの人が生きようが死のうがノクトのお嫁さんになろうがならなかろうがどうでもいいマジで。……全然気にしてないもん。

 

あーあ、なんでこうなるんだかねー……。レギス王、恨みますよ…。

うん、すっごい恨みます。こんな私に何をせよと?

 

「ねー、クペ」

 

私の膝にちょこんと収まっている小さな相棒に相槌を求めた。

 

「クポ」

 

普段の速さとかけ離れたスロウテンポにクペは満足げだ。ゆっくりと景色を楽しめる醍醐味でも感じているんだろう。見かけによらずアウトドア派なのだ。

他の仲間たちとは違うブルーのポンポンが軽く揺れている。

 

「楽しいクポ~」

「って聞いてないし」

 

私はクペを好きにさせてゴロンと横になった。

 

「寝るから着いたら起こして」

「ずりーぞ」

「プリンセスの特権ってことでよろしく」

「なんだそれ」

 

呆れた声で返すノクトに手を上げて私は瞼を閉じた。

時間はかかるだろう。レガリアを修理する場所につくまでは。

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