レティーシアside
クペのボンボンには秘密がある。
女一人に男四人という旅にまさか一緒のテントで寝起きするなんてありえない。ノクトはここぞとばかりに私と寝れるチャンスと喜んでいたが、イグニスの手前『はいオッケーよ、カモン!兄よ』なんてできない。やったらイグニスのことだ、強硬手段に出るはず。ということなので寝起きは別々。そこの王子、残念そうな顔しない。睨んでるイグニス睨んでるから!
皆で走りまくって、暗くなった頃。メリオースの標にたどり着いた私達。時間も時間だしそろそろ初キャンプでもしますかって時グラディオラスが張り切ってキャンプ道具片手に、そういえばレティどうするよ?なんて今さらの発言しちゃうから思わず、私の存在忘れてたんかい!とノリツッコミならぬ、ノリエアロ唱えたらプロンプトがもんどりうって吹っ飛ばされたのでさっそくイグニスとグラディオラスに叱られたのはノリだから仕方ない。
「じゃじゃ~ん!」
「おお!」「スゲ~」
ノクトとポーションぶっかけて復活したプロンプトの感嘆の声で自分のことのように鼻が高くなり気持ちが高揚してしまう。クペのボンボンから淡い光が生まれるとそれは徐々に大きくなり目を覆うような光が終息したときにはデデン!と効果音が発生してもいいようなびっくりなモノが目に飛び込んできたのだ。
私とクペ専用のテントである。
見かけはインディアン・テントのような形をしていて、頭上にはクペのボンボンのような白いモフモフもっさりのボンボンが付いているのがポイント。だが凄いのは見た目の可愛さだけじゃない。見た目の小ささに反して中身は二人と言わず、うちの男四人どもが一緒に入ってもゆっくりくつろげるほど広いのである。しかも生活に必要不可欠なすべてのモノ。つまり、寝るベッドはもちろんのこと、暇つぶしようの本がたくさん収納されている本棚や机、椅子、城からたくさん持ってきた服が全部収まる素敵クローゼットにキッチン、バストイレ。テレビはないがパソコンはあるというなんていたれりつくせりな、ないものはないと言えるほど全てここに集約されているというお得感満載の品物。そんじょそこらで手に入る品ではない。これも全てクペの偉大さのお陰である。足向けて寝られないわ。
「クペはすごいのクポ!」
「さすが私の頼れる相棒だわ」
嬉しくてクペを撫でくりまわした。クペはされるがまま私にもみくちゃにされる。
「照れるクポ~。!?なんだか背筋が急に寒くなったクポ……」
けど急に寒がって毛を逆立てている。
「風邪?」
「きっとアレクポ…」
怯えた表情で(プロンプトには見分けがつかないらしい)クペがいうので私は、なんとなく理解できた。
「アレ?…ああ、妖精さんの嫉妬ね」
「妖精、さん?姫、なにそれ」
「ああ、プロンプトは知らないか。私、妖精さん見えるの」
人が親切に秘密を明かしてやったというのにプロンプトは目を瞬かせてしばし無言の後。
「…………ああ、そう。良かったね」
「何その生温かい視線は」
思わず人差し指作ってサンダーセットしてしまった。条件反射って怖い。
プロンプトはげぇ!?と慌てて言いつくろうように言った。
「ううん!姫って意外にロマンチストなんだなーって思っただけなんです電気ビリビリやめてー!」
「言っとくけどアンタが想像してるような可愛いイメージの妖精さんじゃないから」
「分かんないなー」
ふっ、想像力にかける一般人の台詞である。
私は基本プロンプトに優しいので親切にこう提案した。
「呼んでみようか。割と妖精さんの中で目立ちたがりやな、えー、バハムートにしようか。きっと喜んできてくれるよ。割とツンデレだけど」
そういって、両手を組んで祈るように瞼を閉じて精神統一をする私。
だが、
「ダメクポ――!!」「「駄目だレティ!?」」
「ぬはっ!」
顔面にクペが高速でへばり付いたと思ったら同時にノクトとイグニスが大声で私の組んだ両手を片方づつ取って精神統一を無理やり止めさせた。
「ちょ、何すんのよっていうかクペ離れて!息が!?」
「ダメクポダメクポ!バハムートはダメクポ――!」
涙交じりの声でクペは必死にダメと叫ぶ。それにノクトが顔が見えないので表情はわからないが、声は普段の倍に真剣さを感じた。
「レティ、それはマジやめろ!この辺一帯がヤバイっていうか俺たちがヤバくなる」
「そうだ。呼ぶなら調理の時の火おこしの為にイフリートを呼んでくれ」
「イグニス!?それ違うだろ!夕飯どころの話じゃねーぞ」
ノクトのツッコミにイグニスが我に返ったような声を出した。
「……すまない。つい、レティの常識外な発言に思わず気が動転してしまった。助かった、ノクト」
「いや、気にすんな」
何男二人で友情の再確認してるんですかね。
「あのね。いい加減離れてくださいマジで」
ずっと硬直状態続いてるんですけど。クペも離したいし。
「「あ」」
今思いついたかのよに揃って間抜けな声を男二人。
「やっぱ忘れてたんかい」
漫画で言う怒りマークが出た私は、さっきよりも強いエアロガを唱えた。
「おわ!?」
「な!?」
私達のことなど無視して、グラディオラスとプロンプトがいそいそとテントはりに精を出していたようだが、ノクトとイグニスが吹っ飛んだ先がそのテント先でものの見事にテントは壊れてしまった。クペはちゃっかり事前に避難していたので被害はまったくない。
「……………」
「…あーあ……」
グラディオラスの沈黙と冷めた視線が、怖い。プロンプトは怖くないけど。
私は、こう、言わずにはいられなかった。
「今夜、一緒にどうですか?」
て。
今日は、皆でテントの中で夜を明かすことになりました。男どもは雑魚寝ですがね。
けど罰としてイグニスの作る夕食を減らされた。でも大丈夫だモーン。
冷蔵庫に冷やしておいたプリンがあったから……って冷蔵庫開けたらなくてシャワーを浴び終えて濡れた髪のノクトが側でぷるるんっとした冷えたプリンをスプーンでおいしそうに食べていて、そのさまを見て硬直してしまった私に
「さっきの仕返し」
とニヤッと意地悪い笑みを浮かべた。私は脱力感からその場に跪いてしまった。
「私の、私のプリンちゃんが…」
「自業自得だな」
落ち込む私の前に、プリンを食べ終えたノクトがしゃがみ込んでぽん!と慰めるように頭に手を置いた。
「うぅ、…明日はちゃんとやるもん」
「おう、期待してる」
「明日はクエイクにしてやるもん」
「わかってねーじゃん」
「いたっ」
びしっと頭に優しい手刀が落とされた。
【みんなで初めてのわくわくキャンプ】