イグニスが昔ノクトが見たがっていた流星群が近くで見られると知ったので、ノクトを誘いその流星群を見に行くことになったのだ。
二人が男の友情を確かめに行くと言って出かけた後。レティはそんな二人の為にある作戦を思いついた。題して、流れ星で友情キャッチャーしちゃおう!である。なかなかないチャンスにシチュエーションを整えてやろうというレティなりの心配りだったのだがそれがトラブル発生の引き金となった。
無事に観測地点にて見事な流星群を見られた二人だったが、仲間たちがいるはずの地点で巨大な爆発音が連発する音や大地を揺るがす地響きに驚愕してすぐにレティたちの元へ駆け戻った。高台の岩部の所にテントを張っていたはずなのだが、近辺に巨大なクレーターがいくつも出来上がっており、そのうちの一つには、ノクトの丈よりももっと大きな隕石がまだ熱く燃え上がっていて、一体何があったんだと驚かずにはいられなかった二人。
犯人はグラディオラスに首根っこ引っ掴まれた子猫のように居心地悪そうに体をちぢこませてたき火の前のチェアに座っていた。プロンプトの姿は見えなかったが、気分が悪いということで、クペのテント内のソファで横になっているらしい。クペが介抱しているようなのでひとまずは安心したノクト。グラディオラスが「疲れたから説教は任せた」と言って欠伸をしてテント内に入っていたのを見届けて、ノクトがその犯人の横に膝をつき、イグニスが眉間に皺を三割増しにさせて少し離れて立った。
犯人扱いされている、レティは両手の人差し指を合わせて、蚊が鳴くような小さな声で説明しだした。
「コメット降らせて流れ星見せてあげようと思ったの」
「それだけか」
ノクトは、追及することにした。
クレーターがそこらじゅうにできていて、奇跡的にノクトたちがテントしているところだけは直撃を免れられたようだが、それだけじゃこんなにはならないはず。
レティはさらに萎縮して、ノクトの視線から逃れるように横目で、
「……ううん、メテオ降らせてもっとたくさんの流れ星みせてあげようと思ったの」
と言った。イグニスは、胃の部分を痛そうに手で押さえていた。
そのメテオは流れ星どころか星にダメージさえ与えてしまう恐ろしい魔法。へたすりゃ人が流れ星になってしまうところである。
だがまだ、何かある。そう睨んだノクトは追及の手を緩めなかった。
「まだあるだろ」
絶対ある。まだ何かある。長年の勘がノクトに訴えるのだ。
レティの考えは底が知れないと。ずっと付き合ってきて主に被害を受けてきてレティの性格を知りつくているノクトだ。
「うぅぅ!アルテマでついでに帝国滅ぼそうと思ったの。やらなかったけど……。だってなんかムカつくでしょ!あんなに領土ばっかり広げて何が締結条約よ。結局はクリスタルを狙っての犯行じゃない。……きっとアイツらの性根なんて腐ってるに違いないわ。今のうちに潰しておいた方がいいのかも」
反省の様子を見せていたのは一時で、今度は掌返したかのように開き直るレティに思わずノクトは、視線を鋭くさせて
「レティ」
厳しい口調で名を呼ぶと、レティはさすがにまずい発言だったかと言ったあとで気付き、ごめんなさい!と頭を下げた。
「うぅ、反省してます……最後のアルテマはちょびっとやりすぎかなって思ったし」
「ちょびっとじゃねーよ」
びしっとノクトに手刀をくらいレティは
「あう」
と呻いて項垂れた。ノクトがなぜこんなことをしたんだと問い詰めると、レティはぷくっと頬を膨らませて、
「だって私も行きたかったもん」
とそっぽを向いた。蓋を開いてみれば本音はこうだった。
ノクトはガシガシと困ったように髪を掻いて、はぁ~と深くため息をつくと「悪かったよ」と謝りながらむくれるレティの頬を両手でぷしゅっと空気を抜かせた。
「むぅう~」
「そう拗ねるなよ。今度連れてってやるって。皆も一緒にな」
「………嘘つくとどうなるかわかってる?」
「ハリセンボンだろ」
「ジャボテンダー(髭)の『針ン千本』くらってもらうから」
「殺す気か」
レティの目は真剣だった。ノクトはごくりと唾を飲み込んでレティのマジ度を悟った。
絶対本気でやりやがる、と。
「楽しみだなー、皆で流れ星見るの。ね?ノクト」
「…ああ…」
レティの瞳が強く物語る。
嘘だったら、わかってるわよねって。
命がけの約束になりそうだ。
ノクトは早くも明日の夜にも見に行かねばと胃薬を飲みに行ったイグニスに相談しに向かった。
【命がけの約束】