レティーシアside
今日も暑いですねー。
ソウデスネーと叫びたい、そんなお天気です。
「よし!倒した」
「レティは見てただけだろ!」
ノクトのツッコミと皆のあきれ果てた視線は華麗にスルー。
ようやく最後のモンスターを倒すことに成功した私達。どうしてかわからないけど、ノクトたちの標的が武器を構えるみんなの脇を通り抜けて危ないから離れていろと指示され、仕方なく少し離れた位置で見守っていた私に群がってくるというノクト達にとってはドッキリハプニングもあった。私は対して驚くことはなく、むしろ温かく迎えてあげようと両腕を広げて構えてさえいた。こう、仲良くなれたら乗せてもらえるかなって打算的な考えもあったけど。でもノクト達が踵を返してアラクラン達を撃退していったので私の計画は一瞬でおじゃん。
ノクトに「怪我はないか?」と尋ねられたけど私が頬を膨らませて明らかに不機嫌だと分かると「何怒ってんだ?」と困惑していた。
ふん!自分の車持ってる人に理解などできるわけがない。
自分の移動手段が欲しいって気持ちは。そう遠くない日、私がクペと一緒に世界を旅するときにレガリアみたいな車がないと不便なのだ。その足掛かりとして実は、モンスターを車の代わりとして代用できないかと考えている。
クペに内緒で相談したら「レティくらいだクポ。そんなこと考えるのは」と褒められた。
フッフッフ、誰も考えつかないことを考える。それがレティーシアという女なのだ!
「よし、終わったな。レティ、またろくでもないこと考えてんじゃねえだろうな?」
「へむぅ!?」
グラディオラスに突如みょーんと頬を伸ばされ、私は懸命に抵抗するも奴はにひひと厭味ったらしい笑みを浮かべては私の抵抗など無駄だと言わんばかりにさらに地味ないじめを強攻してくきた。ようやく解放された時には頬がひりひりして痛かった。
馬鹿力め!
ムカついたので隙をついて膝かっくんしてやろうとした。でも力弱くてかっくんもできなくて爆笑された。さらにムカついたので後ろからヘッドロック仕掛けてやろうとした。けどグラディオラスの方が背が高いので首にしがみ付いて足をぶらぶらさせるだけに終わった。……さらに爆笑されお返しに俵担ぎされ散々遊ばれてしまった。
今に見ていろと捨て台詞吐いて逃げようとしたけど、目を光らせていたイグニスに「何処に行くんだ」と首根っこ引っ掴まれて動くに動けないので泣く泣く逃走を断念した。プロンプトが忍び笑いしてたのでサンダー落としてあげた。
なんて戯れている間に、タイミングよくノクトのスマホに電話がかかってきた。
「あれ、電話?」
「ん……はい」
『シドニーだけど、退治は順調?』
「ああ、今終わった」
相手はシドニーさんから(いつの間にアドレス交換したのか謎)でノクトは討伐を完了したことを報告をした。するとシドニーさんは知り合いのデイブというハンターと連絡が取れなくなったので人探しを頼めない?と頼んできた。ノクトは快く了承してさっそくそのデイブって人を探しに行くことになった。シドニーさんの情報じゃこの辺の小屋にいるらしいって。皆で辺りを探し始めて数分ぐらいかな。砂嵐に遭遇しちゃった私達は一時避難ということで無人の小屋に逃げ込んだ。
奥の方の使い古してボロボロの木机の上に手紙が置いてあるのをノクトが発見。
そこにはブラッドホーンというモンスターらしき名前と特徴が書かれていた。訝しむ私達に突如襲い掛かってきたトウテツの群れ。
砂嵐の影響もあって視界の悪さの中、苦労しながら倒すことに成功。私はやっぱり襲われなかったからプロンプトが恨みがましい視線を送ってきてたけど、気づかないフリをした。
野性的な男、グラディオラスがまた別の小屋を発見。砂嵐の中なのにね。
私はノクトの背にしがみ付いてできるだけ目を開けないようにして歩いた。
そこに向かうと、どうやら怪我をした男の人が壁に寄りかかるように座り込んでいるのを発見。私達は駆け寄って男の人に話を聞いてみた。
やっぱり、彼がシドニーさんが言っていたデイブってハンターだった。
彼はあるモンスターを狙ったらしいのだが、それが思ったよりも強敵で返り討ちを食らってしまい小屋で身を潜めていたようだ。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」
「ごめんなさい、ちょっと傷の具合確かめさせてもらいますね」
「……」
どうやら足をくじいて立てないらしい。
「これくらいなら、魔法で何とかなるか…。ちょっと光りますけど驚かないでくださいね……。『ケアルラ』」
私は傍に座って傷の具合を確かめさせてもらい、ケアルラをかけて彼の傷を癒した。
「な!」
デイブさんは初めて魔法を見たのか、目を見開いて驚いていた。
治療を終えた後、デイブさんの傷はすっかりなくなっていて私は満足げに頷いて見せるとデイブさんは私と傷があった箇所を交互に見ては夢でも見ているような表情をして固まってしまった。
「アンタ、一体……」
あ。
目立つ真似するなって口酸っぱく言われてたこと忘れてた。グサグサと背中に突き刺さる痛い視線に冷や汗を垂らしながら私は以前読んだ、究極の誤魔化し術という本の中から得た知識をここぞとばかりに試してみた。
「えーと、私は通りすがりの一般ピーポーです」
「あ?」
不発に終わった。反応がいまいちでさらに私は焦った。どうやって回避しようかと焦っていると、イグニスの腕が伸びてきて私の肩を抱き寄せてきた。「うわ!」と声を上げる私の横でイグニスは、
「どうかこちらのことは気にしないでいただきたい。……特にこの女子のことは。どうか内密に願います」
丁寧かつ圧を感じさせる口調でデイブさんにお願いした。
デイブさんは気圧されつつ、何かを感じ取ったのだろう、戸惑いつつも
「あ、ああ。わかった。……理由はわからんが助けてもらったんだ。約束は守るよ。お嬢さん、ありがとう」
と私にお礼を言った。私はイグニスが誤魔化してくれたことに感謝して
「いいえ、どういたしまして」
と微笑んでみせた。
イグニスに「目立つ真似はするな」と耳打ちされ私は、「わかってますよーだ」と小さくべぇっと舌を出した。
【私だって何かしたい】