デイブさんから討伐依頼を有料ではなくタダで引き受けると言ったノクトが誇らしかった。だって所持金……うぅ、お財布が悲しすぎて金額が言えない……。私のお財布はホクホクだけどね。ちなみに、私には金銭感覚がないクポ!とクペから痛烈な批判を受けて、お財布の管理は彼女が行ってくれている。というか奪われたと言った方が正しいのだけれど。
さて、イグニスからの
「モンスター退治の前に一度テントに戻らないか?」
という提案を「必要ねー」とあっさりと却下したノクトに、
「テントで一回休みたい!砂埃で気持ち悪いからお風呂入りたい!」
と小悪魔的魅了ポーズでお願いした私。けどノクトには効果が見えずさらに、
「モンスター倒す方が先だ。困ってるやつ、放っておけないだろ?」
と言われてしまえば、ぐうの音もでない。
「仕方ない、プリン三個で手を打ってあげよう!」
と提案したけど、
「レティ、オレのプリンこの前五個食ったよな」
とうまく切り替えられ、
「そうだったけ~?ひゅー」
と吹けもしない口笛のまねして視線逸らしたけど遅かった。
「誤魔化し下手くそ、ちゃんと吹けてねえし」
と苦笑され頬をぶにーと伸ばされ悪戯された挙句、
「笑える顔!ホント仲いいね」
とプロンプトに兄妹仲良く激写されてしまった。
やはりプロンプトには再教育が必要であると判断した瞬間だった。
プロンプトが何かを見つけ指さした方向70メートルくらい先にデュアルホーンの変種、ブラッドホーンを発見することができた。
「見て、あれじゃない?」
私達はさっそく退治すべきと動き出す。と言っても私は絶対前に出るなと口酸っぱくして言われているので大人しくノクトの後ろにいますが。体動かしたいよ~と訴えたけど却下されました。
「デュアルホーン、か?」
「デイブの言う通り変種のようだな。放っておくわけにはいかなさそうだ」
「待て」
「なになに」
ノクトを手で制してグラディオラスが大剣を出現させて盾となるべく前へ進み出る。イグニスがノクトと私を止めさせ、後ろへと下がらせた。
「ヤツはだいぶ気性が荒そうだ」
「え?そう?なんかぼんやりしてない?」
「来るぞ!下がれ、ノクト、レティ!」
「っ!」
襲い掛かってくるブラックホーンが来る直前、グラディオラスがスイングするように大剣を振りかぶってブラッドホーンの足を狙いその勢いに負けてブラッドホーンが体勢を崩して大きく倒れ込み土煙が舞った。
「おお!やった!スッゲェ」
なんてプロンプトが喜んだのもつかの間、
「っ、まだだ!」
体勢を立て直したブラッドホーンにいち早く気づいたイグニスが声を荒げ、私とノクトを背に庇い対峙しながら余裕そうに眼鏡をくいっと指で上げた。
【変種の野獣討伐Start!】