レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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海と言ったらビーチバレーでしょ!

青い空、白い雲、そして果てに広がる大海原。さらさらとした砂浜。

夏だから海行ったっていいじゃない!

 

レティからの励ましに猛進して乗船手続きの作業にのめり込んでいるディーノのお陰でノクトたちは時間までのんびりと過ごすことができたのだ。せっかくの海。初めての海、夢にまでみた海。壮大な光景に圧倒され言葉にならないレティ。震えるほどの感動を感じているようだ。それは彼女だけではない。ノクトたちも同じ気持ちを抱いたようで言葉を失っている。近くで釣りもできることから暇を潰すにはもってこいだ。どうせ船の手配には時間が掛かるはずと勝手に決めたレティの御意思で浜辺へとやってきた王子様御一行。

さて、何やら提案がある御様子のレティが不敵な笑みを浮かべてさっと前髪を振り払いながらこう切り出した。

 

「…フッフッフ、皆の衆、ちょっといいかしら!」

「レティがそういうテンションの時は大概何か企んでる時だよな」

 

ノクトがぼそっと呟いているのをレティは聞き逃すことにした。

今回ばかりは悪だくみじゃない、むしろ皆で楽しめることなのだ。

 

「せっかく海があるんだから遊んでいかない?NOとは言わせない!なぜなら、そう!そこに海があるから!というわけでクペ!テント出して」

 

レティはびしっとクペに指をさして指示を送った。

 

「了解クポ!」

 

クペも可愛く敬礼のポーズをしてノリノリである。

 

「クペも乗り気だね」

 

プロンプトも苦笑しながらそう言うとクペは「だって海クポ。楽しみにしてたクポ!」と無邪気に喜びをあらわにした。クペのテントが出されるとレティはクペを肩に乗せてテントへと向かいながら、

 

「皆はその辺でぶらぶらしてて。私とクペは支度してくるから」

「クポ!」

 

そういってウキウキと上機嫌にテントの中へと消えていった。残されたイグニスは、また妙な思い付きでも企んでいるのではないかと勘ぐった。

 

「何する気なのか、変なことでなければいいが…」

「さぁ、濡れてもいいような恰好になるんじゃねえの?」

 

割とレティの思い付きの行動に慣れているノクトはさして気にした様子もなく、暇をもてあそぶために砂のお城をつくり始めた。

 

各々がそれぞれの時間をつぶしてしばらく経った頃、ようやくクペのテントの入口が開かれた。ノクトは気配を察して「遅いぞ!レティ」と文句を言いながら振り返った。

だが、ノクトの言葉は途中で途切れた。ある人物に視線が釘付けになったからだ。目玉が落ちるのではないかというくらいに見開いたまま、口をあんぐりと半開きさせて硬直してしまったノクト。

 

「うわ……」

「……」

「目の毒だな」

 

プロンプト、イグニス、グラディオがレティとクペの衣装についてそれぞれ感想を述べる。ノクトは勢い余ってせっかくいいところまでいった砂の城を自分でぐしゃっと破壊してしまうくらいだ。

 

「ジャーン!どうだ?どうだ?」

「どうだークポ!」

 

レティは男たちの驚いた様子に気づかずにはしゃぎながらその場にくるりと回った。

滅多に肌を見せることがないレティの大胆水着衣装。完璧なプロポーションにマッチするように花柄の3段フリルビキニと同じくフリルがあしらわれたピンク色のビキニパンツを着ていてフェミニンな印象を与えている。パンツに至っては両サイド紐仕様となっており、妙なエロさを匂よわせていた。まさにレティの為にあるような水着。レティが動くことでその豊満な胸もぽよよんと揺れ思わず視線で追ってしまうほどである。レティの細い足首には蝶の形にあしらわれた金のアンクレットがあり銀色の髪は涼し気なイメージを与えるだろう高めの位置に青色のシュシュでポニーテールで結ばれていた。城のフラワービーチサンダルを履いて、足の爪には赤いペディキュアが塗られていて、男をたぶらかす小悪魔がまさに降臨した。

 

「……」

「ねぇねぇ!どう?私の初水着姿。結構似合ってると思うんだけど」

「……」

「ねぇ、ノクトってば!聞いてるノクト?」

 

呼びかけても反応しないので無視されてると思ったレティは、ノクトの目の前まで寄ってきて砂に膝をついてノクトの顔を覗き込むようにすると必然的に腕が狭まって胸の谷間がむぎゅっと寄るのでより強く協調されるその柔いが弾力ある胸になる。それを間近で直視してしまったノクトには強烈すぎたようで、湯が沸騰するように顔から湯気が噴き出て真っ赤にさせたのち、バタリと背中から砂浜に倒れた。

 

「え!?なんで倒れるのよ!」

「……姫、今のはノクトに刺激的すぎたんだと思うよよ。でも凄く似合ってる。可愛いよ」

 

すかさず女慣れしているプロンプトが気絶したノクトの代わりにレティを褒めた。グラディオもノクトに肩を貸して起こしあげながらレティの機嫌を損ねないよう的確なフォローをいれた。

 

「まさかの水着姿にノクトも倒れるくらい可愛すぎて驚いたってことにしてやれ、な?」

 

レティはその褒め方に妙な引っ掛かりを感じたらしく、疑り深い視線を向けた。

ノクトは「あづ、い」と真っ赤な顔で呻いている。

 

「…何か納得できないような気がするけど。まぁいいわ。せっかくの海だもの。楽しまなきゃ!ねー、クペ」

「いっぱいエンジョイするクポ!」

 

けどころりと気分を変えて楽しむことにしたらしい。レティとお揃いの水着を着たクペと仲良く手を繋いで軽快な足取りで海へと走っていく。忘れていたがイグニスもノクトと同様、レティの可愛さにあてられて固まっていた。グラディオは、レティにより用意したパラソルとビニールシートに二人を寝かせて介抱を任され、疲れからか深いため息ついた。

プロンプトはニマニマといやらしい笑みを浮かべては浜辺ではしゃぐ二人(?)を見つめて

 

「いいねぇ、目の保養だよね~」

 

と一人浮かれていた。グラディオは「こっち手伝え!」と叫ぶも

 

「無理無理、お子様二人もいたら保護者いないと駄目でしょ!オレ、保護者でーす」

 

と言い返しながら靴を脱ぎすて、ズボンの裾をたくし上げレティのほうへ走って行った。

 

「キャー!冷たい!」

「しょっぱいクポ!」

「そりゃ、海だしねー」

「プロンプト、その恰好で大丈夫なの?」

 

普段着のプロンプト参加にレティは思わず尋ねた。

プロンプトは

 

「大丈夫大丈夫!濡れてもシャワー浴びるし。それよりなんか道具使って遊ぼうよ」

 

と仲間放置して遊ぶ気満々な態度を見せた。レティは「海の遊び海の遊び…」と本で得た知識をフル活動させて、ピンポン!と良案を思いついた。

 

「だったらビーチバレーやろうよ」

「お!いいねー。やろうやろう」

「よーし、だったらこれで…『ブリザド』!」

 

指先を形作ると、魔力ある言葉で瞬時に周りの体感気温が下がりだし、宙に創りだされるデカい氷の塊。ふよふよと漂う塊は冷気を帯びていて触らなくても凍り付きそうである。

プロンプトは、嫌な予感を感じつつも、ためらいがちに尋ねてみた。

 

「あのー、姫?なんで氷の塊なんですか?」

 

まさか、まさかの展開ですよね。そんなフラグ立てませんよねーとプロンプトは心の中で必死に祈った。どうか、姫の考えが当たりませんように!

 

でも、ばっちしその考えが当たってしまった。

 

「これでビーチバレーやろうよ。私がコレ投げるからプロンプトが銃でこれを破壊する!」

「違うから!絶対それビーチバレーじゃないから!」

 

嫌だ嫌だ!と顔を引きつらせて逃げようとするプロンプトだが、「逃げるの?」と冷ややかな声と共に、彼の行く手を阻むように砂浜にグサッと突き刺さるいくつもの氷の刃。

 

ヤル気だ。

 

レティの本気を悟ったプロンプトはガクッと肩を落として、

 

「………喜んで参加、します」

 

と白旗を上げた。レティはにっこりと微笑んで

 

「だよね」

 

と満足そうに頷いた。

 

必死の抵抗も空しく王女様の思い付きは実行された。

容赦ないほどの魔法連発で精製されるブリザドがプロンプトに襲い掛かる。魔力を枯渇しないレティにとって造作もないことだが、どうしてかその力を発揮するときは大抵遊びと称して使われる。もったいない力である。

 

「ほらほらほらー!さっさと壊さないと次来るよー」

「助けてこんなのあそびじゃなーい――――!」

 

半泣きでレティの際どい攻撃を交わしつつ愛銃で頭ほどある氷の塊を打ちまくるプロンプト。彼にとって命がけのゲームが始まってしまった。

グラディオは、その光景に心底思った。

 

こっち(介抱役)で良かったぜ…と。

 

レティの恐ろしいビーチバレー修行(?)により、プロンプトのレベルが3上がった。

 

てれてれれってってってってってて~。

 

プロンプトは脳内で何かのBGMが流れたような、気がした。

 

そして、

 

「もう、海怖い」

 

といって力尽きた。

 

【次は本物のピーチバレ―を教えてあげようと全力で思った。】

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