レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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性別を超えての友達

レティーシアside

 

私に友達らしい友達は、いない。いなかったと言った方が正しい。勿論、クペとイリスは別。ノクトは家族だし、イグニスは小姑(?)だし、グラディオラスは共犯者。プロンプトは……。最初は頼りないって思ってた。でもノクトに連れられて家(城)にやってくる回数が増える度に私に外の世界を教えてくれる。食べ物や流行のファッションとかカラオケなんてなものも一緒に行こうと誘ってくれた。実際にはその約束は果たされてないけど大きな町に着いたら行こうね!とあの約束を忘れないでいてくれている。

プロンプトの存在は私の中で大切なものになった。

 

チョコボポストにてのこと。スモークアイを無事に倒した私達はせっかくチョコボのだしこの際乗ってみようということになった。

けど黄色のチョコボたちに構って構って!ともみくちゃにされた私は、ノクトに助けられて何とかチョコボのおしくらまんじゅうから脱することができた。だが、その後が問題だった。いざ乗ってみようとすると、

 

「レティが一人乗りすると暴走するからオレと乗れよ」

 

といつものノクトの心配性が始まった。私は当然一人で乗るものと決めてたのでノクトの誘いは断った。

 

「嫌、一人で乗るもの」

 

でもノクトは私の答えに納得しなかったみたい。

ムッとした顔でチョコボに乗ろうとする私の腕を掴んだ。

 

「レティ、なんだよ、オレの運転安心できるって言ってただろ!」

「それはドライブの話。これはチョコボ!私は一人で乗るの!手綱握ってみたいのよ」

「ダメだ!ぜってぇ危ない」

 

もう、一体何を決めつけて危ないっていうのよ。

私はノクトの掴む手を振り払おうとしたけど全然離してくれなくてヤケになった。

 

「ノクトのけちんぼっ!」

「ケチじゃねーし!レティがわからずやなだけだろ」

 

子供ケンカレベルになって私たちは互いに睨み合った。

 

「ノクトのアホ!」

「わがままレティ!」

 

私はう~と唸っているとみかねたイグニスが仲裁に入ってきた。

 

「いい加減にしろ、二人とも」

「「だってこっちが!」」

 

私とノクトが互いに相手を指差してそっちの方が悪いと訴えた。イグニスはくだらない喧嘩をするなと一喝。でもお互いのイライラは収まらなかった。私はフン!とそっぽを向くとノクトも同じようにした。そこまで真似しないでよって言いたかったけどこれ以上無駄話してイライラしたくなかった。プロンプトが空気を読んでしゅたっ!と手を挙げた。

 

「はいはい!だったらオレと一緒に乗ろうよ。オレと途中で代わればいいし」

 

さりげなく私の手を掴んでノクトと距離を離してくれる。私は、内心驚きつつも頷いた。

 

「………わかった。プロンプトと一緒に乗る」

「ケッ」

 

するとノクトは、気に入らなさそうに吐き捨てた。

 

「ハァ~」

 

イグニスが頭に手をやって痛そうにしていたけどノクトの顔見たくなくて私はプロンプトを引っ張ってチョコボに乗り込んだ。

 

 

ゆっさゆっさと揺れる揺れる。ノクトはチョコボ臭いとか言ってたけど私は全然気にならないわ。そりゃ確かに動物臭いっていうのはあるかもしれないけど私には新鮮だもの。

生き物と接していると気持ちが落ち着く。苛立った気持ちも軟化させてくれる。今はちょっと無理だけど。

前方をチョコボに乗って歩いているノクトたちの一番後ろにプロンプトと私はいる。

 

できるだけ私とノクトを近づけさせないよう、プロンプトの配慮だと思う。

 

座り心地は…。ちょっと良くない。だって本当なら一人乗りだもん。

つまんないつまんないつまんないつまんない!せっかくいつもと違った景色を堪能できると思ったのに全然つまらない。こんな気持ちになっているのも全部ノクトの所為だ!

 

プロンプトのおなかに腕を回してくっ付く私に、気を使って話しかけてくれている彼に申し訳ないけど和やかに会話ができるほど私のイライラはおさまっていない。

 

「ねー、可愛いねチョコボ」

「そーだねー」

 

何回目の『そーだねー』だろうか。数える気もない。

プロンプトが困った声で言ってきた。

 

「姫、機嫌直してよ」

「別に悪くないし」

「だったら楽しもうよ、ね?せっかくチョコボにも乗れてるんだしさ」

「……うん。そだね」

 

確かにプロンプトのいうことも一理ある。

その時その時を全力で楽しまなければ後から後悔したって遅いんだ。

 

「そろそろ代わってみる?」

「うん」

 

プロンプトはチョコボを止まらせて先に降りた。私が前に出て手綱を握るのを確認してもう一度後ろに回って乗り込んだ。プロンプトは手をどこに置こうか迷っていたから、私がむんず!と彼の手を掴んで自分のおなかに手を回させた。プロンプトは「ひ、姫?!」と上ずった声を出して慌てて離れようとしたけど「振り落とされたいの?」と尋ねると「嫌です」と即答して素直に腕を回してきた。うん、それでいい。

私はグッとチョコボの手綱に力を込めて握り、「いっけぇー!」とチョコボに向かって叫んだ。すると、チョコボは「クエー」と甲高い鳴き声を上げて全力疾走。

プロンプトは驚き声を上げて落とされまいとなおさら私に引っ付いた。

 

「うわぁ!あはっ!楽しー!」

「ひ、姫!ちよっと道ずれてるから!?」

「あははは!」

「姫ってばー!」

 

しばし、暴走チョコボのドライブを自由に楽しんだ。

 

私の気が済んだということでプロンプトに手綱を譲り、(本当は代わってくれと懇願された)私はホクホクと満悦な顔でトレーラーハウスに帰ることとなった。ノクトたちの後方を着いているのは変わらないけど、時折というか結構ちらちらと後ろを向くノクトが面白くてバレないように笑うのは大変だった。素直じゃないな、ノクトも私もって思ったけどね。

私は、プロンプトにお礼を言った。いつもプロンプトは私を励まそうとしてくれるし気も配ってくれている。

 

「あー楽しかった。ありがとね、プロンプト」

「いえいえ。少し疲れたけどね」

 

プロンプトは少しだけ顔をこちらに向けて苦笑いした。

 

「やっぱり外の世界は違うね」

 

正直、こんなに広いだなんて想像もしなかった。

知識ばかり詰め込んだって、世界の広さには到底かなわない。

 

「あー、そうだね。姫はずっと城の中で育ったんだもんね。そりゃ興奮もするか」

 

興奮というか、感動してるんですけどね。

まぁいいか。今は、この時間を大切にしたいから。

 

「私さ、多分自分の物差しでしか見られてないから違ってるって叱ってもらえるの嬉しいの。こんな時どういう風に言えばいいのかなーとか、あ!ここはこー動けばいいんだとか、ね。みんなから教えてもらえること、自分の手で実感してくこと。きっと今後の私に必要なことだから」

「…姫…」

 

いつのまにか、チョコボは歩くのをやめていた。

プロンプトはなんて言っていいか言葉に詰まっているみたい。あ、やば。

なんだか自分で言って恥ずかしくなってきたので無理やり話題を変えた。

 

「よく考えたらその姫っていうのやめたほうがいいよね!バレちゃいそうだし。今まで気づかなかったけど」

 

プロンプトは私の勢いにつられて話題に乗ってきた。

 

「あ!そっか。でもなんて言えば」

 

迷うことなんてないのに。皆が普段私を呼んでいるようにすればいいと提案した。

 

「レティでいいよ。みんなもそう呼んでるし」

「え!いいの?だってオレ皆と違って、その幼馴染とかじゃないし、馴れなれしいかなって」

 

弱気な発言に私は目を丸くした。

今さらじゃないかって思う。そんな枠での関係なんてすっ飛ばしている私達じゃない。

 

「そんなこと関係ないでしょ?プロンプトは私の友達だし。姫って呼ばれるよりもレティって呼んでほしい」

「じゃあ、その、レティ」

「うん」

「あー、なんか恥ずかしい!」

 

珍しいプロンプトの照れる姿を見られた。今日は最高の日だ。

 

「いい慣れてないからね、慣れるまで意識して呼んでなさい」

「わかったよ、姫、あ!」

 

すかさず私は先生になったみたいにびしっと言った。

 

「はいプロンプト君。訂正」

「わかった!レティ!」

 

今度は成功。

 

「よろしい、ぷっ、ふふっ!」

「ふふ、あはっはははは!」

「あーマジ楽しー」

「だね!」

 

二人で声をあげて笑いあった。

すると、声を掛けるチャンスでも狙っていたみたいなタイミングでチョコボに乗ったノクトが「おせーぞ!何してんだ」とこっちに戻ってきた。喧嘩していたこともないようにふるまっていたので私とプロンプトは「「内緒ー!」」と声を揃えてノクトを追い越してチョコボを走らせた。「あ、ズリーぞ!」と慌ててノクトもチョコボを走らせて追いかけてきたので、そこからなぜだか皆でチョコボレース開始。最初は乗り気じゃなかったイグニスとグラディオラスも仕方ないと参戦した結果、負けた人はイグニスお手製食後のデザートのヨーグルトパンプディングはお預け。

さて、そのチョコボレースで負けた人は……?

 

【誰でしょう】

 

プロンプトが皆の前でいつもの姫ではなく、愛称で呼んでいることにいち早く気づいたノクトとイグニスが、レティがいないときにプロンプトに詰め寄って問いただそうとする姿が見られたとか見られなかったとか。

 

【こういうのもいいものだ】

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