レグルスの子供たち   作:サボテンダーイオウ

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デスで乱れ打ちです!

今回の魔導兵は大量にやってきた。標的はノクト、そしてレティである。王族二人の狙っての犯行にしては大仰するすぎるやり方である。

だがそれだけの戦力を投入してでも消したい、もしくは手に入れたい存在なのだと実感させられる戦いとなったはず。ノクトたちには。だが例外がいた。

貧乏王子一行の紅一点、花も恥じらうプリンセス、レティーシアである。

その可憐な容姿に似つかわしくない双剣を細腕で軽々と持ちながら手慣れた様子で迎え撃って出たノクトたちと共に戦っていたが、尋常ではないこちらが圧倒的に不利な数を投入してきたことでレティが、またキレた。

 

「ふっふっふ、フッフッフ」

 

含み笑いをしては前方から襲い掛かる魔導兵を双剣で弾き飛ばし、後ろから不意打ちを狙って襲い掛かろうとする魔導兵を俊敏な動きで華麗に回し蹴りを加えて吹き飛ばし、斜めから間合いを詰めて懐に入り込もうとする魔導兵の攻撃をすれすれで掻い潜りすれ違い様に相手の背中を踏み台にして高く空へ舞い上がり『ファイガ!』と勢いよく敵の軍団に叩き込む。強大な火柱が天高く燃え上がり一気に広範囲に広がるその圧倒的な魔力の強さ。いつみても圧巻される戦い方だとノクトたちはレティの戦いのセンスに感心を寄せた。いち早くレティの様子に気づいたノクトがあっけらかんとした様子で言った。

 

「お、レティがキレた」

 

クペがささっとノクトの肩に捕まって「今回はヤバイクポ。アレが来るクポ。毛が逆立つクポ~」と怯えていた。しかも静電気で毛がバチバチいっていた。ノクトがクペの怯えように違和感を感じて「マジで?」と露骨に嫌そうな顔をする。イグニスがすぐさまレティの様子を確認してノクトに頷いてこう言った。

 

「退避だな」

 

プロンプトがぎょっと顔を青くさせて皆の中で我一番と言わんばかりに駆けだした。

 

「姫御乱心ー!」

「派手になりそうだな!レティ!頑張れよー」

 

グラディオが走り出したノクト達の後方に続いて走り出した。振り向きざまレティに声援を送ることも忘れずに。

 

「よぉぉしぃー!準備いいか屑ども――!貴様らまとめてこの私のデスでデスってやるわ!刈り取ってやるわ―――!」

 

レティ暴走して高笑いしながらデスを発動させる。ちなみにいつの間にか召喚獣も召喚されている。今回は雷の召喚獣である角の生えた馬、イクシオンである。その背に跨るな否や人馬一体で一気に敵の合間を風のように駆け抜けていく。

イクシオンは天上から容赦なく雷柱を落とし敵をダウンさせていき、レティも双剣で斬り込みながら同時にデスを発動させる。

 

普通ならデスは相手の近くにいてその生命をゆっくりと吸い込んで死に追いやるのだが、レティの場合は容赦なしに掃除機のようにぐいぐいと吸い込む。

いかに帝国魔導兵だろうとも例外はない。

機械であろうともその命、残らず刈り取る。レティ、マジである。

 

「デスデスデスデスデス!」

 

イクシオンで爆走するレティは残党狩りに夢中になっているようで、ノクトたちの存在などすっかり頭の隅から消えている。今彼女を突き動かすもの原動力は、敵、全て、狩るの三文字だけである。たまに野生に戻ってしまうレティがちょっと傷である。

さて、遠くに避難したノクトたちは場違いであるが、レティの容赦ないっぷりに感心してさえいた。ノクトは悠々閑々とヤンキー座りで見守りながら、

 

「いやー、見ごたえあるな」

 

次から次へと吸い込まれていく魔導兵を暇つぶしに数えていた。けど途中で「あれ、重なって見えね」とわからなくなったらしく、また再度数えなおしていた。クペはハリセンボンのように毛がさらに逆立っていた。「ノクト助けてクポ~!」とノクトに助けを求め、「あれ終わんねぇと無理だろ」とノクトは一応クペの毛に触ろうとしたが、やはり触れそうになった瞬間、バチッ!と静電気が走り仕方なく手をひっこめた。

隣のプロンプトはパシャパシャ!と幾度と角度を変えて、カメラを構え何枚も写真を熱心に撮っていた。

 

「さすが姫!ある意味デスじゃなくてバキューム?」

 

滅多にないシャッターチャンスと思い出作りに熱を出している。プロンプトがレティを狙って写真を撮る時は大抵戦闘で意気揚々と敵を倒す姿だった。普段じゃプライバシーの侵害と言って撮らせてくれないためだ。こちらも熱の入り方が半端ない。だが近いうち、レティから「なんでこんな写真ばっか撮ってんのよ!」とサンダー落とされる運命にあることを、この時のプロンプトは、知らない。

貧乏王子一行の頼れるブレーンであるイグニスはと言えば、腕を組んで冷静に戦闘を分析していた。

 

「一理あるな。だがレティの場合は通常のデスに加えレビテトで魔導兵の集団を浮かせ吸い込ませやすいようにしている。加えて召喚獣のイクシオン効果でダウンさせ相乗効果を与えている。実に理に適った戦闘術だ。しかし、あのデス……。吸収された敵は一体何処へ行くのか、…気になるな」

「一回お前の頭の中見てみたいわ」

 

グラディオが本気でイグニスを心配し始めた。イグニスは「いたって真面目だが」と逆に平然と返すのでがっくりと肩を落として脱力してしまったグラディオ。

 

「アーハッハハハハッ!」

 

プリンセス、楽しそうに敵を殲滅し終わってご満悦に高笑い。イクシオンがやったぜ!とレティと共に喜びを分かち合いながら、調子に乗って派手に雷を落としまくった。大地が抉り取られるほどの勢いの雷がドドーンと落ちて、その勢いで避難したはずのノクトたちにも被害が及んでしまい皆で仲良く吹っ飛ばされることに。

敵、一匹残らず殲滅することに成功。

 

「……勝った…!」

 

残ったのはレティとイクシオンだけだ。なぜなら味方も目を回して地面に倒れ伏しているから。死屍累々ではあるが、レティにとって納得のいく戦いとなった。

 

【Missioncomplete!】

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