道中二人は互いに助け合いながら森の奥へと進んだ。
『ノクト、レティ。君たちは深く深く眠っているんだ。早く目を覚まして皆の所に帰ろう』
カーバンクルからの励ましのメッセージは何度も送られ、
『僕と一緒に来れば大丈夫!』
先を歩いていたカーバンクルが、小さな石に躓いてしまったレティを心配して戻ってきたり、痛みを堪え泣くのを我慢するレティの頬をペロンと舐めて慰めたり、ノクトの肩に乗っかって楽したりとそれはそれは二人の不安を吹き飛ばすような行動をしたお陰で、大人のいない寂しさや不安からは開放された。
森から岩場へと足を踏み入れれば、半透明の巨人がノクトとレティを覗き込むように現れた。ノクトはぎょっとしたが、レティは「あ!」と声をあげてびっくりして固まったノクトに軽い口調で説明した。
「あれはタイタンだよ」
「……そう…」
『怖くないよ!』
本当に不思議な場所だった。大きな丸い仕掛けのようなスイッチがあったり、レティがノクトの制止を無視してそれに乗るとまるで時間が早送りされるかのように周りの風景が一変する。朝から夜へと変化したり、はたまた天気が順番に変わるスイッチもあった。
今度それに乗ったのはノクトだった。実はわくわくしていて踏んでみたいと思っていたとか。
晴れだったのが曇りになり、今度は雨になり二人は雨宿りできる場所を探してそこへ駆け込んだ。ずぶ濡れになった二人だったが、すぐに外の雨は止み、なんだか可笑しくて二人で顔を見合わせて笑い合った。しっかりと手を繋いで二人は進んだ。
頭上で鳥の甲高い声がしたと思ったら、
『うわ、出た!』
二人の前に水色のゴブリンのような形をした生物がドロン!と現れ、ノクトは驚きながらも本能的に危ないと感じ取り咄嗟にレティを後ろに下がらせ庇った。
「何あれ」
「…わからない…」
『ノクト、これを使って!』
カーバンクルがその場でくるっと見事な脚力で一回転するとノクトの手にはおもちゃの剣とピコピコハンマーが現れた。それで斬って叩けというらしい。
ノクトはゴクリと息を飲み込み、レティに絶対そこにいてと言い残して意を決してナイトメアたちに戦いを挑んだ。
うまくドッヂロールを駆使してナイトメアの攻撃を交わして倒すことに成功。
チャラチャララララ、ラッララー!
ノクトはナイトメア二体を倒すことに成功。
レティが手を叩いて喜んでは称賛の声をあげた。
「さすがノクト!」
ノクトは頭をかいて照れながら、レティへと手を差し出し行こうと促した。レティは頷き返しノクトの手を取った。
今度は一気にひらけた場所だった。濃いグリーンの大きな湖が広がりレティはノクトの手を離して「きゃー!」と喜んで先に走っていてしまいノクトはまたか!?と急いで妹の後を追った。二人はそこでしばし無邪気に水をかけあったりして遊んだ。ここには注意する大人もいないのだ。思いっきり服を濡らしても文句はいわれたりもしない。この湖にも半透明の大きなモノはあらわれた。今度は大きな龍のようなモノだった。
「あれはリヴァイアサンだよ」
「どうしてレティは知ってるの?」
「うーん、わかんない、頭の中で名前が浮かんでくるの」
ノクトからの問いにレティは首を捻って答えた。本人もよくわからないらしい。
先に進んだカーバンクルが湖のほとりで二人を待っていた。
『僕に続いて!』
水の中にくっきりと浮かんだ金色の輪に飛び込んであっという間に消えたカーバンクル。
「ここ?」
「…入らなきゃ、だめ?」
不安がるレティが行きたくないと眉を寄せた。
「大丈夫。僕がレティを絶対守るから」
ノクトが力強くレティを励ますと、幾分か不安が緩和したらしいレティが分かったと渋々頷いた。二人はせーの!で息を合わせ同時に地面を蹴って輪の中へと飛び込んだ。