絶望の世界に希望の花を   作:Mk-Ⅳ

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第四話

伊豆諸島にある島の浜辺に四国エリア所属の輸送機が不時着しており。その周囲を球樹の乗るメガセリオン・モデルと部下のグノーシス・モデルが展開しており。

それを取り囲むように。人革連所属を示す、青色に塗装された数機メガセリオン・モデルと、2個大隊程はいるであろうグノーシス・モデルが展開されており。球樹らへと距離を詰めながら銃撃や砲撃を加えていた。

 

『こっちに来んじゃねぇ!』

 

球樹機は標準装備のアサルトライフルに、両肩に光学シールド発生装置『イージス』と、背部には2門式キャノン砲を装備した拠点防衛仕様であり。イージスを展開して攻撃を防ぎながら、ライフルで牽制しつつキャノン砲を放ち。砲弾は1体のグノーシス・モデルに直撃し、上半身を吹き飛ばした。

また、僚機も同様に拠点防衛仕様であり(キャノン砲は1門)球樹機同様にイージスを展開しつつ射撃と砲撃で弾幕を張っているも。人革連側は物量を持って押しつぶそうと包囲を狭めてくる。

四国エリアを出発してから暫くは何事もなく順調だったが。伊豆諸島にまで差し掛かると、島にある森から対空ミサイルによる攻撃を受け、主翼に被弾した輸送機は島の浜辺への不時着を余儀なくされたのだ。

幸い落ちたのが砂浜だったので衝撃も少なく、勇者や巫女らに怪我はなかったものの。パイロットら非戦闘員に何名かの負傷者が出てしまった。

そして彼らは、浜辺に近い森から現れた人革連のファフナー部隊の攻撃を受けることとなった。

 

「(情報が洩れたってのか!)」

 

完全に待ち伏せを受けたことから、勇者訪問の情報が人革連に漏れていたことに他ならない。彼らのシンパは世界各国にいるので、どこから洩れてもおかしくはないのだが…。

 

『そんなこと考えてる場合じゃないか!』

 

より苛烈さを増す人革連の攻撃に、舌打ちしながらも迎撃する球樹。同時に全周波数帯で通信を開く。

 

『テメェら、自分達のやってることがわかってんのか!勇者に何かあったらどうなると思ってんだ!』

 

万が一にも戦闘を止められる可能性に賭けてみるも、人革連から帰ってきたの予想通りのものであった。

 

『我らは軟弱な国連を打倒し、新たなる秩序を生み出す!故に、現支配体制の象徴である勇者は粛正せねばならん!青き清浄なる世界のために!!』

『『『青き清浄なる世界のために!!』』」

 

青き清浄なる世界のために――

人類革新連盟の掲げるスローガンであり。新たなる秩序が構築され、バアルが駆逐された世界を指している。また、ガストレアウィルスを宿す『子供達』の差別にも用いられている。

 

通信機越しに聞こえてくる人革連の言葉に、苦虫を噛み潰したような顔をする珠樹。やはり彼らとは、どちらかが倒れるまで戦うしかないと再認識させられた。

 

「兄ちゃん!」

 

そんな折、輸送機の亀裂から妹の球子が顔を出しながら声をかけてきた。

 

「タマ達にも戦わせてくれよ!」

『いいから、隠れてろ馬鹿妹!!』

 

今まで聞いたことのない兄の怒声に、球子が怯えた様に体を震わせる。

球樹は球子ら勇者は戦いには参加させず、身を隠しているよう指示を出していた。それは、光輝は分析したように、勇者には対人経験がないこともあるが。何より妹とその友人に、人と戦わせたくないという思いがあった。

彼女らの力は人類を守るためのものなのだ。このようなことに使われるべきではないというのが球樹の考えであった。

 

 

『お前達は戦うな!こんなことは俺達だけで十分だ!』

「でも…!ッ!?」

 

それでも引き下がらない珠子の顔の、すぐ側の装甲に弾丸が当たり甲高い金属音が響き、球子は思わず身を縮ませて隠れる。

 

『妹に何しやがんだオラァ!』

 

その弾丸を放った人革連機を、球樹はキャノン砲で吹き飛ばすのだった。

 

 

 

 

「タマっち先輩大丈夫!?」

 

輸送機内に戻った球子に、杏が抱き着くようにして声をかける。

 

「あ、ああ大丈夫だあんず…」

 

杏を心配させないようにと気丈に振舞おうとするも。その顔色は青白くなっており、体も小刻みに震えていた。

バアルとの戦いで幾度もの死線を超えてきた彼女だが、始めて感じる人から向けられる殺意に怯えてしまっていた。

輸送機内には他にも非戦闘員が集まっており、彼らも迫りくる戦火に不安を募らせていた。

 

「ッ――!」

 

そんな球子らの姿を見た若葉は、歯を噛みしめて拳を強く握ると。自身の武器である『生大刀』を手にすると、スカートのポケットからPADを取り出すと、勇者に変身するためのアプリ『勇者アプリ』起動させようとする。

 

「駄目です若葉ちゃん!」

 

そんな若葉をひなたが慌てて止める。

 

「だが、このままでは…!」

 

こうしている間にも戦闘音は激しさを増しており、今は珠樹らが奮戦しているも。戦力差は歴然であり、いずれは押し切られてしまうだろう。

 

「でも、相手は同じ人間なんだよ…」

「高嶋さん…」

 

俯いている友奈が震えた声で若葉に話かける。彼女は誰よりも優しいため、人と戦うことに一際抵抗感があるのだろう。

そんな彼女の不安を和らげようと、千景はそっと手を繋ぐ。

 

『……』

 

その場を沈黙が支配する。バアルと戦う覚悟こそしていたが、人と戦う覚悟など誰もしてはいなかったのだ。

 

「それでも、私はこのまま見ているだけなんてできない…!」

「若葉ちゃん!」

 

そういって機外に飛び出そうとする若葉を、ひなたは制止しようとする。

 

「皆はここにいてくれ!戦うのは私だけでいい!」

 

人と戦うことへの躊躇いはある。それでも、リーダーとして仲間を守るために若葉は決意する。

仲間たちが自分のことを呼ぶ声がするも、若葉は止まることなくアプリを起動させると機外に飛び出した。

 

 

 

 

『ぐぁッ!?』

『曹長!』

『まだ、やれます!』

 

僚機のイージスが攻撃の負荷に耐えられず、破損してしまう。それでも僚機は怯むことなく左腕のレールガンで反撃すると、直撃を受けた敵機が爆散した。

他の僚機も破損が目立つようになり、継戦が困難となってきていた。球樹機は目立った損傷こそないものの、弾薬が尽きかけており限界が近づいていた。

だが、敵部隊はまだ20機近く残っており。このままでは全滅しか道はなかった。球樹が打開策を模索していると。背後の輸送機から人影が頭上を飛び越えて戦場に躍り出た。

 

『乃木!?何をしている戻れ!』

 

飛び出してきたのは『戦装束』と呼ばれる。神樹の力を科学的、呪術的に研究し、ハンドレッドの技術を取り入れた結果生み出された戦闘服を身に纏った若葉であった。

戦装束を身に纏うことで、勇者はのその力を最大限に発揮でき、起動さえるためのアプリ等も含めて『勇者システム』と呼ばれている。

また、その形状は勇者個人によって違い。若葉のは桔梗を思わせる清楚な青と白の混交が特徴的であった。

 

「私が敵を引き付けます!援護をお願いします!」

 

そういって敵機目がけて駆けだす若葉。

 

『ええい、全機乃木を援護しろ!敵を近づけさせるな!』

 

引き止められないと判断すると、素早く援護するよう僚機に指示する球樹。

 

「ハァァアア!!」

 

球樹らの援護を受けた若葉は1体のグノーシス・モデルに接近すると、刀を振るい両腕の武装だけを斬り落とした。

 

『ぐぉ!?』

『勇者だ!勇者が出てきたぞ!』

 

若葉の姿を確認した人革連部隊は若葉に砲火を集中させ始める。

迫りくる無数の弾丸を、若葉は最小限の動きで躱すか、避けれないものは斬り払いながら接近し。1体ずつ搭乗者は傷つけずに機体だけを破壊し戦闘力を奪っていく。戦場において、敵の命を奪わずに無力化することは、相手よりも遥かに高い技量が求められることであり。若葉自身の日々の鍛錬の結果であると同時に、勇者の力がどれだけ強力であるかの証左でもあった。

 

「くッ!」

 

それでも敵の数はいまだ多く、足元にレールガンから放たれた弾丸が着弾し。その衝撃で地面を転がる若葉。

すぐに起き上がろうとするも、周囲を敵機に囲まれ銃口が向けられる。

 

「(避けられない――!)」

 

若葉は撃たれることを覚悟し、少しでも被弾を減らそうと身を守る。

 

「ヤァァァァアアアア!」

 

敵機が発砲しようとした瞬間。山桜を思わせる桃色の戦装束を纏った友奈が、手甲である『天ノ逆手(あまのさかて)』による拳打を1体の敵機に打ち込んで弾き飛ばし。他の機体を巻き混んで吹き飛んだ。

さらに友奈は四国勇者一の瞬発力を生かし、次々と若葉を包囲していた敵機に肉薄し打撃技を浴びせて蹴散らしていく。

 

『おのれェ!!』

 

別の機体が友奈へ発砲するも、彼岸花を思わせる紅色の戦装束を纏った千景が、獲物である『大葉刈』の霊力が宿る大鎌を目の前で回転させて防ぐ。

そして、発砲した敵機は飛来した矢が膝や肘のに突き刺さり、身動きが取れなくなる。

矢を放ったのは、紫羅欄花(ストック)を思わせる戦装束を纏った杏である。彼女は『金弓箭(きんきゅうせん)』と呼ばれる弩を武器としており。杏は輸送機を盾にしながら引き金を引くと、矢が連射され敵機の関節に突き刺さり行動不能に追い込んでいき。さらに敵部隊の牽制にもなり動きを鈍らせる。

 

『チィッ!まずはあの弩持ちから潰せ!』

 

敵部隊は支援要員である杏を最優先で排除すべきと判断し。森の中に隠れていた、スナイパーライフルを装備していたメガセリオン・モデルが発砲する。

放たれた弾丸は杏の頭部目がけて迫る。だが、姫百合を思わせる橙色の戦装束を纏った球子が、杏と弾丸の間に入り。武器である『神屋楯比売(かむやたてひめ)』の霊力を宿した旋刃盤を、盾に変形させて弾丸を弾いた。

 

「ありがとうタマっち先輩!」

「へへん!タマがいる限りあんずには傷つけさせるもんか!」

 

防御力の高い球子が敵の攻撃を防ぎ、遠距離攻撃ができる杏が攻撃に専念する。互いの役割を最大限に発揮した連携を披露する。

 

『お前らまで何出てきてるんだ!さっさと戻れ!』

 

勝手に戦場に出てきた勇者達を見て、珠樹が近くにいる妹に怒鳴りつける。

 

「兄ちゃん達こそボロボロなんだから退がってろよ!後はタマ達に任せタマえ!」

『いつもの化け物相手とは違うんだぞ馬鹿妹!』

 

互いの主張をぶつけ合って口論になる土居兄妹。そうこうしている間にも、敵の放った砲火が周囲に降り注ぐ。

 

「タマ達は勇者なんだ!悪い奴らはやっつけてやる!行くぞあんず!」

「うん!」

 

兄の静止を聞かず、球子は杏と共に前線に向かっていく。

 

「皆どうしてッ!」

「だって、若葉ちゃんが私達を守りたい気持ちと一緒で。私達も若葉ちゃんを守りたいから!」

 

若葉の問いに、友奈は叫び返しながら敵を殴り飛ばす。

 

「それに、若葉ばかりにいいカッコさせられないからな!」

「皆で支え合って戦う。それが仲間です!」

「危なっかしくて、見てられないのよあなたは」

 

球子、杏、千景、それぞれが戦いながら若葉に語り掛ける。

 

「皆…」

 

そんな仲間の頼もしさに支えられるように立ち上がる若葉。

 

「そうだな私達は仲間だ!一緒に戦おう!」

 

若葉の掛け声にそれぞれ応えながら、敵部隊へ向かっていく勇者達。

 

『隊長、我々は?』

『ダァァァ突撃だ!突撃!あいつらを援護しろ!』

 

部下の問いに球樹はヤケクソ気味に指示を出しながら若葉達の後を追うのであった。

 

 

 

 

『敵部隊の反応消失しました隊長』

『警戒態勢に移行。生き残った奴らを拘束しろ』

 

部下の報告に答えながら周囲を見渡す球樹。

砂浜は荒れ果て、破損した人革連の機体と残骸が散乱し、生き残った搭乗者を部下が一箇所に集めていた。

勇者が戦闘に加わってからは戦局は一転し、不利と悟った敵部隊は撤退していったのだった。

 

「おーい兄ちゃん!」

 

周囲を警戒する球樹の元に、球子が手を振りながら駆け寄ってくる。戦装束に汚れはあるが、傷らしい傷がないことに内心球樹は安堵する。

妹の後ろには他の勇者達が追いかけてきており、彼女らも目立った傷はないようであった。

 

『お前ら無事か?』

「はい、皆無事です」

『そうか』

 

球樹の問いに若葉が答えた。

 

『いいたいことは色々あるが。とりあえずお前達に助けられたな、怖いのによく頑張った。ありがとうよ』

 

そういって球樹は球子の頭を撫でると、彼女は嬉しそうに目を細める。若葉達も彼に褒められて嬉しそうにしている。

 

「へへ、タマ達も強くなったからな!いつまでも子供じゃないさ!」

『アホ。どんなに強くなっても、お前達はまだまだ子供だっつーの』

 

エッヘン!と胸を張る妹の額を小突く球樹。彼もまた、勇者を特別な存在ではなくどこにでもいる少女と同じで、大人である自分達が支えていく必要があると考えていた。

子供扱いされたことにムーッと拗ねる妹の頭を、今度は少し乱暴に撫でる球樹。髪をクシャクシャにされたことにやめろよー!と抗議する球子。

若葉達は、そんな兄妹のじゃれ合いを微笑ましく見ていると。そんな穏やかな雰囲気を打ち壊すように、PADから警告音が鳴り響く。

 

『ッ!?バアル反応だと!』

 

球樹がすぐに機体のセンサーを確認すると、反応は海から出ていた。

反応が近づくのと同時に、浜辺付近の海面が盛り上がっていき。海水を掻き分けるように20メートルはあろう巨体が姿を現していく。

 

『ステージ、Ⅳだとッ!?』

 

その姿を見た珠樹の口から驚愕の声が漏れた。

現れたのは岩のようにゴツゴツとした赤色の甲羅に、大木と同じくらいの太さをした節足動物特有の無数の足と、甲殻類によく見られる腕が6本も生えており。極めつけは蟹のような胴体部分に目とイソギンチャクに似た口がビッシリと備え付けられており。嫌悪感を抱かずにはいられないような怪物がそこにはいた。

甲殻類を始め多くの海洋生物のDNAを取り込んで進化を続けた結果。最早元の生物を特定するのが難しいまでに変異している。

最近確認されるようになり、アジア各国の沿岸部で猛威を振るっている『デス・フォートレス』と呼称される。ガストレアの中でも、完全体と呼ばれるまでに進化した個体であった。

デス・フォートレスの全身の目がギョロギョロと動き、若葉達の姿を捉えるとその巨体を動かし、地響きを上げながら接近してくる。

 

「(最悪だッ!!))」

 

球樹は心の中で悪態をつく。ステージⅣともなれば、単体であってもその力は計り知れない。若葉達がいたとしても疲弊した今の戦力では対処は困難であった。

 

『全員逃げるぞ!このままじゃ全滅するだけだ!』

 

故に球樹が選んだのは逃走であった。幸いデス・フォートレスの動きは遅く、逃げに徹すれば救援の到着まで持ちこたえられると判断したためである。

 

「でも、人革連の人達が…」

 

友奈の言葉に、周囲を見回した球樹が思わず舌打ちする。

そう。この場にいるのは球樹達だけでなく、捕縛した人革連の生き残りもいるのだ。中には、負傷して自力で移動することができない者も少なくない。

 

「た、助けてくれ!頼むから置いていかないでくれ!」

 

人革連の1人が縋りつくように球樹の足にしがみついてきた。他の者達も若葉達に助けを求める声を上げる。そんな彼らに若葉達は困惑してしまっている。

 

『ッ――!ざけんな!襲ってきたのはテメェらだろうが!こんな時だけ都合のいいこと言ってんじゃねぇ!』

 

こんな事態になったのも、全ては人革連の襲撃があったからである。それなのに、いざ自分達が危機に陥ると、手の平を反して助けを求めてくる彼らの身勝手さに思わず怒鳴り散らす球樹。

その自覚はあるのか人革連の者達は一瞬黙るも。そうしている間にも、デス・フォートレスは近づいてきており。その姿を見て再び懇願してくる。

球樹としては、この状況で彼らも連れて行くのは不可能であり。例え見捨てても自業自得としかいいようがなかった。

そうこうしていると、輸送機にいたひなたらが合流してきており。彼女らも助けを求めてくる人革連者に困惑の目を向ける。

 

『お前ら行くぞ!こいつらに構っている暇はねぇんだ!』

 

これ以上長居すると、デス・フォートレスに捕捉されてしまう。最早迷っている時間はなかった。

 

「ですが…!」

 

だが、若葉達勇者はその場から動けずにいた。彼女らには目の前にある『命』を見捨てることができないのだ。

遂に逃走不可能な距離にまで、接近してきたデス・フォートレスの一部の口から、無数の触手が飛び出してきた。

 

「わぁぁぁあああ!?!?!?」

 

触手は近くにいた人革連者に次々と巻き付き持ち上げていくと、そのまま巻き戻るように口へと運ぼうとする。

捕らえられた者は死を覚悟して目を覆うも、ザンッ!という何かを斬り裂くような音がすると同時に。浮遊感に襲われかと思うと誰かに受け止められた感覚がした。

 

「え?」

 

恐る恐る目を開けると、自分が若葉によって抱きかかえられていることに気がつく。

周りを見ると他の者達も、他の勇者によって助け出されていた。

 

「どう、して?」

 

思わずそんな言葉が漏れる。球樹の言う通り、見捨てられても文句の言えないことをした自分達を彼女らは命がけで助けてくれているのだ。

球樹らの側に降り立った若葉は、抱えていた者を降ろした。

 

「例え敵対していたとしても、助けを求めて伸ばされた手を掴みたい。少なくとも私はそう考えています」

 

そう告げると、若葉はデス・フォートレス目がけて駆けだしていった。

 

『あいつらの底なしの優しさに感謝しろよ。全機勇者を援護する!着いてこい!』

 

呆然とする人革連者に語り掛けると、球樹は部下を連れて若葉の後を追いかけていった。

 

「ああ、そうか…」

 

彼は理解した。なぜあんな少女達に、神からあれだけの力を与えられたのか。それは、どんな命をも尊び他人を思いやれる『強さ(優しさ)』を持ったいたからなのだと。そして、自分がどれだけ愚かなことそしようとしていたのかを悔い、涙を流しながらその場で膝をついて崩れ落ちたのだった。


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