合法ロリがゆく   作:さくい

14 / 18
とある狙撃手の恐怖

 七武海の一角であるサー・クロコダイルの野望を打ち砕き、アラバスタ王国の王女であるビビと別れてから数日経ち穏やかな気候の中でそれは起こった。

 

 事の発端は昼前に航海士であるナミが新聞を買い、それを読んでいる時である。新聞を読んでいく内にわなわなと震え出したのである。

 

 何だ何だと好奇心旺盛な船長であるルフィと船医であるチョッパーがまずナミの下へ行き、それに釣られるようにウソップも歩き出した。そして、ウソップが3人の下へ到着する前に珍しくルフィが真剣な表情で新聞の記事を穴が空く程見つめ、チョッパーは叫び声を上げ、ナミは顔を青くしてフラついた。

 

 その尋常ではない様子にナミに飲み物を届けようとしたサンジが駆け足で向かい新聞記事を読んで、絶句した。

 

 そうこうしている内に到着してサンジに押し付けられるように渡されたのは、4枚の手配書と開かれた新聞記事。4枚の手配書には当然の事ながら其々違う人物が載っていた。男2人に女2人である。

 

 執事(バトラー) アルド・シン懸賞金4000万ベリー。

 辻斬(つじぎり )コウタロウ懸賞金5000万ベリー。

 魔眼(まがん) リィナ懸賞金3800万ベリー。

 氷姫(ひょうき) ユーテシア懸賞金1億5000万ベリー。

 

 その内ユーテシア以外の3人は初頭手配であり、ユーテシアは1回目の更新であるらしい。

 この4人がどうしたのか、その疑問は新聞の記事を呼んで理解した。

 

 数日前にアラバスタで集まっていた海軍船をユーテシアが軒並み氷の塊で潰して壊し、その後遭遇する海賊団や海軍船の尽くを遊び感覚で破壊していったらしい。

 その被害は凄まじく、海軍支部を2つ破壊し尽くしたり海軍船を10隻以上容易に海の底に沈めたとか。

 一人一人のやった事もある程度書かれている。

 

 シンは空を駆けて敵船に殴り込みを掛けてナイフを両手に持ち視界に映らない速さでの殲滅及び船を沈め、コウタロウは遠距離で斬撃波を飛ばしてメインマストを切断したり敵船に乗り込み広範囲の敵を纏めてバッサリ斬り捨て、リィナは魔眼を駆使して敵の弱点を突いたり催眠を掛けたり、ユーテシアは船を超える大きさの氷解を降らしたり海ごと船を凍らせて船員含めて粉々にしたり等々常識的に考えて色々と酷いもののオンパレードであった。

 しかも全員擦り傷1つ負う事はなかったという俄かには信じられない記事が書いてあったのだ。

 

 更に言うならその4人が結成している雪精海賊団の船長であるユーテシアは、バギー海賊団と麦わら海賊団を潰すと取材の時に話していたという。

 

 

 ウソップは思わず悲鳴を上げた。

 

 

 海軍や海賊を嬉々として潰していく頭のおかしい海賊が自分達を狙っているのだ。悲鳴を上げずにはいられない。

 しかも、雪精海賊団がアラバスタで海軍船を潰した時に丁度その場にいたのだ。あの時に巨大な氷塊が海軍船を潰していく光景を見て誰がやったのか疑問に思ったが、それよりもその場を脱出する事に意識が割かれていてあまり考えてはいなかった。

 

 だがこの記事を読むに、自分達は絶体絶命のピンチを知らない内に回避していたという事になる。

 そして、今尚雪精海賊団は自分達を追っているという。

 

 

 

 

 

 

 気が付けば空は茜色に染まっていた。

 

 どうやら気を失っていたらしいと悟ったウソップは起き上がって周りを見渡して、絶句した。

 

 何故なら船長のルフィがたんこぶを5個作って床にめり込んでおり、それをしただろう犯人は険しい顔をしていても分かる程に目の覚める様な銀髪の少女だったのだ。

 

 

 カヤという想い人がいなければ惚れている自信がある程の美少女だった。

 

 あれ、ついさっき見た記憶が……と若干意識を遠くして直ぐに、自分の船長がやられている事実を認識する。

 

 震える手足を捻抑えて立ち上がり、立ち向かおうとしたところで周りの空気が戦っている時特有のピリピリした空気ではない事を感じた。

 それに、何故かうちの船員は申し訳なさそうにユーテシアに謝っている。

 何故謝ってるのか、少しずつ前に進みながら考えているとルフィが飛び起きてすぐに土下座して謝った。

 

 処刑台壊してごめんなさい、と。

 

 処刑台と聞いて唯一思い付くのはローグタウンでバギー海賊団との戦闘中に、バギーに処刑台の上でルフィが殺されそうになったところに雷が落ちて処刑台が焼け崩れた出来事。

 雷が落ちたという不可抗力はあるが、そこで争っていたのは事実であるのだから謝るのは間違ってはいないのだろう。

 しかし何故処刑台を壊した事で謝るのか、その答えをウソップは知る由もなかったがルフィが謝った事でユーテシアの表情は少し柔らかくなり最後に一発ルフィの頭に拳骨を落とした。

 

 そしてルフィの意識が飛び、たんこぶが増えたのを見てウソップは戦慄する。

 打撃が効かないルフィに打撃を通しているのだ。しかもタフネスという面では他の追随を許さないルフィの意識を容易く奪う威力を誇っているし、拳骨の音がなんか違う。

 つまりは、新聞記事の言っていることはそこまで大袈裟ではなかったという証明になった。

 

 

 

 

 衝撃的な光景を見て、気が付けば何故か雪精海賊団の面々と宴をする事になっていた。

 

 どうしてこうなった。そう思いながら周りを見れば、自分以外の人間は既に慣れた様子で接している。唯一ゾロだけは雪精海賊団の面々を警戒している。

 

 その事に頼もしさを覚えながら宴の輪の中に入ろうとして、落ちている酒瓶を踏んで転んだ。

 

 運悪く転んだ先にいたのはユーテシアであり、ユーテシアは慌てる様子なく受け止めようとしてくれていた。

 が、突如横から言葉にし難い衝撃が走って吹き飛ばされた。

 

 吹き飛ばされる中で見たのは、蹴りを放った体勢の美しい金髪をたなびかせたスタイルの良い少女だった。

 髪の間から覗く彼女の目は紅く、瞳に巴が3つ円を描くように浮かび上がっている。

 

 その氷のように冷たく、一見無機質の様に見えて確かな憤怒を放つ瞳にウソップは背筋をゾッと凍らせて、直後にメインマストに身体をぶつけて意識を失った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。