漂着122915日目
流れてきた新聞で、彼が処刑された事を知りました。そして、彼が死に際に放った言葉が人を駆り立て大海賊時代の幕開けになったとも載っていました。
やっぱり、彼とはもう会うことが出来なかったです。出来れば一度だけでも昔のようにお話ししたかったのですが、それはもう叶う事はありません。
ですが、彼の死を嘆いていては彼に笑われそうな気がするのです。ですから悲しむのは今日だけにして、明日からは普段通りに修練の日々を過ごしましょう。ええ、とても悲しいですけど……。
漂着127660日目
私に娘ができました。
事の始まりは日課である巨大な氷の塊を海に落としている時でした。大質量の氷によって出来た水飛沫と木片と一緒に小さな女の子が降って来たのです。
流石の私も驚きましたよ。遠くの方にドクロマーク掲げている船があって、ロジャーから教えてもらった事から海賊と判断して特に何も考えずに氷の塊落としてたらその船の木材と一緒に女の子が降って来たんですもん。
ちなみに慌ててキャッチしてあわわあわわと慌てながら女の子を見ると首輪を付けられて痩せ細っていたのを見てあの海賊船を潰して正解だったと確信しました。ですので、すぐに首輪を壊して島の暖かい側に行って女の子が起きるまで焚き火の近くで眠らせつつ、ご飯を作りました。
ただ、当たり前ですが焚き火を利用した料理って焚き火の前でするんですよね。熱くてやばいです。しかも冷気を纏いながら料理を作ろうとすると食材が凍って料理どころではなくなるので冷気を纏えないのです。だから、私は溶けそうになるのを必死に耐えながら料理を作ったのです。流石私。さすわたですね。
で、その女の子の容姿を書いておこうと思います。肩まである金髪に大きくて活発そうな碧眼の痩せ細った肢体の3歳前後の女の子です。異常に痩せているのと薄汚れているので分かり辛いですが、綺麗にして年齢相応の健康的な肉体になればかなり可愛くなると思います。
女の子の名前はリィナ、両親はいなく気付けば海賊船に居て悪魔の実の力を利用されて奴隷のような扱いだったそうです。年齢は4歳でした。
……というか、なんで4歳児がこんなに詳しく状況を理解して、しかもしっかり説明できているのでしょうか。少し不気味に感じますが、最近の4歳児はこんなものなのでしょうか?もしそうだったら最近の人間は進化してるというか何というか……。
結局、この子が私に庇護を申し出て私がそれを受け入れました。そして私が受け入れた瞬間にママ呼びし始めたこの子を見て、結構強かな子だと確信しました。
子育て日記1日目
今日から漂着日記改め子育て日記に改名しようと思います。そしてそれに伴い日付もリセットしようと思います。
取り敢えず今の居住環境についてですが、私一人ではないですし暖かい側で過ごす事になりました。使う家は私が以前作ったあばら家です。
で、リィナは人恋しいのか一人だと不安なのか痩せ細った身体で一生懸命私に抱きついて来るのです。そのくせ私の体温で冷えてガタブルするものですから必然、私は冷気を纏えない状態で暖かい場所に居なくてはならなかったのです。
熱くて死にそうでしたが、これもリィナの為。そう思えば我慢出来ました。ふふ、私にも母性というものが出てきたのでしょうか。例え自分のお腹を痛めて産んだ子ではなくても、この子は私の子供なのです。普通の人とは違う新米ママですが、私は頑張りますよ!
子育て日記2日目
今日の朝、暑苦しいのと胸元に掛かる重みとで眼が覚めるとリィナが私に被さるようにガタブル震えながら眠っていました。
とても胸がきゅんとなりましたが、冷たいのを我慢して抱きつかなくても……そう思いますが昨日リィナにそう言ったらぷるぷる泣きそうになったのでリィナの好きにさせているのですよ。でも、私が悪い気がして何だか、はい……。
子育て日記1年と65日目
初めて会った時とは見違える程にリィナは変わりました。薄汚れていた金髪はさらっさらできらっきらに光を反射し、痩せ細っていた身体は健康的で瑞々しく、よく笑い、よく私に抱き着いては甘え、明るく元気にいつも私に笑いかけてくれます。
今日も悪魔の実の能力と最近始めた稽古をフル活用して鳥を二羽狩ってきたのです。
「ママにとってきた!」
全身泥んこになってそう言いながら笑顔で話してくれたリィナにきゅんきゅんして思わずぎゅーっと抱きしめたのは仕方ない事だと思うのですよ。
その日の夕食はリィナが狩ってきてくれた鳥をメインにして頑張って豪勢な料理を作りました。まあ、その分私は火の近くにいる時間が長くなって死にそうな程に熱かったですが、リィナの笑顔を見る為なら幾らでも我慢してやるのですよ!
一人での生活も良かったですが、こんな生活も良いものですね。というより、この生活を覚えてしまったらはたして私は一人の生活に戻れるのでしょうか? ……ぞっとしない考えですね。
子育て日記2年目
リィナがこの島に来てから2年が経ちました。そして、リィナがこの島に来た日をリィナの誕生日にしているのです。リィナ曰く、この日に自分が私の子供になったということはこの日に自分が生まれたのだという事らしいです。
そして、この日にリィナが食べた悪魔の実の事を実演付きで教えてもらいました。
超人系悪魔の実であるマガマガの実を食べた魔眼人間で、自身が考えた魔眼をストックして発動する事が出来る能力なのだそうです。ただ、あまりに強い力を持った魔眼はすぐに体力を摩耗し、酷い場合では数日昏睡状態になるのだそうです。しかも現在ストックして発動出来る魔眼は2種類なのだそうです。
「これじゃあママの役にたてない……」
そう言って落ち込んでいましたが……まあ、まだまだ成長中ですしこれからもっともっと強くなれるのです。焦らずにゆっくりやっていけば良いのですよ。私だって300年以上修行して今の状態なんですしね。
そう言うとリィナの頬が気持ち引き攣っていた気がしました。
まあ、驚きますよね。私みたいな超絶美少女が実は300年以上生きている化生だとは夢にも思わないでしょうよ。多分私のこの長生きも悪魔の実が原因なんでしょうけど。……あれ、という事は見た目少女の私にリィナは庇護を求めて母親認定したという事になりますけど、当時のリィナからすれば大人の女性に見えたのでしょうかね?
それで、リィナの誕生日祝いに何が欲しいか聞いてみたのですが、その内容に驚きました。
ぎゅっと抱き締めて頭を撫でてほしいというのです。
正直、いつもしている事を誕生日祝いでしてほしいと言われるとは思いもしませんでした。
まあ、リィナが満足するまでぎゅっとして撫で撫でしましたけど。