子育て日記11年と137日目
あの日、リィナに年齢の話をして泣かせてから少し経ちましたが……どうもリィナの様子がまたおかしいのです。
今度は両手を合わせて腰で溜めて「か〜め〜は〜め〜」と言い腰に溜めていた両手を前に突き出すと同時に「波ァーッ!!」と叫んだり、右手人差し指と中指を立てて額に押し付け力んだ後に押し付けた人差し指と中指を前に突き出して「魔貫光殺砲!!」と叫んだり、いきなりグーパンチを百回繰り返した後に「お前はもう、死んでいる……」とクールにそっぽ向いたり、「火竜の咆哮ー!!」と叫んでハァーッと息を吐いたりと何時かのリィナを思い出します。
空気中にプロテインが含まれているこの世界なら頑張れば何時かは出来る筈とリィナは言ってましたが、はてさてそんな事が本当に可能なのでしょうか。
リィナが叫んだ事の殆どは悪魔の実で何とかなるでしょうけど、確か複数の悪魔の実は食べる事ができないとロジャーから聞いた気がしますし……確か複数の悪魔の実を食べると身体が爆散するんでしたっけ。
というか、空気中にプロテインが含まれてるって……どうやら私の生まれたこの世界はとんでもない世界みたいです。 ……プロテインって何でしょうか?
まあそれはいいとしてですね。リィナに言われて初めて気が付いたのですが、私って普段の時、戦ってる時、本気で全力を出してガチのガチで殺し合ってる時では見た目が違うんです。
普段の時は銀髪碧眼の超絶美少女なのですが、戦ってる時は頭のてっぺん辺りが水色で毛先になるにつれて元の髪色になって、本気で全力を出してガチのガチで殺し合ってる時は戦ってる時の髪に瞳がキラキラと光に反射しているのだそうです。
なんですか、その微妙な変化は……。そう思いつつリィナの話を聞いていると、どうやら私は動物系の悪魔の実を食べたのではないかという事でした。
確かに動物系は人型・獣人型・獣型に変身出来ますが、だからと言ってこの髪と瞳の微妙な変化を動物系に割り当てて良いのかという疑問が生まれます。
ただ、リィナが私が食べたのは動物系悪魔の実説をどうしても推したいみたいなので、結局そういう事になりました。
そして私が熱に異様に弱いのを考慮して以下の通りになりました。
リィナ命名、動物系悪魔の実、ヒトヒトの実幻獣種雪女。
確かに昔読んでた絵物語とかに出てくる雪女みたいに馬鹿みたいに熱に弱いですし自分でも雪女を自称する事はありましたけど、まさか自分の娘にそう言われる日が来ようとは……。
ちなみにですが、自分の意思で変身しようと思っても中々上手く出来ませんでした。リィナ曰く上手く出来ないのは、今まで自分の意思で変身しようと考えた事がなく全部が全部無意識での変身だったからではないかとの事です。見た目の変化が髪と瞳の変化だけなので、尚更自分で気づく事が出来なかったのもその要因かもしれません。
そして駄目押しとばかりにこの微妙な変身でも、動物系の悪魔の実であるならば変身するにつれて雪女になっていくのだとリィナに力説されました。
まあ別に、動物系だろうが超人系だろうが私にとってはどっちでもいいですし。こうやってあれこれ考えるのも楽しいですから、私が食べた悪魔の実を突き止められなくてもいいのです。それに色とかが少し変わるだけで翼が生えたりツノが生えたりと言った変化もないですし、私的には全くもって無問題なのです。
子育て日記11年と255日目
今日一人の男の人が島に来ました。そこそこの大きさのキャラベル船に乗って一人でやって来たのです。
とりあえず危ない人かどうか確かめる為にその男の人の前に私だけ姿を現したのですが、何故か私の姿を見るなりガチンッと効果音が付きそうな感じで固まりました。
なんだこいつ。
そう思って首を軽く傾げた瞬間に男の人は俊敏な動きで跪いて、こう言ったのです。
「どうか貴女に仕えさせては頂けないでしょうか!全身全霊私の全てを賭けて貴女を守る事を誓います!」
そう言ったのです。
初対面の男の人に熱烈によく分からない告白をされたのが気持ち悪くて鳥肌が立ち、思わずタイムを申請して急いでリィナの元に行きました。
そしてリィナに相談すると、リィナの瞳のハイライトが消えて私に家で待ってるように言ってから全力ダッシュで男の人の所へ向かったのです。
ついていこうと思いましたが、筆舌に尽くし難い強制力がリィナの瞳から感じたので私は大人しく家に戻ったのです。
それから暫くして、リィナがボロボロになった男の人を連れて満面の笑顔で帰って来ました。何があったか聞くと、リィナは経緯もへったくれもなくこの男の人が私達のボディーガード兼世話役、リィナが言うところの万能執事になると言ったのです。
だから何故そうなったのかと……そう再び問おうとしたところで男の人がまた跪いて自分の経緯を話し始めました。
彼は自分に仕えるに相応しい主人を探す為に世界中を航海しているのだそうです。
ある時は海軍に所属し、ある時は海賊船に乗り、またある時はそこらの島で飲食店のバイトをしていたらしいのです。そして世界中を航海していたから腕っ節には自信があるのだそうです。確かに結構強そうではあります。少なくともリィナよりは強いでしょう。
そして仕えるべき主人を探しに航海していたところ、この島を見かけて何故か惹かれて到着した時に私と出会い彼は運命の出会いを果たしたそうです。
つまりは私に仕えたいという事になります。
さて、どうしようかと悩む暇もなくリィナが彼を推してきたのです。リィナ曰く同志らしいですが、果たして何の同志なんでしょうか。
それでもまあ、リィナも嬉しそうにしていますしオーケーの返事をしました。但し、私達に変な事をすれば殺すと脅しをかけて。
その日の晩にリィナは語りました。この時の私はガチで怖かったと。