第四次聖杯戦争にて、間桐が若い時の蟲爺を召喚する話




思い付きの駄作です。

誰か続きを書いて下さい!

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第1話

「召喚の呪文は間違いなく憶えて来たであろうな?」

 

 念を押すように訊いてくる臓硯に、雁夜は闇の中で頷いた。

 腐臭とすえた水気の臭いが立ち込める、深海じみた緑の暗闇。深山町の丘の頂に聳える間桐邸が地下に隠匿するこの場所こそ、間桐の工房たる蟲蔵である。

 

蟲蔵の石畳には、既に召喚の魔法陣が刻まれていた。

消去の中に退去。退去の陣を四つ刻んで召喚の陣で囲んだ巨大な紋様。自分達が立つ場所とは対になる位置に配された祭壇に触媒となる聖遺物を置き、全ての準備を終える。

 雁夜は己の右手――三ヶ月前に令呪が刻まれた腕を前方に突き出し、一度息を吐いて臓硯を一瞥する。最後に自らの手甲に刻まれた紅い三画の痣を凝視した。

 放射状に広がる、頭を背けた三匹の蛇か毒蟲を連想させる奇怪な紋様。それを最初に見た時はどうあっても蟲から逃れられない自分にはぴったりだと自虐したものだが、今思えば召喚するサーヴァントも含めてのことだったのかも知れない。

 

 

「―――素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

 降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 外界を振るわせる言霊の詠唱。暗闇に響く空間の畝り。

 石畳に敷かれた魔法陣は発光を始め、それを灯火として“何か”が現れようとしている。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

 繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 刻印蟲を通して全身を巡る魔力。その異物感と耐えがたい悪寒を感じながらも、雁夜はただ無機的に詠唱を行う。

 

「―――――告げる」

 

 その意思は参加表明。

 その言葉は宣戦布告。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 歯車が噛み合う様な感覚。魔術を行使するためだけの部品と化した肉体は、何の躊躇いも無く異邦の者を呼び寄せる。それだけに留まらず、様々な何かがこの場において合致した。だが、それでも足りない。体を巡る痛みと熱を完全に無視して、雁夜は欠けたピースを手繰り寄せる。

 

「誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

迸る閃光と魔力の河流に、雁夜は思わず感嘆で溜息を漏らす。当然だ。これから現世に顕現するであろう英霊という名の怪物を思えば、どのような愚者や覇者でも畏怖を禁じえないだろう。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 詠唱の終了と共にすべてのピースが埋まり、歯車は動き始めた。

 令呪と召喚陣、果ては『間桐雁夜』を寄り代として、ソレは現界する。嵐のように逆巻く風と眩いまでの雷光が小さな薄暗い蟲蔵を激震させ、一片の隙間も無く閃光で埋め尽くした。

 爆発のような衝撃。それにより薄汚いは蟲共が励起し犇くが、すぐに活動を停止した。あまりにも強い魔力と強烈な殺意を発するソレに、流石の蟲達も関わり合いになろうとは思わないらしい。

 強烈な光によって一時的に視覚を失った雁夜だったが、ゆっくりと、伺うように瞼を開く。

 

 そして、()()()そこに立っていた。

 

 ロシア系と思われる、特徴的な青髪を持った整った顔立ちの、如何にも貴公子といった男。

 

 (こいつが、俺のサーヴァント?)

 

 狂戦士のクラスで召喚したはずだが、目の前の男はどう見ても狂っている様子はない。

 

 それもそのはず、実際に彼は狂戦士ではなかったのだから。

 

「サーヴァント、キャスター。召喚に応じて此処に参上した。」

 

「なっ、キャスター!?」

 

「はははハハハッ!どうやら失敗したようじゃな、所詮は落ちこぼれということかのう雁夜よ」

 

「ふむ。バーサーカーとして来ても良かったのだが、時機を逸したな。数秒差で他のマスターにより、先にバーサーカーは召喚されてしまったようだぞ。」

 

「そんな……」

 

 桜を救うため、そして時臣に復讐するために、何度も死に掛けながらも何とか召喚に成功したと思ったら、まさかの失敗。

 

 この時点で雁夜は既に涙目であった。

 

「待て」

 

 そこに待ったを掛けるは間桐臓硯。

 

「貴様、何故そんなことを知っておる?そんな情報、知れるのは監督役たる教会とサーヴァントと令呪のシステムを作った儂、聖杯の運び手のアインツベルンだけのはずじゃ。それを何故ただの使い魔でしかない貴様が知っておる?」

 

 対して、嘲るように嗤うは己がサーヴァント。

 

「何を言っている?答えは今自分で言っただろう?」

 

そうして、蟲の翁に無造作に近付き

 

「な、何を」

 

「英霊のサーヴァントシステムは()()()()()

 

「ま、まさか・・・!グッ!!」

 

 その身を貫いた。

 

「なっ何をする!?」

 

「決まっているだろう?・・・・・・その体貰い受けるぞ」

 

「ガアあァぁァァ!!」

 

 そうして、500年を生きたその魔術師は、余りにも呆気ない最期を迎えた。

 

「お、お前は、お前は一体・・・・・・?」

 

「ああ、私か?私の名など・・・。ああ、そう言えばお前たちはこの姿を見たことがないのだったな」

 

 そう言ってその身を翻す。

 

「改めて名乗ろう。我が名は()()()()()()()()()。此度第四次聖杯にてキャスターのクラスで現界した。」

 

 聞こえてきた言葉のインパクトで整理が追い付かない雁夜に畳み掛ける様に聞いてくる。

 

「さて、汝が我がマスターか?」

 

 


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